JPH0411945A - 気相用微生物吸着材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、気体中に存在する微生物を吸着する気相用微
生物吸着材に関する。

［従来技術］ 従来、マスクやエアフィルタなどに活性炭、ゼオライト
などの吸着材を担持させて、気体中に含まれる他の有害
物質や塵埃と共に、ウィルス、バクテリアなどの微生物
を捕集することが行われていた（特開昭５３−５６８９
４号）。しがし、この方法では微生物を優先的、あるい
は選別的に捕集することはできず、微生物の捕集能力も
十分ではなかった。

一方、水処理などの分野では微生物を吸着する樹脂を用
いて微生物を捕集する試みが成されており、特公昭６２
−４１６４１号公報には、非常に高い微生物吸着能を有
する樹脂として橋がけポリビニルピリジニウムハライド
からなる不溶性高分子化合物が報告されている。しかし
、この樹脂は３次元的な架橋構造を持つため、溶液状と
することが難しく、加工が困難であり、ビーズ状などの
特定の形状でしか使用できなかった。

このため、本発明者らは上記樹脂の微生物吸着能を残し
、かつ加工性を高めるために、溶剤可溶型のビニルピリ
ジニウムハライド共重合体を開発し、これを基材に付着
せしめた微生物吸着材を特願平１−１８１５７６号にお
いて提案した。この微生物吸着材は溶剤には可溶で基材
への加工が容易であるため、多孔質基材などの表面積の
高い基材の表面に付着させれば高い微生物吸着能が得ら
れ、しかも水には不溶であるため水系における微生物吸
着材として優れていた。ところが、上記樹脂が微生物を
吸着するためには水分の存在が不可欠であり、水系では
非常に有効な微生物吸着材も、気相では微生物吸着能が
低下して利用することができなかった。

［発明が解決すべき課題］ 本発明は上記従来技術の欠点を解消すべくなされたもの
であり、水系において優れた微生物吸着能を有する微生
物吸着材を改良し、気相においても優れた微生物吸着能
を発揮する気相用微生物吸着材を提供することを課題と
する。

［課題を解決する手段］ 本発明は、一般式、 Ｒ□ （ただし、式中Ｒ工はベンジル基、Ｃ４〜Ｃｓｓのアル
キル基またはペンタフルオロフェニルメチル基、Ｒ重は
水素原子またはＣ１〜Ｃコのアルキル基、Ｘはハロゲン
原子、Ｙは水素原子、０１〜Ｃ３のアルキル基、ベンジ
ル基、エーテル基、カルボキシル基、カルボン酸エステ
ル基またはアリール基）で表わされるビニル系共重合体
と保湿剤とが、基材の表面に付着していることを特徴と
する気相用微生物吸着材に関する。

［作用］ すなわち、本発明の気相用微生物吸着材においては、上
記のビニル系共重合体と保湿剤とが基材に付着している
ため、保湿剤の作用によって所定の水分７が基材表面に
存在しており、この水分によって上記ビニル系共重合体
の微生物を吸着する官能基が活性状態を維持し、気相に
おいても高い微生物吸着能を発揮するのである。

また、上記ビニル系共重合体は水には不溶または難溶で
ありながら、有機溶剤には可溶であって、これを溶液と
することができるので、所望の基材への含浸やコーティ
ングなどの加工が容易に行える。このため、基材に多孔
質基材などの表面積の大きなものを選ぶことによって、
少量の上記ビニル系共重合体で多量の微生物を吸着する
ことが可能となる。

本発明には、４−ビニルピリジンとモノビニルモノマー
とを共重合した後、ハロゲン化物を作用させて得られる
、下記の一般式で表わされるビニル系共重合体が使用さ
れる。

Ｉ ただし、式中Ｒ１はベンジル基、０４〜Ｃ１６のアルキ
ル基またはペンタフルオロフェニルメチル基、Ｒ２は水
素原子または０１〜Ｃコのアルキル基、Ｘはハロゲン原
子、Ｙは水素原子、Ｃ３〜Ｃａのアルキル基、ベンジル
基、エーテル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル
基またはアリール基である。また、このビニル系共重合
体はランダム共重合体またはブロック共重合体である。

