JPH042061B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、貯血槽に関するものである。詳しく
述べると本発明は、貯血槽内に設けられた消泡部
材による血液中の気泡の除去をより確実なものと
した人工肺用の貯血槽に関するものである。

（従来の技術） 近年、開心術等の際に生体肺に代わり体外循環
において血液中の二酸化炭素を除去し血液中に酸
素を添加するために、人工肺を組込んだ血液回路
が用いられている。このように人工肺を組込んだ
体外循環血液回路においては、気泡が流入した場
合にこれを除去したり、万一回路チユーブ折れな
どにより循環血液量が減少した時に備えて、血液
を貯溜するための貯血槽が設けられている。一般
的には、この貯血槽には、軟質部材からなるソフ
トバツグ型のものと硬質部材からなるハードシエ
ル型のものとがある。ソフトバツグ型の貯血槽
は、血液−空気界面を有しない点においては優れ
ているが、その反面大容量の貯血を実現すること
が困難であること、貯血量の正確な把握が難しい
ことなどから、血液の貯血量の確認および大容量
の貯血量の確保が容易なハードシエル型の貯血槽
の使用がより有利である。ハードシエル型の貯血
槽はまた、人工肺との一体化も容易であり一体に
することにより回路構成が簡単になり、回路のセ
ツトアツプおよびプライミング時の脱泡操作が容
易となることから貯血槽を一体に設けた人工肺も
提案されている（特開昭59−57661号）。

ところで、このような貯血槽において、脱血ラ
インから混入した気泡を確実に消去することは非
常に重要な要素のひとつである。これは、血液中
に気泡が残つたまま患者に血液を返還されると塞
栓症を起こす可能性が大きく非常に危険なためで
ある。このため、従来、ハードシエル型貯血槽内
に消泡部材を設けることが行なわれている。消泡
部材としては一般的に発泡体が用いられ、その疎
水性を利用して気泡を成長させ除去するものであ
るが、さらに、貯血槽に流入する血液中に含まれ
る気泡をより効率よく除去するために、メツシユ
数の大きい発泡体とメツシユ数の小さい発泡体と
で構成される消泡部材を設けることも提唱されて
いる（特願昭61−101723号）。

人工肺と一体化される消泡部材を有するハード
シエル形の貯血槽としては、従来、第７図に概略
示すような構成を有するLPM50（トラベノール社
製）が知られているが、これは貯血槽１０１の血
液導入口１０２近傍の血液流入部１０５に消泡部
材１０４を血液流入部１０５の底面に接して設け
てあるのみであり、流入した血液と該消泡部材１
０４との有効な接触が充分になされず、消泡能に
問題が残るものであつた。このため血液中に含ま
れる気泡、特に比較的小さい気泡が血液流にのつ
てそのまま貯血部１０６へと運ばれる恐れの大き
いものであつた。なお第７図において、符号１１
１は人工肺を、また符号１２３は熱交換器をそれ
ぞれ表わすものである。

（発明が解決しようとする問題点） 従つて、本発明は新規な貯血槽を提供すること
を目的とする。本発明はまた、貯血槽内に設けら
れた消泡部材と流入した血液との有効な接触を可
能とし消泡能力を高めた貯血槽を提供することを
目的とする。本発明はさらに、流入した血液中に
含まれる気泡を効果的に消泡除去することができ
る貯血槽を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記諸目的は、長さ方向において底面がほぼ水
平な上底部より所定の高低差をもつて漸次下降し
て下底部へと至る形状を有し、血液導入口が前記
上底部に鉛直上方に向けて開口されており、この
血液導入口に連続する前記上底部におけるほぼ落
差のない血液流路を血液流入部として有し、この
血液流入部に連続して前記上底部と下底部との高
低差によつて生じる空間を貯血部として有し、ま
た血液導出口が前記貯血部の下部に設けられてな
る硬質材料により形成されたハウジング内に、該
血液流入部の血液流路を全幅域にわつたつて横切
る消泡部材を設けてなるハードシエル型貯血槽で
あつて、前記消泡部材の貯血部側の面に接しかつ
前記血液流入部の血液流路の全幅域にわつたつて
存在し、血液流入部の底面より突出したリブを設
けたことを特徴とする貯血槽により達成される。

