JPH0430395Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、冷凍・空調装置に用いられるスクロ
ール圧縮機に関し、旋回軸受への給油の改善を行
うものである。

〔従来の技術〕

従来のスクロール流体機械の一例である密閉型
冷凍・空調用スクロール圧縮機を第２図に示す。
第２図は、スクロール圧縮機の縦断面図で、本体
の上部に圧縮要素部、下部に電動モータを配置
し、圧縮要素部材として固定スクロール１、旋回
スクロール２、旋回スクロールに公転を許し且つ
自転を禁ずる自転防止部材３等より成る。これら
の他に電動モータ４と圧縮要素部と連結するシヤ
フト５、固定スクロール１及び電動モータ４を係
止するフレーム６、シヤフト５を支持する上部軸
受７１、下部軸受７２、及び旋回スクロール２を
回転支持する旋回軸受７３、旋回スクロール２を
軸方向に支持するスラスト軸受７４等があつてハ
ウジング８内に収納されている。ハウジング８下
部には潤滑油８１が封入されている。

固定スクロール１は、端板１１及び端板１１と
一体的に構成されるうず巻き１２より成り、端板
１１には吐出ポート１３、吐出弁１７及びうず巻
き１２と逆側に吐出キヤビテイ１４が設けられ
る。

旋回スクロール２は、端板２１及び端板２１と
一体的に構成されるうず巻き２２より成り、更に
端板２１のうず巻き２２の逆側には旋回スクロー
ル２を駆動するためのボス２３が設けられ、この
ボス２３にシヤフト５と旋回スクロール２を連結
する旋回軸受７３が配置される。尚、８４はシヤ
フトに取り付けられたバランスウエイトである。

次に、上記のスクロール圧縮機に於ける冷媒ガ
スの流れを説明する。冷凍・空調ユニツト（図示
せず）より圧縮機に戻される低温・低圧の冷媒ガ
スは吸入管８２を経て、ハウジング８内の空間に
導入され、電動モータ４を冷却し、フレーム６の
外周の一部を通り固定スクロール１に設けられた
吸入通路１５より固定スクロール１内の外方に設
けられた吸入室１６に導入される。電動モータ４
により駆動される旋回スクロール２は、公転を許
し自転を禁じる自転防止部材３により、公転運動
を行ない両スクロール１，２の両うず巻き１１，
２２で形成される密閉空間２４が漸次その空間を
減少しスクロール中央部に到る。この間空間容積
が減小するのに伴い冷媒ガスの圧力及び温度が上
昇し、固定スクロール１の吐出ポート１３より吐
出弁１７を介して吐出キヤビテイ１４に吐きださ
れ、吐出キヤビテイ１４内の高温・高圧の冷媒ガ
スは、吐出管８３を介して圧縮機外部へ送り出さ
れる。

一方、ハウジング８下部に溜められた潤滑油８
１は、シヤフト５に設けられた遠心式ポンプ５１
によりシヤフト中心より偏心して設けられた給油
孔５２を介して、一部は下部軸受７２に給油さ
れ、更にシヤフト５の偏心ピン５３部を介し旋回
軸受７３、スラスト軸受７４、自転防止部材３等
を潤滑し、フレーム６のフレーム室６１に到り上
部軸受７１を潤滑し、排油孔６２よりハウジング
８下部へ排出されるよう構成されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前述のようなスクロール圧縮機には次のような
問題がある： 冷凍・空調ユニツト（図示せず）より圧縮機に
戻される冷媒ガスの一部あるいは大部分が液冷媒
のまま圧縮機の戻されるような場合には、吸入管
８２よりハウジング８内に多量の液冷媒が流れこ
み、ひいては潤滑油８１に液冷媒が大量にとけこ
むこととなる。

このような場合には、遠心ポンプ５１により大
量の液冷媒の溶けこんだ潤滑油８１はシヤフト５
内の給油孔５２に送りこまれるが、給油孔５２を
上昇する途中で電動モータ４より発熱する熱によ
り、潤滑油中の液冷媒が蒸発し、偏心ピン５３を
介して旋回軸受７３に送りこまれる時には、液冷
媒のガス化により潤滑油の量が極端に減少し、旋
回軸受７３等の潤滑不良を生じる場合がある。

