JPH0410469Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、接続すべき管の両接続端に溝を設け
たり溶接による肩を設けることなく、無加工のま
まの状態で食い込みリングを使用して管の抜止め
を計るハウジング形管継手に関するものである。

［従来の技術］ 従来、実公昭56−39833号公報にて開示された
第８図のごとく、接続すべき管の両接続端にわた
つてまたぐ環状のパツキンと、このパツキンの両
側に接続すべき管の外周に食い込む内側がのこ歯
状で、外側が互いに外方へ小径になるテーパ状の
１対の割リングとを被嵌し、これらを複数割した
筒状で、かつ内周面中央部にパツキン圧着用凹
溝、内周面両端部に外端側が次第に小径になる割
リング係合用テーパ溝をそれぞれ設けたハウジン
グによつて外周側から締付け、そして管接続後は
管に引抜力が作用した時、ハウジングのテーパ面
に係合した割リングが外方に移動するに連れて縮
径することにより、更に強く管に食い込み管の引
抜き阻止力が働くハウジング形管継手が知られて
いる。

上記管継手では、ハウジングを締付けたとき、
割リングが溝の大径側にずれ動く恐れがあり、実
際には管の抜止めに対する信頼性は低い。またこ
れを克服しながら管接続を行わなければならない
から接続作業が面倒である。また割リングは、一
般的にのこ歯状であるため食い込み深さが比較的
浅く、たとえば樹脂被覆管の接続に際して樹脂被
覆部がめくれて管が抜外れる恐れがあり強固に引
抜き阻止力が得られなかつた。又管の引抜力と軸
方向の圧縮力が交互に加わる配管、あるいは圧縮
力のみが加わる配管では、割リングの管外周への
食い込みがほとんどなく、配管の信頼性が乏しい
ものであつた。

［考案が解決しようとする課題］ 以上のように管の係止性能に関し種々の問題点
があるが、更に課題としてハウジングの外端部の
隙間などから異物が侵入した場合、これがパツキ
ン部まで到達してパツキンを傷つけることがあ
る。また、腐食性の物質等が侵入すると、割リン
グ及び食い込み部が腐食し係止性能が劣ることに
なる。更にパツキンのシール性能が破壊され流体
漏れが発生することがあつた。本考案は外部から
の異物の侵入並びにシール部の信頼性を向上した
ハウジング形管継手を提供するものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、接続すべき管を互いに突き合わせた
両接続管端部の外周を包囲するパツキンを備え、
管周上複数個に分割されたハウジングを互いに締
結して前記管を接続するハウジング形管継手にお
いて、前記両接続管端部の外周に密着する環状の
パツキンと、内面に刃部を有し、端部外面は滑ら
かな球面としたグリツプ部材を前記管の全周にわ
たつて複数個配置し、前記グリツプ部材の外面を
包囲し少なくとも端部外面から突出する突出部を
有したゴムバンドで環状に一体保持してなる一対
のロツク部材と、前記両接続管端部のほぼ中央部
で前記環状のパツキンを収容する環状のパツキン
溝と、該溝の両外側部に前記ロツク部材を収容し
前記グリツプ部材の端部外面と接触する内周面を
両側が小径となる両テーパ面で横断面略傘形状に
形成した環状のロツクリング溝を有するハウジン
グとからなり、前記ハウジングを互いに締結した
とき、前記ロツク部材のゴムバンドが管外周面と
ロツクリング溝の内周面の双方に密着するように
したハウジング形管継手である。また、上記にお
いてパツキンとゴムバンドを一体的に形成したも
のを用いても良い。

［作用］ ロツク部材のゴムバンドはグリツプ部材を包み
込むように装着し、少なくともグリツプ部材の端
部外面から突出する突出部を設けているのでハウ
ジングを締結した接続後の状態ではゴムバンドの
突出部はロツクリング溝内で管外周面とロツクリ
ング溝の内周面との双方に密着することになる。
従つて、腐食性異物の侵入に対しても、奥部への
侵入を阻止してグリツプ部材及びパツキンが腐食
しないよう保護する。また、パツキンとゴムリン
グとの二重シールを構成するので漏れに対する信
頼性が向上する。

