JPH0447025Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、電動機の動力をラツク軸に作用さ
せてステアリング系の操舵力の軽減を図る電動式
パワーステアリング装置に関し、特に前後輪操舵
装置を装備した車両に用いて好適なものである。

（従来の技術） 補助トルクを発生する電動機の動力を、ボール
ネジ機構を介してラツク軸に伝達する電動式パワ
ーステアリング装置は知られている（例えば、特
開昭60−25853号など）。このボールネジ機構は、
一般に、螺旋溝を外周に形成した軸状部材（ラツ
ク軸）と、該軸状部材の外周に環装され内周面に
螺旋溝を有するナツト部材と、双方の螺旋溝間に
介装されるボールとからなる。軸状部材の他端側
はボールねじにより支持する。このボールねじの
ナツト部材外周面には減速ギヤを一体に設けてあ
り、この減速ギヤにピニオンギヤ、クラツチを介
してケースに固定した補助トルク発生用の電動機
が連結する。この電動機の回転トルクが、減速ギ
ヤ等によりトルク倍力され、またボールネジ機構
で軸状部材の軸方向変位に変換して伝達される。
このような機構によれば、摩擦損失が小さく高伝
達効率で、滑らかな作動が期待される。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、この種のボールネジ機構を有する電動
式パワーステアリング装置を前後輪操舵装置を装
備した車両に適用するには次のような困難が伴
う。すなわち、後輪操舵用ピニオンは、連結ロツ
ドを車体中央のトンネル内に配置することができ
るようにするため、車幅方向の中央部にあること
が望ましい。しかし、パワーステアリング装置の
ボールネジ機構の螺旋溝が前輪操舵装置のラツク
軸の中央部付近にまで伸長形成してあり、また後
輪操舵用ピニオンと噛合うラツク部も一定範囲内
に形成する必要があるため、後輪操舵用ピニオン
を前記ラツク軸の中央に配置することは困難であ
つた。

従つて、この考案は、前後輪操舵装置を装備し
た車両にも容易に適用可能な電動式パワーステア
リング装置を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段及び作用） この目的を達成するため、この考案によれば、
車幅方向における一方側に形成されステアリング
ホイールに連結した第１のピニオンと噛合う第１
のラツク部分と前記車幅方向の中央部に形成され
後輪に連結する第２のピニオンと噛合う第２のラ
ツク部分を有する前輪操舵装置のラツク軸と、前
記第１のピニオン及び前記第２のピニオンを回転
可能に支持し前記ラツク軸を軸方向に移動可能に
支持するラツクハウジングと、このラツクハウジ
ングの車幅方向の中央部に前記第２のピニオンと
は異なる位置に支持した補助トルク発生用の電動
機と、この電動機の回転軸の外周面に刻設した螺
旋溝に同様にその内周面に螺旋溝を刻設したナツ
ト部材をボールを介在させて環装して構成され、
前記電動機の回転動力をラツク軸の他方側でラツ
ク軸の軸方向変位に変換して伝達するボールネジ
機構とを備えた構成である。

このような構成によれば、前輪操舵装置のラツ
ク軸の一方側にはステアリングホイールに連結さ
れる第１のピニオンが、またラツク軸の他方側に
はボールネジ機構が配備でき、しかもボールネジ
機構が電動機の回転軸に設けられているので、ボ
ールネジ機構の螺旋溝をラツク軸に形成する必要
がなくなり、ラツク軸の車幅方向の中央部に後輪
操舵用のラツク歯およびこれに噛合する第２ピニ
オンを配備することができ、前後輪操舵装置を装
備した車両にも充分に適用することができる。

（考案の実施例） 以下、添付図面に従つてこの考案の実施例を説
明する。なお、各図において同一の符号は同様の
対象を示すものとする。

第１図はこの実施例に係る電動式パワーステア
リング装置を示し、第２図は車両に装備された前
後輪操舵装置の概略を示す。

第１図において、１，１ａはピニオン軸および
その下端側に形成されたピニオン（第１のピニオ
ン）、２，２ａは車幅方向に沿つて配設されたラ
ツク軸（軸状部材）およびピニオン１ａに噛合す
るよう図中裏面に形成されたラツク歯（第１のラ
ツク部分）である。ピニオン１ａおよびラツク歯
２ａは、運転席が車幅方向における一方側（図中
右側）に片寄つて設けられるので、これに対応し
て、ラツク軸２の一方側に配備されている。

