JPH0435742Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案はカークーラー用凝縮器等に用いられ
る熱交換器、特にいわゆるヘツダータイプの熱交
換器に関する。

従来の技術及びその問題点 従来より、熱交換器の１つとして、複数のチユ
ーブとコルゲートフインとが積層されるととも
に、各チユーブの両端が中空状ヘツダーに連通接
続されたいわゆるヘツダータイプの熱交換器が知
られている。

このような熱交換器において、ヘツダーとチユ
ーブとの接続は、一般的に、チユーブの両端を各
ヘツダーの周壁に穿設した挿入孔からヘツダー内
部へと挿入して仮組みし、ろう付等を施すことに
より行われる。

ところが従来の上記のような熱交換器では、チ
ユーブのヘツダーへの挿入位置決め手段が設けら
れていなかつたため、組立段階におけるチユーブ
のヘツダーへの挿入量の設定がやつかいで、挿入
量が少なすぎるとヘツダーとチユーブとの接合強
度が不十分となつて、チユーブがヘツダーから抜
け落ちる虞れがある一方、逆にヘツダーの奥まで
過度に挿入すると、チユーブ端面とヘツダー内周
面とが接触ないしは近接してろう付の際にろう材
がつまつてチユーブの開口部が閉塞される虞れが
あるというような問題があつた。このためチユー
ブのヘツダーへの挿入作業に時間がかかり、熱交
換器の組立て作業性ひいては生産性の向上を妨げ
る一原因となつていた。しかもチユーブをヘツダ
ーに適性長さ挿入して仮組みしても、仮組み後接
合するまでの間にチユーブがヘツダーからの抜落
方向あるいは入り込み方向へずれる虞れもあり、
結果として前述のようなチユーブの抜落やろう材
によるつまり等の発生の危険性を否み得ないもの
であつた。

この考案はこのような問題に鑑みてなされたも
のであつて、仮組みに際してチユーブのヘツダー
への挿入量を一義的かつ適性量に自動的に規制し
うるものとするとともに、挿入不足や挿入過多に
基くヘツダーからのチユーブの抜落や、ろう材に
よるチユーブのつまり等の危険性を回避しうる熱
交換器の提供を目的とするものである。

問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために、この考案は、ヘツ
ダー内部にチユーブの挿入位置決め用の衝き当て
板を突出形成し、チユーブをこの衝き当て板に衝
き当て状態となるまで挿入して接合するようにし
たことを特徴とするものである。

即ちこの考案は、複数のチユーブとコルゲート
フインとが交互配置に積層されるとともに、各チ
ユーブの両端が中空ヘツダーに挿入状態で連通接
続された熱交換器において、前記ヘツダーにその
内部中空部の断面の途中の位置までチユーブ方向
に突出した衝き当て板が設けられる一方、前記チ
ユーブはその端面の一部を前記衝き当て板に衝き
当てられることにより、ヘツダー内への挿入位置
が規制された状態でヘツダーに接合固定されてな
ることを特徴とする熱交換器を要旨とするもので
ある。

実施例 次にこの考案の構成を、凝縮器用アルミニウム
製熱交換器に適用した実施例に基いて説明する。

第１図〜第５図において、１は水平状態で上下
方向に配置された複数のチユーブ、２はその隣接
するチユーブ１，１間に介在されたコルゲートフ
インである。チユーブ１はアルミニウム材による
偏平状の押出型材をもつて構成されたものであ
る。このチユーブ１の内部冷媒通路３は、幅方向
中央部に設けられた隔壁１ａによつて、前後２つ
の独立した通路部分をもつて形成されている。な
お、チユーブ１はいわゆるハモニカチユーブと称
されるような多孔型のものを用いても良い。また
押出型材によらず電縫管を用いても良い。コルゲ
ートフイン２はチユーブ１とほぼ同じ幅を有し、
ろう付によりチユーブに接合されている。コルゲ
ートフイン２もアルミニウム製であり、望ましく
はルーバーを切り起したものを用いるのが良い。

