JPH0432163Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 開示技術は、自動車のステアリング装置等に用
いる部品の表面からは切削加工がし難い内部等の
部分に対する切削装置の構造技術分野に属する。

而して、この考案はベルトプーリ機構等の回転
装置に一体的に連結されたスピンドルの内部の挿
入孔に軸方向摺動自在に挿入された偏心用シヤフ
トがその基端にて油圧シリンダ等の進退装置に連
結されると共に、その先端にはバイト等の切削工
具を交換自在に有しているスライダをスピンドル
内にて径方向にスライド等移動自在に係合してい
る簡易切削装置に関する考案であり、特に、偏心
用シヤフトの先端に先細テーパー面等のカム面が
形成され、一方スライダはその基端側に偏心用シ
ヤフトのカム面に係合するテーパ面等のカムフオ
ロワー面を形成され、スピンドルとの間に弾圧ス
プリング等を介装され、径方向に、即ち、切削工
具がワークの加工面側に押圧付勢されている簡易
切削装置に係る考案である。

〈従来の技術〉 周知の如く、自動車部品等の機械装置において
は各種の機械部品が組合されているが、これらの
機械部品のうちには、例えば、自動車のステアリ
ング装置に用いられる部品の如く、表面側からは
加工し難い内部に組付精度を向上するために座ぐ
り穴等が形成されているものがあり、等該座ぐり
穴の内面のバリ取り作業等の切削加工を行わねば
ならぬ態様がある。

該種穴の内側の溝入れ加工や裏側の面取り加
工、バリ取り加工等には所謂フエーシングユニツ
トやリセスユニツトと呼ばれる装置が用いられて
いるが、該種装置は加工物の切削負荷が小さく、
又、さ程高精度な位置決め等が要求されないため
に、比較的構造が簡単な簡易切削装置が用いられ
ており、例えば、実開昭55−129708号公報考案や
実開昭59−156708号公報考案等が案出されて実用
に供されている。

かかる簡易切削装置の一般的な態様を、例え
ば、フエーシングユニツトについて第４図により
略説すると、該フエーシングユニツトの簡易切削
装置１は装置フレーム２に対し、ベアリング３，
３を介して回転自在に支承されたスピンドル４が
その基端部に図示しないベルトを介して動力を伝
達されるプーリ５を一体的に固設しており、又、
先端部にはバイト等の切削工具６を交換自在に有
するスライダ７がスピンドル４の先端にガイド溝
８を介して径方向に摺動自在に設けられている。

そして、該スピンドル４内部に設けられた偏心
用シヤフト９がその基端部を進退装置としての油
圧シリンダ１０に連結され、軸方向に進退自在に
されており、その先端部に設けられたラツク１１
はスピンドル４の先端部に枢支されたピニオン１
２に係合するようにされ、該ピニオン１２はスラ
イダ７のラツク１３に係合している。

而して、油圧シリンダ１０の作動により進退す
る偏心用シヤフト９、ラツク１１、ピニオン１２
を介し所定ストロークスライダ７、即ち、切削工
具６をスピンドル４の径方向に変位し、図示しな
いワークに対する切削やバリ取り加工を行うよう
にされている。

〈考案が解決しようとする課題〉 而して、該種在来態様の簡易切削装置１にあつ
ては当該第４図に示す様に、スピンドル４の内部
にピニオン１２やラツク１１を有する転移機構や
角ねじ等が設けられて構造が複雑で、勢い機構部
の保守点検整備を定期、不定期的に行わねばなら
ず、作業が煩瑣である欠点があり、前述した如
く、切削負荷が小さく、高精度の位置決め等を求
めないが故の簡易切削装置としては構造が複雑で
あり、機構部をその複雑さを維持して機能保持す
るためには装置全体が大型となり、機能維持が難
しいという難点があり、結果的にイニシヤルコス
ト、ランニングコストが高くつくという不利点が
あつた。

