JPH0421588B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規な透明プラスチツク成形品及び
その製法に関するものであり、レコードプレーヤ
ー・ダストカバー、TV前面板やチヤンネル表示
板、ラジオやカセツトの透明窓、その他の電化製
品などの家庭電化製品の部品類、プリンターカバ
ー、複写機、フアクシミリ等の事務用機器部品な
どに好適な安価で耐衝撃性に優れた透明成形品を
提供可能とするものである。 〔従来法およびその問題点〕 ポリメチルメタクリレート（PMMA）、ポリス
チレン（PS）、アクリロニトリル−スチレン共重
合体（AS）、ポリ塩化ビニル（PVC）等の樹脂
は安価、透明でかつ射出成形等により容易に製品
を得られることから各種家電製品や事務機器など
に利用されている。 しかし、これらの樹脂は、帯電性があり汚れ易
い、傷が付きやすいなどの欠点のほかに、耐衝撃
性に劣り、通常は脆性破壊するものである。帯電
防止性、表面硬度の改良その他のためにこれらの
機能を有する塗料を塗布することや耐衝撃性を改
良するために共重合したり、樹脂ブレンドによる
改良などが試みられている。コーテイングによる
方法では、塗装シンナーによるクラツクなどの発
生や強度の低下、塗装工程が煩雑でありコストが
上昇するなどの欠点があり、樹脂ブレンドの方法
では、透明性、耐熱性、耐候性が悪くなるなどの
欠点が生じるものであつた。 また、これらの欠点の少ないポリカーボネート
樹脂を使用する方法があるが、価格が高く、溶融
粘度が高く成形性に劣るため、家電製品、事務機
器などに汎用的に使用することは困難であつた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、以上の欠点を解消する方法に鋭意検
討した結果、耐衝撃性に優れたポリカーボネート
樹脂のフイルムもしくはシートとPMMA、PS、
AS、PVC等の成形性に優れ透明で安価な材料と
を射出成形工程で積層一体化することにより、安
価で耐衝撃性および表面層の耐熱性に優れた成形
品とすること、さらに該ポリカーボネート樹脂フ
イルムもしくはシートとして片面にハードコー
ト、防曇、帯電防止、反射防止および熱線遮断か
らなる群から選択された一種もしくは二種以上の
機能性膜を施したものを使用することにより、こ
れらの機能をも容易にい付与できることを見出し
た結果完成したものである。 すなわち本発明は、片面にハードコート、防
曇、帯電防止、反射防止および熱線遮断からなる
群から選択された一種もしくは二種以上の機能性
膜を施し、必要に応じてその反対面に射出成形に
よつて形成される樹脂層との接着層を設けてなる
分子量25000以上のポリカーボネート樹脂フイル
ムもしくはシートとポリカーボネート樹脂以外の
透明材料とを、機能性膜が片面の外層を形成し反
対の外層はポリカーボネート樹脂以外の透明材料
となるように積層一体化してなる耐衝撃性に優れ
た透明成形品であり、好ましい実施態様において
は、片面にハードコート膜を施した分子量25000
以上のポリカーボネート樹脂フイルムもしくはシ
ート(A)と、片面に防曇、帯電防止、反射防止おお
び熱線遮断からなる群から選択された一種もしく
は二種以上の機能性膜を施した分子量25000以上
のポリカーボネート樹脂フイルムもしくはシート
(B)の二枚により、(A)と(B)の各々の機能性膜がそれ
ぞれ外層を形成するように積層一体化することに
より、その機能を自由に選択するものである。 また、その製造方法は、(1)片面にハードコー
ト、防曇、帯電防止、反射防止および熱線遮断か
らなる群から選択された一種もしくは二種以上の
機能性膜を施してなる分子量25000以上のポリカ
ーボネート樹脂フイルムもしくはシートを製品の
所望部形状と同一の形状に打抜き、打抜き片を作
成する工程、(2)該打抜き片を射出成形金型の製品
の所望部に相当するキヤビテイー部に、該打抜き
片の機能性膜を外層となるように装着する工程、
(3)該金型を閉じ、溶融樹脂を射出成形手段により
高圧射出して樹脂層部を積層一体成形する工程、
および(4)該金型を開き、成形品を取り出す工程と
を包含する方法によるものであり、好ましいい実
施態様においては、片面にハードコート、防曇、
帯電防止、反射防止および熱線遮断からなる群か
ら選択された一種もしくは二種以上の機能性膜を
施してなる分子量25000以上のポリカーボネート
樹脂フイルムもしくはシートを製品の所望部形状
と同一の形状に打抜き、打抜き片を作成する工
程、と該打抜き片を射出成形金型の製品の所望部
に相当するキヤビテイー部に、該打抜き片の機能
性膜を外層となるように装着する工程とを該金型
が閉じる工程で同時に行うことからなる製法を提
