JPH04121477U - フリーピストン型コンプレツサー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス圧縮室の体積効率を向上すると共に、ピ
ストンロッドの軸封止を簡単化したフリーピストン型コ
ンプレッサーの提供。 【構成】 シリンダに嵌装したピストン１４の一面に対
向して吸入弁１９および吐出弁２０を備えた弁板１８を
設けてガス圧縮室２２を構成し、ピストン１４の他面側
に閉じたガススプリング室２１を形成し、ピストン１４
の他面に結合したピストンロッド１３をガススプリング
室２１から外部に導出すると共に導出部に軸シールを設
けたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、フリーピストン型コンプレッサーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

米国特許第４７８１５４６および４８３６７５７に示されているように、シリ ンダ室に嵌装したピストンを往復動自在に支持し、リニアモータのような往復動 力発生装置によって往復動力をピストンに印加することによってピストンを往復 動させてガス圧縮を行うようにしたフリーピストン型コンプレッサーが知られて いる。この型のコンプレッサーの場合、ピストンがフリーであるので、ピストン 移動の慣性力に抗するためにピストンの作動ガス圧縮室と反対側にガススプリン グ室を設けている。

【０００３】 すなわち、上記米国特許においては、シリンダ室に摺動可能に嵌装したピスト ンの一面に対向したシリンダ室端部に吸入弁および吐出弁からなる弁機構を設け て作動ガス圧縮室を形成し、該ピストンの一面に結合したピストンロッドを該作 動ガス圧縮室から前記弁機構を備えたシリンダ室端部壁を貫通して延在させ、該 シリンダ室外部にてリニアモータあるいはソレノイドにて該ピストンロッドに往 復動力を印加するようにしている。一方、ピストンの他面に対向したシリンダ室 の端部を閉じてガススプリング室を形成している。なお、シリンダ室の内壁の一 部に小溝を形成してピストンの移動中に作動ガス圧縮室とガススプリング室とを 連結させて両室間でガスの移動が行われるようにしている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記米国特許におけるフリーピストン型コンプレッサーでは、作動ガス圧縮室 中をピストンロッドが延在し、弁機構を設けた側のシリンダ壁を貫通して外部に 導出されているので、作動ガス圧縮室のデッドクリアランスが必然的に大きくな り、体積効率を十分高く出来ないとの問題点がある。また、弁機構の配置にも無 理があり設計上の困難がある。更に、ピストンロッドに沿ったガスの漏れを防止 するためにピストンロッドに軸封止を行う必要があるが、作動圧縮室の高圧に耐 えるための軸封止を行うことは容易ではない。

【０００５】 そこで、本考案の技術的課題は、デッドクリアランスを小さくでき体積効率が 良く、弁機構の配置にも無理が無く、しかもピストンロッドの軸封止も容易なフ リーピストン型コンプレッサーを提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、シリンダに摺動可能に嵌装したピストンおよびこれに結合したピス トンロッドを往復動自在に支持し、該ピストンの一面側を作動ガス圧縮室とし他 面側をガススプリング室とし、該ピストンおよびピストンロッドを往復動させる ために往復動力発生手段によって該ピストンロッドに往復動力を印加する構成と したフリーピストン型コンプレッサーにおいて、前記シリンダの前記ピストンロ ッドと反対側のピストンの前面に対向した端部に吸入弁および吐出弁からなる弁 機構を設けて該ピストンの前面側に作動ガス圧縮室を形成し、該シリンダの他端 側から前記ピストンロッドを軸封止して導出して該ピストンのピストンロッドと の結合側をガススプリング室としたことを特徴とするフリーピストン型コンプレ ッサーである。

【０００７】

【実施例】

図１は、本考案の１実施例の断面図である。同図を参照して、ケース１は、ガ スの吸入ポート２と吐出ポート３を有する密閉ケースである。ケース１内には、 支持枠４が固定配置されている。支持枠４は、中央の中空軸５と、該中空軸５の 上端から外部に張り出したフランジ部６と、該フランジ部６の周囲から下方に延 在する複数本の脚部７とを有している。支持枠４はこの脚部７にてケース１の内 壁に取り付けられている。