この考案の目的は上述従来技術に基づく簡易切
削装置の構造の問題点を解決すべき技術的課題と
し、簡易切削装置の本来的に負荷が小さく、高精
度を求めないメリツトに沿つて、イニシヤルコス
ト、ランニングコストを低減して抑えることが出
来、しかも、構造が簡単で堅牢で、耐久性も良
く、小型でコンパクト化が可能であり、周囲の機
器に対する干渉性も少なく、操作がし易いように
して機械製造産業における加工技術利用分野に益
する優れた簡易切削装置を提供せんとするもので
ある。

〈課題を解決するための手段〉 上述目的に沿い先述実用新案登録請求の範囲を
要旨とするこの考案の構成は前述課題を解決する
ために、回転装置に連結されたスピンドル内に摺
動自在に挿設された偏心用シヤフトが進退装置に
連結されると共に切削工具を有するスライダを該
スピンドル内で径方向に移動自在に係合している
簡易切削装置において、上記偏心用シヤフトの先
端に先細テーパ状のカム面が形成され、一方上記
スライダが該カム面に係合する先細テーパ状のカ
ムフオロワー面を形成され、上記スピンドルにス
プリングを介して径方向であつてワークの加工面
側に付勢され該スピンドルの先端に形成したガイ
ド溝にスライド自在に係合され、又上記切削工具
がスライダに対して同心的に配設された技術的手
段を講じたものである。

〈作用〉 而して、フレームにベアリングを介して支承さ
れたスピンドルの内部に軸方向スライド自在に設
けられた偏心用シヤフトがその基端部にて連結さ
れた進退装置により所定ストローク進退すること
によりその先端に形成された先細テーパ面等のカ
ム面がスピンドルの先端部にて径方向スライド自
在に設けられたスライダのテーパ面等のカムフオ
ロワー面に係合し、スピンドルとスライダとの間
に介装された弾圧スプリング等のスプリングによ
り径方向にスライダを、即ち、切削工具をワーク
の加工面側に付勢することから、該スライダは偏
心用シヤフトの軸方向進退の程度に応じて即応的
にスピンドル内で径方向に移動し、それにより、
スライダの先端に同心的に一体的に交換可能に設
けられたバイト等の切削工具はワークの内部、或
は、裏面に対し、スムースに侵入、横方向移動し
てスピンドルに連結された回転装置によるスピン
ドルの回転力を伝達されて、所定に溝孔加工やバ
リ取り等の切削加工を設計通りに行うようにし、
スライダと偏心用シヤフトとの係合が極めて簡単
な機構で行われ、耐久性に富み、保守点検設備等
もメンテナンスも煩瑣でないようにしたものであ
る。

〈実施例〉 次に、この考案の１実施例を第１〜３図に基づ
いて説明すれば以下の通りである。尚、第４図と
同一態様部分は同一符号を用いて説明するものと
する。

図示実施例は第２図に示す様に、自動車のステ
アリング装置の部品のワーク１６の座ぐり穴１７
に於けるバリ１８の切削除去に用いる簡易切削装
置１′の態様であり、該簡易切削装置１′はその基
本構造が第４図の在来態様と同方式によるもので
あつて、装置フレーム２に対し、ベアリング３，
３を介して回転自在に横設支承されているスピン
ドル４′はその基端部にて図示しないモータとの
間のベルトを係合するプーリ５が回転装置として
設けられており、又、その先端部には座ぐり穴１
７に於けるバリ１８を切削除去するバイトの切削
工具６′を交換自在に同心的に取り付けられるよ
うにされているスライダ７′をスピンドル４の先
端に形成したガイド溝８を介して径方向にスライ
ド自在に係合させている。