本発明はまた、リブの高さが１〜50mmであるこ
とを特徴とする貯血槽を示すものである。

（作用） しかして、本発明の貯血槽は、長さ方向におい
て底面がほぼ水平な上底部より所定の高低差をも
つて漸次下降して下底部へと至る形状を有し、血
液導入口が前記上底部に鉛直上方に向けて開口さ
れており、この血液導入口に連続する前記上底部
におけるほぼ落差のない血液流路を血液流入部と
して有し、この血液流入部に連続して前記上底部
と下底部との高低差によつて生じる空間を貯血部
として有し、また血液導出口が前記貯血部の下部
に設けられてなる硬質材料により形成されたハウ
ジング内に、該血液流入部の血液流路を全幅域に
わつたつて横切る消泡部材を設けてなるハードシ
エル型貯血槽であつて、前記消泡部材の貯血部側
の面に接しかつ前記血液流入部の血液流路の全幅
域にわつたつて存在し、血液流入部の底面より突
出したリブを設けたことを特徴とするものであ
る。このように貯血槽内に設けられた消泡部材に
対し、消泡部材の貯血部側の面、すなわち下流側
の面に接しかつ消泡部材の全幅域にわたるリブを
血液流入部の底面より突出して設けると、血液導
入口より貯血槽内に流入した血液が血液流入部に
配置された消泡部材と接触する際に、血液が該リ
ブを乗り越えることができずに消泡部材と接触し
た位置で一時的に滞留するようなかたちとなり、
また血液流に変向が起きる。このため、血液の消
泡部材との接触時間が長くなり、かつ血液流の変
向により接触面積ないしは接触頻度も大きくなる
ために、消泡部材による充分な気泡除去作用が得
られるものとなり、血液中に含まれる微小な気泡
までも充分に除去されることとなる。しかも、血
液の消泡部材との接触を充分になさせるために、
消泡部材の厚みを厚くした場合のように過度に圧
力損失を上昇させることもないゆえに、必要な流
量を確保したまま血液中に含まれる気泡を有効に
除去しうるものとなる。

以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説
明する。

第１図は、本発明の貯血槽の一実施例を表わす
縦断面図であり、また第２図は同実施例の−
線横断面図である。

本実施例の貯血槽１は、人工肺回路に用いられ
るハードシエル型の貯血槽であつて、第１図に示
すように血液導入口２、該血液導入口２に連通し
かつ血液２導入口２よりほぼ落差のない底面を有
する血液流入部５、該血液流入部５に連通し血液
流入部５より漸次下垂する底面を有する貯血部６
および該貯血部６の下部に設けられた血液導出口
３を有する硬質部材により形成されたハウジング
を有するものである。なお本実施例においてはハ
ウジングは血液流入部５および貯血部６を形成す
るハウジング本体７と該ハウジング本体７の上部
解放空間を閉鎖する蓋体８とから構成されてい
る。

このハウジングを構成する硬質部材としては、
例えば、硬質塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、カ
ーボネイト樹脂等が挙げられる。また貯溜してい
る血液を容易に確認できるようにハウジング本体
７部分は透明であることが望まれる。

貯血槽１において、血液導入口２は後述するよ
うに人工肺の血液流出口に連通するものであり、
この血液導入口２と連通する血液流入部５は血液
導入口２より貯血槽１内に流入した血液が貯血部
６に入るまでの血液流路を形成するものであり、
貯血部６より高い位置にありかつ血液導入口２と
ほとんど落差のない底面を有している。その底面
の形状は平坦状、半筒状などであり得るが、平坦
状であれば、後述する消泡部材の設置が容易であ
るゆえに好ましい。また、この血液流入部５と連
通する貯血部６は貯血槽１内において流入した血
液を貯溜する部分であり、従つて、血液流入部５
より下方に位置する、好ましくは漸次下垂する底
面を有しており、またこの貯血部６の下方に設け
られた血液導出口３より、貯血槽１内に一時的に
貯血された血液が外部へ導出される。