また、ガス化した冷媒が云わゆるベーパローク
を生じ、旋回軸受７３等へ潤滑油が流れなくなり
旋回軸受７３等が焼付く場合がある。

〔問題点を解決するための手段〕

シヤフトを貫通しハウジング底部の潤滑油を上
方の軸受部に供給する給油孔を同シヤフトの軸中
心に対して偏心して設け、前記シヤフトの上端よ
り下方の位置で前記給油孔に開口する水平方向の
ガス抜孔を同シヤフトの軸中心を含む直径方向に
設けて、給油孔内で発生するガスを前記ガス抜孔
よりハウジング内に排出する。

〔作用〕

上記ガス抜孔によりシヤフトの給油孔内で蒸発
した冷媒ガスはガス抜孔により給油孔外部へ送り
だされるため給油孔には潤滑油が残り偏心ピン部
を介して旋回軸受等へ潤滑油の安定的に供給され
ることとなる。

〔実施例〕

第１図に具体例を示す。従来技術について説明
した部材と同一部材には、同一符番を付し詳細な
説明を省略する。シヤフト１００は、従来のもの
と同様に、偏心量ｒを有して、シヤフト下部に遠
心ポンプ５１を構成し、偏心量ｒの位置に給油孔
５２をシヤフト１００に設け、これを偏心ピン５
３内に貫通させる。

軸受７２の上部位置には、軸外面に一方の端を
有するガス抜孔１０１を、シヤフト軸中心に対し
給油孔と反対側に給油孔とほぼ直交方向に、給油
孔５２に連通させて設ける。このガス抜孔１０１
より抜けたガスを、ハウジング内８ａへ抜くた
め、フレーム６にはリング状溝１０５をガス抜孔
１０１の位置に設け、その溝１０５と、ハウジン
グ８ａとを連通するガス排出孔１０６を設ける。

尚フレーム６の軸受７２の上部位置の隙間イが
充分にある構造のものではリング状溝１０５は不
要である。

上記の如く構成することにより、多量の液冷媒
が溶け込んだ潤滑油が遠心ポンプ５１により給油
孔５２内に送り込まれ、電動機の発熱の熱により
液冷媒がガス化してもガス抜孔１０１及びガス抜
き溝１０５、連通孔１０６によりハウジング内８
へ排出される。ここで遠心力により給油孔５２内
の潤滑油はガス抜き孔１０１より排出されること
はなく、潤滑油は給油孔５２内を上昇していく。

このため、旋回軸受７３及びその他の部材に安
定的に潤滑油が供給されることになり旋回軸受７
３等の焼付によるトラブルは解消される。

〔考案の効果〕

潤滑油内の液冷媒が電動機の熱により蒸発する
と、発生したガスはガス抜孔を通りハウジング内
に排出される。

特に、シヤフトに設けるガス抜き孔をシヤフト
軸中心に関し給油孔と反対側に設けたことによ
り、軸表面に抜けるガス抜き孔端部と軸中心の距
離が最大となり、ガスを抜く遠心力が最大となる
ため、上記効果が最も大きく現われる。

従つて軸受等に対する潤滑油の供給が円滑に行
なわれ、焼付等のトラブルを発生しない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案スクロール圧縮機の実施例にお
ける要部縦断面図、第２図は従来のスクロール圧
縮機の全体的縦断面図である。 ６……フレーム、８ａ……ハウジング、５１…
…遠心ポンプ、５２……給油孔、１００……シヤ
フト、１０１……ガス抜孔、１０６……ガス排出
孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハウジング内に支持フレームを介してスクロー
   ル圧縮要素及び電動モータを支持すると共に、ス
   クロール圧縮要素及び電動モータを垂直方向の回
   転シヤフトを介して連結してなるスクロール圧縮
   機において、前記シヤフトを貫通しハウジング底
   部の潤滑油を上方の軸受部に供給する給油孔を同
   シヤフトの軸中心に対して偏心して設け、前記シ
   ヤフトの上端より下方の位置で前記給油孔に開口
   する水平方向のガス抜孔を同シヤフトの軸中心を
   含む直径方向に設けると共に、前記支持フレーム
   の前記ガス抜孔に対応する位置に同ガス抜孔と連
   通するガス排出孔を、設けたことを特徴とするス
   クロール圧縮機。