JPH0443206Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は非観血方式血圧測定を行なう場合に用
いられる阻血用の血圧計用の腕帯に関し、特に該
腕帯の巻付機構の改良に関する。

［従来の技術］ 非観血方式血圧測定を行なう場合には、動脈の
血流を阻止するために腕帯なる圧迫帯を用いるの
が通常である。この腕帯を腕に巻き付けるときに
肝要な事は、なるべく一定の緊縛状態が容易に得
られる事、又腕帯を巻き付ける方の腕が使えない
事から片手でも簡単に装着できること等である。
緊縛状態が強すぎた場合、また緩過ぎた場合には
血圧測定に誤差が生じ正確な血圧測定が行えな
い。

一方、従来技術における腕帯として、第２図の
腕帯２０を挙げる。かかる腕帯は第２図に示すよ
うに、その一端に取付けられた環状締付け具２２
に他端２１′を通して、掛着部材２３，２３′で固
定するという操作により、腕帯を装着するもので
ある。

また、特公昭57−58168号公報になる「血圧計
用カフの腕帯」によれば、補助帯により予めルー
プ形状を腕帯に形成しておき、腕を通した後に仮
止めしてから、補助帯を絞つて装着する腕帯が提
案されている。

［考案が解決しようとする課題］ 第２図に示したような従来の腕帯が上記腕帯と
しての要件を備えなければならないかを検討して
みる。

先ず掛着部材２３と２３′とは任意な位置で掛
着できることから、一定の緊縛状態を得る事はコ
ツが必要であり、特に昨今のように家庭用の血圧
計が普及している場合に、経験と知識のない一般
人が所定の緊縛状態を得ることは困難である。
又、第２図の従来例では、装着作業を一人で行う
場合に締付けるときに腕帯全体が回つてしまい、
その位置決めが難しく、片手で装着できるという
ものではない。

本考案は上記従来技術の問題点を解決するため
に提案されたものでその目的は、血圧測定時に重
要である常に一定の緊縛状態を得るために、一
度、掛着位置を決定すれば、常に同じ緊縛状態の
巻付状態が得られ、かつ装着時に血圧検出部が動
くことがない血圧測定用の腕帯を提供することに
ある。

［問題点を解決するための手段］ 上記課題を達成するための本考案の血圧計用の
腕帯は、以下の構成を備える、即ち、帯状に展開
可能な血圧測定用の腕帯であつて、腕帯１の裏面
１４と、腕帯１の端部部位の表面１３上に設けら
れ、裏面１４と表面１３とが掛着位置を任意に変
えて互いに掛着することにより、腕帯の内径を調
整可能にした面接合フアスナーの第１の掛着手段
５，１４と、腕帯１の中途部位に設けられ、腕帯
１を折り曲げ容易に補助するために、腕帯１を腕
から遠ざかる反対側に折曲げ容易に補助する第１
の折曲補助手段１０と、腕帯１を腕側に向かうよ
うに折曲げ容易に補助する第２の折曲補助手段１
１と、第１の折曲手段１０と第２の折曲補助手段
１１の間の第１の腕帯部分が少なくとも折れ曲が
らないように支持する第１の枠体４と、第２の折
曲補助手段１１に端部を固着されるとともに、第
１の折曲補助手段近傍１０を支点にして腕帯１を
腕から遠ざかる反対側に折り曲げたときに、第１
の枠体４を腕帯１の表面１３と腕帯の裏面との間
において挟持した状態で、腕帯１の表面１３，１
３と掛着する面接合フアスナーの第２の掛着手段
７を具備する。

［作用］ 上記構成の本考案によれば、第１の掛着手段は
腕帯裏面と表面とがその掛着位置を任意に変えて
互いに掛着することにより、前記腕帯内径を調整
可能にする。第１の折曲補助手段は腕帯を腕と反
対側に折曲げ容易に補助し、第２の折曲補助手段
は腕帯を腕側に折曲げ容易に補助する。第２の掛
着手段は、前記第１の折曲補助手段近傍で腕帯を
腕と反対側に折曲げたときに、前記第１の枠体を
腕帯の表面と腕帯の裏面との間に挟持した状態
で、前記第１の掛着手段の一方である腕帯の表面
と掛着する。

かくして、第１の折曲補助手段近傍で腕帯を折
曲げて、第２の掛着手段を腕帯表面に掛着してか
ら、腕の太さに合せて所定の緊縛状態が得られる
ように第１の掛着手段を掛着して腕帯を環状にす
れば、その後、第１の掛着手段の掛着を解除しな
い限り、腕帯の使用に際して常に一定の緊縛状態
を得ることができる。

