JPH0410390Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はスクロール圧縮機の改良に関する。

〔従来の技術〕

第３図は従来のスクロール圧縮機の構成図であ
つて、ハウジング１内には、圧縮要素として固定
スクロール２と旋回スクロール３とが嵌合してハ
ウジング１内の上部に配置されている。固定スク
ロール２は、端板４とこの端板４に渦巻状に形成
された突状部５とから成り、端板４には吐出ポー
ト６が形成されるとともに吐出弁７が設けられ、
さらにこの吐出弁７の設けられた側に吐出キヤビ
テイ８が形成されている。また、旋回スクロール
３は端板９とこの端板９に渦巻状に形成された突
状部１０とから成る。そして、突状部１０の形成
された端板９の逆側には旋回スクロール３を駆動
するためのボス１１が形成されている。ところ
で、固定スクロール２と旋回スクロール３とが嵌
合することにより密閉空間１２が形成され、旋回
スクロール３が旋回することによりこの密閉空間
１２の容積が減少するものとなつている。なお、
１３は吸入通路であり、１４は吸入室である。ま
た、前記固定スクロール２は、フレーム１５によ
り支持されており、このフレーム１５と前記旋回
スクロール３とによつてフレーム室１６が形成さ
れている。また、このフレーム１５には排油孔１
７が形成されている。

一方、ハウジング１内の下部には電動モータ１
８が設けられ、この電動モータ１８と前記旋回ス
クロール３とがシヤフト１９により連結されてい
る。そして、このシヤフト１９は上部軸受２０と
下部軸受２１とにより支持されている。なお、前
記旋回スクロール３は旋回軸受２２により支持さ
れるとともにその軸方向がスラスト軸受２３によ
り支持されている。また、２４は自転防止部材で
あつて、これは旋回スクロール３の公転を許しか
つ自転を禁止するためのものである。なお、２５
はシヤフト１９に係止されているバランスウエイ
トである。

また、シヤフト１９の下部には遠心式ポンプ２
６が設けられるとともに、その内部の偏心位置に
給油孔２７が形成されている。そして、ハウジン
グ１の下部には潤滑油２８が貯えられている。

このように構成されたスクロール圧縮機におけ
る冷媒ガスの流れを説明すると、冷凍・空調ユニ
ツト（不図示）から圧縮機に戻される低温・低圧
の冷媒ガスは、吸入管２９からハウジング１内に
導入されて電動モータ１８を冷却する。そして、
冷媒ガスはフレーム１５の外周の一部を通つて固
定スクロール２に設けられた吸入通路１３から吸
入室１４内に導入される。このとき、電動モータ
１８は駆動状態となつているので、旋回スクロー
ル３は公転を行つている。これにより、密閉空間
１２は次第にその容積が減少してスクロール中央
部に至る。従つて、密閉空間１２の容積が減少す
るに伴つて冷媒ガスの圧力が高くなるとともに温
度が上昇する。このため、冷媒ガスは吐出ポート
６から吐出キヤビテイ８に吐出され、この吐出キ
ヤビテイ８に吐き出された高温・高圧となつた冷
媒ガスは吐出管３０を通つて外部に送出される。

一方、これと同時に潤滑油２８が遠心式ポンプ
２６により吸い上げられて給油孔２７を通つて上
昇する。これにより、潤滑油２８が下部軸受２１
に送られ、さらにシヤフト１９の偏心ピン部（不
図示）を介して旋回軸受２２、スラスト軸受２
３、自動防止部材２４等に送られて給油を行うこ
とになる。そうして、潤滑油はフレーム室１６に
送られて上部軸受２０を給油し、さらに排油孔１
７からハウジング１の下部に排出される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら上記圧縮機では潤滑油の量のコン
トロールつまり油循環率（以下、φC％として示
す）のコントロールは行なわれていない。強いて
挙げれば圧縮機の組み立て時に各スクロール２，
３の軸方向のクリアランスを調整する目的で部品
の選択嵌合等が行なわれているのが現状である。
よつて、φC％のコントロールが不十分のために
次のような問題が生じる。つまり、φC％が低く
しすぎると各コントロール２，３間のシール性が
低下して圧縮機の性能を低下させ、また逆にφC
％を高くしすぎると長い配管の場合に油面切れに
よる潤滑不良が発生してしまう。

