JPH037932Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えばスイツチングレギユレータに使
用される絶縁タイプのスイツチング電力トランス
に関する。

従来、絶縁タイプのスイツチング電力トラン
ス、例えばスイツチングレギユレータ用トランス
においては、単なる筒状のコイルボビンに１次コ
イルを巻装し、この１次コイル上に層間絶縁紙ま
たは絶縁テープを巻回した後２次コイルを巻装
し、さらに３次コイル、その他のコイルを巻回す
る必要がある場合には、２次コイル上に再び層間
絶縁紙または絶縁テープを巻回してその上にこれ
らコイルを巻装するという構成を取つている。ま
た、各コイルからのリード引出し部においてはス
ペーサ等により絶縁間隔を保持するようにしてい
る。このため、コイルの巻装に多大の時間と労力
を必要とする欠点があり、また信頼性に欠ける欠
点があつた。

本考案は上記欠点を除去するためになされたも
ので、直径の異なる同心円筒ボビンに各コイルを
巻回して多層構造にするとともに、最内側層のボ
ビンを除く他のボビンの下端部に軸線方向に突出
する対向する一対の円弧状の突出部を形成し、該
突出部を介してコイルリードを引出すとともに該
突出部によりボビンの回転を防止するようにした
スイツチング電力トランスを提供するものであ
る。

以下、本考案の一実施例につき添付図面を参照
して詳細に説明する。

第１図および第２図は本考案をスイツチングレ
ギユレータに適用した場合の最内側層の第１のボ
ビン１およびこの第１のボビン１の外側に配置さ
れる第２のボビン２の一例をそれぞれ示すもので
ある。第１図に示すように、第１のボビン１の下
端部には基部３が一体に形成されており、この基
部３は略平行な対向する一対の垂下する側壁４
Ａ，４Ｂを両側に有し、これら側壁４Ａ，４Ｂと
一体に端子ピン取付け部５Ａ，５Ｂがそれぞれ形
成されている。この第１のボビン１には図示しな
い１次コイルが例えばセクシヨン巻きにて巻回さ
れ、この１次コイルの引出しリードは基部３の一
方の側壁、例えば４Ａの略中央部を通つて端子ピ
ン取付け部５Ａの図示しない対応する端子ピンに
接続される。この第１のボビン１の外側に第２図
に示す第２のボビン２を嵌合させて同心円筒の多
層構造とし、第１図に示すＥ型コア６の断面円形
の中央脚部を第１のボビン１の中心孔に基部３側
から挿入し、対応するＩ型コア７と閉磁路を形成
させることによつてスイツチングレギユレータト
ランスが構成される。コアはＥ，Ｉ型でなくて
Ｅ，Ｅ型を使用してもよい。また、Ｅ型コアの両
外側脚部の断面は長方形、方形、円形等の任意の
形状でよいが、中央脚部は図示するように断面円
形にすることが好ましい。

第２のボビン２は第２図に示すようにその下端
部、すなわち基部側端面に軸線方向に突出する一
対の対向する円弧状の突出部８Ａ，８Ｂが一体に
形成されている。これら突出部８Ａ，８Ｂは本実
施例ではボビン２の肉厚と同じ肉厚であり（勿論
肉厚が異なつても良い）、従つてボビン２の下端
部の対向する一部分が軸線方向に突出した態様に
ある。これら突出部８Ａ，８Ｂは対応する端部間
の間隔ｄが基部３の平行する側壁４Ａ，４Ｂ間の
距離に等しいか、ほんの僅か大きい寸法となるよ
うに形成されている。勿論、突出部８Ａ，８Ｂの
端部は平行平面をなすように形成されていること
が好ましい。この第２のボビン２には、図示の実
施例では２次コイルがセクシヨン巻きされるが、
突出部８Ａ，８Ｂの一方、例えば８Ａと軸線方向
において対応するボビン２の鍔部９に軸線方向に
スリツト１０が形成されている。スリツト１０は
本例では２つ形成されているが、コイルリードの
引出し数に応じて増減される。

