JPH0446986Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両用シート、特にワンボツクスカー
等の貨客兼用自動車に装着され、折り畳んだとき
に荷物室床面を平坦面とするように設定された車
両用シートに関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、ワンボツクス型式の貨客兼用自動車に
あつては、セカンドシートまたはサードシートの
シートバツク部及びシートクツシヨン部を折り畳
んで床面を後部側から前部側にかけて平坦面を形
成して、荷物室としている。

従来、従来貨客兼用自動車等の後部座席は、第
４図に示すように、シートクツシヨン部１とシー
トバツク部２より成る車両用シート３の前方床面
に凹部４を形成し、シートクツシヨン部１の前方
床側に設けたヒンジ等より成る回動軸部５を支点
としてシートクツシヨン部１を前方へ回動して前
記凹部４内に収納可能とするとともに、前記シー
トクツシヨン部１後端に設けたリクライニングデ
イバイス等の連結手段６を介してシートバツク部
２を前傾させてシートクツシヨン部１側に折り畳
んで前記凹部４に収納可能としている。前記シー
トクツシヨン部１の下面後端には車両用シート３
が車両の振動により取付面７上で上下動するのを
阻止するとともに、前記シート３を凹部４に収納
した際にシートクツシヨン部１の底面１ａを取付
面７と同一レベルの平坦面として維持するストツ
パ８が設けられている。前記ストツパ８は前記取
付面７とフロントシートＦの載置台９とにそれぞ
れ設けられた係止部７ａ，９ａに係止される。前
記シートバツク部２の側部上端には、バンド等よ
り成る固定部材１０が設けられており、この固定
部材１０はシートとして使用する場合には、図示
しない車室側壁に設けたフツクに固定され、凹部
４にシートバツク部２、シートクツシヨン部１を
収納する場合には、シートクツシヨン部１の側部
前方のフツク１ｆに固定されてシートクツシヨン
部１とシートバツク部との折り畳み状態を維持す
るように設定されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記のような従来の車両用シー
トによれば、次のような問題点を有していた。

まず、車両用シートの取付面７にヒンジ等の回
動軸部５や、ストツパ７ａ等が残つてしまい、荷
物室として利用する場合に、床面がゴツゴツして
平坦面を確保できず、荷物の積載方法が制約され
たり、前記突起が荷物を破損したりするという問
題点があつた。

また、シートクツシヨン部１は反転させて凹部
４を塞ぐだけでなく、シートクツシヨン部１の底
面１ａ上には荷物を載置するために、この底面１
ａ内にパネル等の補強部材を埋設して、底面１ａ
を硬質化、平坦化処理する必要性があり、このた
め製造コストが上昇してしまうという問題点もあ
つた。

さらに、シートクツシヨン部１は前方に回動可
能に設けられており、このため車両の走行によつ
て上下の振動を受けると、取付面７より小刻みに
接離してガタガタしたり、急停車等に際して走行
慣性が働いて、前方へ回動したりするので、これ
を防止するためにストツパ８を設けなければなら
ず、この点でも製造コストの上昇と作業性の悪化
を招くという問題点があつた。

本考案は上記の問題点を解決するためになされ
たものであり、車両の床面のシート取付面に回動
軸部や係止部等が突出しないようにするととも
に、シートクツシヨン部底面に補強部材を埋設せ
ずに済むようにして、車両用シートを折り畳んで
荷物室として使用する場合に、荷物を良好に積載
可能とすることを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するための本考案に係る車両用
シートの特徴は、シートクツシヨン部とシートバ
ツク部とから成る車両用シートにおいて、シート
クツシヨン部の前方床面に凹部を設け、かつ前記
シートバツク部の下端側に設けた回動アームの下
端を前記床面の下側に設けた回動機構に軸支し
て、このシートバツク部を上記凹部側に回動可能
とし、前記シートクツシヨン部の後部に、上方向
に向けて突出した回動片の上端を上記回動アーム
の上端側に軸支し、この回動片を介して、シート
クツシヨン部をシートバツク部側に回動可能とす
るとともに、前記回動片の下端をシートクツシヨ
ン部の後部に軸支して、シートクツシヨン部がシ
ートバツク部の座面に沿つてシートバツク部の先
端方向に移動可能とし、シートクツシヨン部をシ
ートバツク部に沿わせて折り畳んだ状態で、前記
シートバツク部をシートクツシヨン部とともに凹
部側に回動して上記凹部に収納可能としたことに
ある。

〔作用〕

上記のように構成したので、シートクツシヨン
部を後方に回動して、このシートクツシヨン部を
シートバツク部に沿わせて折り畳んだ状態とし、
回動機構を操作することでシートバツク部をシー
トクツシヨン部とともに前方へ回動し、凹部へ収
納する。

以上のように作用するので、車両用シートを折
り畳んで荷物室を形成した場合に、荷物載置面に
ヒンジやストツパ等の突出部分がないので、荷物
を破損したり、積載方法が制約されたりすること
がない。また、シートバツク部背面側のバツクガ
ーニツシユ等の形状保持部材を荷物載置面を維持
する補強部材として利用できるので、従来のよう
にシートクツシヨン部の底面に補強部材をわざわ
ざ設ける必要もなく製造コストの低減と作業性の
改善を実現できる。

