JPH0437173B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は流体噴射式織機における緯入れ方法詳
しくは、緯糸の飛走速度の制御方法に関するもの
である。

従来技術 一般に、流体噴射式織機においては、スレイ上
に多数並設された緯糸ガイド部材の緯糸案内孔の
列により形成される緯糸案内通路内へ緯糸が射出
緯入れされ、緯糸案内通路内へ緯入れされた緯糸
は同案内通路に沿つて所定間隔をおいて配設され
た補助ノズルによりその飛走を助勢されるように
なつている。この緯糸の飛走状態は織布の品質に
対して大きな影響を与えるのみならず、緯入れ最
中において前記緯糸案内通路内から緯糸が飛び出
すといつた緯入れミスをも誘発する要素である。

そこで、緯糸の飛走を制御するため、この飛走
状態を左右するメインノズルあるいは補助ノズル
における噴射圧及び噴射タイミングを適宜制御す
る必要が生ずる。そのため、従来においては前記
緯糸案内通路の適宜位置に所定間隔をおいて一対
の緯糸検出器を設け、両検出器における緯糸検出
及び機台回転角度に基づいて緯糸先端の飛走速度
を測定し、この測定結果に基づいて前記噴射圧及
び噴射タイミングを制御するという手段が採用さ
れている。通常、前記緯糸検出器は投受光素子か
らなり、両素子は経糸との非接触という制約から
前記緯糸ガイド部材の緯糸案内孔を挾んで同案内
孔周壁に対向配置される。ところが、緯糸案内通
路を飛走する緯糸先端は前記案内孔のほぼ全領域
を通過可能とみなさなければならないため、前記
案内孔のほぼ全領域において緯糸検出可能なよう
に複数の投受光素子を対向配置しなければならな
いが、このような複数の投受光素子の取付構成は
緯糸ガイド部材の形状、大きさ、材質等からの制
約により非常に難しい。

目 的 本発明は前記問題点を考慮しつつなされたもの
であつて、その目的は経糸との接触関係が問題と
なる緯糸案内通路以外において緯糸の飛走速度を
一回の緯入れ中に複数回段階的に容易に測定可能
とし、この測定結果に基づいて緯糸の飛走を制御
し得るという流体噴射式織機における緯入れ方法
を提供することにある。

構 成 前記目的を達成するため本発明では、一回の緯
入れ中に緯糸の貯留量の変化を所定長さ毎に複数
回検出し、この検出結果に基づいて各検出毎の緯
糸の飛走速度を検出し、この検出結果に基づいて
噴射流体の噴射条件を制御し、緯糸の飛走を制御
するという手段を採用したものである。

実施例 以下、本発明を具体化した一実施例を第１〜３
図に基づいて説明すると、緯糸供給部１に巻取ら
れている緯糸Ｙは測長ローラ機構２によつて測長
されながら引き出され、貯留ノズル３によつて噴
出される。この噴出された緯糸Ｙは機台の回転角
度すなわち緯入タイミングに同期して開閉する緯
糸把持用グリツパ４が閉じている間に、一側にス
リツト５ａを有する貯留パイプ５内に所定の長さ
が貯留される。そして定められたタイミングでグ
リツパ４が開放されるとともに、図示しない圧縮
流体供給源に接続されたスレイ６上のメインノズ
ル７が作動され、貯留されている緯糸Ｙは前記ス
リツト５ａから引き出されながら、スレイ６上に
多数並設された緯糸ガイド部材８により形成され
る緯糸案内通路Ｓ内へメインノズル７から射出緯
入れされる。緯糸案内通路Ｓ内へ緯入れされた緯
糸Ｙは多数の緯糸ガイド部材８に沿つて所定間隔
をおいて配設された複数の補助ノズル９からの補
助噴射流体により飛走を助勢される。緯糸ガイド
部材８及び補助ノズル９は所定の本数ずつ複数の
ブロツク（図示の例では６つであり、１０，１
１，１２，１３，１４，１５で示す）に取付けら
れており、各ブロツク１０〜１５の補助ノズル９
はそれらの内部に設けられた流体通路１０ａ，１
１ａ，１２，１３ａ，１４ａ，１５ａを介して前
記図示しない圧縮流体供給源に接続されている。

