JPH04337050A - 磁気特性の優れた高抗張力磁性材料およびその製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた高抗張力磁性材料およびその製造方法

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JPH04337050A
JPH04337050A JP3133323A JP13332391A JPH04337050A JP H04337050 A JPH04337050 A JP H04337050A JP 3133323 A JP3133323 A JP 3133323A JP 13332391 A JP13332391 A JP 13332391A JP H04337050 A JPH04337050 A JP H04337050A
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rolling
magnetic material
high tensile
less
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JP3133323A
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Inventor
Hironori Ninomiya
弘憲 二宮
Yasushi Tanaka
靖 田中
Akira Hiura
日裏 昭
Hideo Kobayashi
英男 小林
Yoshiichi Takada
高田 芳一
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として回転機の鉄心
として用いられる珪素鋼板であって、特に、回転時の応
力や加減速の際の繰り返し応力に耐え得る優れた機械特
性と低鉄損、高磁束密度等の優れた磁気特性とを兼ね備
えた高抗張力磁性材料およびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、回転機の鉄心材料としては電磁
鋼板を積層したものが用いられている。従来の回転機の
ほとんどは回転数が数万rpm以下程度であり、鉄心材
料としては主に磁気特性の優れた高級無方向性珪素鋼板
が用いられている。しかしながら、最近、工作機械用等
の用途において数万〜数十万rpmの回転数をもつ回転
機の要求が高まってきており、回転子の材料としてもこ
のような高速回転に耐えられることが必要となってきて
いる。
【0003】高速回転の場合、回転子には通常の回転と
比較してはるかに大きな遠心力が加わる。すなわち、遠
心力は回転子半径に比例し、回転数の二乗に比例して大
きくなることから、場合によっては遠心力が50kg/
mm2を超えることも考えられ、機械的な特性から見る
と回転子の素材は高抗張力、高強度であることが必要不
可欠の条件となる。またこれに加えて、回転時には局部
的に非常に大きな応力が加わるため、切り欠き感受性が
鈍いことも重要な要件となる。すなわち、切り欠き感受
性が高いと僅かな割れや欠損により高速回転時に回転機
が破損することになりかねない。このため、回転子の素
材は前記の高抗張力、高強度に加えて、ある程度の伸び
をもつことが必要条件となる。また、磁気的な特性から
見ると回転機の回転数が数万〜数十万rpmである場合
、使用周波数は1〜数10kHzの範囲になることから
、素材としてはこの周波数帯で鉄損の低いことが必要で
ある。しかしながら、従来の技術では、このような機械
特性と磁気特性の双方を同時に満足させる鋼板を得るこ
とは困難であった。
【0004】従来、高速回転機の回転子の素材として、
高抗張力珪素鋼板に関するいくつかの提案がなされてい
るが、以下に述べるように、これら提案のほとんどは高
抗張力を得るため固溶体強化の目的で合金元素を添加し
たものである。例えば、特開昭60−238421号公
報では、Siを3.5〜7.0wt%とし、固溶体強化
成分としてMn,Ni,Co,Ti,W,Mo,Alの
うちの1種または2種以上を1〜20.0wt%含有さ
せたスラブを熱延した後、100〜600℃での温間圧
延を繰り返して最終板厚まで圧延し、その後850〜1
250℃の焼鈍を施して抗張力が50kg/mm2以上
の高抗張力無方向性電磁鋼板を製造する方法が提案され
ている。また、特開昭61−84360号公報では、N
i,Mo,Al,Ti,Crを含有する高速回転電動機
用の高抗張力軟磁性材料が提案されている。
【0005】また、特開昭61−9520号公報では、
Siを2.5〜7.0wt%含有し、Ti,W,Mo,
Ni,Alのうちの1種または2種以上を1.0〜20
.0wt%含有する溶鋼から、急冷凝固法により高抗張
力無方向性電磁鋼板を製造する方法が提案されている。 さらに、特開昭62−256917号公報では、Siを
2〜3.5wt%含有しMn,Niのうちの1種または
2種を0.3wt%以上、10wt%未満添加した低C
鋼を、熱延、酸洗、冷延した後、650℃以上、850
℃未満で低温再結晶させることにより、高抗張力、低鉄
損、高磁束密度の無方向性電磁鋼板を製造する方法が提
案されている。
【0006】特開昭62−196354号公報および特
開昭62−196358号公報では、Siを2.5〜7
.0wt%含有し、固溶体強化成分の1種または2種以
上を20wt%を超えない範囲で含有した鋼板であって
、前者は表面粗さを小さくし、また後者は板厚:1〜3
00μm、平均粒径:10〜2000μmとした低鉄損
、高抗張力の電磁鋼板が提案されている。また、特開昭
62−112723号公報では、同様にSiを3.5〜
7.0wt%含有し、固溶体強化成分を1種または2種
以上含んたスラブを熱間圧延、冷間圧延して最終板厚0
.01〜0.35mmとした後、800〜1250℃で
焼鈍を行ない平均結晶粒径を0.01〜5.0mmとす
ることを内容とする低鉄損、高抗張力電磁鋼板の製造方
法が提案されている。
【0007】さらに、特開平2−8346号公報および
特開平2−22442号公報では、Si:2.0〜4.