【０００８】 なお、支持枠４は振動吸収のためのスプリングを介してケース１に弾性的に取 り付け支持されていても良い。

【０００９】 中空軸５の周囲には内側および外側の界磁コア８および９が固定配置されてお り、外側の界磁コア９には界磁巻線１０が装着されている。この内外界磁コア８ 、９および界磁巻線１０によってリニアモータの固定子が形成されている。内外 界磁コア８および９の隙間には円筒状の磁石１１ａ、１１ｂ、１１ｃを連結した 可動子１１が軸方向に移動可能に配置されている。なお、この可動子１１の下端 には略円盤状のハブ部１２が取り付けられて、略Ｕ字形を成している。界磁巻線 １０に交番電流が印加されると界磁コア８，９に交番磁界が発生し、磁石から成 る可動子１１が往復動作する。

【００１０】 中空軸５内にはピストンロッド１３が摺動自在に嵌装されている。このピスト ンロッド１３の下端には、可動子１１の下端のハブ部１２が連結されている。こ のピストンロッド１３の上端にはピストン１４が取り付けられている。

【００１１】 支持枠４のフランジ部６上には円筒体１５が固定されており、この円筒体１５ には上記ピストン１４が摺動自在に嵌装されている。円筒体１５の上端には弁機 構が設けられている。この弁機構は、吸入孔１６と吐出孔１７とを有する弁板１ ８と、吸入孔１６の開閉を制御する吸入弁１９および吐出孔１７の開閉を制御す る吐出弁２０とから成る。かくして、フランジ部６と円筒体１５と弁機構とでシ リンダ室が構成されている。このうちフランジ部６と円筒体１５とピストン１４ とでガススプリング室２１が形成されており、円筒体１５と弁機構とピストン１ ４とで作動ガス圧縮室２２が形成されている。なお、円筒体１５の内壁には小溝 ２３が形成されており、ピストン１４の移動途中においてガススプリング室２１ と作動ガス圧縮室２２とが互いに連通するようになっている。

【００１２】 弁板１８上には、シリンダヘッド２４が取り付けられている。このシリンダヘ ッド２４は、吸入孔１６と連通した吸入室２５と、吐出孔１７と連通した吐出室 ２６とを形成している。シリンダヘッド２４には、吸入室２５とケース１の内室 ２７とを連通する連通孔２８を有している。この結果、吸入室２５は、連通孔２ ８、ケースの内室２７を介して吸入ポートと連通される。

【００１３】 シリンダヘッド２４は、その周囲に拡がったフランジ部２９を有している。一 方、支持枠４は、そのフランジ部６から円筒体１５の外側に立ち上がった筒状部 ３０を有しており、この筒状部３０の上端に前記シリンダヘッド２４のフランジ 部２９の外周端が接続されている。この結果、円筒体１５と、筒状部３０と、シ リンダヘッド２４とによって環状のバッファ室３１が形成されている。このバッ ファ室３１は、吐出室２６と連通孔３２を介して接続されており、また、連結管 ３３を介して吐出ポート３と接続されている。

【００１４】 中空軸５の上端および下端近くには、ピストンロッド１３の周囲を軸封止する シール３４および３５が、それぞれ、設けられている。また、ガススプリング室 ２１内のピストン１４とフランジ部６との間には、スプリング３６が設けられ、 更に、中空軸５とハブ部１２との間にもスプリング３７が設けられている。

【００１５】 以下に動作を説明する。

【００１６】 静止状態では、ピストン１４はスプリング３６と３７の作用により、図示の通 り、円筒体１５の内壁の小溝２３の位置にあり、作動ガス圧縮室１７とガススプ リング室２１が小溝２３によって連通されている。この結果、作動ガス圧縮室１ ７とガススプリング室２１とが同じガス圧力となっている。この状態で、界磁コ イル１０に交番電流が印加されると，前記したようにピストンロッド１３が上下 に往復動する。これにより、ピストン１４もシリンダ内で上下動することになる 。

【００１７】 ピストン１４が上昇するとき、作動ガス圧縮室１４の容積が減少し内部の作動 ガスが圧縮されて吐出孔１７を通して吐出弁３２を押し開き、吐出室２６に吐出 し、吐出室２６から連通孔３２、バッファ室３１、および連結管３３を通して吐 出ポート３に排出される。一方、ガススプリング室２１の容積は増大するので、 内圧が低下する。したがって、ピストン１４には上昇方向とは反対方向の背圧が 掛かり、ピストン１４の上昇方向の慣性移動を停止させる作用を果たす。

