JPH0427702Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車のシート装置に関し、特にそ
のシートバツクの支持構造に関する。

（従来技術及びその問題点） 自動車シートのシートバツク支持構造として
は、実開昭60−157335号公報等に開示の如くシー
トバツク下端側を車体に枢支して上端側を揺動可
能とし、リクライニング装置を取付けてこれを任
意の傾倒位置に変更保持するか、或いは前倒し可
能とするよう構成したものがある。

しかし乍ら、上記従来構造のものでは、シート
バツクを前倒しする場合、シートバツク上端側の
回動軌跡が他の車室内装備部材、例えばチエンジ
レバーやインストールパネル等と干渉しないよう
構成する必要があるため、シート高さが制限され
て座り心地の悪いものとなつてしまう問題点を有
している。

（考案の目的） 本考案は、上記の如き事情に鑑み、シート高さ
を制限することなくシートバツクを前倒し可能に
支持し得る自動車のシート装置の提供をその目的
とする。

この為、本考案に係る自動車のシート装置は、
フロアシートとシートバツクとを備え、該フロア
シートの後端が連結部材を介して車体に上方へ回
動可能に支持されると共に、該シートバツクがリ
ンク部材によつて前倒し可能に車体に支持されて
いるものにおいて、車体前後方向に延びて後端が
車体に揺動自在に支持される案内部材を前記シー
トバツクの下端に設置し、該案内部材に摺動自在
に連結される摺動連結部材を前記シートバツク及
びフロアシートに各々取り付け、前記シートバツ
クの該摺動連絡部材の取付位置より上方に前記リ
ンク部材の一端を枢着し、前記シートバツクの前
倒し時に、その下端側が前記案内部材に沿つて後
方に移動すると共に、前記フロアシートの上方回
動時に、前記案内部材が前記摺動連結部材を介し
て上方に回動するよう構成したことを特徴として
いる。従つて、シートバツク下端側の後方移動量
を調整することにより、シート高さを自由に設定
出来ることとなる。

（考案の実施例） 第１図シート装置は、前倒し可能に車体１に支
持されるシートバツク２と、蹴上げ可能に車体１
に支持されるフロアシート３とから構成されてい
る。

シートバツク２は、車体１に垂立されたブラケ
ツト１１に後端を枢着されたリンクバー１２の先
端側に形成したスロツト１２ａ内に、シートバツ
ク２の背面側にブラケツト２１を介して取付けた
ガイドピン２２を相対摺動可能に嵌装すると共
に、同じくブラケツト１１にその後端側を枢着さ
れたガイドレール１３の全長に亘つて形成された
スロツト１３ａ内に、シートバツク２の側面下端
側に取付けたガイドピン２３を相対摺動可能に嵌
装して構成されており、その背面上部に形成した
フツク係止部２４に、車体１の上方にブラケツト
１４を介して枢着されたＬ字形揺動フツク１５を
係止することで起立位置に保持されるようになつ
ている。

又、フロアシート３は、その後部に取付けた連
結プレート３１を、車体１に固定した連結プレー
ト１６に枢着すると共に、フロアシート３の後端
側に垂立したブラケツト３２に取付けた連結ピン
３３を前記ガイドレール１３のスロツト１３ａに
相対摺動可能に嵌装して構成されている。

而して、第２図示の如く、リンク１２とガイド
レール１３とは、ブラケツト１１を介して所定間
隔で配置されている。又、フロアシート３側の連
結ピン３３は、両端にフランジ３３ａ，３３ｂを
有するシートバツク２側のガイドピン２３を嵌入
し得る内径とした中空円筒形状に形成すると共
に、ガイドレール嵌装域に半円状切欠部３３ｃを
設け、該切欠部３３ｃを介してガイドピン２３が
出入し得るようになつている。