本発明の貯血槽１には、上記のごときハウジン
グ内に第１〜２図に示すように血液流入部５の血
液流路を全幅域にわたつて横切る消泡部材４が設
けられている。消泡部材４は、血液流入部５に気
泡を含む血液が流れてきたとき消泡を行ない、気
泡のない血液を貯血部６に送るためのものであ
る。消泡部材４としては、一般的に発泡体が用い
られその疎水性を利用して気泡を成長させ除去す
るものである。なおここでいう発泡体とは、網目
状をした三次元立方体を指すものである。なお本
実施例においては、消泡部材４は、メツシユ数の
大きい発泡体４ａとメツシユ数の小さい発泡体４
ｂとで構成され、かつメツシユ数の大きい発泡体
４ａが血液導入口２側となりメツシユ数の小さい
発泡体４ｂが貯血部６側となるように並設されて
いる。このようにメツシユ数の異なる２つの発泡
体を用い、さらにそれらを血液の流れ方向に対し
メツシユ数が小さくなるように並設することで、
圧力損失を大きくすることなくかつ血液中に含ま
れる気泡と発泡体のセルとの充分な接触をなさせ
充分な消泡能を示すものとすることができる。消
泡部材４は、流れてくる血液の全てが接触するよ
うに血液流入部５の血液流路の全幅域にわたつて
横切るように設けられ、血液流入部５の底面が平
坦な形状を有する本実施例においては、消泡部材
４は血液流入部５の底面のみならず側面にも密着
するように配置されている。また消泡部材４の上
端はハウジングの上面、すなわち本実施例におい
ては蓋体８に必ずしも密着させる必要はないが、
消泡部材４の移動を防止するため、また消泡部材
４の上端からの血液の流出を防ぐためには密着し
ていることが好ましい。さらにこの消泡部材の移
動を防止するために、ハウジング本体７の内側面
に係止部９を設けることは任意である。係止部９
はハウジング本体の内側面に形成されたリブで計
４つ設けられており、それ等係止部９間で消泡部
材４の端部を挟持している。

しかして本発明の貯血槽１においては、第１図
および第２図に示すように、前記消泡部材４の貯
血部側の面、すなわち下流側の面に接しかつ前記
血液流入部５の血液流路の全幅域にわたつて存在
する血液流入部５の底面より突出したリブ１０が
設けられている。このように消泡部材４の貯血部
側の面に接しかつ前記血液流入部５の血液流路の
全幅域にわたつて存在する血液流入部５の底面よ
り突出したリブ１０を有すると、前述したよう
に、血液導入口２より貯血槽内１に導入された血
液が血液流入部５に配置された消泡部材４と接触
する際に、血液が該リブ１０を乗り越えることが
できずに消泡部材４と接触した位置で一時的に滞
留するようなかたちとなり、血液の消泡部材４と
の接触時間が長くなり、また同時に、該リブ１０
により血液流が変向されて消泡部材４の血液に対
する接触面積ないしは接触頻度が大きくなり、消
泡部材４による充分な気泡除去作用が得られるも
のとなる。

このリブ１０は、必ず血液流入部５の血液流路
の全幅域にわたり存在している必要があり、例え
ば、血液流入部５が平滑な底面を有する本実施例
においては、第２図に示すようにハウジング本体
７の両側面に至る連続的なリブとされる必要があ
る。すなわち、第５図に示すようにハウジング本
体の底面から突出するリブ１０が断続的に形成さ
れ、血液流入部５の血液流路の全幅域にわたるも
のとならない場合、血液流入部５を流れる血液が
消泡部材４に接触する際に血液はリブ１０の欠損
部より抜け出てしまい、リブ１０が消泡部材４と
の接触に関して血液に対しうまく作用しないため
である。しかしながら、リブ１０の各部位におけ
る高さは、リブ１０が血液流入部５の血液流路の
全幅域にわたり存在するものであれば、第２図に
示すように必ずしも一定の高さである必要はな
く、第４図に示すように各部位においてリブ１０
の高さが異なるものであつてもよい。さらにこの
ようなリブ１０の高さは、好ましくは１〜50mm、
より好ましくは１〜20mm、最も好ましくは２〜10
mmであることが望ましい。すなわち、リブ１０の
高さが１mm未満であると、消泡部材４に接触する
血液に対して滞留ないし変向作用を与えにくく、
一方、リブ１０の高さが50mmを越えるものである
と、必要以上に血液流入部５において血液を滞留
させる場合があり、該貯血槽１におけるプライミ
ングボリユームが増大するためである。