［実施例］ 以下添付図面を参照しつつ本考案に係る実施例
を詳細に説明する。

〈腕帯の構成〉 第１図は本考案に係る一実施例である血圧測定
用腕帯を展開した状態での断面図である。腕帯１
は次のようにして作られる。折曲げ自在な、例え
ば、ループ状に起毛したパイル地の裏面に塩化ビ
ニールのような熱可塑性合成樹脂シートをコーテ
イングしたものを２枚、起毛面が表面になる（前
記合成樹脂シート面が重なる）ように重ね合せ、
その周囲を高周波溶着で接合する。この高周波溶
着に際し、その内部には、膨張することにより動
脈の血流を阻止する加圧用の空気袋２と、腕帯１
の外形形状を保持して、空気袋２の膨張圧力が腕
側に向うようにするための例えばポリプロピレン
等の素材からなる弾性枠体３及び、可撓性枠体４
が内部に入れられる。腕帯の周囲を高周波溶着す
ることにより、腕帯は気密状態の袋にすることが
できるので、前記空気袋２を省略することも可能
である。

尚、第１図においては、起毛されたループ状の
パイル地は明瞭には示していないが、実際は第３
図の下側のように起毛されており、このパイル地
に掛着する掛着部材（本実施例では、５，６，
７）には鉤状の突起が多数植毛されていて、前記
パイル地と掛着するようになつている。このパイ
ル地は腕帯全体（掛着部材部分を除く）に起毛さ
れているので、掛着部材は腕帯の任意の部分で、
即ち、腕の太さに合せて調節して掛着できるよう
になつている。又、弾性枠体３は第１図において
は、平面状に図示されているが、実際は腕を取り
巻くような形状をしている。又、同じく可撓性枠
体４も曲率をもつた形状をしている。８はコロト
ロフ音を検出するためのマイクロフオンを収納す
るマイクロフオンポケツトである。以上が、腕帯
１の初原的な構成である。

前述の本考案の課題を達成するために、実施例
としての腕帯１は、第１図にも示すように更に次
のような加工が施されている。先ず、前述したよ
うに、鉤状の突起が植毛された掛着部材５，６が
図示の位置にて腕帯１に付着されている。これら
の位置は腕帯内径を腕の太さに合せて調整できる
ような位置にあればよい。即ち、掛着部材７は腕
帯表面１３の適当な位置に掛着し、掛着部材５は
腕の太さに見合つて腕帯裏面１４の任意の位置に
掛着する。掛着部材６は腕帯を細い腕に装着した
場合に、腕帯の端部１６側が「ブラブラ」になら
ないように固定するためのものである。

１０，１１は前もつて折り曲げられた折曲部で
あり、その部分で腕帯が容易に折れ曲るようにし
ている。折曲部１０，１１は腕帯１が、その装着
時に容易に折れ曲るようにするためにあるもの
で、その目的に適うのであれば、折曲げ加工の方
法に限定されない。７は、５，６とは異なり、そ
の一端のみが腕帯１に高周波溶着されている掛着
部材である。掛着部材７の他端には掴み部１２が
設けられていて、この掴み部１２を操作者が掴ん
で、腕帯１を腕に装着する。４は後述する理由に
より腕帯を腕に装着容易にせしむる目的で腕帯１
内に挿入された可撓性枠体である。

第４図は上記実施例の腕帯を展開した状態で、
腕帯の表側（外側）からみた平面図である。９は
空気袋２に空気を供給する空気口である。

〈装着手順例〉…第５図ａ，ｂ 第５図ａ〜ｂを用いて、腕帯の装着法について
説明しながら、本考案に係る実施例の概念につい
て説明することとする。尚、本考案に係る腕帯は
色々な腕の太さの人に適合できるように工夫がこ
らされているが、ここ第５図では装着者の腕が太
い場合についての例の説明を行い、腕が細い場合
については後述（第７図）することとする。

第５図ａにおいて、本腕帯１は掛着部材５を腕
帯１の表面に掛着する前に、先ず掴み部１２をも
つて腕帯１を折曲部１０，１１の位置で折曲げ
て、掛着部材７を腕帯１の表面に掛着する。折曲
部１０，１１は第５図ａのように折曲げ易くなつ
ているのは前述した通りである。この掛着部材７
を掛着する操作は、腕帯１を腕に装着する前でも
後でも構わない。