供するものである。 本発明の詳細を以下に説明する。 まず、片面にハードコート、防曇、帯電防止、
反射防止および熱線遮断からなる群から選択され
た一種もしくは二種以上の機能性膜を施してなる
分子量25000以上のポリカーボネート樹脂フイル
ムもしくはシートは、通常厚み100〜1000μｍ、
好ましくは200〜500μｍのものであり、ポリカー
ボネート樹脂としては、芳香族のポリカーボネー
ト樹脂でありホモポリマー、コポリマーなどいず
れであつてもよい。 該フイルムもしくはシートに施す機能性膜は、
従来公知の方法で良く、ハードコートの場合、エ
ポキシ系、アクリル樹脂系、アミノ樹脂系、ポリ
シロキサン系、コロイダルシリカ系等のハードコ
ーテイング剤を、所望によりプライマー層を設け
てコートし、熱又は紫外線などの手段により硬化
することにより、防曇の場合、水溶性や親水性樹
脂などと界面活性剤とを必須成分として通常含有
する防曇塗料をコートし硬化することにより、帯
電防止膜、反射防止膜、熱線遮断膜なども、これ
らの塗料をコートし硬化するか、またはこれらの
機能を有する薄膜を真空蒸着法などの手段により
形成することによる。又、これらの機能性膜は複
合膜として、二種以上の機能を同時に持つたもの
とすることも当然に可能である。 また、射出成形する樹脂との熱融着を促進する
目的を主として施すプライマーコートとしては、
透明で成形用の樹脂と熱融着性を有し、射出成形
樹脂より溶融粘度が高く、かつポリカーボネート
樹脂に接着するものであれば特に限定されないも
のであり、射出成形用樹脂と同種のより高分子量
物を主体とするものや熱、紫外線により硬化する
ものであり、具体的には射出成形樹脂がPMMA
やASの場合には、ホモ−若しくはコ−ポリアク
リレート類樹脂溶液、アクリレート系の熱もしく
は紫外線硬化型塗料が例示され、特に高分子量の
MMAホモポリマーの樹脂溶液が好ましい。同様
にPSの場合には、コーポリアクリレートやホモ
−アクリレートとコ−ポリアクリレートとの組成
物などが例示され、特に、コーモノマー成分とし
て、ブチルアクリレート（＝BA）等の可撓性賦
与モノマーを含有するものがよく、具体的には高
分子量のMMA／BAコーポリマーやこれを含む
組成物が挙げられる。また、プライマーコートと
して、ポリカーボネート樹脂フイルムもしくはシ
ートに、コーポリアクリレート系フイルム、エチ
レン−酢酸ビニル系フイルム（＝EVA系フイル
ム）、とラミネートしたものも、PMMA、AS、
PS、PVC、セルロース系樹脂との接着用のプラ
イマーとして好適に使用される。 つぎに、本発明の射出成形に用いる熱可塑性の
プラスチツクとしては、ポリカーボネート樹脂若
しくは変性ポリカーボネート樹脂以外の透明性を
有する汎用樹脂が挙げられる。これらとしては、
ポリメチルメタクリレート（PMMA）、ポリスチ
レン（PS）、アクリロニトリル−スチレン共重合
体（AS）、ポリ塩化ビニル（PVC）、透明ABS樹
脂、アセチルセルロースなどが例示され、
PMMAの場合には耐衝撃性の向上した優れた透
明、高剛性部材として、ASの場合には表面の硬
質化と耐候性向上によるPMMAの代替用途とし
て、PSの場合には強度、硬さ、耐候性の向上に
よるPMMA、ASなどの代替用途などとして好適
である。 なお、本発明は射出成形用の樹脂として透明な
ものを挙げたが、当然に上記したごとき射出成形
用の樹脂であれば、充填剤、その他のブレンド樹
脂成分を含む不透明なものも使用可能である。 さらに、ポリカーボネート樹脂フイルムもしく
はシートの樹脂材料に、または射出成形用の樹脂
材料に、染顔料、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、
フオトクロミツク性を有する化合物などを添加し
て、特殊な気宇を付与することも可能である。 〔実施例〕 以下に本発明の実施例を記載する。 ハードコート膜を片面に、その反対面に接着用
プライマー層を設けたポリカーボネートフイル
ムもしくはシートの製造 Ｔダイ法により、分子量30000のポリカーボネ
ート樹脂の厚み200μｍの押し出しフイルムを製
造する工程に、厚み40μｍのアクリレート系コポ
リマーフイルムを挿入し、熱融着した。このラミ
ネートフイルムの非ラミネート側表面にワイヤー
バーコート法により、アクリル系のプライマーを
塗布し、乾燥し、ついでワイヤーバーコート法に
よりシリコン系トツプコートを塗布し、130℃、
１時間硬化した（以下、フイルムＡという）。 分子量28000のポリカーボネート樹脂の厚み
200μｍのフイルムの両面にワイヤーバーコート
法により、アクリル系のプライマーを塗布し、乾
燥し、ついでこの片面にワイヤーバーコート法に