而して、この考案においてはスピンドル４′の
内部に同心的に軸方向進退自在に設けられている
偏心用シヤフト９′はその後端部（図上右端部）
にて在来態様同様に進退装置としての油圧シリン
ダ１０に連結されており、又、その先端部（図上
左端部）はカム面としての先細テーパ面１１′が
形成されており、該カム面１１′に対して係合す
るテーパ面のカムフオロワー面１２′がスライダ
７′の後端面に形成されている。

そして、第２，３図に示す様に、スライダ７′
にはスピンドル４′に対し、その凹溝１４と該ス
ピンドル４′との間にスプリングとしての弾圧ス
プリング１５が介装されて、常にスライダ７′を
スピンドル４′の径方向に、即ち、ワーク１６の
加工面側へ押圧付勢している。

上述構成において、簡易切削装置１′の稼動に
際し、初期姿勢では第２図に示す様に、油圧シリ
ンダ１０をして切削工具６′がワーク１６の挿入
孔１９にスムースに挿入出来るように進退動して
停止し、偏心用シヤフト９′の先端のカム面の先
細テーパ面１１′が第２図に示す様に、スライダ
７′のカムフオロワー面としてのカム面１２′に合
致し、バイト６′をワーク１６の挿入孔１９にス
ムースに相対的に挿入させ、位置決めさせる。

そこで、図示しないモータを稼動してプーリ５
によりスピンドル４′を回転させると、スライダ
７′はガイド溝８を介してスピンドル４′と共に回
転し、バイト６′はワーク１６の座ぐり穴１７に
対する切削加工を開始する。

而して、ワーク１６の座ぐり穴１７に対するバ
リ１８の切削除去に対しては設計プログラムによ
り油圧シリンダ１０をして、図上右側に設定速度
で設定ストローク後退させることにより、偏心用
シヤフト９′も随伴して第２図の状態から第３図
の状態に矢印方向に後退すると、カム面１１′の
先細テーパ面に対し、スライダ７′が弾圧スプリ
ング１５の径方向付勢力により、カムフオロワー
面１２′のテーパ面がスピンドル４′に対し、偏心
用シヤフト９′のテーパ面１１′との係合関係の許
容する限り径方向に移動し、したがつて、バイト
６′も座ぐり穴１７内にて径方向に移動し、バリ
１８を設計通りに切削していく。

したがつて、偏心用シヤフト９′に対する油圧
シリンダ１０による後退作動を介してのスライダ
７′の径方向移動はテーパ面１１′，１２′の面係
合により、しかも、弾圧スプリング１５により径
方向に常に押圧付勢していることにより、第４図
に示す在来態様のラツクピニオン係合等と異な
り、ガタつきなく設計通りの正確さでバリ取り作
業を行うことが出来る。

そして、バリ取り切削作業の終了後は上述プロ
セスとは逆に油圧シリンダ１０を押進させて偏心
用シヤフト９′を図上左方向に前進させることに
より、そのテーパ面１１′とスライダ７′のテーパ
面１２′が弾圧スプリング１５に抗して中心方向
に移動するために、バイト６′もワーク１６の座
ぐり穴１７内で中心方向に移動して挿入孔１９に
同心し、油圧シリンダ１０が停止してプーリ５に
よるスピンドル４′の回転を中止、或は、回転を
続行した状態でも、ワーク１６をしてバイト６′
から取り外すことが出来、次のワーク１６の座ぐ
り穴１７でのバリ１８の切削除去作業を反復して
いく。

而して、上述プロセスは先述した如く、スライ
ダ７′の弾圧スプリング１５を介してのカム作用
のみであるために、偏心用シヤフト９′の進退動
作においても、ガタつきなく該スライダ７′の径
方向進退がなされ、したがつて、故障等が生ぜ
ず、反復される切削加工を行つてもほとんどメン
テナンスを行わずに済み、故障することがなく継
続して作業が出来、そのため、簡易切削装置１′
の耐久性も良い。

又、偏心用シヤフト９′とスライダ７′のスピン
ドル４′内に於ける係合部の構造がシンプルであ
るために、簡易切削装置１′の構造を簡単にし、
その結果、装置全体を小型化してコンパクトにす
ることが出来る。

