JPH0415399Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔本考案の技術分野〕 本考案は、金属、合金などの鋳片を、鋳型ベル
トによつて連続的に鋳造するための装置における
該鋳型ベルトの冷却器に関する。

〔背景技術〕

従来から鋳型ベルトによつて金属や合金などの
鋳片を連続的に鋳造する装置は知られている。こ
れは水冷されている一対の鋳型ベルト間に溶湯を
流下させ、該溶湯は水冷ベルトにより熱がうばわ
れ、ベルトの接触面から凝固して鋳片を成長させ
るようにしたものである。

ところで、この鋳型ベルトの冷却手段として
は、溶湯と接触する面の裏面に冷却水路を設け、
この水路内に冷却水を導入して冷却するのが好ま
しいが、この形式の冷却器では、冷却水路内に冷
却水圧が生じ、これが鋳型ベルトに押圧力を与え
ることとなり、その結果、該ベルトの形状（平面
度）が不安定になる欠点を有する。

〔本考案の目的〕

そこで、本考案は、上記欠点を解消するベルト
式連続鋳造装置のベルト冷却器を提供することを
目的とするものである。すなわち、本考案の目的
は、鋳型ベルトに加わる冷却水圧を減少するベル
ト式連続鋳造装置のベルト冷却器を提供するにあ
る。

〔本考案の構成〕

そして、本考案は、上記目的を達成する手段と
しで、冷却器内の冷却水路出口に排水吸引装置を
配設した点にある。すなわち、本考案は、鋳型ベ
ルトを下方に移動する双ベルト式連続鋳造装置の
冷却器において、冷却器の周囲壁の先端を鋳型ベ
ルトに摺接させ、冷却器内に鋳型ベルトに対向す
る平板を設け、この平板と鋳型ベルトの間に冷却
水路を形成し、上記冷却器の下部に冷却水の供給
管を接続するとともに、上部に冷却水の排水管を
接続し、かつ、排水管に排水吸引装置を接続した
ことを特徴とする双ベルト式連続鋳造装置の冷却
器である。

本考案において、鋳型ベルトを冷却する水路、
すなわち、冷却水路は、これに両側端が摺接する
冷却器壁により囲まれて、構成されている。そし
て、本考案は、冷却水がこの冷却水路を充満して
下から上に流れる冷却器によつて鋳型ベルトを冷
却する形式のベルト式連続鋳造装置のベルト冷却
器であり、この冷却器内の冷却水路出口に排水吸
引装置を配設したものである。

以下本考案を第１〜４図に基づいて詳細に説明
する。第１図は本考案の実施例であるベルト式連
続鋳造装置の側面図（第２図及び第３図−線
断面図）であり、第２図は第１図の−線断面
図であり、第３図は第１図の−線矢視図であ
る。第１〜３図において、プーリ２，３のいずれ
かが図示せぬ駆動装置につながつて、回転力を与
えられるようになつている。また、これらのプー
リ２，３は対をなし、これらに巻掛けられたベル
ト１に張力を与え、両プーリ２，３間のベルト１
を平面に保ちながら移動させる。

２つのベルト１の対向平面は互いに平行で、両
端に近い側部で短辺鋳型４を挾んでいる。これら
２つのベルト平面と２つの短辺鋳型４で囲まれた
空間がいわゆる鋳型空間を形成している。該鋳型
空間は上下が開放されており、上方から溶湯１０
を供給し、凝固物１１を下方から連続的に引出す
ことができるように構成されている。

鋳型空間の上方にはタンデイシユ９が設置され
ている。タンデイシユ９の底の、鋳型空間の真上
の位置には、タンデイシユノズルが設けられてい
る。

鋳型空間を構成しているベルト１の溶湯１０に
接触する側を表とすると、裏側にはベルト冷却器
が配置されている。

ベルト１に接しながら冷却水が流通するのはベ
ルト１と平板１２との間に形成される冷却水路５
においてである。

この水路５には、冷却水が平板１２の下の入口
５ａの部分から流入し、平板１２の上の出口５ｂ
から流出する。冷却器本体への冷却水の供給は給
水管６から行われ、排水は排水管７から行われ
る。

排水管７には、排水吸引装置が組込まれてい
る。本考案で使用する具体的な排水吸引装置を第
４図ａ〜ｄに示す。これらは次の２種類に大別さ
れる。

(1) 噴射水ポンプを排水管管路に組込んだもの これは、第４図ａに示すように、排水管７に噴
射水ポンプ８を直結させたものである。

(2) サイホン原理を排水管路に応用したもの これらは排水管路に下降管部７ｂを設けサイホ
ン作用が生じるようにしたものである。第４図ｂ
〜ｄの各例は、排水管７の端末開口から外気に侵
入するのを防ぐ方策を異にするものであつて、吸
引作用の原理は共通である。そして、第４図ｂは
下降管７ｂの下部を上向きに曲げた構造のもので
あり、第４図ｃは下降管７ｂの下端部を絞つた構
造のものであり、第４図ｄは下降管７ｂのプール
内の水に浸漬した構造のものである。