このようなリブ１０は、貯血槽１のハウジング
本体７を成形する際、例えば、射出成形する際に
一体的にハウジング本体７より突出させて形成し
ても、また、別体的に成形されたリブ１０部材を
ハウジング本体７の所定の部位に高周波融着、熱
融着あるいは接着剤を介しての接着などにより固
定して形成してもよい。しかしながら、いずれの
場合においてもリブ１０は、血液流入部５の血液
流路においてハウジング本体７の底面と離間され
ることなく液密に密着されて存在すべきである。

このような構成を有する本発明の貯血槽は、人
工肺の体外循環血液回路中に設けられるが、例え
ば、第３図に示すように人工肺および熱交換器と
一体化された人工肺装置となされることにより好
適に用いられる。

第３図に示す実施態様において、人工肺１１
は、円筒状のハウジング本体１２とその両解放端
部を閉鎖する取付けカバー１３ａ，１３ｂとから
なるハウジングを具備してなり、ハウジング内に
は全体に広がつて多数の中空糸膜１４がハウジン
グの長手方向に沿つて並列的に相互に離間配置さ
れている。そしてこの中空糸膜１４の両端部はそ
れぞれの開口が閉塞されない状態で隔壁１５ａ，
１５ｂによりハウジング本体１２に液密に保持さ
れている。また、一方の取付けカバー１３ａとハ
ウジング本体１２と隔壁１５ａとで形成される中
空糸膜の内部空間に連通するガス流入空間１６に
はガス流入ポート１７が、他方の取付けカバー１
３ｂとハウジング本体１２と隔壁１５ｂとで形成
される中空糸膜の内部空間に連通するガス流出空
間１８にはガス流出ポート１９がそれぞれ連通し
て設けられている。さらに、ハウジング本体１２
内壁と両隔壁１５ａ，１５ｂと中空糸膜１４外壁
とで構成される血液室２０には血液流入口２１お
よび血液流出口２２が連通して設けられている。

この実施態様において示される人工肺１１は、
中空糸膜１４の内部空間に空気等の酸素含有ガス
を吹送し中空糸膜１４の外側に血液を流してガス
交換を行なうタイプのものであるが、この他に中
空糸膜の内部空間に血液を流し中空糸膜の外側に
酸素含有ガスを流してガス交換を行なうタイプの
ものあるいはガス交換膜が平膜型のタイプのもの
などの人工肺も用いられ得る。このような人工肺
のうち好ましくは、本実施態様において示される
ような中空糸膜の外側に血液を流すタイプのもの
であり、このタイプの人工肺を用いれば、圧力損
失が少ないため循環回路中の人工肺の前に送血ポ
ンプを設ける必要はなく、人体からの落差のみに
よる脱血にて血液を人工肺にさらには貯血槽に送
ることが可能となる。

そして、この人工肺１１の血液流出口２２に
は、前記したような構成を有する貯血槽１の血液
導入口２が液密に接続されている。人工肺１１の
血液流出口２２と貯血槽１の血液導入口２との液
密な接続は、例えば、ねじ嵌合、テーパー嵌合、
Ｏリングを介しての嵌合などの液密な嵌合あるい
は、超音波ないしは高周波接着、接着剤を介して
の接着などの液密な接着等によりおこなわれる。