0wt%未満、Al:2.0wt%以下、P:0.2w
t%以下を含有し、これに固溶体強化成分としてMn,
Niを添加するとともに、粒界強化のため適量のBを添
加し、さらに前者にあっては析出強化を狙いとしてNb
,Zr,Ti,Vを添加した鋼板を、再結晶温度以上で
焼鈍することにより磁気特性に優れた高抗張力鋼板を製
造する方法が提案されている。
【0008】以上のように、従来の提案は鋼板を最終焼
鈍により完全再結晶させることを前提とし、珪素−鉄合
金に固溶体強化合金元素を添加することによって抗張力
を上げ、さらに板厚や結晶粒径等の制御により鉄損を下
げるというものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来の鋼板は加工性を阻害する合金元素を多量に添加す
るため加工性に難があり、通常の電磁鋼板製造設備を用
いて工業的に安定して製造することは困難である。また
、合金元素を大量に添加すると磁気特性を劣化させ、鉄
心材料として必要とされる低鉄損、高磁束密度が得られ
ないという問題がある。さらに、大量の合金元素の添加
は製造コストの上昇を招くという問題もある。このよう
に従来法には種々の問題点があった。
【0010】本発明はこのような従来の問題に鑑み、従
来のように大量の固溶体強化合金元素を添加することな
く、高速回転機や高速発電機等の鉄心材料として好適な
、80kgf/mm2以上の高抗張力とある程度の伸び
を有し、且つ優れた磁気特性を兼ね備えた実用的な軟磁
性材料およびその製造方法を提案しようとするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の問題
点を解決すべく、従来のように固溶体強化元素を添加す
ることなく、上述した機械特性および磁気特性がともに
優れた高珪素磁性薄板材料を得るべく種々の実験を行い
、その結果、Siを4.0〜7.0wt%含有した鋼板
組織の再結晶率を所定の割合以下に規制し、圧延組織を
残存させた材料が、高抗張力および適度な延性と優れた
磁気特性を兼ね備え、高速回転機等の鉄心用の磁性材料
として極めて好適なものであることを見出した。従来、
この種の高珪素薄板は焼鈍処理により完全再結晶させた
上で磁性材料として使用されており、このような従来の
材料に対し、本発明は上記のような全く新たな知見に基
づきなされたものである。
【0012】すなわち本発明は、Siを4.0〜7.0
wt%含有し、残部鉄及び不可避不純物元素からなり、
結晶組織の再結晶率が95%以下、残部が実質的に圧延
組織であることを特徴とする磁気特性の優れた高抗張力
磁性材料である。
【0013】また、このような材料を製造するための本
発明法の特徴とするところは、Siを4.0〜7.0w
t%含有し、残部鉄及び不可避不純物元素からなる鋼を
溶製後、連続鋳造または造塊により鋳造し、分塊圧延若
しくは粗圧延後仕上熱延し、さらに温間または冷間圧延
を行なって薄板とし、該薄板を下記(1)式を満足する
条件で熱処理することにより、結晶組織の再結晶率が9
5%以下、残部が実質的に圧延組織である磁性材料を得
ることにある。             −0.0029T2+3.0
3T−570−24.27×(8−x)≧80  ……
(1)但し  T:熱処理温度(℃) x:Si含有量(wt%)
【作用】
【0014】以下、本発明の詳細と限定理由について説