共重合に使用するモノビニルモノマーとしては、エチレ
ン、プロピレン、ブテンなどのモノオレフィン、スチレ
ン、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メ
タクリル酸、メタクリル酸エステル、脂肪族ビニルエス
テル、アクリロニトリル及びこれらの誘導体などがある
が、これらに限らす、種々のものが単独または組合せて
使用できる。

この４−ビニルピリジンとモノビニルモノマーとの比率
、すなわち、ｎ：ｍの割合は、使用されるモノビニルモ
ノマーの種類や、重合度によっても異なるが、大略１０
：９０〜９０：１０の範囲にあるのが望ましい。この範
囲よりも４−ビニルとリジンの割合が少ないと十分な微
生物吸着性が得られず、これより多いと得られる共重合
体が水溶性の高いものとなってしまい、例えば吸着材表
面の水分量が多い場合、上記ビニル系共重合体がこの水
分中に溶解して移動が生じたりする。

また、上記ビニル系共重合体の重合度は少なくとも３０
０以上であることが望ましく、これより重合度が低いと
、得られる共重合体の水溶性が高いものとなる。

上記モノビニルモノマーと４−ビニルピリジンとの共重
合体は、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、ハ
ロゲン化ペンタフルオロフェニルメチルなどのハロゲン
化物と反応させることにより、ピリジンを４級化し、次
式で表わされる官能基を形成する。

式：Ｘ−Ｒ，−Ｎ” この官能基が主体となって微生物を活性状態を維持した
ままで、吸着する働きをしているものと考えられる。こ
の機構は明らかではないが、この官能基は正に帯電して
おり、一般に微生物の細胞表面は負に帯電していること
から、静電気的な相互作用が一つの重要な因子であると
推定される。

この様にして得られた上記ビニル系共重合体は、有機溶
剤に溶かされて溶液とされ、コーティング、スプレー、
含浸などの手段により基材に付着加工される。有機溶剤
としては、アルコール類、エステル類、フェノール類、
エーテル類などが使用できるが、取り扱いやすさなどの
点から考えて、アルコール類を使用することが望ましい
。

基材に対する上記ビニル系共重合体の付着量は特に限定
されないが、ビニル系共重合体の付着厚さが０．００１
〜１μｍの範囲にあることが望ましいので、基材に対し
ておおよそ０．００１〜１００重量％の付着範囲となる
のがよい。０．００１重量％以下では十分な微生物の吸
着効果が出す、１００重量％以上ではビニル系共重合体
の使用量が増す割には吸着効果は上がらず、不経済とな
る。

一方、本発明に使用する保湿剤としては、気体中の水分
を吸収する性質のものであればよく、例えば、塩化カル
シウム、塩化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩や
塩化リチウム、メタケイ酸カリウム、硫酸チタニウムな
どの潮解性物質、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸塩、ビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース
などの水溶性高分子、シリカゲル、ゼオライト、コラー
ゲン、エチレングリコール、五酸化ニリン、酸化マグネ
シウム、酸化カルシウムなどが適している。

保湿剤の基材への付着は、上記ビニル系共重合体の基材
への付着の前後、あるいは同時に行われる。とくに、保
湿剤の付着をビニル系共重合体と同時に行う場合には、
上述したビニル系共重合体の溶剤溶液中に保湿剤を共存
させれば良く、保湿剤が溶剤に溶解するものであればビ
ニル系共重合体と共に溶解し、溶解しないものであれば
ビニル系共重合体の溶液中に分散して使用する。

保湿剤の付着量は、保湿剤の種類や水分の吸着力によっ
て異なるが、上記ビニル系共重合体の量に対して約５〜
５００重量％の範囲にあることが望ましく、これより保
湿剤の量が少なくなるとビニル系共重合体の微生物吸着
部位の活性を保つのに必要な水分を供給することができ
なくなり、これより保湿剤の量が多くなっても水分の吸
着効果は向上しなくなる。