また、パツキンとゴムバンドを一体的に形成す
ると施工性が極めて良いものとなる。

［実施例］ 本考案の実施例を図面を参照して説明する。第
１図は、本考案実施例を示す接続後の要部拡大断
面図である。接続すべき管１を互いに対向して突
合わせ、両接続端にわたつて股ぐ環状のリツプパ
ツキン３が嵌着している。このパツキン３の両端
部に第２図乃至第７図で示すごとくの内面に円周
刃部４ａを有し、外面は半球形状のグリツプ部材
４ｃを円周上複数個配置してゴムバンド４ｂで環
状に連結保持してなるロツク部材４を接続管１に
嵌着している。また複数割、たとえば２つ割の締
付用ハウジング５を設け、ボルトナツトで締付け
るようにしている。このハウジング５の内周面中
央部にパツキン３の背面を全周にわたつて均一に
圧縮するパツキン溝３ａと、このパツキン溝３ａ
の両端部の内面側に、ロツク部材４を収容し、上
部内周面はその両側に向かつて小径となる横断面
が傘形のテーパ面６１，６２を有すロツクリング
溝６が設けられている。尚このロツクリング溝６
の両端部にはストツパー面６３，６４が鍔状に設
けられている。ロツクリング溝６の軸線方向の長
さおよびテーパ角度は、ロツク部材４の円周刃部
４ａが所定深さ管１に食い込む様にグリツプ部材
４ｃの径４ｄよりも長い長さ、角度に設定してあ
る。

ロツク部材４は、少なくともハウジングを締付
けた状態において管外周面１１とロツクリング溝
６の内周面にゴムバンド４ｂが相方に接触して圧
着される様に、第２，３図のごとくグリツプ部材
４ｃの周囲の上部にグリツプ部材４ｃの上面を一
部包んで突出する突出部を設けてある。

また第４，５図で示すごとく、ゴムバンド４ｂ
全体の高さが管外周面１１とロツクリング溝６の
内周面に接触する一様なものであつてもよい。

更に第６図に示すごとく、グリツプ部材４ｃの
上面全体も包んで円周刃部４ａより下端へ突出さ
せる様にゴムバンド４ｂの包囲を形成してもよ
い。更にまた接続時の施工性を良好とするために
第７図に示すごとく、ロツク部材４と中央部のリ
ツプパツキン３を一体に形成してもよい。

特にゴムバンドによるグリツプ部材４ｃの包囲
によつて、ハウジングを装着した時グリツプ部材
４ｃが管外周面側へ押付けられる様グリツプ部材
の上面にも係合するものが初期の食込みに対して
すぐれている。

本実施例のハウジング形管継手を水道用鋼管口
径300Aについて確性試験した結果を下記する。
ハウジング締付けトルク：M22ボルト、18Kgf・
ｍ。

Ａ 耐水圧試験結果、封入水圧70Kgf／cm²まで漏
れなし、70Kgf／cm²時の管の抜け量約10mm。

Ｂ 曲げ試験結果、管内に水圧10Kgf／cm²の水圧
を加えた状態で中央部に曲げ荷重を加える。最
大曲げモーメント6700Kgf・ｍ。

最大曲げ角度8.2度まで漏れなし。

Ｃ 繰返し加圧水圧試験、試料を組付けた状態で
水圧5Kgf／cm²と20Kgf／cm²の水圧を10秒毎に
繰返し加圧する。

繰返し回数10000回以上漏れその他の異常なし。

Ｄ 繰返し曲げ荷重試験、水圧10Kgf／cm²を封入
した状態で中央部に曲げ角度が1°になる曲げ荷
重を交互に２方向から加える。

繰返し回数200回以上漏れその他の異常なし。

Ｅ 引張試験、水圧10Kgf／cm²を封入した状態で
直続した管の両端を引張る。

最大引張荷重49tまで漏れその他の異常なし。
その時の管の抜け量25mm。

Ｆ 繰返し伸縮試験、水圧10Kgf／cm²を封入した
状態で引張量８mm、圧縮量６mm（全幅14mm）を
交互に行なう。

伸縮回数200回以上漏れその他の異常なし。

Ｇ 外圧試験、試料を組付けて（試料内は大気
圧）管の両端を封止し加圧容器内に収容し、容
器内を水圧10Kgf／cm²に保持する。

72時間以上保持しても容器内の水圧は変化な
し。

Ｈ 偏平伸縮試験、試料内に水圧10Kgf／cm²を加
え継手両側の管を外径５％偏平させた状態で伸
縮量±６mm（全幅12mm）の引張、圧縮荷重を交
互に加える。

伸縮回数200回以上漏れその他の異常なし。

Ｉ せん断試験、試料内に水圧10Kgf／cm²を封入
した状態で継手接続部の片側の管にせん断荷重
を加える。

せん断荷重35tまで漏れその他の異常なし。

その時のせん断変位量80mm。

Ｊ 水没試験、試料を組付けた状態で水深さ3m
の水中に放置する。管の内外面接水。

１ケ月以上放置後取出し観察、継手のグリツプ
部材の腐食状態変化なし。

以上のごとく各種の苛酷な試験に対しても良好
な結果を示し、大口径の水道埋設管用継手として
充分な性能を得ることができた。

尚本実施例では、グリツプ部材４ｃは外径４ｄ
の円筒状で内側の周囲に円周刃部４ａを形成した
が、外周を多角形状にしてもよく又内側の刃部を
多角形状の刃部に形成してもよく、又更に内側の
刃部を円筒状周囲に断続的に設けてもよい。

