JPH0449388Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はドラムブレーキのパーキングブレーキ
用ケーブルアツセンブリに関するものである。

従来技術 バツキングプレートに形成された貫通穴を挿通
し、一端においてパーキングブレーキレバーに取
り付けられるインナケーブルと、そのインナケー
ブルの外周側に軸心方向の相対移動可能に設けら
れたアウタケーブルと、そのアウタケーブルの端
部と一体的に設けられ、前記バツキングプレート
の外側であつて且つ前記貫通穴の外周縁と当接さ
せられる当接部と、前記インナケーブルの外周側
において前記アウタケーブルの端部と軸心方向の
移動不能に設けられ、円筒部とその円筒部の一端
から離隔する方向に向かう程軸心から離隔する方
向に延びて径方向に弾性変形可能な複数の係合爪
とを有し、それら係合爪を弾性変形させつつ前記
円筒部側から前記貫通穴内へ挿入したとき、それ
ら係合爪の先端が前記バツキングプレートの内側
であつて且つ前記貫通穴の外周縁と係合させられ
て前記当接部と共働して前記アウタケーブルを軸
心方向の移動不能に前記バツキングプレートに固
定する係合部材とを、含むドラムブレーキのパー
キングブレーキ用ケーブルアツセンブリが知られ
ている。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、かかるパーキングブレーキ用ケ
ーブルアツセンブリの前記当接部の当接面および
前記係合部材の複数の係合爪の各先端を結ぶ平面
は、通常、互いに略平行であつて且つインナケー
ブルの軸心と略直角に設けられている一方、ケー
ブルアツセンブリは、通常、所定角度傾斜した状
態でバツキングプレートの内側へ導入されるの
で、全体として円板状を成すバツキングプレート
の貫通穴が形成される所定部分を、前記所定角度
傾斜したケーブルアツセンブリの軸心と略直角を
成すように曲成する必要があつた。このため、バ
ツキングプレートの形状が複雑になることが避け
難かつたのである。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であり、その要旨とするところは、前記のような
ドラムブレーキのパーキングブレーキ用ケーブル
アツセンブリにおいて、前記当接部の前記バツキ
ングプレートに対する当接面を、前記インナケー
ブルの軸心に対して所定角度傾斜するように形成
するとともに、前記係合部材の前記バツキングプ
レートと係合する複数の係合爪を、その係合爪の
各先端を結ぶ平面が前記当接部の当接面と略平行
となるように形成したことにある。

作用および考案の効果 このようにすれば、当接部のバツキングプレー
トに対する当接面が、インナケーブルの軸心に対
して所定角度傾斜するように形成されているとと
もに、係合部材のバツキングプレートと係合する
複数の係合爪が、それら係合爪を結ぶ平面が前記
当接部の当接面と略平行となるように形成されて
いるので、バツキングプレートの軸心と直角な平
板状の所定部分においてケーブルアツセンブリを
前記所定角度傾斜した状態で組み付けることがで
きる。この結果、従来に比べてバツキングプレー
トの形状を一層簡単とし得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第３図は本考案が適用されたパーキングブレー
キ用ケーブルアツセンブリを備えたドラムブレー
キの要部を示す図であつて、バツキングプレート
１０上には一対のブレーキシユー１２，１４が図
示しないシユーホルドダウン装置により互いに拡
開可能に支持されている。ブレーキシユー１２，
１４の各一端部はバツキングプレート１０上に固
定されたホイールシリンダ（図示せず）の両端部
とそれぞれ係合させられているとともに、ブレー
キシユー１２，１４の各他端部はバツキングプレ
ート１０上に固定されたアンカ１６の両側面とそ
れぞれ当接させられている。なお、１７はアンカ
１６と共にバツキングプレート１０上に固定さ
れ、後述のケーブルアツセンブリ２０を案内する
ためのケーブルガイドである。

ブレーキシユー１２のホイールシリンダ側の端
部にはパーキングブレーキレバー１８が一端部に
おいて回動可能に取り付けられており、そのパー
キングブレーキレバー１８の他端部にはパーキン
グブレーキレバー１８へパーキングブレーキ操作
力を伝達するためのケーブルアツセンブリ２０が
接続されている。そして、パーキングブレーキ操
作に伴つてケーブルアツセンブリ２０を介してパ
ーキングブレーキレバー１８が第３図において右
まわりに回動させられると、ブレーキシユー１
２，１４間に架け渡された図示しないストラツト
を介してそれらブレーキシユー１２，１４が互い
に外周側へ拡開されて図示しない回転ドラムに押
し付けられるようになつている。