明する。Siは鋼板の軟磁気特性を向上させる重要な成
分である。また、Siは電気抵抗を高めて渦電流損を減
らし鉄損を下げるとともに、抗張力を高める作用がある
。Siが4.0wt%未満では十分に高い抗張力が得ら
れず、また、高い電気抵抗も得られない。一方、7.0
wt%を超えると鋼板が著しく脆化し、且つ飽和磁束密
度も低下する。以上の点から、鋼板のSi量は4.0〜
7.0wt%と規定する。
【0015】本発明の磁性材料は、その結晶組織の再結
晶率が95%以下、残部が実質的に圧延組織からなる。 ここで、再結晶率とは、鋼板の圧延方向断面の組織にお
ける再結晶組織と圧延による展伸組織の面積比で表され
るものとする。
【0016】一般に鉄−珪素合金は、Si含有量が増加
すると硬度と抗張力は高くなるが、脆くなるという性質
がある(Bozorth: Ferromagneti
sm P.77)。Si含有量が4%未満の比較的Si
量の低い鋼板では、再結晶組織を形成させることによっ
て延性を高め、脆性を緩和させることができる。しかし
ながら、このような鋼板では抗張力が低く、上述したよ
うに高速回転機用の鉄心材料としては実用に供し得ない
【0017】これに対し本発明者等は、Siが比較的高
い4wt%以上の領域では、Si:4wt%未満の領域
とは違って再結晶組織が脆性を増大させ、さらに抗張力
を劣化させること、そして、未再結晶組織あるいは再結
晶率が95%以下の組織を有する鋼板に限り高い抗張力
と適度な延性を有することを見出し、このような組織構
造の鋼板が高速回転機用の鉄心材料として十分に実用に
耐え得るものであることを確かめた。
【0018】図1は、Si量が6.5wt%近傍の鋼板
の再結晶率と抗張力(再結晶率0%を1とした時の抗張
力)との関係を示している。同図によれば、再結晶率が
90%を超えた付近から抗張力は低下し始めることが判
る。図2は同鋼板の再結晶率と伸び(再結晶率が0%で
且つ十分に回復焼鈍した場合の伸びを1とした時の伸び
)との関係を示している。伸びは再結晶率が数%の付近
でピ−クに達し、再結晶率の増加とともに低下する。 ここで、再結晶率が0%すなわち圧延組織の状態では伸
びに幅があるが、これは回復焼鈍を行なった状態と圧延
ままの状態で延性が異なることを示している。この回復
焼鈍の効果を定性的に示したものが図3である。ここで
は焼鈍温度と硬度との関係を示しているが、同図によれ
ば焼鈍温度の上昇とともに硬度が減少し、歪みが開放さ
れていく様子が判る。
【0019】Si含有量によって抗張力と伸びの大きさ
は異なる。Si量が4wt%に近い側では抗張力が低い
代りに伸びは大きい。これに対し、Si量が7wt%に
近い側では抗張力は高く伸びは小さい。しかしながら、
図1および図2の傾向はSi:4.0wt%以上の領域
、特に6.0〜7.0wt%の領域ではSi量にかかわ
らず同様に認められた。すなわち、いずれもある程度の
伸びを持ち、且つ高抗張力が達成されている。また、磁
気特性からみると、Si量が高く且つ合金元素を含まな
いため、渦電流損が抑えられ鉄損はきわめて小さい。
【0020】また、加工性の面からみると、Si量が高
いことによる打ち抜き、曲げ加工等の難加工性が、図1
に示されるように未再結晶あるいは部分再結晶状態では
伸びが出るために完全再結晶状態と較べて著しく改善さ
れる。なお、圧延組織を残したまま加工を行う技術とし
て特開昭62−270723号があるが、この技術は最