前記ラツク軸２の車幅方向における他方側には
周面に弾性部材３が巻装してあり、ラツク軸２の
略全体はハウジング４に挿通されて軸方向変位可
能に支持されている。また、ハウジング４の上方
には、中央部分から他方側（ピニオン１ａと反対
側）に亘つて、補助トルク発生用の電動機５が電
動機本体から延出した回転軸７が前記他方側に位
置するように、また回転軸７がハウジング４に略
平行となるように配設されている。この電動機５
の後端部はハウジング４の略中央部に上方に向け
突設された取付けアーム６に枢支されている。ま
た、回転軸７の外周面には螺旋溝７ａを刻設して
おり、この回転軸７の外周には内周面に螺旋溝８
ａを刻設した非回動のナツト部材８を環装し、前
記回転軸７とナツト部材８との螺旋溝７ａ，８ａ
間にボール９を介装し、回転軸７とナツト部材８
とボール９とでボールネジ機構１０を構成してい
る。

ナツト部材８には接続アーム１１の一端が枢着
され、この接続アーム１１の他端１１ａをリング
状として、この他端１１ａが、ハウジング４から
露出するラツク軸２の他方側（ピニオン１ａと反
対側）に弾性部材３を介してラツク軸２に対し略
直交するように連結されている。したがつて、電
動機５がラツク軸２の上方に配備され、この電動
機５の回転動力がボールネジ機構１０により、ラ
ツク軸２の他方側でラツク軸２の軸方向変位とし
て変換して伝達される。

ラツク軸２の車幅方向における略中央部の下面
には、所定長のラツク歯（第２のラツク部分）１
３が形成してある。このラツク歯１３には、車幅
方向に略直交する方向に回転軸を有するピニオン
（第２のピニオン）１４が噛合している。このピ
ニオン１４は後述する後輪操舵装置４０へ動力を
伝達する連結部５０の連結シヤフト５３に連結さ
れている。

前記ハウジング４の端部と弾性部材３の端部と
の間、及び、前記電動機５の端部とナツト部材８
の端部との間はそれぞれベロー状のブーツ１５，
１６により覆われており、該ブーツ１６により前
記ナツト部材８は回転軸７の軸方向に変位可能な
如く電動機５に支持されている。一方、前記ナツ
ト部材８の他端には、該ナツト部材８より進出す
る回転軸７先端を覆うカバー１７を取り付けて、
これらの部分への塵埃の侵入を防止している。

尚、上述の構造において、取付アーム６及び接
続アーム１１の枢支部分は実際には殆ど固着に近
い状態であり、前記電動機５及び接続アーム１１
は該取付アーム６及びナツト部材８に対して若干
の回動を許容する状態に連結されている。また、
前記弾性部材３はかなり硬質のものであり、その
可硅性は低く設定されている。さらに、電動式パ
ワーステアリング装置は、第２図に示す如く操舵
情報センサ（操舵トルク、操舵回転数等のセンサ
類）１８、車速センサ１９およびこれらのセンサ
１８，１９の出力信号に基づいて電動機動力を制
御する制御装置２０を備えている。尚、図中２１
はバツテリである。

第２図において、３５は前輪操舵装置、４０は
後輪操舵装置、５０はこれらを連結する連結部で
ある。前輪操舵装置３５は、前記ピニオン軸１に
ジヨイント２３、中間軸２４、ジヨイント２５、
ステアリングシヤフト２６を介してステアリング
ホイール２７が連結され、前記ラツク軸２の各端
部に夫々ボールジヨイント２８、タイロツド２
９、ボールジヨイント３０、ナツクルアーム３１
を介して前輪３２が連結されている。また、後輪
操舵装置４０は、入力軸４１、ギヤ比変換器４
２、ハウジング４３に挿通されたラツク軸を備
え、このラツク軸の両端に夫々ボールジヨイント
４４、タイロツド４５、ボールジヨイント４６、
ナツクルアーム４７を介して後輪４８が連結され
ている。さらに、連結部５０はピニオン（第２ピ
ニオン）１４、このピニオンの回転軸１４ａにユ
ニバーサルジヨイント５２、連結シヤフト５３、
ユニバーサルジヨイント５４からなり、前輪操舵
装置３５のラツク軸２の軸方向変位を後輪操舵装
置４０の入力軸４１に回転変位として伝達する。