ケーブルアツセンブリ２０は、第１図および第
３図に示すように、インナケーブル２２、インナ
ケーブル２２の外周側に軸心方向の相対移動可能
に設けられたアウタケーブル２４、アウタケーブ
ル２４の先端において一体に設けられたゴムより
成る当接部２６、係合部材２８、リターンスプリ
ング３０とを有して構成されている。インナケー
ブル２２はバツキングプレート１０の外周部に形
成された貫通穴３２からバツキングプレート１０
の内部（ブレーキシユー１２，１４が配設されて
いる側）へ挿通させられている。インナケーブル
２２の一端部には接続金具３４がかしめ付けられ
ており、インナケーブル２２がパーキングブレー
キレバー１８の他端部側に形成された図示しない
係合溝に嵌め入れられることにより、第３図に示
すように、接続金具３４およびパーキングブレー
キレバー１８の各一側端面の当接に基づいてイン
ナケーブル２２がパーキングブレーキレバー１８
に抜けが阻止された状態で連結されている。一
方、インナケーブル２２の他端部は図示しないパ
ーキングブレーキ操作装置と連結されている。

当接部２６の先端には、インナケーブル２２の
軸心に対して所定の角度θだけ傾斜させられた当
接面３６が設けられている。当接部２６は、その
当接面３６においてバツキングプレート１０の外
側であつて且つ貫通穴３２の外周縁に固着された
リング状部材３８と当接させられることにより、
パーキングブレーキ操作時にアウタケーブル２４
に生ずる反力を受け止めるようになつているとと
もに、当接面３６がリング状部材３８と当接させ
られたとき当接面３６の外周側に形成されたシー
ル部４０がバツキングプレート１０に所定の押圧
力で押圧されることにより、ケーブルアツセンブ
リ２０と貫通穴３２との間がシールされるように
なつている。

係合部材２８は当接部２６と隣接してインナケ
ーブル２２の外周側に設けられており、略円筒状
を成す有底の円筒部４２と、その円筒部４２の底
部と反対側の一端から離隔する方向に向かう程軸
心から離隔する方向に延びて径方向に弾性変形可
能な複数（本実施例においては４個）の係合爪４
４と、各係合爪４４の間にそれぞれ設けられた複
数（本実施例においては４個）の固定部４６とを
備えて構成されている。第２図はかかる係合部材
２８を展開して示す図であつて、各係合爪４４お
よび固定部４６は便宜状それぞれ平行な状態で示
されている。各係合爪４４の先端を結ぶ平面は前
記当接部材２６の当接面３６と略平行となるよう
に形成されているとともに、固定部４６の各先端
部は所定長さに亘つて当接部材２６の内部に一体
的に埋設されている。これにより、係合部材２８
と当接部２６とは係合爪４４の先端を結ぶ平面と
当接面３６とが互いに所定間隔隔てて平行な状態
で対向させられている。また、係合部材２８の底
部とパーキングブレーキレバー１８との間には、
第３図に示すように、内部をインナケーブル２２
が挿通する状態で且つ所定の予圧力が付与された
状態でリターンスプリング３０が設けられてい
る。

以上のように構成されたケーブルアツセンブリ
２０をドラムブレーキに組み付けるに際しては、
インナケーブル２２およびリターンスプリング３
０等を一端側から前記貫通穴３２内に挿通させる
とともに、係合部材２８をその係合爪４４を弾性
変形させつつ円筒部４２側から貫通穴３２へ挿入
すると、当接部２６の当接面３６がリング状部材
３８と略当接したとき、各係合爪４４の先端がバ
ツキングプレート１０の内側であつて且つ貫通穴
３２の外周縁と係合させられる。これにより、ア
ウタケーブル２４が当接部２６と係合部材２８と
によつて軸心方向の移動不能にバツキングプレー
ト１０に固定される。次いで、インナケーブル２
２の一端をパーキングブレーキレバー１８の前記
係合溝に嵌め入れることにより、ケーブルアツセ
ンブリ２０がドラムブレーキに組み付けられる。

ここで、第５図は従来のケーブルアツセンブリ
６０の取付状態を示す図であつて、当接部２およ
び係合部材６４は、前述の実施例と略同様に係合
部材６４に設けられた固定部６６において互いに
一体的に固定されている一方、当接部６２の当接
面６８はインナケーブル２２の軸心に対して略直
角に形成されているとともに、係合部材６４の複
数（一個のみ図示）の係合爪７０の各先端を結ぶ
平面は当接面６８と互いに所定間隔隔てて略平行
となるように形成されている。したがつて、かか
るケーブルアツセンブリ６０をバツキングプレー
ト７２に対して前記角度θだけ傾斜させた状態で
取り付けるためには、バツキングプレート７２の
貫通穴７４が形成される所定部分をインナケーブ
ル２２に対して略直角となるように曲成する必要
があつた。このため、バツキングプレート７２の
形状が複雑となることが避け難かつたのである。

