JPH0376938B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は下顎義歯を下顎に支持せしめる方式に
関する。

下顎骨本体の再吸収により形状が変わるため、
下顎義歯は下顎上面の形状への調節がしばしば必
要でありその問題の解決として同様の方式が考え
られうるが、その実例は出願人には知られていな
い。かかる再吸収の一因は特に咀嚼時義歯から骨
の組織にかかる応力である。硬口蓋をも載設され
た上顎義歯の場合と異なり、この応力は下顎骨そ
のもの以外の硬い組織には分配されえない。骨に
かかる応力が増加して危険値を越えると骨組織の
再吸収が起こるようになる。この負荷応力の危険
値は一定の状態の下では容易に越えられる。

本発明による上記の問題の解決は骨膜を通じて
張力をかけることでは骨組織の再吸収が起こらな
いということに基づいている。むしろ骨組織は実
際には増加する。

本発明による方式は咀嚼時の力を少なくとも一
部分骨膜による張力に変換することで負荷応力を
危険値以下に減少せしめる。

本発明による上記方式は、平面図における中心
線の弦の長さ34mmで弧の高さが８乃至10mmの弧状
をなす中間部を有する弧状金属片からなる基板
と、下顎義歯中の結合手段用の拘止手段からなる
橋絡手段と、上記中間部に植設され上記橋絡手段
を担持する一組の立柱と、上記立柱の各々に上記
橋絡手段を固定せしめる固定手段と、上記基板を
上記立柱の両側で下顎下面に固定するよう結合さ
せる一組の皮質ねじとよりなることを特徴とす
る。

この方式において必須である基板の寸法の明確
にすることは重要である。成人男性用の基板は高
さが８mmで長さ34mmの弦を有する弧状をなし、成
人女性用の基板は高さが10mmで長さ34mmの弦を有
する弧状をなす。

立柱は骨にかけられる応力を一部分皮質ねじへ
の応力に変換して下顎下面での基板を通つて戻つ
てくる骨膜上の張力とすることで応力を減らす。

上記の立柱の組は４本の立柱からなる。

立柱を下顎骨に固定すよう各少なくとも４本の
主柱に設けられた外部螺刻部は負荷応力の一部
を、危険値以下で直接骨組織に伝える。負荷応力
の他の部分は充分堅固な基板を介して骨膜を通る
張力に変換される。

基板、立柱、皮質ねじ及び橋絡手段は18−５
金／白金合金（18金の金に５％の白金）製である
のが有利である。この材料は機械的強度と延性を
合わせもち本来の場所で方式が接する種々の組織
及び体液と適合する。

好ましい実施例では、本発明による方式は基
板、立柱及び橋絡手段を下顎骨に設定する際使用
して有利な幾つかの簡単な補助器を有する。

第１図は、基板１と４つの立柱ねじ２，３，４
及び５と、７つの皮質ねじ６〜１２と、組み付け
られた橋絡手段１３とからなる本発明の好ましい
第１実施例を下顎に取り付けられた時の外観を示
すよう写真から作られた図である。図面は実際の
寸法より若干大きく描かれている。

第２図は成人男性用基板を実際の約２倍の寸法
で描いた平面図である。各々立柱を固定する４つ
の位置の中心は、基板を形成する18−５金合金の
細片２０の中心線上に置かれている。外側の立柱
用の位置の間では中心線は弦ａの長さが34mmで高
さｂが８mmの弧状をなしている。立柱を固定する
ために細長開口２１〜２４が上記位置に配されて
おり、上記開口の長手方向は上記弧の中心に向い
ている。各細長開口２１〜２４は基板上に立柱を
固定するようにねじを受容する。各開口の周囲に
は、傾斜部に適合したねじを使用して基板に対す
る立柱の位置の傾斜がある場合の処理を行なうた
めに基板２０材に傾斜部が設けられている。

また、基板は基板を下顎のすぐ後で下顎骨の下
面に接続させる皮質ねじ（「皮質」とは海綿状の
芯を有する下顎骨の硬い皮膜をいう）を受容する
円形開口２５〜３１が設けられている。これらの
円形開口の縁はやはり傾斜しているのでねじの頭
の少なくとも一部は基板本体内に沈み込む。７個
あるこれらの円形開口は、立柱固定用の開口２１
〜２４の両側に配されている。開口２７，２８及
び２９は上述の弧上に中心が置かれている。開口
２５，２６及び３０，３１はそれぞれ、中心線が
弧の接線となる基板の両翼部の一方に配されてい
る。