次に、腕帯１を腕に装着しマイクロフオンポケ
ツト８内のマイクロフオンが所定の位置に来るよ
うに位置決めした後に、掛着部材５を所定の緊縛
度を得られるように調整しつつ腕帯１の表面に掛
着する。このときの緊縛強度は血圧測定を開始す
るのに適した緊縛強度にする。こうして、腕帯の
装着が終了する。尚、掛着部材５の掛着位置は自
由に設定できるので、操作者の腕の太さに合せ
て、腕帯径を６〜12cm位までの範囲で自由に調節
することができる。

次に、このようにその腕にあつた装着状態が得
られた後、血圧測定を終了したときは、第５図ｂ
に示したように掛着部材７のみを外して、腕から
腕帯を外す。その後、再び腕帯を腕に装着する場
合、即ち掛着部材７を掛着しようとする場合は、
可撓性枠体４が強制的に折曲げ位置を１０，１１
の位置に固定しているので、掛着部材５を外さな
い限り、掛着部材７を掛着すれば、前回と同じ緊
縛状態が得られる。つまり、同じ操作者が該腕帯
を使用する限りは、一度掛着部材５の掛着位置を
決定すれば、後は掛着部材７の着脱だけで腕帯の
装着ができ、同一の緊縛度が得られることにな
る。この血圧測定時に常に一定の緊縛状態が得ら
れるということは大変重要である。

そして、この掛着部材７の着脱に重要な働きを
するのが前述した可撓性枠体４と折曲部１０，１
１である。折曲部１０，１１が所定の方向に曲げ
られていることは、装着時に掛着部材７を容易に
折曲げられることとなり、この掛着の容易さは腕
帯１を最終的に緊縛するときに、腕帯が動いて動
脈上に折角セツトされたマイクロフオンが移動し
てしまう事を防止する。更に、掛着部材５を掛着
するときに、腕帯の折曲げ位置が１０，１１の位
置で確実に行われることが望ましいから、前記可
撓性枠体４の巾は折曲部１０，１１間の幅である
ことが望ましい。尚、掛着部材７の掛着を容易に
するための掴み部１２は、掛着部材７の裏に補強
布、若しくは掛着部材７の端部を折り返して溶着
すればよい。又、掛着部材７は繰返し着脱される
ので、補強のための腕帯表面とは別個に、ループ
を起毛した他の掛着部材を掛着部材７と掛着する
位置に溶着してもよい。又、折曲部１０，１１は
腕帯を付勢状態にしていればよいから、前述実施
例のように折曲げて付勢状態をつくつても、可撓
性部材を折曲げてつくつたものを腕帯内部に挿入
してもよい。

第６図に、腕帯を巻いた状態での斜視図を示
す。

〈変形例〉…第７図 第５図に示した実施例は、腕の太さが太いため
に、腕帯の端部１６側は「ブラブラ」とならずに
固定されている。第７図は腕の細い装着者の場合
の装着例を、掛着部材６の機能を強調するために
腕帯の全体の長さを長めにした状態で、表わした
ものである。このように腕帯全体が長めで、腕が
細い場合は、端部１６側のかなりの長さの部分は
掛着されないで、「ブラブラ」した状態になる。
そこで、第７図のように、腕帯を折り返して、掛
着部材６を腕帯表面に掛着する。

尚、第１図実施例における掛着部材５，６の長
尺方向の長さが第７図のそれに比べて短いのは、
第１図は実施例の基本的な概念に対応するもので
あるからである。しかし、掛着部材５が短い場合
は、腕の太さが特に細くなくても、第７図で述べ
た不都合が発生する。そこで、このような不都合
を解消するために、１つの方法として第７図の如
く、掛着部材５の長さを十分長くとる。このよう
にすれば、かなりの範囲の自由度で、掛着部材５
は裏面１４と掛着し、前記「ブラブラ」状態は解
消する。第２の手法として、第１図にて部材５は
短いままにして、他の掛着部材を更に腕帯の裏面
１４の適当な位置に設け、この新たな掛着部材を
腕帯が腕を巻いた状態で、腕帯の表面１３側と掛
着するようにするのである。