一方、人工肺の血液流入口２１には、熱交換器
２３が取付けられている。熱交換器２３にはケー
シング２４内に多数の熱交換用管体２５がケーシ
ング２４の長手方向に沿つて並列的に相互に離間
配置され、そしてこの熱交換用管体２５の両端部
はそれぞれの開口が閉塞されない状態で隔壁（図
示せず）によりケーシング２４側壁に液密に保持
されている。そしてこの隔壁とケーシング２４側
壁と熱交換用管体２５外壁とで形成される空間２
６には、血液入口ポート２７および前記人工肺１
１の血液流入口２１が連通しており、一方、該空
間２６と液密に区画された熱交換用管体２５の内
部空間には、ケーシング２４の片方の隔壁の外側
に連通する水入口ポート２８および同様にケーシ
ング２４の他方の隔壁の外側に連通する水出口ポ
ート（図示せず）がそれぞれ連通するものとされ
ている。従つて、この実施態様に示される熱交換
器２３は、血液入口ポート２７より熱交換器２３
に血液が流入し熱交換用管体２５の外側を流れ、
そのとき水入口ポート２８より熱交換用管体２５
の内部には温水または冷水が流れて、熱交換用管
体２５に接触する血液を加温したり冷却したりす
るものである。しかしながら、熱交換用管体の内
部に血液を流し熱交換用管体の外部に冷却もしく
は加温媒体を流す方式の熱交換器を同様に用いる
ことも可能である。

またこの人工肺装置においては、熱交換器２３
および貯血槽１にはそれぞれ温度測定用プローブ
挿入口２９，３０が設けられている。

このように貯血槽１を人工肺１１および熱交換
器２３と一体化した人工肺装置において、血液流
入ポート２７より熱交換器２３内部に流入した血
液は人工肺１１の血液流入口２１に至る間に加温
または冷却され、そして人工肺１１の血液流入口
２１から流入した血液は血液室２０を通る間に中
空糸膜１４を介して中空糸膜１４の内部空間を流
通する酸素含有ガスとガス交換を行ない、血液中
の過剰な二酸化炭素が除去され、消費された酸素
が添加される。酸素を添加された血液は、人工肺
１１の血液流出口２２から流出し、連通する貯血
槽１の血液導入口２から貯血槽１内に流入する。
血液導入口２より導入された血液は血液流入部５
の途中に設けられた消泡部材４へと至る。血液が
消泡部材４と接触する際、上述したように本発明
の貯血槽１においては該消泡部材４の貯血部側面
に接しかつ血液流入部５の血液流路の全幅域にわ
たつて存在する血液流入部５の底面より突出する
リブ１０が設けてあるために、血液は消泡部材４
と接触した状態で一時的に滞留しまた変向され、
消泡部材４を通過するのに充分な時間および接触
面積ないし接触頻度が与えられることになる。消
泡部材４との接触において、血液中に含まれてい
る気泡は消泡部材４の発泡体のセルに接触し複数
の気泡が合体して成長し血液中より貯血槽１内部
の上方空間へと移動し除去されるが、本発明の貯
血槽１においては、前記のごとくリブ１０の作用
により血液の消泡部材５部位の通過時間が充分長
いものとされかつ接触面積ないし接触頻度も充分
に大きいものとされるゆえに消泡部材４による気
泡の除去作用は充分なものとなる。消泡部材４に
より気泡を除去された血液は、血液流入部５より
貯血部６へと移動し、一時的に貯血部６に貯溜さ
れた後、貯血部５の下部に設けられた血液導出口
３より導出され送血される。

（実施例） 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説
明する。

実施例および比較例 貯血槽１のハウジングとして、容量が４で、
第１図に示すような形状を有し、その血液流入部
５が長さ30mm、幅160mmで平坦な底面を有するも
のを用いた。また血液流入部５の途中には第１〜
２図に示すようにその血液流路を横切りかつ血液
流路の全幅域にわたつて存在し、血液流入部５の
底面より高さ３mmで突出するリブ１０が設けられ
ていた。さらにこのハウジング内には、血液流入
部５に13メツシユのポリウレタンフオーム（厚さ
15mm）を血液導入口２側にまた８メツシユのポリ
ウレタンフオーム（厚さ15mm）を貯血部６側にし
て密着させてなる消泡部材４を、前記リブ１０に
その貯血部側面が接するように設置した。