このように構成するシート装置では、シートバ
ツク２背面に係合されているフツク１５を解除し
て前倒しすると、リンク１２によりブラケツト１
１とシートバツク２のガイドピン２２との最大距
離が規定されている為、第４図示の如く、シート
バツク２の下端に取付けたガイドピン２３が、ガ
イドレール１３のスロツト１３ａ内を摺回動する
ことにより、シートバツク２の下端側が後方へ移
動する。尚、このとき、フロアシート３の連結ピ
ン３３は原位置から移動せず、ガイドレール１３
は所定位置に保持されている。又、シートバツク
２のガイドピン２２とブラケツト１１との距離変
動は、リンク１２に形成したスロツト１２ａ内を
ガイドピン２２が相対摺動することにより吸収さ
れる。

従つて、前倒し時のシートバツク２上端側の回
動軌跡を後方に移動させることが出来、チエンジ
レバー４等車室内装備部材との干渉を避けること
が可能となる。

尚、第１図示起立状態からフロアシート３の先
端側を上方へ押上げると、第５図示の如く、連結
ピン３３がガイドレール１３のスロツト１３ａ内
を後方に摺動し、この摺動に伴つて、ガイドレー
ル１３がフランジ１１枢着点を中心として上方に
摺動する。この摺動に伴い、ガイドピン２３もガ
イドレール１３のスロツト１３ａ内を摺動してシ
ートバツク２が上方へ押上げられることとなる。

第６図は、本考案に係るシート装置の別の実施
例を示し、シートバツク２とフランジ１１とを連
結するリンク部材を中継ピン１２１で連結した一
対のリンク１２２，１２３で構成すると共に、シ
ートバツク２側のリンク枢着ブラケツト２１とブ
ラケツト１１との間に更にスプリング１７０を掛
渡して構成したものである。尚、フルク１５を省
略する以外、他の構成部材は第１図示実施例と同
じである。又、第７図示の如く、リンク１２１，
１２２，スプリング１７０，ガイドレール１３は
相互に干渉しない位相で設置されている。

このように構成するものでは、スプリング１７
０が、シートバツク２を第６図示時計回り方向に
回動付勢してこれを起立状態に保持すると共に、
前倒し時には、シートバツク２を所定レベルまで
回動させるとスプリング１７０の付勢力が反時計
回り方向に作用することとなり、その弾発力によ
りシートバツク２を第８図示位置まで前倒し回動
させることが可能となる。尚、本実施例の場合
は、リンク１２２，１２３間の相対回動により、
シートバツク２のガイドピン２２とブラケツト１
１との距離変動を吸収するよう構成されている
が、リンク１２２，１２３により両者間の最大距
離が規制されることは第１図示実施例と同様であ
る。

（考案の効果） 上記の如き、本考案に係る自動車のシート装置
に依れば、前倒し可能に車体に支持されたシート
バツクの先端回動軌跡を後方にずれして、チエン
ジレバー等他の車室内装備部材との干渉を防止す
ることが出来る為、シート高さを自由に設定し得
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動車のシート装置の一
実施例を示す側面構成図、第２図はその要部平面
構成図、第３図は連結ピンの斜視図、第摺動図は
シートバツク前倒し時の側面構成図、第５図はフ
ロアシート蹴上げ時の側面構成図、第６図は本考
案に係るシート装置の別の実施例を示す側面構成
図、第７図はその要部平面構成図、第８図はシー
トバツク前倒し時の側面構成図である。 １……車体、２……シートバツク、１２，１２
２，１２３……リンク部材、１３……案内部材、
２３……連結部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フロアシートとシートバツクとを備え、該フロ
   アシートの後端が連結部材を介して車体に上方へ
   回動可能に支持されると共に、該シートバツクが
   リンク部材によつて前倒し可能に車体に支持され
   るものに於いて、 車体前後方向に延びて後端が車体に揺動自在に
   支持される案内部材を前記シートバツクの下端に
   設置し、 該案内部材に摺動自在に連結される摺動連結部
   材を前記シートバツク及びフロアシートに各々取
   り付け、 前記シートバツクの該摺動連結部材の取付位置
   より上方に前記リンク部材の一端を枢着し、 前記シートバツクの前倒し時に、その下端側が
   前記案内部材に沿つて後方に移動すると共に、 前記フロアシートの上方回動時に、前記案内部
   材が前記摺動連結部材を介して上方に回動するよ
   う構成したことを特徴とする自動車のシート装
   置。