これに対し、本実施例によれば、当接部２６の
当接面３６がインナケーブル２２の軸心に対して
所定の角度θだけ傾斜した状態で形成されている
とともに、係合部材２８の複数の係合爪４４が各
係合爪４４の先端を結ぶ平面が当接部２６の当接
面３６と略平行となるように形成されているの
で、バツキングプレート１０の軸心に対して直角
な平板状の所定部分においてケーブルアツセンブ
リ２０を前記角度θだけ傾斜した状態で組み付け
ることができる。この結果、従来に比べてバツキ
ングプレート１０の形状が一層簡単となる。

なお、前述の実施例においては、ゴムより成る
当接部２６がアウタケーブル２４の先端に一体に
設けられているとともに当接部２６と係合部材２
８とが係合部材２８に形成された固定部４６を介
して一体的に固定されているが、必ずしもそのよ
うに構成する必要はなく、たとえば第４図のよう
に構成しても良い。図において、アウタケーブル
４８はバツキングプレート１０内へ所定距離挿入
させられているとともに、そのアウタケーブル４
８の外周側であつて且つ先端から所定距離離れた
位置には、インナケーブル２２の軸心に対して前
記角度θだけ傾斜するとともにバツキングプレー
ト１０の外側であつて且つ貫通穴３２外周縁と当
接させられる当接面５０を有する当接部材５２が
一体的に固着されている。また、係合部材５４の
底部がリターンスプリング３０によりアウタケー
ブル４８の先端面に所定の押圧力で押圧されるこ
とにより、係合部材５４がアウタケーブル４８の
端部に軸心方向の移動不能に取り付けられている
とともに、その係合部材５４は前述の実施例と同
様の円筒部４２および係合爪４４のみにて形成さ
れており、係合爪４４の各先端を結ぶ平面は前記
当接面５０と互いに所定間隔隔てて略平行となる
ように形成されている。この場合においては、ア
ウタケーブル４８の外周側に軸心方向の移動不能
にケーシング５６が設けられており、そのケーシ
ング５６の先端に形成されたシール部５８により
貫通穴３２におけるシールが為されるようになつ
ている。

また、上記実施例においては、固定部４６およ
びアウタケーブル４８と貫通穴３２との当接など
に基づいて、パーキングブレーキ操作時にケーブ
ルアツセンブリが軸心と交差する方向へ所定距離
以上移動させられることが阻止されることとなる
が、たとえば、当接部２６および当接部材５２に
貫通穴３２の内壁面と当接させられる突起を設け
ること等により、ケーブルアツセンブリの軸心と
交差する方向への移動を一層確実に阻止するよう
にしても良い。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第３図における−視断面の要部を
示す図である。第２図は第１図の係合部材を展開
して示す概要図であつて、一部を省略して示す図
である。第３図は本考案が適用されたケーブルア
ツセンブリを備えたドラムブレーキの要部を示す
正面図である。第４図は本考案の他の例を示す図
であつて、第１図に相当する図である。第５図は
従来のケーブルアツセンブリの取付状態を示す図
であつて、第１図に相当する図である。 １０……バツキングプレート、１８……パーキ
ングブレーキレバー、２０……ケーブルアツセン
ブリ、２２……インナケーブル、２４，４８……
アウタケーブル、２６……当接部、２８，５４…
…係合部材、３２……貫通穴、３６、５０……当
接面、４２……円筒部、４４……係合爪、５２…
…当接部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 バツキングプレートに形成された貫通穴を挿通
   し、一端においてパーキングブレーキレバーに取
   り付けられるインナケーブルと、該インナケーブ
   ルの外周側に軸心方向の相対移動可能に設けられ
   たアウタケーブルと、該アウタケーブルの端部と
   一体的に設けられ、前記バツキングプレートの外
   側であつて且つ前記貫通穴の外周縁と当接させら
   れる当接部と、前記インナケーブルの外周側にお
   いて前記アウタケーブルの端部と軸心方向の移動
   不能に設けられ、円筒部と該円筒部の一端から離
   隔する方向に向かう程軸心から離隔する方向に延
   びて径方向に弾性変形可能な複数の係合爪とを有
   し、該係合爪を弾性変形させつつ前記円筒部側か
   ら前記貫通穴内へ挿入したとき、該係合爪の先端
   が前記バツキングプレートの内側であつて且つ前
   記貫通穴の外周縁と係合させられて前記当接部と
   共働して前記アウタケーブルを軸心方向の移動不
   能に前記バツキングプレートに固定する係合部材
   とを、含むドラムブレーキのパーキングブレーキ
   用ケーブルアツセンブリにおいて、 前記当接部の前記バツキングプレートに対する
   当接面を、前記インナケーブルの軸心に対して所
   定角度傾斜するように形成するとともに、前記係
   合部材の前記バツキングプレートと係合する複数
   の係合爪を、該係合爪の各先端を結ぶ平面が前記
   当接部の当接面と略平行となるように形成したこ
   とを特徴とするドラムブレーキのパーキングブレ
   ーキ用ケーブルアツセンブリ。