このような構成を有する貯血槽１を第６図に示
すようにローラーポンプ５１を介して、容量20
の別の血槽５２と接続して実験回路を組立てた。
この実験回路を用いて血流量４／min.で血液
還流試験を行ない、貯血槽１の貯血部６における
血液中への気泡の混入の度合を調べた。

一方、比較のために血液流入部の底面より突出
するリブを有さない以外は実施例と同様の構成を
有する貯血槽を用いて、実施例と同様に実験回路
を組立てて血液還流試験を行ない、貯血槽の貯血
部における血液中への気泡の混入の度合を調べ
た。

この結果、リブを有しない貯血槽を用いた比較
例と比べて、血液流入部の底面より突出するリブ
を有する貯血槽を用いた実施例においては消泡部
材による高い除泡効果が得られ、貯血部に流入す
る気泡は実質的に皆無であつた。

（発明の効果） 以上述べたように、本発明は、長さ方向におい
て底面がほぼ水平な上底部より所定の高低差をも
つて漸次下降して下底部へと至る形状を有し、血
液導入口が前記上底部に鉛直上方に向けて開口さ
れており、この血液導入口に連続する前記上底部
におけるほぼ落差のない血液流路を血液流入部と
して有し、この血液流入部に連続して前記上底部
と下底部との高低差によつて生じる空間を貯血部
として有し、また血液導出口が前記貯血部の下部
に設けられてなる硬質材料により形成されたハウ
ジング内に、該血液流入部の血液流路を全幅域に
わつたつて横切る消泡部材を設けてなるハードシ
エル型貯血槽であつて、前記消泡部材の貯血部側
の面に接しかつ前記血液流入部の血液流路の全幅
域にわつたつて存在し、血液流入部の底面より突
出したリブを設けたことを特徴とする貯血槽であ
るから、該貯血槽を体外循環血液回路に組入れて
使用した際に、血液導入口より気泡を含んだ血液
が貯血槽内に導入されても前記リブの作用により
消泡部材に該血液をより充分な時間より高い接触
面積ないしは接触頻度をもつて接触させることが
でき、消泡部材での気泡除去作用を確実なものと
してより安全な血液の体外循環を可能とするもの
である。さらに本発明の貯血槽において、リブの
高さが１〜50mmであると上記のごとき効果はより
顕著なものとなり一層優れた貯血槽となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の貯血槽の一実施例を表わす縦
断面図、第２図は同実施例の−線横断面図、
第３図は本発明の貯血槽の一実施例を組込んだ人
工肺装置を表わす一部断面正面図、第４図は本発
明の別の実施例の血液流入部における横断面図、
第５図は貯血槽の一比較態様の構造を表わす血液
流入部における横断面図、第６図は血液還流実験
に用られた実験回路を示す図であり、また第７図
は従来の貯血槽の概略構造を表わす縦断面図であ
る。 １……貯血槽、２……血液導入口、３……血液
導出口、４……消泡部材、５……血液流入部、６
……貯血部、７……ハウジング本体、８……蓋
体、９……係止部、１０……リブ、１１……人工
肺、２３……熱交換器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 長さ方向において底面がほぼ水平な上底部よ
   り所定の高低差をもつて漸次下降して下底部へと
   至る形状を有し、血液導入口が前記上底部に鉛直
   上方に向けて開口されており、この血液導入口に
   連続する前記上底部におけるほぼ落差のない血液
   流路を血液流入部として有し、この血液流入部に
   連続して前記上底部と下底部との高低差によつて
   生じる空間を貯血部として有し、また血液導出口
   が前記貯血部の下部に設けられてなる硬質材料に
   より形成されたハウジング内に、該血液流入部の
   血液流路を全幅域にわつたつて横切る消泡部材を
   設けてなるハードシエル型貯血槽であつて、前記
   消泡部材の貯血部側の面に接しかつ前記血液流入
   部の血液流路の全幅域にわつたつて存在し、血液
   流入部の底面より突出したリブを設けたことを特
   徴とする貯血槽。 ２ リブの高さが１〜50mmであることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項に記載の貯血槽。