終的に鋼板を完全再結晶させて使用するのものであり、
部分再結晶または圧延組織状態で鉄心材料等に使用する
ことを基本とする本発明とは、その技術思想が根本的に
異なる。
【0021】本発明において、鋼板中のSi以外の不純
物成分は特に限定されるものではないが、優れた磁気特
性を得るために以下のように規定することが好ましい。 まず、非金属元素について説明すると、C:Cは初透磁
率、最大透磁率を低下させ、Hcを増し、鉄損を増大さ
せる。この影響は、0.01wt%を超えると顕著にな
ることが知られており、したがって、Cは0.01wt
%以下とすることが好ましい。C濃度の調整は溶製段階
で行ってもよく、また、脱炭焼鈍を実施することにより
行なってもよい。
【0022】O:Oは透磁率を低下させ、鋼中にSiO
2粒子として存在する場合には、磁気特性を著しく劣化
させる元素として知られており、このためO含有量も0
.01wt%以下とすることが好ましい。N、S:共に
時効の原因となるため極力少なくすることが好ましく、
これらの成分もそれぞれ0.01wt%以下とすること
が好ましい。
【0023】P:Pは酸素による磁性劣化を軽減し、鉄
損を減少させる作用があるが、多量に添加すると、熱間
での加工性を劣化させるという問題があり、その上限を
0.02wt%とすることが好ましい。H:Hは鋼板を
著しく脆くさせるため、高圧下でHを含有させる等、積
極的な含有は避けるべきである(通常ppmレベル以下
)。以上のように非金属元素については、C、O、N、
S等を極力低く抑えることが好ましい。
【0024】次に金属元素について説明すると、Mn:
熱間圧延時の展延性の改善と、脱硫作用および規則−不
規則変態における磁性改善効果や固溶体強化作用を考慮
し、且つ過多の添加が磁気特性の劣化を招くことを考慮
すると、Mnは1.0wt%、好ましくは0.5wt%
を上限として添加することが好ましい。Ca:Caは多
量に含有すると透磁率を低下させるため、0.3wt%
以下とすることが好ましい。
【0025】Cu:0.7wt%程度までは、磁性を大
きく劣化させることはないが、0.7wt%を超えて含
有すると鉄損が増大する。このため、Cuは0.7wt
%以下、好ましくは0.1wt%以下とすることが望ま
しい。Cr:鉄損を増大させる傾向があり、0.03w
t%以下とすることが好ましい。Ni:1.0wt%を
超えると磁気特性を著しく悪化させるため、1.0wt
%以下、望しくは0.5wt%以下とすることが好まし
い。
【0026】Al:従来の珪素鋼板では、Alの電気抵
抗を高める効果と展延性の改善効果とを利用して、Si
の一部をAlで置き換える方法を採っている。例えば、
Si:4wt%とする代りにSiを3wt%、Alを1
wt%とし、加工性を維持させる配慮がなされている。 本発明では磁性改善のためにAlを添加する必要はなく
、溶製段階における脱酸促進および展延性の改善のため
と、固溶体強化効果を考慮して2.0wt%、好ましく
は0.5wt%を上限として添加することが好ましい。
【0027】次に、本発明の磁性材料の製造方法につい
て述べる。本発明法では上記組成の鋼を溶製後、連続鋳
造あるいは造塊により鋳造し、分塊圧延もしくは粗圧延
した後、仕上げ熱延を行ない所定の板厚にし、さらに温
間あるいは冷間で圧延を行なう。最終板厚は0.05〜
1.0mm程度とすることが望ましい。最終板厚が0.