４，５は左右に配置された一対のヘツダーであ
る。これらのヘツダーは断面円形パイプ状のアル
ミニウム製中空押出型材をもつて形成されたもの
である。かつ各ヘツダー４，５には長さ方向に沿
つて間隔的にチユーブ挿入孔６が穿設されるとと
もに、ヘツダー内面の前記挿入口６と反対側の位
置には、先端が中空部４ａ，５ａ断面のほぼ中心
点近くにまで突出したチユーブの挿入位置決め用
の衝き当て板７，８が，ヘツダー４，５の長さ方
向に沿つて一体成形されている。そして、各チユ
ーブ１はその両端を挿入孔６からヘツダー４，５
内部へ挿入されるとともに、冷媒通路の中央隔壁
１ａを前記衝き当て板７，８の先端に当接状態に
衝き当てられることにより、その挿入位置が規制
された状態のもとで、ろう付によりヘツダー４，
５に強固に接合連結されている。

さらに、左ヘツダー４の上端には冷媒入口管９
が連結される一方、右ヘツダー５の下端には同出
口管１０が連結されている。また左ヘツダー４の
下端及び右ヘツダー５の上端は蓋片１１，１２に
よりそれぞれ閉塞されている。さらにはまた、左
ヘツダー４のほぼ中央部にはヘツダーを上下２室
に分割する仕切板１３が設けられる一方、右ヘツ
ダー５の中央部より下側の位置にも仕切板１４が
設けられ、もつて冷媒入口管９から左ヘツダー４
に流入した冷媒は、チユーブ群によつて構成され
る全冷媒通路をめぐつて蛇行状に流通して冷媒出
口管１０から流出し、この間に、チユーブ１，１
間に形成されたコルゲートフイン２を含む空気流
通間隙を矢印Ｗで示す方向に流通する空気と熱交
換を行い、凝縮するものとなされている。なお、
第２図に示す１５，１６は最外側のコルゲートフ
インの外側に配置された上下のサイドプレートで
ある。

次にこの考案の他の実施例を説明する。なお以
下に示す実施例において、前述の第１実施例と同
一構成部分については同一の符号を付し、その説
明は省略する。第６図ないし第７図はこの考案の
第２実施例を示すものであり、この実施例では、
チユーブ１の中央隔壁１ａに、ヘツダー４，５の
衝き当て板７，８に適合しうる切欠き状凹部２０
が形成され、チユーブ１は該凹部２０が形成さ
れ、チユーブ１は該凹部２０が衝き当て板７，８
の先端に嵌合状態となるように衝き当てられ、も
つてその挿入位置が規制されたものとなされてい
る。このように、凹部２０と衝き当て板７，８と
の嵌合衝き当て構造とすることによつて、ヘツダ
ーとチユーブとが仮止めされ、チユーブ１の長さ
方向の位置ずれのみならずヘツダー４，５の回転
方向の位置ずれをも防止でき、より組立て精度の
高い高品質の熱交換器となしうる。

以上説明した２つの実施例においては、いずれ
も、チユーブ１のヘツダー内への挿入位置決め
を、チユーブの中央隔壁１ａと１枚の衝き当て板
との衝き当てにより行つた場合を示したが、第８
図や第９図に示すように、衝き当て板７，８を平
行状に２枚設けて、チユーブの幅方向両端部を該
衝き当て板に衝き当てる構成としても良い。ある
いは図示は省略したが、衝き当て板を３枚以上設
けるものとしても良い。

