JPH0768948B2 - スクロ−ル圧縮機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は空調機、冷蔵庫等の冷凍機用のスクロール式
圧縮機に関するものである。

従来の技術 スクロール式の圧縮機は、固定渦巻羽根と旋回渦巻羽根
で構成する圧縮室の洩れ隙間の密封や羽根先端の密封材
の潤滑の目的で、圧縮室に少量の潤滑油を係給する構造
になっている。

一般に、密閉容器の内部に吸入側の冷媒気体の圧力が作
用するいわゆる「低圧形」の圧縮機は、必然的に潤滑油
溜が吸入側に設けられ、圧縮室から出た潤滑油は全てそ
のまま圧縮機から吐出されるようになっている。

潤滑油の吐出量が多すぎると、潤滑不良を招くばかりで
無く、冷凍機の冷凍能力が低下する。

従って、「低圧形」の圧縮機は常に適量の潤滑油を圧縮
機に供給することが重要である。

第５図は従来の「低圧形」スクロール式圧縮機の例であ
る。

密閉容器１の内部に電動機の固定子２と回転子３を配列
し、電動機の上方にスクロール式の圧縮機構４を設け、
その駆動軸のクランク軸５は回転子３に結合されてい
る。

冷媒は吸入管６から密閉容器１に入り、吸入口７から圧
縮機構４に吸入される。

８は固定渦巻羽根部品で、９はその渦巻羽根、10はその
鏡板である。

11は旋回渦巻羽根部品で、12、13はそれぞれの渦巻羽根
と鏡板である。

渦巻羽根９と12は互いに組み合わされて、外周から中心
に向かって移動しながらその容積を縮小して圧縮作用を
する圧縮室14を構成する。固定渦巻羽根部品８の中心部
の吐出口15から出た圧縮冷媒は圧縮機構枠体部品16の吐
出室17から圧縮機吐出管18に導かれる。

圧縮室14の圧力によって旋回渦巻羽根部品11が圧縮室14
の反対側に押しつけられる力は軸受部品19に固定したス
ラスト軸受20で支承する。

クランク軸５の第１主軸21、第２主軸22は軸受部品19に
支承されている。

第１主軸21の内側に、主軸の軸心から偏心して、旋回駆
動軸受23を設け、この旋回駆動軸受に旋回渦巻羽根部品
11の鏡板13に設けた旋回駆動軸受24を嵌合させる。

スラスト軸受20の外周に、円形の環状体26aの両面にキ
ー27を設けた、前記旋回渦巻羽根部品11の自転を拘束す
るための、自転拘束部品25が配置されている。

密閉容器１の下部に潤滑油28が溜められており、クラン
ク軸５の給油口29がこの潤滑油の中に開口している。

潤滑油はクランク軸５の給油孔30、給油溝31、貫通油孔
32を経て旋回駆動軸受23に設けた油溝33からスラスト軸
受20に設けた油溝34を経て、第１主軸21上の油溝を通
り、軸受部品19に設けた潤滑油出口35から排出される。

軸受部品19にスラスト軸受20の内外に連通する小径の油
通路36が設けられており、スラスト軸受の内周の潤滑油
の圧力と渦巻羽根９、12の外周付近の圧力との差に応じ
て圧縮室14へ潤滑油が供給される。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上記従来の構成は、圧縮機構４への潤滑
油供給が積極的に行われず、圧縮冷媒の洩れによる効率
の低下あるいは圧縮機構４の焼きつきといった問題があ
った。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するための本発明の技術的手段は、旋
回渦巻羽根部品を軸方向に支承するスラスト軸受の外側
に環状体の両面にキー溝又はキーを設けた構造の自動拘
束部品を配置し、スラスト軸受の外周と環状体の内側と
旋回羽根軸受平面と軸受部品の平面とに囲まれる伸縮空
間を構成し、スラスト軸受の外周と環状体の内面の平均
距離を環状体の往復運動方向の距離よりも往復運動方向
に直角な方向の距離を小さくし、スラスト軸受の軸受平
面又はスラスト軸受の内側に前記伸縮空間に連通しない
潤滑給油回路を設け、前記旋回羽根軸受平面に給油窪み
を、当給油窪みが環状体の往復運動に応じて前記潤滑供
給回路と前記伸縮空間に交互に開口する位置に設け、前
記旋回渦巻羽根部品の羽根の外周附近と伸縮空間とに開
口し連通する給油通路を形成することである。

作用 本発明の技術的手段による作用は次の通りである。

旋回羽根軸受平面に設けた給油窪みが圧縮機の一回転毎
に一定量の潤滑油を潤滑給油回路から伸縮空間へ持ち出
し、伸縮空間の伸縮作用で、伸縮空間へ持ち出された潤
滑油が旋回渦巻羽根の外周すなわち圧縮の始まる直前の
位置へ供給される。