05mm未満では製造上圧延負担が大きいために実用的
ではなく、一方、1.0mmを超えると渦電流損が増加
し、高周波鉄損の劣化を招く。
【0028】本発明の磁性材料は、熱処理を施さず圧延
ままで実用に供することもできるが、後述するように、
より優れた特性を得るためには再結晶率が95%以下と
なるような焼鈍処理を施すことが好ましい。この焼鈍は
部分再結晶焼鈍、再結晶を伴わない回復焼鈍のいずれで
もよく、また、その実施時期は加工(打ち抜き加工等)
の前後を問わない。図4は焼鈍処理後の鋼板の抗張力を
焼鈍温度と鋼中Si量との関係で示している。これによ
れば、再結晶率を95%以下とし、80kgf/mm2
以上の抗張力を得るためには、焼鈍温度とSi量とに応
じ、下記(1)式を満足する条件で熱処理を行う必要が
ある。             −0.0029T2+3.0
3T−570−24.27×(8−x)≧80  ……
(1)但し  T:熱処理温度(℃) x:Si含有量(wt%)
【0029】この焼鈍処理は、実質的に真空あるいは窒
素、水素、アルゴン等の非酸化性雰囲気中において行わ
れる。この焼鈍における熱サイクル、焼鈍時間は目的と
する再結晶率に応じて決められる。一般的に使用する鋼
板の場合には、一旦加工(加工性を向上させるために加
工前に上記(1)式を満足させる焼鈍温度で焼鈍を行な
ってもよい)を行なった後、上記条件を満足させる焼鈍
温度T(℃)で焼鈍を行うことにより高抗張力が達成で
きる。
【0030】特に、後述する実施例にも示されるように
、500〜650℃で回復焼鈍することにより、圧延ま
まに比べ磁束密度B50が上昇し、1.6Tを超える値
が得られる。この磁束密度は、同じ組成の材料を高温焼
鈍して完全再結晶させると低下する。このような現象は
圧延集合組織に異方性があるためと考えられる。また、
加工後の焼鈍は歪取りの理由から500℃以上で焼鈍す
ることが望ましい。
【0031】本発明の効果を得る上で他の製造条件は特
に限定されないが、より優れた特性を得るためには、温
間または冷間圧延の圧延率、温間圧延の圧延温度を以下
のように規定することが好ましい。図5は、Si量が6
.5wt%近傍の材料の温間または冷間圧延の圧延率と
抗張力との関係を示したもので、圧下率95%の場合を
1とした抗張力を示している。また、圧下率0%は熱延
板の状態を示している。これによれば、圧下率50%の
付近から圧下率の増加に伴って抗張力が顕著に上昇して
いる。このような傾向はSi:4.0〜7.0wt%の
領域ではSi量にかかわらず同様に認められた。この結
果から、温間または冷間圧延の圧延率は60%以上とす
ることが好ましい。
【0032】図6は、同じくSi量が6.5wt%近傍
の材料の温間圧延温度と圧延後の鋼板(圧延まま)の伸
び(600℃で温間圧延した圧延材の伸びを1とした時
の伸び)との関係を示すもので、伸びは圧延時の温間状
態での回復によって向上し、600〜650℃付近で最
大となる。したがって、圧延温度によっては、圧延後の
回復焼鈍と同等の効果が期待できる。この傾向もSi:
4.0〜7.0wt%の領域ではSi量にかかわらず同
様に認められた。但し、圧延温度が高過ぎるとスケ−ル
生成の問題があり、このため温間圧延温度は500℃以
下とすることが好ましい。
【0033】
【実施例】
〔実施例1〕表1および表2に示されるような組成のF
e−Si合金を溶製後、造塊により鋳造し、分塊圧延、
粗圧延、仕上圧延を経て板厚2mmとし、さらに、25
0℃で温間圧延した後、酸化スケ−ル除去により最終板
厚0.35mmとした。脱脂後、熱処理を行ない、各鋼
板の再結晶率と抗張力、伸び、切欠き感受性、曲げ性お
よび鉄損を測定した。
【0034】なお、上記切欠き感受性はノッチ入りの引
張り試験(引張速度:5mm/min)により伸びを1
0段階評価しした。その評価基準は以下の通りである。     評点    10      9      
  8        7        6    
    5        4    伸び    2
%    1.6%    1.2%    1.0%
    0.8%    0.6%    0.4% 
   評点      3        2    
  1    伸び    0.3%    0.2%
    0%