第２のボビン２は上記のように構成されている
ので、このボビン２に２次コイルを巻回し、第１
図に示す第１のボビン１の外側に嵌合させたとき
に、第２のボビン２の一対の突出部８Ａ，８Ｂの
端部が基部３の両側壁４Ａ，４Ｂの側面に摺接状
態で嵌合し、従つて第２のボビン２は回転せず、
その位置が正確に規制される。また、第２のボビ
ン２に巻装された２次コイルの引出しリードは上
記した鍔部９のスリツト１０を通り、さらに一方
の突出部８Ａを通つて基部３に一体に形成された
端子ピン取付け部の端子ピンに接続される。従つ
て、上記突出部８Ａは絶縁スペースサの機能をも
果すことになり、非常に有益である。この際に、
第２のボビン２のコイルの引出しリードは第１の
ボビン１の引出しリードとは基部３の反対側の側
壁、すなわち４Ｂ側の端子ピンに接続し、１次コ
イルと２次コイルの引出しリードを大きく離間さ
せ、絶縁耐圧を大きくすることが好ましい。すな
わち、第２のボビン２の一方の突出部８Ａが基部
３の他方の側壁４Ｂと対接するように第１のボビ
ン１に嵌合する。なお、第２のボビン２の外側に
３次コイル、その他のコイルを巻回した第３のボ
ビンを嵌合する必要がある場合には、第２図に示
し、上記した第２のボビン２と全く同じ構成の、
ただし、直径が大きい第３の円筒状ボビンを形成
し、必要とするコイルを巻回した後、第２のボビ
ン２の外側に嵌合する。この際に、第３のボビン
の鍔部に形成されたスリツトが第２のボビンの鍔
部のスリツトとは反対側にくるように嵌合し、引
出しリード間の絶縁耐圧を高くすることが好まし
い。第３図及び第４図は３つのボビンを嵌合した
多層構造のボビンの下面図および縦断面図であ
り、図中１１は第３のボビン、１２Ａ，１２Ｂは
第３のボビン１１の一対の対向する円弧状突出
部、１３は第３のボビン１１の鍔部、１４は鍔部
１３に形成された軸線方向のスリツト、１５は第
１のボビン１に巻回されたコイルからのリード引
出し位置、１６は第２のボビン２に巻回されたコ
イルからのリード引出し位置、１７は第３のボビ
ン１１に巻回されたコイルからのリード引出し位
置をそれぞれ示す。第３図および第４図から明白
なように、引出しリードは１層毎に反対側に配置
され、絶縁耐圧が高くなる。

上述のように、本考案によれば、各コイルは同
心円筒のボビンに巻回されるので、位置が確実に
規制でき、かつ絶縁層間紙や絶縁テープを巻回す
る必要もない。また、円筒状ボビンであるため、
角ボビンと比較して巻線作業性が良く、能率が良
い。また、自動巻線も可能であるので巻線時間が
大巾に短縮できる。さらに、ボビンの一対の突出
部が回転止めと引出しリードの絶縁機能とを兼備
しているので構造が単純であり、製造が容易、安
価になる等の多くのすぐれた利点がある。

なお、上記実施例は本考案の単なる例示にすぎ
ず、従つて必要に応じて種々の変形、変更がなし
得ることはいうまでもない。例えば、各ボビンは
セクシヨン巻き用のボビンに限定されるものでは
なく、また嵌合される円筒状ボビンの数は任意で
ある。また、スイツチングレギユレータに本考案
を適用したが、これに限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるスイツチング電力トラン
スの最内側層の第１のボビンの一例を関連する基
部、端子ピン取付け部およびコアとともに示す斜
視図、第２図は第２のボビンの一例を示す斜視
図、第３図および第４図は３つの同心円筒状ボビ
ンを嵌合させた多層構造のボビンの下面図および
縦断面図である。 １：第１のボビン、２：第２のボビン、３：基
部、４Ａ，４Ｂ：基部３の一対の側壁、５Ａ，５
Ｂ：端子ピン取付け部、８Ａ，８Ｂ：第２のボビ
ン２の一対の突出部、９：第２のボビン２の鍔
部、１０：スリツト、１１：第３のボビン、１２
Ａ，１２Ｂ：第３のボビン１１の一対の突出部、
１３：第３のボビン１１の鍔部、１４：スリツ
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円形の中心孔および一対の略平行な対向する側
   壁を有する基部と、該基部の中心孔と略同心とな
   るように該基部に一体に形成され、かつ１次コイ
   ルが巻回された第１の円筒状ボビンの外側に嵌合
   され、かつ２次コイルが巻回された第２の円筒状
   ボビンとを具備し、該第２の円筒状ボビンの下端
   部に軸線方向に突出する一対の対向する円弧状突
   出部を形成し、該突出部の対応する端部間に前記
   基部の対向する側壁が嵌入するように、該突出部
   を前記対応する端部間の間隔が前記対応する側壁
   間の距離に略等しい寸法となるように形成すると
   ともに、前記一対の突出部の一方に対応する前記
   第２のボビンの鍔部にコイルリード引出し用の軸
   線方向のスリツトを形成したことを特徴とするス
   イツチング電力トランス。