この様な構成にしたから２つ割のハウジング５
を締付けると、ロツク部材４の円周刃部４ａは、
円周上ゴムバンド４ｂと交互に設けられているた
め、ロツク部材４の背面から押圧されて管１，２
外周面に容易に食い込み、双方の管１，２は、ハ
ウジング５に係止される。更に管接続後、管の加
熱冷却による管に引抜力と軸方向の圧縮力が交互
に加わつた場合、あるいは圧縮力のみが加わつた
場合でも、ロツク部材４は、ロツクリング溝６の
傘形テーパ内周面６１，６２の作用によつて更に
深く食い込み、軸方向どちらの向きに対しても安
定して強力な管係止性能が得られると共に、ロツ
クリング溝の長さをグリツプ部材の径４ｄより長
くしてあるため、その分伸縮性能が発揮出来て配
管の安全性が計れる。又グリツプ部材の背面側の
断面が滑らかな球面に形成してあるためロツクリ
ング溝の傘形テーパ内周面６１，６２に対してス
ムーズに滑り、グリツプ部材の縮径が行われやす
く又、管外周面への食い込みも無理なく行われ
る。特に管１が樹脂被覆管の場合、被覆部と共に
管本体まで完全に食い込み又管への食い込み深さ
もストツパー面６３，６４によつて所定の深さに
定めることが出来、最適の食い込み状態を得るこ
とができる。更にゴムバンド４ｂは、弾性体で容
易に伸縮するので管への装着が容易である。

［効果］ 本考案のハウジング形管継手は、グリツプ部材
の周囲がゴムバンドで包囲され、ハウジングの締
め付けによつてグリツプ部材周囲のゴムバンドが
管外表面とロツクリング溝の内周面との間で圧縮
され双方に密着するので、外部からの水や腐食性
物質の侵入が阻止されると共に、グリツプ部材の
内面刃部と管への食い込み部分の腐食を防止す
る。そして、パツキンのシール性能を保つことが
でき二重シール構造としてシール部の信頼性が高
いものとなつた。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第７図は、本考案の実施例を示し、
第１図は接続後の要部拡大断面図、第２図はロツ
ク部材を示す図、第３図は第２図の一部断面側面
図、第４図は別の実施例のロツク部材を示す図、
第５図は第４図の一部断面側面図、第６図は更に
別の実施例のロツク部材を示す要部断面図、第７
図はリツプパツキンとロツク部材を一体にしたも
のを示す図、第８図は従来の管継手を示す要部断
面図である。 １……管、３……パツキン、４……ロツク部
材、５……ハウジング、６……ロツクリング溝、
４ａ……円周刃部、４ｂ……ゴムバンド、４ｃ…
…グリツプ部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 接続すべき管を互いに突き合わせた両接続管
   端部の外周を包囲するパツキンを備え、管周上
   複数個に分割されたハウジングを互いに締結し
   て前記管を接続するハウジング形管継手におい
   て、 前記両接続管端部の外周に密着する環状のパ
   ツキンと、 内面に刃部を有し、端部外面は滑らかな球面
   としたグリツプ部材を前記管の全周にわたつて
   複数個配置し、前記グリツプ部材の外面を包囲
   し少なくとも端部外面から突出する突出部を有
   したゴムバンドで環状に一体保持してなる一対
   のロツク部材と、 前記両接続管端部のほぼ中央部で前記環状の
   パツキンを収容する環状のパツキン溝と、該溝
   の両外側部に前記ロツク部材を収容し前記グリ
   ツプ部材の端部外面と接触する内周面を両側が
   小径となる両テーパ面で横断面略傘形状に形成
   した環状のロツクリング溝を有するハウジング
   とからなり、 前記ハウジングを互いに締結したとき、前記
   ロツク部材のゴムバンドが管外周面とロツクリ
   ング溝の内周面の双方に密着するようにしたこ
   とを特徴とするハウジング形管継手。 ２ 前記環状のパツキンと該パツキンの両外側に
   位置する一対のロツク部材のゴムバンドを一体
   的に形成したことを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載のハウジング形管継手。