JPH04128952U - 自動車用バンパ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】バンパ本体を大型化することなく衝突エネルギ
吸収性能の向上をはかり、バンパ本体の復元可能な衝突
荷重値を高くする。 【構成】バンパフェイス１と発泡ポリプロピレン等の衝
撃吸収材３と合成樹脂製のバックアップビーム２とから
なる合成樹脂製バンパにおいて、バックアップビーム２
をバンパステー５に所定ストローク後方移動可能なるよ
う取付け、バックアップビーム２とバンパステー５との
間に合成樹脂製ハニカム１０を介在させる。そして衝突
時は、ハニカム１０がバンパフェイス１及び衝撃吸収材
３より先に圧縮破壊をはじめ、その破壊座屈ストローク
にて衝突エネルギの吸収を行う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車用バンパに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、車両重量の軽量化の目的から従来の板金製にかえて合成樹脂製のバンパ が用いられるようになり、合成樹脂製のバックアップビームと、その前面を覆う ように配設されるバンパフェイスと、該バックアップビームとバンパフェイスと の間に介装される発泡ポリプロピレンよりなる衝撃吸収材とにより合成樹脂製バ ンパを構成したものは従来より公知である（例えば特開平２−１７５４５１号公 報参照）。この合成樹脂製バンパは、バックアップビームの左右２箇所を、車体 に固着した左右のバンパステーの前部にボルト，ナットにより締付固着して、車 体に取付けられるものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような合成樹脂製バンパにおいては、実際に衝撃が加わったときに力が 作用するのは車体への取付部（バンパステーへの取付部）だけであるにもかかわ らず、従来のものでは一度衝撃吸収材がつぶれるとバンパ全体の交換の必要性が 生じてしまうという課題がある。

【０００４】 本考案は上記従来の課題に対処することを主目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、衝突時の荷重により圧縮弾性変形するバンパフェイス又はバンパフ ェイスと発泡ポリプロピレン等の衝撃吸収材との組合せよりなるバンパ本体と、 該バンパ本体の圧縮変形荷重を受ける合成樹脂製のバックアップビームとからな り、該バックアップビームをバンパステーにて車体に取付支持した自動車用バン パにおいて、バックアップビームを後方に所定ストローク移動可能なるようバン パステーに取付け、該バックアップビームの前面裏側とバンパステーの前面との 間に、圧縮破壊がはじまる荷重が上記バンパ本体のつぶれ破壊の荷重より小なる 例えば合成樹脂製ハニカム等のエネルギ吸収材を介在させたことを特徴とするも のである。

【０００６】

【作用】

上記により、衝突時バンパ本体が圧縮弾性変形しその反力がバックアップビー ムに作用すると、バックアップビームはエネルギ吸収材を圧縮弾性変形させつつ バンパステーに対し後方に移動し、バンパ全体として衝突エネルギ吸収性能が向 上する。更にバンパ本体が圧縮されると該バンパ本体がつぶれ破壊する前に、エ ネルギ吸収材の破壊がはじまり、該エネルギ吸収材の破壊座屈ストロークによっ て衝突エネルギの吸収が行われ、該エネルギ吸収材がヒューズ的な役割を果し、 バンパ本体の復元可能な衝突荷重が従来より高い値となる。

【０００７】

【実施例】

以下本考案の実施例を図面を参照して説明する。

【０００８】 図１はバンパの車体への取付部の縦断側面図であって本考案の実施例を示して いる。

【０００９】 図１において、１はバンパフェイス、２は合成樹脂製のバックアップビーム、 ３はバンパフェイス１とバックアップビーム２との間に介装された衝撃吸収材で あり、該衝撃吸収材３は例えば発泡ポリプロピレンにより構成される。

【００１０】 バックアップビーム２は前面２１と上面２２と下面２３とからなるコ字状断面 に構成され、左右２箇所においてバンパステー５により図示しない車体（例えば 車体フレーム）に取付け支持される。

【００１１】 該バックアップビーム２の上面２２及び下面２３に設けられる取付穴２２ａ及 び２３ａは、前後方向の長穴に構成され、ボルト８とナット９との締付けによっ てバンパステー５に取付けられたバックアップビーム２は上記長穴の範囲内でバ ンパステー５に対し後方にスライド移動可能なる構造となっており、又バンパス テー５の前面５１とバックアップビーム２の前面２１との間には合成樹脂製のハ ニカム（以下樹脂ハニカムと称す）１０が介装され、該樹脂ハニカム１０により バックアップビーム２の後方移動を抑止した構造となっている。

【００１２】 ４はサブビームであり、該サブビーム４はバックアップビーム２の上部に沿う よう車体部材に固設され、バンパフェイス１の上部内側に突設したリブ部１ａを 該サブビーム４に図示しないクリップ等にて係止するものであるが、図示では該 サブビーム４をバンパステー５にバックアップビーム２と共締めにて取付固定し た例を示している。