又、設計変更としては進退装置を油圧シリンダ
にすることなく、他のアクチユエータを用いても
良いことは勿論のことである。

そして、対象とするワークの切削加工は自動車
のステアリングの部品の座ぐり穴のバリ取りばか
りでなく、他の機械装置部品の溝入れ加工や裏面
の面取り加工等にも用いることが出来る。

〈考案の効果〉 以上、この考案によれば、自動車のステアリン
グ装置の部品等に用いられる座ぐり穴や裏面の面
取り加工、或は、溝入れ加工の加工部分のバリ取
り等に用いる簡易切削装置において、スピンドル
の先端に設けられて径方向移動自在なスライダが
交換自在にバイト等の切削工具を同心的に有して
該スピンドル内にて軸方向進退自在に設けられて
いる偏心用シヤフトによる軸方向から径方向への
移動調節を変換するようにされていながらも、当
該変換機構が先細テーパ面等のカム面とカムフオ
ロワー面とによる係合で構成され、スライダもス
ピンドルに対して弾圧スプリング等のスプリング
とスピンドルとの間に介装しているめに、常にカ
ム面とカムフオロワー面とが係合状態にあり、切
削工具をしてワークの加工面側に常に押圧付勢し
ていることから、在来態様のラツクピニオン等に
よるバツクラツシユ等も避けられ、稼動中にガタ
等が生ぜず、したがつて、通常の溝孔にあるバリ
取り等の切削負荷が小さく、高度な位置決め精度
が必要とされない簡易切削装置の構造が簡単であ
りながら、精度良く、しかも、反復使用に際して
ガタが生ぜず、耐久性が良く、加えて、構造が簡
単であるためにイニシヤルコストは勿論のこと、
故障等が生じないことによるランニングコストも
低く押えることが出来るという優れた効果が奏さ
れる。

又、構造が簡単であり、偏心用シヤフトの軸方
向移動とスライダの径方向移動の変換が先細テー
パ面のカム面とカムフオロワー面とによつて行な
われるために、初期のカム面とカムフオロワー面
との加工がし易く、それだけ装置全体の構造を小
型化コンパクトにすることが出来、他の機器との
干渉性も少なく、操作がし易く、作業性が良いと
いう優れた効果が奏される。

そして、切削工具の芯出しが簡単な構成で容易
に出来る効果もあり、加えて、スライダへの付勢
力のみで切削工具による加工が行われるため、該
切削工具がワークの加工面に倣つて移動しバリ取
り等の加工が確実に行われるという優れた効果が
奏される。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図はこの考案の１実施例を示すもので
あり、第１図は全体概略縦断面図、第２図は切削
工具のワークに対するセツト時の初期姿勢部分拡
大断面図、第３図は切削加工時の拡大部分断面
図、第４図は在来態様の簡易切削装置の概略断面
図である。 ５……回転装置、４′……スピンドル、９′……
偏心用シヤフト、１０……進退装置、６′……切
削工具、７′……スライダ、１′……簡易切削装
置、１１′……カム面、１２′……カムフオロワー
面、１５……スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転装置に連結されたスピンドル内に摺動自在
   に挿設された偏心用シヤフトが進退装置に連結さ
   れると共に切削工具を有するスライダを該スピン
   ドル内で径方向に移動自在に係合している簡易切
   削装置において、上記偏心用シヤフトの先端に先
   細テーパ状のカム面が形成され、一方上記スライ
   ダが該カム面に係合する先細テーパ状のカムフオ
   ロワー面を形成され、上記スピンドルにスプリン
   グを介して径方向であつてワークの加工面側に付
   勢され該スピンドルの先端に形成したガイド溝に
   スライド自在に係合され、又上記切削工具がスラ
   イダに対して同心的に配設されていることを特徴
   とする簡易切削装置。