この実施例ではメインノズル７は電磁バルブ１
６、サブタンク１７及び電磁式圧力制御器１８を
介して前記圧縮流体供給源に接続されている。
又、ブロツク１０〜１３にそれぞれ装着された補
助ノズル９は各ブロツク１０〜１３に対応してそ
れぞれ設けられた電磁バルブ１９，２０，２１，
２２を介してそれぞれサブタンク２３に接続され
ており、さらに電磁式圧力制御器２４を介して前
記圧縮流体供給源に接続されている。又、ブロツ
ク１４及び１５に装着された補助ノズル９は各ブ
ロツク１４，１５に対応して設けられた電磁バル
ブ２５，２６を介してそれぞれサブタンク２７に
接続され、さらに電磁式圧力制御器２８を介して
前記圧縮流体供給源に接続されている。そして、
電磁バルブ１６，１９〜２６及び電磁式圧力制御
器１８，２４，２８は制御装置２９からの指令に
基づいて作動されるようになつており、同制御装
置２９は貯留パイプ５のスリツト５ａに沿つて所
定間隔をおいて複数配設された投受光素子からな
る緯糸検出器３０及び機台回転角度検出装置（例
えば公知のロータリーエンコーダ）３１からの検
出信号に基づいて電磁バルブ１６，１９〜２２，
２５，２６及び圧力制御器１８，２４，２８に作
動指令を送るようになつている。

第４図に示すように、制御装置２９をなすコン
ピユータ３２（中央演算処理部CPU、読出し専
用メモリROM、読出し及び書替え可能なメモリ
RAMから構成されている）には予め設定された
緯糸の飛走速度、メインノズル７及び各補助ノズ
ル９における初期圧力値及び初期噴射タイミング
が図示しないＡ／Ｄ変換器及びインプツト・ポー
ト３３を介して入力され、記憶されている。そし
て、複数の緯糸検出器３０から順次入力される緯
糸検出信号及び機台回転角度検出装置３１からの
検出信号に基づいてコンピユータ３２は緯糸の飛
走速度を算出するとともに、同算出速度と前記設
定された緯糸飛走速度とを比較判断し、アウトプ
ツト・ポート３４及び図示しないＤ／Ａ変換器を
介して電磁式圧力制御器１８，２４，２８及び電
磁バルブ１６，１９〜２２，２５，２６に補正指
令を送るようになつている。

この実施例では前記設定された緯糸飛走速度と
して第４図に〔θ1，θ2〕で示す機台回転角度範囲
内の緯糸飛走距離曲線Ｃに応じた飛走速度、すな
わち曲線Ｃの接線勾配が採用されており、以下、
この設定された飛走速度に応じた緯糸の飛走制御
について述べる。なお、第６図はそのブロツク図
である。

緯糸Ｙが第１図に示すように貯留パイプ５内に
所定長さ貯留されると、グリツパ４が開放される
とともに、制御装置２９からの作動指令に基づい
て電磁バルブ１６が開放され、緯糸がメインノズ
ル７から緯糸案内通路Ｓ内へ射出緯入れされる。
そして、緯糸Ｙの飛走タイミングに同期して制御
装置２９から各電磁バルブ１９〜２２に作動指令
が送られ、緯糸Ｙの飛走が助勢される。この緯糸
の飛走に伴ない、貯留パイプ５のスリツト５ａか
ら引き出されグリツパー４に連なる緯糸Ｙの折曲
り部分（第１図）は、第１図の上側から下側に向
い緯糸検出器３０を順次通過して、緯入れに伴な
う緯糸Ｙの貯留長さの変化が複数の位置で段階的
に検出され、そして各緯糸検出器３０から緯糸検
出信号が制御装置２９に入力される。同装置２９
は順次入力される緯糸検出信号及び機台回転角度
検出信号とに基づいて緯糸の飛走速度を算出する
とともに、同算出速度と前記設定された緯糸飛走
速度とを比較判断する。緯糸Ｙに先端が第１図に
TPで示す位置に到達する時点、すなわち貯留パ
イプ５方向への緯糸Ｙの貯留量がなくなり、緯糸
Ｙが測長ローラ機構２により拘束されつつ飛走を
開始する時点では緯糸検出器３０による緯糸検出
は終了し、前記TP位置以降の緯糸飛走は第４図
に鎖線で示すように定速度状態に移行する。

前記算出飛走速度が設定された緯糸飛走速度よ
りも大きい場合、制御装置２９はこの算出飛走速
度に応じた補正指令を電磁式圧力制御器１８，２
４，２８に送り、各圧力制御器１８，２４，２８
により制御される流体噴射圧が減圧方向へ所定量
補正される。この噴射圧補正に基づいて前記算出
飛走速度が設定された緯糸飛走速度に収束すれば
制御装置２９はこの補正状態を維持する。この圧
力補正に基づいて前記算出飛走速度が設定された
緯糸飛走速度に収束しない場合には、制御装置２
９は前記圧力補正とともに電磁バルブ１６，１９
〜２２，２５，２６に対して閉成時期を遅らせる
補正指令を送り、各ノズル７，９における流体噴
射時間が長くされる。