【００１３】 即ち、サブビーム４の取付穴部には円筒状のスぺーサ６が下方に向けて一体的 に突設され、該スぺーサ６を前記長穴よりなる取付穴２２ａに挿し込んでサブビ ーム４をバックアップビーム２の上面２２に重ねる。又取付部材１１のボルト挿 通穴部には円筒状のスぺーサ７が上方に向けて一体的に突設され、該スぺーサ７ を前記長穴よりなる取付穴２３ａに挿し込んで取付部材１１をバックアップビー ム２の下面２３に重ねる。そしてバックアップビーム２の内側に樹脂ハニカム１ ０を嵌め込んで該バックアップビーム２をバンパステー５の先端部に嵌装し、上 記上下のスぺーサ６，７及びバンパステー５の上下の穴にボルト８を上から下ま で貫通させ、下側からナット９をねじ込み締付けて固定する。

【００１４】 すると、スぺーサ６の下縁及びスぺーサ７の上縁がバンパステー５の上面及び 下面に締付けられてサブビーム４と取付部材１１とはバンパステー５に剛結合さ れ、バックアップビーム２はサブビーム４とバンパステー５との間及び取付部材 １１とバンパステー５との間にそれぞれゆるく挟まれて、比較的ルーズにバンパ ステー５に取付支持され、且つバンパステー５の前面５１とバックアップビーム ２の前面２１の裏側との間に樹脂ハニカム１０が介在し、これによりバックアッ プビーム２は前後方向移動可能範囲の最前位置に保持される。

【００１５】 上記サブビーム４は、前述したようにバンパフェイス１の上部を取付支持し、 軽衝突時バックアップビーム２が変形してもそれとは無関係にバンパフェイス１ の上縁とその上方の車体との分割線を一定に保つためのものであるから、上記の ように車体に固着されたバンパステー５にバックアップビーム２とは無関係にし っかりと剛結合されることが必要である。又取付部材１１は、バックアップビー ム２の下面取付穴２３ａ周辺を抑えるに必要な面積をもち、主としてワッシャ的 な役割を果すと共に、その後端部にはバンパフェイス１の下部をクリップ１２に て係止するバンパフェイス支持部１１ａが設けられ、バンパフェイス下部支持機 能も果すものであり、又バックアップビーム２の下面後端に係合し、ナット締付 時の回り止め機能を果す係合部１１ｂも設けられている。

【００１６】 上記のようにサブビーム４をバックアップビーム２と共締めにてバンパステー ５に取付ける構造とすれば、サブビーム４の取付構造の簡略化及び取付工数の削 減をはかることができるという利益をもたらし得るが、本考案においては該サブ ビーム４をバンパステー５とは別の場所で車体に取付けたものであっても良いし 、又取付部材１１を省略したものであってもよい。このようにサブビーム４をバ ンパステー５以外の位置で車体に取付け、取付部材１１を省略した場合は、バッ クアップビーム２はスぺーサ６の上方フランジとバンパステー５の上面との間及 びスぺーサ７の下方フランジとバンパステー５の下面との間にゆるく挟まれて比 較的ルーズにバンパステー５に取付支持されるものとする。

【００１７】 上記のようにバックアップビーム２をバンパステー５に所定範囲後方移動でき るよう取付けると共に、バックアップビーム２の前面２１の裏側とバンパステー ５の前面５１との間に樹脂ハニカム１０を介在させた本考案のバンパの衝突時の 態様について、以下図２及び図３を参照して説明する。

【００１８】 通常状態では図２の（Ａ）に示すようにバックアップビーム２は樹脂ハニカム １０により最前位置に保持されている。

【００１９】 衝突により後向き荷重がバンパフェイス１に作用すると、荷重入力部付近の衝 撃吸収材３が圧縮弾性変形し、その反力がバックアップビーム２に作用する。す るとバックアップビーム２は図２の（Ｂ）に示すように樹脂ハニカム１０を圧縮 弾性変形させつつ後方に移動する。

【００２０】 更に衝撃吸収材３が圧縮弾性変形しバックアップビーム２にかかる後向き荷重 が増大すると、図２の（Ｃ）に示すように樹脂ハニカム１０が破壊し、バックア ップビーム２は最後端位置まで移動する。

【００２１】 上記において、後向きの荷重に対するバンパフェース１及び衝撃吸収材３から なるバンパ本体と樹脂ハニカム１０の圧縮変形ストロークの特性は、図３のａと ｂに示すようにそれぞれ設定されている。即ち図３に示すように樹脂ハニカム１ ０は荷重に対する圧縮ストロークの変化がバンパフェイス１及び衝撃吸収材３か らなるバンパ本体より小であって且つ破壊がはじまる荷重Ｐ1 がバンパ本体のつ ぶれ破壊の荷重Ｐ2 より小となるよう設定されている。