〈実施例の効果〉 かくして上述の腕帯を用いれば、同一の腕の太
さであれば、一度掛着部材５の掛着位置を決定す
れば、掛着部材７を掛着するのみで常に同じ緊縛
度で腕帯を腕に装着できる。掛着部材７の掛着は
折曲部１０，１１及び枠体４の働きにより、極め
て容易であるので、例え一人で腕帯を腕に固定し
なければならなくても、容易に、しかも確実に固
定できる。今日のように個人用の血圧計が多く普
及している昨今では、本実施例の腕帯は、その操
作容易性、簡便さに鑑みて、効果は大なるもので
ある。又、掛着部材の長さを変えることにより、
又は掛着部材６を設けることにより、色々の腕の
太さの人に本腕帯を適用できる。

尚、上記実施例においては、腕帯径を自由に調
整できるように鉤状の突起とループ上の起毛とに
より掛着を実現しているが、腕帯径を自由に調整
できるのであれば、他に、多くのボタン又はホツ
ク等を設けたものであつてもよい。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によれば、血圧測定
時に重要である常に一定の緊縛状態を得るため
に、一度、掛着位置を決定すれば、常に同じ緊縛
状態の巻付状態が得られ、かつ装着時に血圧検出
部が動くことがない血圧測定用の腕帯を提供する
ことができる。

更に本考案の好適な実施態様によれば、腕帯の
所定位置に折曲げ部分が設けられており、かつそ
の折曲げ部分で確実に腕帯が折れ曲がるように、
前記折曲げ部分の間では腕帯が折れ曲がらないよ
うに、枠体が支持しているので、片手でも確実に
腕帯を装着できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る実施例の腕帯の側面断面
図、第２図は従来の腕帯を説明する図、第３図は
掛着部材の掛着の一態様を説明する図、第４図は
実施例の腕帯の平面図、第５図ａ，ｂは実施例の
腕帯の装着方法の一例の図、第６図は腕帯を環状
に巻いたときの斜視図、第７図は他の実施例にお
ける腕帯の装着図である。 図中、１……腕帯、２……空気袋、３……可撓
性枠体、４……弾性枠体、５，６，７……掛着部
材、８……マイクロフオンポケツト、９……空気
口、１０，１１……折り曲げ部、２０……従来の
腕帯、２１，２１′……腕帯の一部、２２……環
状締付具、２３，２３′……掛着部材である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 帯状に展開可能な血圧測定用の腕帯であつ
   て、 腕帯１の裏面１４と、該腕帯１の端部部位の
   表面１３上に設けられ、前記裏面１４と前記表
   面１３とが掛着位置を任意に変えて互いに掛着
   することにより、前記腕帯の内径を調整可能に
   した面接合フアスナーの第１の掛着手段５，１
   ４と、 前記腕帯１の中途部位に設けられ、前記腕帯
   １を折り曲げ容易に補助するために、前記腕帯
   １を腕から遠ざかる反対側に折曲げ容易に補助
   する第１の折曲補助手段１０と、 前記腕帯１を腕側に向かうように折曲げ容易
   に補助する第２の折曲補助手段１１と、 前記第１の折曲補助手段１０と前記第２の折
   曲補助手段１１の間の第１の腕帯部分が少なく
   とも折れ曲がらないように支持する第１の枠体
   ４と、 前記第２の折曲補助手段１１に端部を固着さ
   れるとともに、前記第１の折曲補助手段近傍１
   ０を支点にして前記腕帯１を腕から遠ざかる反
   対側に折り曲げたときに、前記第１の枠体４を
   前記腕帯１の表面１３と前記腕帯の裏面との間
   において挟持した状態で、前記腕帯１の表面１
   ３、と掛着する面接合フアスナーの第２の掛着
   手段７を具備することを特徴とする血圧測定用
   の腕帯。 (2) 前記第１の枠体４は前記第１の腕帯部分内に
   封入されるとともに、 前記第１の折曲げ補助手段１０に対して前記
   第１の枠体４と反対側の第２の腕帯部分と袋状
   となつていて、 該第２の腕帯部分内に前記腕帯１を腕の形状
   に支持する第２の枠体３が封入されていること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に
   記載の血圧測定用の腕帯。 (3) 前記第１、第２の折曲補助手段１０，１１は
   前記腕帯１を折り曲げて、該折曲げ部分を張合
   せて形成されたことを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項に記載の血圧測定用の腕帯。 (4) 前記第１、第２の折曲補助手段１０，１１
   は、折り曲げ方向に前もつて折曲げられた可撓
   性部材を前記腕帯部分に設けて形成したことを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記
   載の血圧測定用の腕帯。