このような電動式パワーステアリング装置で
は、ステアリングホイール２７が操舵されると、
ラツク歯２ａおよびピニオン１ａの噛合によりラ
ツク軸２を軸方向に変位する。これとともに各セ
ンサ１８，１９からの検出信号に基づき制御装置
２０により電動機５が駆動制御され補助トルクを
発生する。電動機５の回転は、ボールネジ機構１
０のボール９の転動によりナツト部材８の軸方向
変位に変換され、ナツト部材８の変位が接続アー
ム１１を介してラツク軸２の軸方向変位として伝
達され、操舵力が軽減される。

また、ラツク軸２の変位は、タイロツド２９、
ボールジヨイント３０、及びナツクルアーム３１
を介して前輪３２を所定量操舵される。

このとき同時にラツク軸２の中央に形成したラ
ツク歯１３の変位により、ラツク歯１３と噛合つ
たピニオン１４が回転する。この回転は、ユニバ
ーサルジヨイント５２、連結シヤフト５３、ユニ
バーサルジヨイント５４、入力軸４１を介して、
ギヤ比変換器４２に伝達される。このギヤ比変換
器４２は、後輪４８を操舵するために必要な回転
を後輪操舵装置４０に供給し、タイロツド４５、
ボールジヨイント４６、及びナツクルアーム４７
を介して後輪４８を、前輪３２の操舵に対応して
操舵する。

このように、ステアリングホイールに連結され
る第１ピニオンをラツク軸の車幅方向における一
方側に配備し、電動機をラツク軸の上方に配備
し、電動機の動力をボールネジ機構によりラツク
軸の車幅方向における他方側でラツク軸に伝達す
るようにし、しかもボールネジ機構を電動機の回
転軸に装備したことにより、ラツク軸にボールネ
ジ機構を構成する螺旋溝の形成の必要性を回避す
ることができるので、ラツク歯がラツプすること
なく、ラツク軸の車幅方向の中央部の所定範囲に
亘つて第２のラツク部分（ラツク歯）を設けるこ
とが可能となり、後輪操舵用の第２のピニオンを
ラツク軸の略中央部に配備することができ、また
電動機の後端部をラツク軸の略中央部の上方に位
置させることが可能となり、全体としてコンパク
ト化を図ることができる。

（考案の効果） 以上の説明したように、この考案によれば、ラ
ツク軸の略中央部に後輪伝達用の第２のピニオン
を配備することができるので、従来の前後輪操舵
装置を装備した車両にも容易に適用することがで
きるとともに、電動式パワーステアリング装置自
体のコンパクト化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例に係る電動式パワー
ステアリング装置の縦断面図、第２図はこの考案
の実施例に係る電動式パワーステアリング装置を
前後輪操舵装置を装備した車両に適用した場合の
概略平面図である。 図面において、１ａは第１のピニオン、２はラ
ツク軸、２ａは第１のラツク部分、４はラツクハ
ウジング、５は電動機、１０はボールナツト機
構、１３は第２のラツク部分、１４は第２のピニ
オン、２７はステアリングホイール、３５は前輪
操舵装置、４０は後輪操舵装置である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前輪操舵装置と後輪操舵装置とが機械的に連結
   された前後輪操舵装置を装備した車両の電動式パ
   ワーステアリング装置において、車幅方向におけ
   る一方側に形成されステアリングホイールに連結
   した第１のピニオンと噛合う第１のラツク部分と
   前記車幅方向の中央部に形成され後輪操舵装置に
   連結する第２のピニオンと噛合う第２のラツク部
   分とを有する前輪操舵装置のラツク軸と、前記第
   １のピニオン及び前記第２のピニオンを回転可能
   に支持し前記ラツク軸を軸方向に移動可能に支持
   するラツクハウジングと、このラツクハウジング
   の車幅方向の中央部に前記第２のピニオンとは異
   なる位置に支持された補助トルク発生用の電動機
   と、この電動機の回転軸の端部周面に刻設された
   螺旋溝に同様にその内周面に螺旋溝が刻設された
   ナツト部材をボールを介在させて環装して構成さ
   れ前記電動機の回転動力をラツク軸の車幅方向に
   おける他方側でラツク軸の軸方向変位に変換して
   伝達するボールネジ機構とを備えて成る電動式パ
   ワーステアリング装置。