そこで本考案は、油循環率をコントロールでき
るスクロール圧縮機を提供することを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記問題点を解決し目的を達成するた
めに次のような手段を講じたことを特徴とする。
すなわち、ハウジング内に固定スクロールと旋回
スクロールとを嵌合してスクロール圧縮要素を構
成するとともにこのスクロール圧縮要素内に冷媒
ガスを供給する冷媒ガス吸入通路を設け、ハウジ
ング内に吸入された冷媒ガスを冷媒ガス吸入通路
を通してスクロール圧縮要素内に供給して圧縮し
て吐出し、かつスクロール圧縮要素を支持するフ
レームと旋回スクロールとによりフレーム室を形
成しこのフレーム室に潤滑油を供給するように構
成したスクロール圧縮機において、固定スクロー
ルとフレームとの間に、複数に分割された各シム
を所定の油循環率に制御する隙間で介在し、これ
らシムの隙間から潤滑油の一部を送出して冷媒ガ
ス吸入通路を通してスクロール圧縮要素へ導くよ
うに構成したことを特徴としている。

〔作用〕

このような手段を講じたことにより、固定スク
ロールとフレームとの間に設けられ、かつ所定の
油循環率に制御する隙間で配置された各シムの隙
間から潤滑油の一部がその量をコントロールされ
て送出され、この潤滑油が冷媒ガス吸入通路を通
してスクロール圧縮要素へ導かれる。

〔実施例〕 以下、本考案の一実施例について図面を参照し
説明する。

第１図は本考案のスクロール圧縮機の構成図で
あり、第２図は第１図に示すＩ−Ｉ断面図であ
る。なお、第１図では本考案を示す部分の構成図
を示し、その全体構成図は第３図と同一としてそ
の詳しい説明は省略する。さて、固定スクロール
２とフレーム１５との間には、複数例えば４つに
分割されたシム４０が介在されている。つまり、
これらシム４０は第２図に示すように４つのシム
４０ａ，４０ｂ，４０ｃ，４０ｄがそれぞれ間隔
Ｄをおいて配置されている。これにより、これら
シム４０ａ〜４０ｄの隙間Ｄから潤滑油が通つて
吸入通路１３へ送られるようになつている。とこ
ろで各シム４０ａ〜４０ｄの隙間Ｄは、潤滑油の
φC％を適切にするためにそれに応じた長さに調
整される。

次に上記の如く構成された圧縮機の作用につい
て第３図に示す圧縮機の全体構成図をも参照して
説明する。冷凍・空調ユニツト（不図示）から圧
縮機に戻される低温・低圧の冷媒ガスが吸入管２
９からハウジング１内に導入されると、この冷媒
ガスは電動モータ１８を冷却しフレーム１５の外
周の一部を通つて固定スクロール２に設けられた
吸入通路１３から吸入室１４内に送られる。この
とき、電動モータ１８は駆動状態となつているの
で、旋回スクロール３は公転を行つて密閉空間１
２の容積を減少させて冷媒ガスの圧力を高くする
とともに温度を上昇させる。これにより、冷媒ガ
スは吐出キヤビテイ８に吐出され、この高温・高
圧となつた冷媒ガスは吐出管３０を通つて外部に
送出される。

一方、これと同時に潤滑油２８が遠心式ポンプ
２６により吸い上げられて給油孔２７を通つて上
昇する。これにより、潤滑油２８が下部軸受２１
に送られ、さらにシヤフト１９の偏心ピン部（不
図示）を介して旋回軸受２２、スラスト軸受２
３、自転防止部材２４等に送られて給油を行うこ
とになる。そうして、潤滑油はフレーム室１６に
送られて上部軸受２０を給油し、さらに排油孔１
７からハウジング１の下部に排出される。