実 施 例 以下、本発明の一実施例を添付図面の第１図〜第３図を
参考に説明する。ここで、従来例と同様の箇所には同一
の符号を付して説明を省略する。

同図において、スラスト軸受20の外周形状は真円形であ
り、その外側に配置した自転拘束部品25aはそのキー27a
の方向、すなわち矢印Ａの方向に往復運動をする。自転
拘束部品25aの環状体26aの内径は第３図に示すように矢
印Ａの方向よりも、これに直角な矢印Ｂ方向が小さくな
るよう形成している。

また、環状体26aは、旋回渦巻羽根部品11の羽根軸受平
面40と軸受部品19側の軸受部品平面41との間に、極めて
小さい隙間で自在に運動できるような厚みにしている。

これらの寸法、構造により、スラスト軸受20の外周と環
状体26aの内径と羽根軸受平面40と軸受部品19側の軸受
部品平面41とに囲まれる閉空間が、その容積が自転拘部
品25aの往復運動と共に交互に膨張縮小する一対のほぼ
閉じられた空間の伸縮空間42、43を形成する。

潤滑油の給油回路はスラスト軸受20の内側とその軸受平
面に設けられたスラスト給油溝44で羽根軸受平面40に接
している。

羽根軸受平面40には、旋回渦巻羽根部品11のスラスト軸
受20に対する旋回運動によって、スラスト給油溝44と伸
縮空間42又は43へ交互に開口するような位置に、給油窪
み45が設けられている。

また、鏡板13には伸縮空間42又は43と渦巻羽根12側の外
周附近とに開口する給油孔46を設けてある。

第４図は本発明の他の実施例で、給油孔46b、46cを前記
実施例の鏡板13に設ける代りに環状体22または軸受部品
19に設けたものである。

発明の効果 本発明によれば、一回転当り一定容積の潤滑油が潤滑油
回路から持出され、その潤滑油が確実に圧縮の始まる直
前の位置へ給油できるので、圧縮室の洩れ隙間の密封に
必要な潤滑油が、圧縮機の回転速度や吸入、吐出圧力に
無関係に、かつ過不足なく確実に供給され、しかも余分
に部品を追加する必要がないため、極めて安価に効率の
高いスクロール式の圧縮機が実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すスクロール圧縮機の縦
断面図、第２図（ａ）、（ｂ）はそれぞれ同圧縮機にお
ける圧縮機構部の分解斜視図および旋回渦巻羽根部品の
斜視図、第３図は同圧縮機の平面断面図、第４図は本発
明の他の実施例を示す圧縮機の要部縦断面図、第５図は
従来例を示すスクロール圧縮機の縦断面図である。 １……密閉容器、４……圧縮機構、８……固定渦巻羽根
部品、９……渦巻羽根、10鏡板、11……旋回渦巻羽根部
品、12……渦巻羽根、13……鏡板、14……圧縮室、19…
…軸受、20……スラスト軸受、25a……自動拘束部品、2
6a……環状体、27a……オー、40……羽根軸受平面、41
……軸受部品平面、42・43……伸縮空間、44……スラス
ト給油溝、46・46a・46c……給油孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】それぞれの鏡板の一方の面に渦巻状の羽根
   をそれぞれ設けると共にそれぞれの羽根を互いに組み合
   わせて気体を圧縮する固定渦巻羽根部品及び旋回渦巻羽
   根部品と、前記旋回渦巻羽根部品を旋回駆動するクラン
   ク軸と、前記クランク軸の主軸を支承する軸受部品と、
   前記旋回渦巻羽根部分品に掛かる圧縮圧力による回転軸
   方向の力を前記鏡板の前記羽根と反対側に位置する旋回
   羽根軸受平面と当接して支承するスラスト軸受と、前記
   旋回渦巻羽根部品の自転を拘束する自転拘束部品を有し
   成るスクロール式圧縮機構をそなえ、前記スラスト軸受
   の外方に前記自動拘束部品を配設し、前記自転拘束部品
   を環状体の両面にそれぞれキーまたはキー溝を設け、前
   記環状体の内面と前記スラスト軸受外周との距離を、前
   記環状体の往復運動方向の平均距離よりも前記往復運動
   方向に直角な方向の距離が小となるよう設定し、さらに
   前記環状体の内面と前記スラスト軸受の外周面と前記軸
   受部品側の平面と前記旋回羽根軸受平面で囲む伸縮空間
   を構成し、前記スラスト軸受の軸受平面またはスラスト
   軸受内側に前記伸縮空間に連通しない潤滑給油回路を開
   口させ、前記旋回羽根軸受平面に給油窪みを設け、この
   給油窪みの位置を、前記環状体の往復運動に応じて、交
   互に、前記潤滑給油回路の開口面と前記伸縮空間に開口
   する位置とし、さらに前記旋回渦巻羽根部品の前記羽根
   の外周付近と前記伸縮空間とに開口して互いに連通する
   給油通路を形成したスクロール圧縮機。