〔実施例〕

以下、本考案に係る車両用シートの実施例につ
いて、図面を用いて詳細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示す
側面図及び部分斜視図であり、第４図と同一符号
を付したものは同一部材を示している。

各図において、リヤシート１１はシートクツシ
ヨン部１２とシートバツク部１３から成り、この
シートクツシヨン部１２は車両の床面７上に載置
されている。前記シートクツシヨン部１２の下方
の床面７前方には凹部１４が形成されている。

上記シートバツク部１３の下端１３ａには、下
部側が緩やかに前方に傾斜するとともに、上部側
に前方へ突出する突片１５ａを有する回動アーム
１５の上端が軸支され、この回動アーム１５の下
端はリクライニングデイバイスを兼ねた回動機構
１６に軸支されている。この回動機構は車両のス
テツプ１７の側壁１７ａに固定されている。

前記シートクツシヨン部１２の後端部１２ａに
はヒンジ１８が取付けられ、この上方向に向けて
突出する一定長さの回動片としてのヒンジ１８の
先端は前記突片１５ａに回動可能に軸支されてい
る。また、前記シートバツク部１３の背面側には
バツクガーニツシユ等の形状保持部材１３ｂが固
定されている。

上記のような構成において、本実施例の動作に
ついて説明すると、まず、リヤシート１１に乗員
を着座させて使用するには、第１図及び第３図に
示すように、通常のリクライニングシートとして
使用することができる。このとき、フロントシー
トＦの後方の凹部１４にはリヤシート１１の乗員
の脚部が位置することになる。

次に、リヤシート１１を折り畳んで荷台を拡張
して使用する場合には、第１図に示すようにシー
トクツシヨン部１２の後端部１２ａには一定長さ
の回動片より成るヒンジ１８が設けられているの
で、第２図ａに示す如くシートクツシヨン部１２
を、シートバツク部１３の座面に沿つてシートバ
ツク部１３の先端方向に移動させ、シートクツシ
ヨン部１２がシートバツク部１３に沿つて折り畳
んだ状態となるようにシートバツク部１３側に回
動したとき、シートクツシヨン部１２の後端部１
２ａがシートバツク部１３の下端部１３ａより上
側にくるようにシフトすることが可能なので、第
２図ｂに示すようにシートバツク部１３を回動機
構１６により前方へ回動させるだけで、シートバ
ツク部１３は凹部１４の開口側を塞ぐように背当
面をシートクツシヨン部１２の着座面に当接させ
て収納される。これによつてシートバツク部１３
の背部側の形状保持部材１３ｂ荷物載置面として
機能することになる。

〔考案の効果〕

以上、詳細に説明したように本考案によれば、
シートクツシヨン部の前方床面に凹部を設け、か
つシートバツク部の下端側に設けた回動アームの
下端を前記床面の下側に設けた回動機構に軸支し
て、このシートバツク部を上記凹部側に回動可能
とし、前記シートクツシヨン部の後部に、上方向
に向けて突出した回動片の上端を上記回動アーム
の上端側に軸支し、この回動片を介して、シート
クツシヨン部をシートバツク部側に回動可能とす
るとともに、前記回動片の下端をシートクツシヨ
ン部の後部に軸支して、シートクツシヨン部がシ
ートバツク部の座面に沿つてシートバツク部の先
端方向に移動可能とし、シートクツシヨン部をシ
ートバツク部に沿わせて折り畳んだ状態で、前記
シートバツク部をシートクツシヨン部とともに凹
部側に回動して上記凹部に収納可能としたので、
床面に突出部分を残すことなく凹部を床面と同一
平面で塞ぐことができ、良好な荷物載置面を確保
できる。また、バツクガーニツシユ等のシートバ
ツク部背面の形状保持部材を荷物載置面の補強部
材として活用でき、製造コストの低減を図れるば
かりでなく、シートから荷物載置面へと車両用シ
ートを折り畳む動作が素早く行えるという副次的
効果も有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す側面図、第２
図ａ，ｂは同じく車両用シートの折り畳み状態の
側面図、第３図は同じく部分拡大斜視図であり、
第４図は従来の車両用シートの一例を示す側面図
である。なお、図中同一符号は同一部材を示して
いる。 ７……床面、１１……（車両用）リヤシート、
１２……シートクツシヨン部、１３……シートバ
ツク部、１４……凹部、１５……回動アーム、１
５ａ……突片、１６……回動機構、１８……ヒン
ジ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シートクツシヨン部とシートバツク部とからな
   る車両用シートにおいて、 前記シートクツシヨン部の前方床面に凹部を設
   け、かつ前記シートバツク部の下端側に設けた回
   動アームの下端を前記床面の下側に設けた回動機
   構に軸支して、このシートバツク部を上記凹部側
   に回動可能とし、前記シートクツシヨン部の後部
   に、上方向に向けて突出した回動片の上端を上記
   回動アームの上端側に軸支し、この回動片を介し
   て、シートクツシヨン部をシートバツク部側に回
   動可能とするとともに、前記回動片の下端をシー
   トクツシヨン部の後部に軸支して、シートクツシ
   ヨン部がシートバツク部の座面に沿つてシートバ
   ツク部の先端方向に移動可能とし、シートクツシ
   ヨン部をシートバツク部に沿わせて折り畳んだ状
   態で、前記シートバツク部をシートクツシヨン部
   とともに凹部側に回動して上記凹部に収納可能と
   したことを特徴とする車両用シート。