上述のビニル系共重合体及び保湿剤を付着せしめる基材
としては、不織布、織物、編物、紙、発泡体、セラミッ
クス焼結体などの多孔質体や、有機または無機の粒子状
物や、ハニカム、多段板などの構造物などが使用される
。この内、多孔質体は表面積が大きいため微生物吸着体
として適しており、中でも３次元構造からなる不織布は
気体用フィルタとしても優れた機能を備えているので望
ましい。

なお、本発明の気相用微生物吸着材によって、吸着する
対象となる微生物とは、細菌、真菌、藻類、ウィルスな
どを言う。

本発明の気相用微生物吸着材は気体中に存在する特定の
機能を有する微生物を、生きたままで、あるいは活性の
高い状態で吸着させた後、これら微生物に含まれる酵素
を働かせて、反応生成物を得たり、物質の選別を行なっ
たりするバイオリアクターやバイオセンサーなどに利用
することができる。

また、本発明の気相用微生物吸着材はマスクやエアフィ
ルタとして利用することもできるが、この場合には、吸
着材をそのまま使用する方法と、殺菌剤を併用する方法
とがある。殺菌剤を併用するには、殺菌剤を基材表面に
付着させるか、殺菌剤を含む殺菌繊維や殺菌作用を有す
る官能基を導入した殺菌繊維を基材の構成材に用いれば
よい。

殺菌剤を併用すると、吸着材上に吸着された微生物がそ
れ以上増殖することができなくなるため、微生物の増殖
による目詰りの心配がなくなり、マスクやエアフィルタ
の使用寿命を長くすることができる。殺菌剤としては、
例えば、抗生物質のポリミキシン、第４アンモニウム塩
などの陽性界面活性剤、アルキルアミノエチルグリシン
などの両性界面活性剤、クロルヘキシジン、ポリヘキサ
メチレンビグアニジンなどのビグアナイド、ウンデシレ
ン酸などの高級脂肪酸、金属及び金属イオン、フェノー
ル類などが使用できる。この内、とくに、金、銀、銅な
どの粉末、ゼオライトを殺菌性を有する金属イオンで置
換した抗菌性ゼオライト、ポリビニル、ポリアクリレー
ト、ポリエステル、ポリアミドなどのポリマー鎖にビグ
アナイドまたは第４アンモニウム塩を固定化したポリマ
ー型固定化殺菌剤、３−（トリメトキシシリル）−ブロ
ビルトリメチルオクタデシルアンモニワムクロライドな
どのシリコーン型固定化殺菌剤などの水不溶性または難
溶性の殺菌剤が好適である。

なお、本発明の気相用微生物吸着材においては、被処理
気体の湿度が高い方が、保湿剤によって吸着できる水分
量が多くなって微生物吸着能を高く維持することができ
る。このため、被処理気体は加湿されていることが望ま
しく、より好ましくは、本発明の気相用微生物吸着材は
被処理気体を加湿する装置と併用されることが望ましい
。

（実施例） ４−ビニルピリジンとスチレンとを１　：　２．５モル
の割合で共重合した後、４−ビニルピリジンと等モル量
のベンジルプロミドで４級化処理してビニル系共重合体
を得た。

一方、ポリエステル成分とポリアミド成分からなる分割
型複合繊維（分割後の繊度０．３デニール）からなる繊
維ウェブを水流結合処理して、繊維を分割するとともに
絡合せしめ、目付９０ｇ／＋″、厚み０．５−の不織布
を得た。

この水流絡合不織布に、上記ビニル系共重合体と塩化リ
チウムとを重量比で１００　：　１５０の割合で溶解し
たエタノール溶液を含浸した後、７５℃で乾燥して、不
織布に対する共重合体の付着率が１．５重量％の気相用
微生物吸着材を得た。