【0035】また、曲げ性は円筒成形試験
(直径10mmの金属ロ−ルと直径200mmの樹脂製
ロ−ルによりサンドウィッチ成形する方法)で各鋼板に
ついてそれぞれ10個の成形加工を行い、割れの発生の
程度に応じ加工性を10段階評価した。その評価基準は
以下の通りである。 10:室温での加工で10個とも成形可能(割れ無し)
9:100℃加熱での加工で10個とも成形可能(割れ
無し)、室温での加工で割れ2個未満 8:100℃加熱での加工で10個とも成形可能(割れ
無し)、室温での加工で割れ2〜4個 7:100℃加熱での加工で10個とも成形可能(割れ
無し)、室温での加工で割れ5〜6個 6:100℃加熱での加工で割れ2個未満、室温での加
工で割れ7〜8個 5:100℃加熱での加工で割れ2個以下、室温での加
工不可能 4:150℃加熱での加工で10個とも成形可能(割れ
無し)、100℃での加工で割れ2〜4個3:150℃
加熱での加工で10個とも成形可能(割れ無し)、10
0℃での加工で割れ5〜8個2:200℃加熱での加工
で10個とも成形可能(割れ無し)、150℃での加工
で割れ4個以下1:200℃加熱での加工不可能
【0036】上記の各測定結果を表3および表4に示す
。同表から判るように再結晶率が95%以下の本発明鋼
板の場合、いずれも抗張力が80kg/mm2以上であ
り、伸びも1%〜7%程度で切欠き感受性が鈍く、機械
特性に優れている。また、高周波磁気特性や加工性も全
般的に優れていることが判る。また、回復焼鈍あるいは
部分再結晶することにより加工性も向上し、さらに、高
周波磁気特性も全般的に優れていることが判る。
【0037】〔実施例2〕表5および表6に示されるよ
うな組成のFe−Si合金を溶製後、造塊により鋳造し
、分塊圧延、粗圧延、仕上熱延を経て板厚2mmとし、
さらに、350℃で温間圧延した後、酸化スケ−ル除去
により最終板厚0.5mmとした。脱脂後、窒素雰囲気
中で熱処理を行ない、各鋼板について再結晶率と抗張力
、伸び、切り欠き感受性、曲げ性および鉄損を測定した
。切り欠き感受性および曲げ性の評価方法は実施例1と
同様である。その結果を表7および表8に示す。同表か
ら判るように再結晶率が95%以下の本発明鋼板の場合
、いずれも抗張力が80kg/mm2以上であり、伸び
も1%〜7%程度で切り欠き感受性が鈍く、機械特性が
優れている。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【図1】Si量が6.5wt%近傍の鋼板の再結晶率と
抗張力との関係を示す図面
【図2】Si量が6.5wt%近傍の鋼板の再結晶率と
伸びとの関係を示す図面
【図3】Si量6.5wt%近傍の鋼板の焼鈍温度と硬
度との関係を示す図面
【図4】Si量:4〜7wt%の鋼板の焼鈍処理後の抗
張力を焼鈍温度と鋼中Si量との関係で示した図面
【図
5】Si量が6.5wt%近傍の鋼板の温間または冷間
圧延における圧下率と抗張力との関係を示す図面
【図6
】Si量が6.5wt%近傍の鋼板の温間圧延温度と伸
びとの関係を示す図面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  Siを4.0〜7.0wt%含有し、
    残部鉄及び不可避不純物元素からなり、結晶組織の再結
    晶率が95%以下、残部が実質的に圧延組織であること
    を特徴とする磁気特性の優れた高抗張力磁性材料。
  2. 【請求項2】  Siを4.0〜7.0wt%含有し、
    残部鉄及び不可避不純物元素からなる鋼を溶製後、連続
    鋳造または造塊により鋳造し、分塊圧延若しくは粗圧延
    後仕上熱延し、さらに温間または冷間圧延を行なって薄
    板とし、該薄板を下記(1)式を満足する条件で熱処理
    することにより結晶組織の再結晶率が95%以下、残部
    が実質的に圧延組織である磁性材料を得ることを特徴と
    する磁気特性の優れた高抗張力磁性材料の製造方法。             −0.0029T2+3.0
    3T−570−24.27×(8−x)≧80  ……
    (1)但し  T:熱処理温度(℃) x:Si含有量(wt%)
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