考案の効果 この考案は上述の次第で、ヘツダー内に所定配
置状態に衝き当て板を設けるとともに、チユーブ
はその端面の一部を該衝き当て板に衝き当て状態
とすることによつて、ヘツダー内への挿入位置を
規制するものとなされているから、次のような効
果を奏する。即ち、熱交換器の組立時におけるチ
ユーブのヘツダー内への挿入に際しては、チユー
ブの端面が衝き当て板に衝き当たるまで挿入すれ
ば良いから、各チユーブの挿入位置が一義的かつ
適性な配置状態に自動的に行われることになる。
その結果、挿入作業が簡素化されるとともに作業
時間も短縮され、ひいては熱交換器の生産性を向
上しうる。しかも、各チユーブをヘツダーに挿入
した後の仮組み状態においては、チユーブのヘツ
ダーへの押し込み方向のずれは勿論のこと、例え
ば両ヘツダー間にチユーブ圧縮方向の圧力を付与
しておく等の方法により、ヘツダーからの抜落方
向のずれに対してもこれを確実に防止しえて、チ
ユーブの適性な挿入状態を確保しつつチユーブと
ヘツダーとを接合することができる。従つて、ヘ
ツダーへの挿入不足に起因するチユーブの抜落や
挿入過多に起因するろう材によるチユーブのつま
り等の接合不良の発生を防止しえて、品質の良い
安定した性能の熱交換器となしうる。

さらに、チユーブは衝き当て板に衝き当てられ
た状態でヘツダーに接合固定されているから、ヘ
ツダーにチユーブ方向への圧縮外力が加わつた場
合に、衝き当て板が補強材として機能する結果ヘ
ツダーのへこみや破損を防止できる。従つて、ヘ
ツダーの強度ひいては熱交換器全体の強度を向上
することができ耐久性に優れた熱交換器となしう
る。

さらには衝き当て板はヘツダー内部に設けられ
ているから、ヘツダーやチユーブの外周形状は何
ら制限を受けることがなく、ヘツダーやチユーブ
の設計時の形状選択の自由性を十分に確保するこ
とができ、要求に応じた最適形状の熱交換器を製
作することができる。

さらにはまた、熱交換器を特に凝縮器として用
いた場合には、液化した冷媒を衝き当て板に付着
流下させることができ、液状冷媒のチユーブへの
流入を抑制しえて液詰まりによる熱交換性能の低
下を防止できるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図はこの考案の第１実施例を示す
もので、第１図はヘツダーとチユーブとの接合状
態を示す要部の断面図、第２図は熱交換器の全体
正面図、第３図は同じく平面図、第４図はヘツダ
ー、チユーブ、コルゲートフインを分離状態にし
て示した斜視図、第５図は第２図における−
線断面図、第６図及び第７図はこの考案の第２実
施例を示すもので、ヘツダーとチユーブとの接合
状態を示す第１図相当の断面図、第７図はヘツダ
ー、チユーブ、コルゲートフインを分離状態にし
て示した第４図相当の斜視図、第８図はこの考案
の第３実施例を示すもので、ヘツダーとチユーブ
との接合状態を示す第１図相当の断面図、第９図
はこの考案の第４実施例を示すもので、同じくヘ
ツダーとチユーブとの接合状態を示す第１図相当
の断面図である。 １……チユーブ、２……コルゲートフイン、
４，５……ヘツダー、７，８……衝き当て板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 複数のチユーブとコルゲートフインとが交互
   配置に積層されるとともに、各チユーブの両端
   が中空ヘツダーに挿入状態で連通接続された熱
   交換器において、前記ヘツダーにその内部中空
   部の断面の途中の位置までチユーブ方向に突出
   した衝き当て板が設けられる一方、前記チユー
   ブはその端面の一部を前記衝き当て板に衝き当
   てられることにより、ヘツダー内への挿入位置
   が規制された状態でヘツダーに接合固定されて
   なることを特徴とする熱交換器。 (2) チユーブ端面における衝き当て板への衝き当
   て部位に、該衝き当て板に嵌合する凹部が形成
   されてなる実用新案登録請求の範囲第(1)項記載
   の熱交換器。