よりシリコン系トツプコートを塗布し、130℃、
１時間硬化した（以下、フイルムＢという）。 分子量28000のポリカーボネート樹脂の厚み
200μｍのフイルムの片面にワイヤーバーコート
法により、アクリル系のプライマーを塗布し、乾
燥し、ついでワイヤーバーコート法によりシリコ
ン系トツプコートを塗布し、130℃、１時間硬化
した（以下、フイルムＣという）。 所望の表面硬度を有し、耐衝撃性に優れた透明
プラスチツク成形品の製造 前記で得たフイルムを使用し、射出成形用の樹
脂として、PMMA（三菱レーヨン(株)製、商品名：
アクリペツトMF）、PS（三菱モンサント(株)製、商
品名：ダイヤレツクスHH102）およびAS（三菱
モンサント(株)製、商品名：サンレツクス(C)を使用
して、中央に三菱マーク入（凸、高さ0.5mm）の
直径105mm、厚み６mmの円板の両面にそれぞれの
フイルムを装着して円板を成形した。 尚、比較のためフイルムを装着しない他は同様
に円板を成形した。 得られた成形品は、全て外観上の異常は特にな
かつた。これらの円板を使用して、衝撃強度の測
定を行つた結果を第１表に示した。

【表】 と樹脂層剥離、×：バラバラに破
損である。
〔発明の作用および効果〕 以上の如くである本発明によつて、耐久性に優
れ、軽量、安全、並びに耐擦傷性、防曇性、帯電
防止性、反射防止性または熱線遮断性に優れ、経
済性のある透明プラスチツク成形品を提供するこ
とが可能となるものである。又、本発明の耐衝撃
性に優れた透明成形品は、その好ましい実施態様
においては、 ポリメチルメタクリレート（PMMA）、ポリ
スチレン（PS）、アクリロニトリル−スチレン
共重合体（AS）などの汎用樹脂により成形す
るので、容易に成形され、透明性がよい。 機能性膜を施したポリカーボネート樹脂フイ
ルムもしくはシートと溶融汎用樹脂とを射出成
形により一体化するので、特別の機能性付与の
工程を経ずに所望の表面特性を有する耐衝撃性
に優れたプラスチツク成形品が得られ、生産性
に優れると共に、塗装工程等の後処理工程で発
生しがちな不良の発生が無くなる。 などを示すものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 片面にハードコート、防曇、帯電防止、反射
   防止および熱線遮断からなる群から選択された一
   種もしくは二種以上の機能性膜を施し、必要に応
   じてその反対面に射出成形によつて形成される樹
   脂層との接着層を設けてなる分子量25000以上の
   ポリカーボネート樹脂フイルムもしくはシートと
   ポリカーボネート樹脂以外の透明材料とを、機能
   性膜が片面の外層を形成し反対の外層はポリカー
   ボネート樹脂以外の透明材料となるように積層一
   体化してなる耐衝撃性に優れた透明成形品。 ２ 片面にハードコート膜を施した分子量25000
   以上のポリカーボネート樹脂フイルムもしくはシ
   ート(A)と、片面に防曇、帯電防止、反射防止およ
   び熱線遮断からなる群から選択された一種もしく
   は二種以上の機能性膜を施した分子量25000以上
   のポリカーボネート樹脂フイルムもしくはシート
   (B)の二枚により、(A)と(B)の各々の機能性膜がそれ
   ぞれ外層を形成するように積層一体化してなる特
   許請求の範囲第１項記載の透明成形品。 ３ (1)片面にハードコート、防曇、帯電防止、反
   射防止および熱線遮断からなる群から選択された
   一種もしくは二種以上の機能性膜を施してなる分
   子量25000以上のポリカーボネート樹脂フイルム
   もしくはシートを製品の所望部形状と同一の形状
   に打抜き、打抜き片を作成する工程、(2)該打抜き
   片を射出成形金型の製品の所望部に相当するキヤ
   ビテイー部に、該打抜き片の機能性膜を外層とな
   るように装着する工程、(3)該金型を閉じ、溶融樹
   脂を射出成形手段により高圧射出して樹脂層部を
   積層一体成形する工程、および(4)該金型を開き、
   成形品を取り出す工程とを包含する耐衝撃性に優
   れた透明成形品の製法。 ４ 片面にハードコート、防曇、帯電防止、反射
   防止および熱線遮断からなる群から選択された一
   種もしくは二種以上の機能性膜を施してなる分子
   量25000以上のポリカーボネート樹脂フイルムも
   しくはシートを製品の所望部形状と同一の形状に
   打抜き、打抜き片を作成する工程、と該打抜き片
   を射出成形金型の製品の所望部に相当するキヤビ
   テイー部に、該打抜き片の機能性膜を外層となる
   ように装着する工程とを該金型が閉じる工程で同
   時に行う特許請求の範囲第３項記載の製法。