【００２２】 従って、バンパ全体としての荷重に対するストローク変化は上記ａとｂとを合 成した特性ｃとなり、衝突時のエネルギ吸収性能が向上すると共に、Ｐ1 ＜Ｐ2 に設定したことにより樹脂ハニカム１０がヒューズ的な役割を果し、バンパフェ イス１と衝撃吸収材３とからなるバンパ本体がつぶれ破壊する前に樹脂ハニカム １０の破壊がはじまり該樹脂ハニカム１０の破壊座屈ストロークによって衝突エ ネルギの吸収が行われるものであり、該樹脂ハニカム１０のみが破壊したような 衝突であると、バンパ全体の交換は不要となり、該樹脂ハニカム１０の交換のみ ですむものである。

【００２３】 上記の本考案の構成を採用すれば、８Km/Hよりやや大なる車速での衝突時でも バンパは復元可能となる。

【００２４】 以上の実施例では、バンパフェイスと発泡ポリプロピレン等の衝撃吸収材とか らなるバンパ本体の衝突荷重を合成樹脂製のバックアップビームにて受ける形式 の樹脂製バンパに本考案を適用した例を示しているが、本考案はバンパ本体を裏 側に適宜リブを突設した合成樹脂製のバンパフェイスだけにより構成し、該バン パフェイスの上下面後端部を合成樹脂製のバックアップビームに係止保持させ、 衝突時の衝撃吸収を該バンパフェイスの弾性変形により行うようになっている空 胴タイプの樹脂製ダンパにも適用することができる。

【００２５】 尚樹脂ハニカム１０は、図３のｂに示すような特性をもった任意のエネルギ吸 収材に代えることができる。

【００２６】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、バンパフェイスと衝撃吸収材とバックアップビ ームとからなる合成樹脂製バンパ又はバンパフェイスとバックアップビームとか らなる空胴タイプの合成樹脂製バンパにおいて、バックアップビームをバンパス テーに所定ストローク後方に移動可能なるよう取付け、該バックアップビームの 前面裏側とバンパステーの前面との間に、圧縮破壊がはじまる荷重が上記バンパ フェイスと衝撃吸収材又はバンパフェイスのみからなるバンパ本体のつぶれ破壊 の荷重より小なる合成樹脂製ハニカム等のエネルギ吸収材を介在させたことによ り、衝突時上記バンパ本体の弾性圧縮変形に伴ないバックアップビームがエネル ギ吸収材を弾性圧縮変形させつつ後方に移動し、バンパ本体を大型化することな く衝突エネルギ吸収性能の向上をはかり得ると共に、バンパ本体がつぶれ破壊す る前にエネルギ吸収材の破壊がはじまりその破壊座屈ストロークによって衝突エ ネルギの吸収が行われるというヒューズ的な役割を上記エネルギ吸収材が果し、 バンパの復元可能な衝突荷重を高くでき、且つエネルギ吸収材だけが破壊したよ うな衝突であるとバンパ全体の交換は不要でエネルギ吸収材のみの交換ですむも のであり、実用上多大の効果をもたらし得るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すもので、バンパ取付部
の縦断側面図である、

【図２】衝突時の態様を順次示す断面図であり、（Ａ）
は衝突前，（Ｂ）は衝突初期，（Ｃ）は衝突末期をそれ
ぞれ示している。

【図３】衝突時の発生荷重に対するバンパフェイスと衝
撃吸収材とからなるバンパ本体及び樹脂ハニカムの各圧
縮ストローク特性と、これらを合成した圧縮ストローク
特性をそれぞれ示す図である。

【符号の説明】

１ バンパフェイス ２ バックアップビーム ３ 衝撃吸収材 ５ バンパステー ８ ボルト ９ ナット １０ 合成樹脂製ハニカム ２２ａ 取付穴 ２２ｂ 取付穴

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 バンパフェイス又はバンパフェイスと衝
   撃吸収材とからなるバンパ本体と、衝突時における該バ
   ンパ本体の圧縮変形荷重を受ける合成樹脂製のバックア
   ップビームとからなり、該バックアップビームをバンパ
   ステーにて車体に取付支持した自動車用バンパにおい
   て、バックアップビームをバンパステーの後方に所定ス
   トローク移動可能なるよう取付け、該バックアップビー
   ムの前面裏側とバンパステーの前面との間に、圧縮破壊
   がはじまる荷重が上記バンパ本体のつぶれ破壊の荷重よ
   り小なるエネルギ吸収材を介在させたことを特徴とする
   自動車用バンパ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載したエネルギ吸収材は、
   合成樹脂製のハニカムであることを特徴とする自動車用
   バンパ。