逆に、緯糸の飛走速度が低下して緯糸の緩みが
発生する場合には、制御装置２９は圧力制御器２
８に対して補正指令を送り、第１図にTPで示す
位置以降における補助ノズル９の噴射圧が高めら
れるようになつている。そして、この噴射圧補正
に基づいて第１図にTPで示す位置以降の飛走緯
糸の張力が高められ、緯糸の緩みが解消される。

このように、緯糸の飛走制御を行なう場合、経
糸との接触関係が問題となる緯糸案内通路にて行
なわれる緯糸検出の検出結果に基づいて緯糸の飛
走速度を測定するという前記従来方法とは異な
り、本発明で緯糸の検出は機構的に問題が生じな
い緯糸貯留部において、緯糸の貯留長さの変化を
所定の長さ毎に段階的に検出し、この検出指令に
より緯糸の飛走速度の測定が容易に行なわれる。
そしてこの多段階の測定結果に基づいて、メイン
ノズル７および補助ノズル９の噴射圧及び噴射タ
イミングの補正を細かく行ない、緯糸Ｙの飛走速
度を制御するようにしたので織布の品質向上ある
いは緯入れミスを防止する上で大きな寄与をなす
ものである。

又、第５図に示す巻付測長方式の緯糸測長装置
３５に本発明を具体化してもよい。同測長装置３
５は、機台の回転駆動源に作動連結された回転支
持軸３６と、同支持軸３６の軸心に沿つて設けら
れた導糸孔３６ａに連通するように支持軸３６に
装着された糸巻付管３７と、回転支持軸３６の先
端部に相対回転可能かつ磁石３８，３９の吸引力
に基づいて静止状態に保持されるドラム４０と、
機台１回転につきドラム４０から交互に１回出没
され、緯糸の測長及び緯入れ方向への引出しを制
御する一対の緯糸係止体４１，４２とから構成さ
れている。そして、ドラム４０の先端部周面には
複数（この実施例では４つ）の投光素子４３Ａが
設けられているとともに、ドラム４０の周囲に配
設されたバルーン制御体４４には受光素子４３Ｂ
が前記各投光素子４３Ａと対向して設けられてい
る。従つて、緯糸Ｙの引出しに伴なつて受光素子
４３Ｂから緯糸検出信号が発せられる。緯入れ１
回当りの貯留緯糸の巻付回数が３巻とすれば、緯
入れ１回当りの緯糸検出信号の発信回数は４×３
となり、前記実施例と同様の緯糸飛走度測定が可
能となる。

もちろん、前記投受光素子４３Ａ，４３Ｂの対
は多数個が望ましく、両素子４３Ａ，４３Ｂを互
いに入換え配置してもよい。

効 果 緯入れに伴なう緯糸の貯留長さの変化を段階的
に検出して緯糸の飛走速度を測定し、この測定結
果に基づいてきめの細かな制御を行なうようにし
たのので、織布の品質向上を図るとともに緯入れ
ミスを防止するという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は本発明を具体化した一実施例を示
し、第１図は緯入れ装置全体を示す略体正面図、
第２図は第１図のＡ−Ａ線拡大断面図、第３図は
制御装置を示すブロツク図、第４図は緯糸の飛走
状態を示すグラフ、第５図は本発明の別例を示す
一部破断側面図、第６図は緯糸飛走制御を示すブ
ロツク図である。 メインノズル７、補助ノズル９、電磁バルブ
１，６，１９，２０，２１，２２，２５，２６、
電磁式圧力制御器１８，２４，２８、制御装置２
９、緯糸検出器３０、緯糸検出器としての投光素
子４３Ａ及び受光素子４３Ｂ、緯糸Ｙ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 所定量の緯糸を緯糸測長装置に貯留し、この
   緯糸を噴射流体により噴射して緯入れを行なう流
   体噴射式織機において、一回の緯入れ中に緯糸の
   貯留量の変化を所定長さ毎に複数回検出し、この
   検出結果に基づいて各検出位置毎の緯糸の飛走速
   度を検出し、この検出結果に基づいて噴射流体の
   噴射条件を制御し、緯糸の飛走を制御することを
   特徴とする流体噴射式織機における緯入れ方法。