【００１８】 ピストン１４が下降するとき、作動ガス圧縮室２２は容積が増加し低圧となる ので、吸入弁１９が開き、吸入ポート２からケース１の内室２７、連通孔２８、 および吸入室２５、吸入孔１６を介して、作動ガス圧縮室２２内に作動ガスが吸 入される。一方、ガススプリング室２１は、容積が減少するので内圧が上昇する 。このとき、ピストン１４が小溝２３を通過するとき、ガススプリング室２１か ら作動ガス圧縮室２２にガスの一部が漏れるが、その後、残余のガスが更に圧縮 され、内圧が上昇するので、ピストン１４に下降方向とは反対方向の背圧が加わ ることになり、ピストン１４の下降方向の慣性移動を停止させる作用を果たす。

【００１９】 この結果、ピストン１４がフリー型であるにもかかわらず、ピストン１４が弁 板１８およびフランジ部６に衝突する恐れはない。

【００２０】 以上の実施例においては、作動ガス圧縮室２２は、弁板１８とピストン１４の 上面と円筒体１５の内面とで規定されるので、デッドクリアランスを最小にする ことが出来ると共に、体積効率を最大限にすることができる。また、弁板１８に は吸入孔１６、吐出孔１７、吸入弁１９および吐出弁２０が設けられるだけであ るので、弁機構の配置も容易である。更に、ピストンロッド１３は、比較的高圧 を必要としないガススプリング室２１を通って中空軸５内に導出されているので 、その軸封止のためのシールも容易である。

【００２１】 更に、ピストンおよびピストンロッドをスプリング３６および３７で偏寄させ てあるので、ガススプリングによる復元力を補正し確実な圧縮動作を得ることが 出来る。なお、スプリング３６と３７は、その一方を省略しても良い。

【００２２】

【発明の効果】 以上説明したように、本考案によれば、シリンダに摺動可能に嵌装したピスト ンおよびこれに結合したピストンロッドを往復動自在に支持し、該ピストンの一 面側を作動ガス圧縮室とし他面側をガススプリング室とし、該ピストンおよびピ ストンロッドを往復動させるために往復動力発生手段によって該ピストンロッド に往復動力を印加する構成としたフリーピストン型コンプレッサーにおいて、前 記シリンダの前記ピストンロッドと反対側のピストンの前面に対向した端部に吸 入弁および吐出弁からなる弁機構を設けて該ピストンの前面側に作動ガス圧縮室 を形成し、該シリンダの他端側から前記ピストンロッドを軸封止して導出して該 ピストンのピストンロッドとの結合側をガススプリング室としたので、デッドク リアランスを最小にすることが出来ると共に、体積効率を最大限にすることがで きる。また、作動ガス圧縮室にピストンロッドが存在することはないので、弁機 構の配置も容易である。更に、ピストンロッドは、比較的高圧を必要としないガ ススプリング室を通って導出されているので、その軸封止のためのシールも容易 であるとの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例によるフリーピストン型コン
プレッサーの断面図である。

【符号の説明】

１ ケース １３ ピストンロッド １４ ピストン １９ 吸入弁 ２０ 吐出弁 ２１ ガススプリング室 ２２ 作動ガス圧縮室

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダ室に摺動可能に嵌装したピスト
   ンおよびこれに結合したピストンロッドを往復動自在に
   支持し、該ピストンの一面側を作動ガス圧縮室とし他面
   側をガススプリング室とし、該ピストンおよびピストン
   ロッドを往復動させるために往復動力発生手段によって
   該ピストンロッドに往復動力を印加する構成としたフリ
   ーピストン型コンプレッサーにおいて、前記シリンダの
   前記ピストンロッドと反対側のピストンの前面に対向し
   た端部に吸入弁および吐出弁からなる弁機構を設けて該
   ピストンの前面側に作動ガス圧縮室を形成し、該シリン
   ダの他端側から前記ピストンロッドを軸封止して導出し
   て該ピストンのピストンロッドとの結合側をガススプリ
   ング室としたことを特徴とするフリーピストン型コンプ
   レッサー。