第１〜３図に示すベルト式連続鋳造装置におい
て、図示せぬとりべによつて運ばれて来た溶湯１
０は、タンデイシユ９に注入され、その底部のタ
ンデイシユノズルから鋳型空間へ流入する。

鋳型空間を囲む水冷ベルト１は溶湯１０から熱
を奪い、ベルト１の接触面から凝固物１１を成長
させる。

鋳型空間を構成しているベルト１は降下してい
るので、これと共に移動する凝固物１１の厚さは
下に行くほど厚くなり、逐には両方のベルト１か
ら別々に成長したものが合体して一体化した鋳片
となる。

一方、図示しないポンプに連結されている給水
管６から冷却器内に流入した冷却水は、冷却水路
５の入口５ａから冷却水路５の出口５ｂに向つて
流れる間に、鋳型ベルト１の裏面と接触し該面か
ら熱を奪う。冷却水路５の出口５ｂを出た冷却水
は排水管７を通つて第４図ａ〜ｄに示す排水吸引
装置により吸引排出される。第４図ａ〜ｄに示す
排水吸引装置の排水作用は次の通りである。第４
図ａでは、図示しない駆動水ポンプで駆動水供給
管８ａから、この噴射水ポンプ８に高速水流を供
給すると、排水取入口に吸引圧が発生し、冷却器
内の冷却水圧を低下させることができるものであ
る。また、第４図ｂ〜ｄでは、冷却水路５の出口
５ｂから排水管７の端部開口７ａに至る排水管路
に排水が充満すると出口５ｂには水頭差Ｈによる
圧力から管路流動抵抗による圧力を差引いた圧力
が吸引圧として作用し、冷却器内の冷却水圧を低
下させることができるものである。そして、第４
図ｂの排水管端末形式の作用上の特徴は、排水管
端末を上向きに曲げ、開口７ａで上昇流として排
水しているので、排水管路へ外気が侵入せず、安
定したサイホン作用が継続するものであり、また
第４図ｃでは、排水管端末を絞つているので、排
水管路へ外気が侵入しにくくなり、サイホン作用
が安定する。また、第４図ｄでは排水管端末をプ
ール内の水中に浸漬させたので排水管路へ外気が
侵入することなく、安定したサイホン作用が継続
するものである。

〔本考案の効果〕

本考案は、以上詳記したように、鋳型ベルトの
冷却器内の冷却水路の出口に排水吸引装置を配設
したものであるから、冷却器の冷却水路出口に排
水管から吸引圧力を作用させることができ、冷却
水路全体の水圧を低下させることができる。これ
により、鋳型ベルトは全体的に、溶湯圧によつて
冷却器側に押付けられることになり、鋳型ベルト
の形状（平面度）を安定化させることができる顕
著な効果が生ずるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例であるベルト式連続鋳
造装置の側面図（第２図及び第３図−線断面
図）であり、第２図は第１図の−線断面図で
あり、第３図は第１図の−線矢視図である。
第４図は本考案で使用する具体的な排水吸引装置
の例を示す図であり、第４図ａは噴射水ポンプを
排水管管路に組込んだ例を、第４図ｂ〜ｄはサイ
ホン原理を排水路に応用した例を示している。 １……ベルト、２……プーリ、２ａ……回転方
向、３……プーリ、３ａ……回転方向、４……短
辺鋳型、５……冷却水路、５ａ……入口、５ｂ…
…出口、６……給水管、７……排水管、７ａ……
端部開口、７ｂ……下降管、７ｃ……自由表面、
８……噴射水ポンプ、８ａ……駆動水供給管、９
……タンデイシユ、１０……溶湯、１１……凝固
物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋳型ベルトを下方に移動する双ベルト式連続鋳
   造装置の冷却器において、冷却器の周囲壁の先端
   を鋳型ベルトに摺接させ、冷却器内に鋳型ベルト
   に対応する平板を設け、この平板と鋳型ベルトの
   間に冷却水路を形成し、上記冷却器の下部に冷却
   水の供給管を接続するとともに、上部に冷却水の
   排水管を接続し、かつ、排水管に排水吸引装置を
   接続したことを特徴とする双ベルト式連続鋳造装
   置の冷却器。