また、潤滑油２８の一部はフレーム室１６から
各シム４０ａ，４０ｂ，４０ｃ，４０ｄの隙間Ｄ
を通つて送出され、この潤滑油が吸入冷媒と共に
吸入通路１３を通つて密閉空間１２に送られ、さ
らに吐出ポート６を吐出管３０から圧縮機の外部
に送り出される。

このように上記一実施例においては、固定スク
ロール２とフレーム１５との間に設けられた各シ
ム４０ａ，４０ｂ，４０ｃ，４０ｄの隙間Ｄから
潤滑油２８がスクロール圧縮要素の冷媒ガスの吸
入通路１３へ導かれて外部に送り出される構成と
したので、各シム４０ａ〜４０ｄの各間隔Ｄの長
さを調整することによつてφC％が適切にコント
ロールできるようになる。従つて、極めて簡単な
構成のもので圧縮機に要求される性能のφC％お
よび配管の長短等によつて決定される適切なφC
％を得ることができて、圧縮機の性能を向上でき
る。

なお、本考案は上記一実施例に限定されるもの
ではなく、その主旨を逸脱しない範囲で変形して
もよい。

〔考案の効果〕

以上詳記したように本考案によれば、固定スク
ロールとフレームとの間に、複数に分割された各
シムを所定の油循環率に制御する隙間で介在し、
これらシムの隙間から潤滑油の一部を送出して冷
媒ガス吸入通路を通してスクロール圧縮要素へ導
くように構成したものである。

したがつて本考案によれば、固定スクロールと
フレームとの間に設けられ、かつ所定の油循環率
に制御する隙間で介在する各シムの隙間から潤滑
油の一部がその量をコントロールされて送出さ
れ、この潤滑油が冷媒ガス吸入通路を通してスク
ロール圧縮要素へ導かれるので、油循環率をコン
トロールできるスクロール圧縮機を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係わるスクロール圧縮機の一
実施例を示す構成図、第２図は第１図に示すＩ−
Ｉ断面図、第３図は従来におけるスクロール圧縮
機の構成図である。 １……ハウジング、２……固定スクロール、３
……旋回スクロール、６……吐出ポート、７……
吐出弁、１２……密閉空間、１３……吸入通路、
１４……吸入室、１５……フレーム、１６……フ
レーム室、１７……排油孔、１８……電動モー
タ、１９……シヤフト、２０……上部軸受、２１
……下部軸受、２２……旋回軸受、２３……スラ
スト軸受、２４……自転防止部材、２６……遠心
式ポンプ、２７……給油孔、２８……潤滑油、２
９……吸入管、３０……吐出管、４０ａ，４０
ｂ，４０ｃ，４０ｄ……シム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハウジング内に固定スクロールと旋回スクロー
   ルとを嵌合してスクロール圧縮要素を構成すると
   ともにこのスクロール圧縮要素内に冷媒ガスを供
   給する冷媒ガス吸入通路を設け、前記ハウジング
   内に吸入された冷媒ガスを前記冷媒ガス吸入通路
   を通して前記スクロール圧縮要素内に供給して圧
   縮して吐出し、かつ前記スクロール圧縮要素を支
   持するフレームと前記旋回スクロールとによりフ
   レーム室を形成しこのフレーム室に潤滑油を供給
   するように構成したスクロール圧縮機において、
   前記固定スクロールと前記フレームとの間に、複
   数に分割された各シムを所定の油循環率に制御す
   る隙間で介在し、これらシムの隙間から前記潤滑
   油の一部を送出して前記冷媒ガス吸入通路を通し
   て前記スクロール圧縮要素へ導くように構成した
   ことを特徴とするスクロール圧縮機。