この気相用微生物吸着材１０ＣＴＩＩ　Ｘ　１２０ｃｍ
をプリーツ加工して１０ｃｍ角のフィルターユニットを
作製し、このフィルターユニットの上流側に大腸菌噴霧
用ボックスを設置し、下流側に大腸菌を通さない孔径０
．４５μｍのメンブレンフィルターを介して吸引ポンプ
を設置し、これらを連結した試験装置を作製した。

まず、ブランクとして上記フィルターユニットを除いた
状態で、大腸菌の希薄生理食塩水を噴霧用ボックスで噴
霧し、吸引ポンプによって大腸菌含有空気を１０リット
ル／分の速度で２分間吸引し、メンブレンフィルターに
大腸菌を捕集した。

次に、予め滅菌加湿空気を５分間通過させて上記フィル
ターユニットに吸湿させた後、大腸菌の希薄生理食塩水
を噴霧用ボックスで＃！霧し、吸弓ポンプによって大腸
菌含有空気を１０リットル／分の速度で２分間吸引し、
メンブレンフィルターにフィルターユニットを通過した
大腸菌を捕集した。

ブランクのメンブレンフィルター及び上記フィルターユ
ニットを通過させたメンブレンフィルターに液体培地を
染み込ませ、３２℃で２４時間培養し、各々のコロニー
数を測定した。このコロニー数から大腸菌の除菌率を求
めて第１表に示した。

（比較例） 塩化リチウムを使用しなかったこと以外は、実施例と同
様にして気相用微生物吸着材を作製し、実施例と同様の
実験を行うことによって、ブランクのコロニー数及び気
相用微生物吸着材からなるフィルターユニットを通過さ
せた場合のコロニ数を測定し、除菌率を求めて第１表に
示した。

第１表 第１表から明らかなように、実施例の気相用微生物吸着
材は保湿剤を使用しない比較例のものに比べて、大腸菌
の吸着力が優れており、空気中の微生物を効率よく吸着
できることがわかる。

〔発明の効果］ 本発明の気相用微生物吸着材は、上述の如く、水分の存
在下において優れた微生物吸着能を有するビニル系共重
合体を保湿剤と共に基材に付着させたものである。従っ
て、本発明の微生物吸着材では、保湿剤が吸着する水分
によって気相においても微生物吸着能が維持されるため
、気体中の微生物を効率よく捕集することができる。ま
た、本発明に使用する上記ビニル系共重合体は、溶剤に
は可溶であるため、種々の基材表面に容易に付着加工す
ることができ、例えば基材に多孔質基材なとの表面積の
大きな基材を選択することによって、微生物の吸着能力
が高く、目詰りなどのトラブルが生じにくい吸着材を得
ることができる。

本発明の気相用微生物吸着材は、気体中に存在する特定
の機能を有する微生物を、生きたままで、あるいは活性
の高い状態で吸着させた後、これら微生物に含まれる酵
素を働かせて、反応生成物を得たり、物質の選別を行な
ったりするバイオリアクターやバイオセンサーなどに利
用できる。また、本発明の気相用微生物吸着材は、その
まま、又は殺菌剤を併用して吸着した微生物が吸着材上
で増えない状態にして、マスクやエアフィルタとして利
用することもできる。

この様に、本発明の気相用微生物吸着材は気体中の微生
物を効率よく捕集することができ、バイオセンサー、バ
イオリアクターの微生物保持体、あるいはマスク、エア
フィルタなどに使用するのに適したものである。

特許出願人　日本バイリーン株式会社

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. （１）一般式、 ▲数式、化学式、表等があります▼ （ただし、式中Ｒ＿１はベンジル基、Ｃ＿４〜Ｃ＿１＿
   ６のアルキル基またはペンタフルオロフェニルメチル基
   、Ｒ＿２は水素原子またはＣ＿１〜Ｃ＿３のアルキル基
   、Ｘはハロゲン原子、Ｙは水素原子、Ｃ＿１〜Ｃ＿３の
   アルキル基、ベンジル基、エーテル基、カルボキシル基
   、カルボン酸エステル基またはアリール基）で表わされ
   るビニル系共重合体と保湿剤とが、基材の表面に付着し
   ていることを特徴とする気相用微生物吸着材。