第３図は成人女性用の実施例での基板３５を示
す。弦ａに交差する弧の高さｃは10mmであるが、
その構成は第２図に示した基板２０の構成と同様
である。

第４図は、第２図の基板を第２図とは垂直な方
向から見て示す。基板２０の面は下顎骨下面の形
状に合うように対称的に曲がつている。

形状が曲がつているために立柱は常に基板に対
し若干傾斜している。第４図に示した形状は全て
の成人男性に対し同一の標準的な形状である。成
人女性用の基板の形状も標準的な形状である。

第５ａ図及び第５ｂ図はそれぞれ基板、立柱及
び皮質ねじ組立体を下顎骨に取り付ける際の補助
となる穿孔及びねじ切（タツピング）用の治具４
０の凸部側の平面図及び及び立面図である。治具
４０に設けられ基板の開口と一致する開口を通し
て皮質ねじ用開口が下側から穿孔されねじを切ら
れる。このため治具４０には貫通孔４１〜４７が
治具４０の本体の平坦な入口面４８から垂直に設
けられている。出口面４９は下顎骨に結合される
べき基板２０の面の複製となるよう形成されてい
る。このため男性用と女性用の２つの治具が必要
である。

皮質ねじを取付けるための開口４１〜４７はタ
ツプの径に対応する直径を有する。ドリルを案内
するためスペーサ手段５０をタツプ案内開口４１
〜４７に挿入してもよい。かかるスペーサ手段５
０を、第５ａ図の線−に沿つた断面図である
第７図に示す。スペーサ手段５０の内径は使用さ
れるドリルの外径に対応する。実際上のドリル用
治具であるスペーサ手段５０の開口の直径は例え
ば２mmであり、治具４０の本体の開口の直径は皮
質ねじの軸及び螺条に適切な寸法である３mmであ
る。

立柱用に貫通孔を下顎骨内に設けるのは治具４
０の入口面４８に対し傾斜させて行なえる。この
ため治具４０は後述の如き心合わせ装置のための
案内面を備える。対応する治具の開口は伸長した
断面を有し、その軸の方向は入口面に対し傾斜し
ている。

軸は治具の断面図では、第６図の開口５１の中
央を貫くように表わされる。この断面図では治具
４０の本体は、円柱面の一部となる陥没上面５２
を有する。陥没部は２つの平行な案内面５３と５
４の間にある。これらの案内面は開口５１の如き
治具４０の開口の伸長した断面の長手方向の軸に
沿つた向きである。

第８図は、上面５２等の上面の対向手段であり
治具４０の陥没上面に嵌合する支持凹面を備えた
心合わせ手段６０を示す。支持面６１は摺動ゲー
ジとしてある２個組の心合わせ手段６０のアンビ
ル６２の作動面である。横方向にはアンビル６２
は開口５１等の開口の中心に嵌入するように、治
具４０の長手方向の軸つまり治具４０の形状が沿
つている弧の接線と平行な軸の回りで上記心合わ
せ装置が回動しうるよう、例えば案内面５３と５
４の間で治具４０の陥没部に嵌合する。このため
にアンビル６２には作動面６１と直角に交差する
平坦な２つのチークが設けてある。

心合わせ手段６０のアンビル６２に対面してピ
ン６３が、アンビル６２に固定されたスリーブ６
４内に摺動可能に設けられている。アンビル６２
及びピン６３にはそれぞれねじの形状をした立柱
用のタツプの外径に対応する径を有する同軸の貫
通孔６５及び６６が設けられている。

アンビル６２中の貫通孔６５をドリルに適する
ものにするためブツシユ６７を挿入してもよい。
このブツシユ６７は、貫通孔６５の径、従つてタ
ツプの外径と同径の貫通孔６９を別に有する回転
工具台６８中の工具であるのが有利である。

ピン６３ではブツシユ７０はばね７３の付勢に
抗して移動しえアンビル６２のブツシユ６７と同
一の内径を有する。

ピン６３上には、心合わせ手段が下顎骨の高さ
を測定する摺動ゲージとして働くよう目盛り７１
がつけられている。この高さの測定は、心合わせ
手段により下顎骨に穿設された螺刻開口に最終的
に位置する立柱の長さを選択するのに重要であ
る。ピン６３は調節装置７２によりスーリブ内で
可動である。

第９図は第１図に示した如き立柱８０の実施例
の分解図である。外部螺刻部８２を有する立柱ね
じ８１の軸には結合ねじ８４用の内部螺刻開口が
基板１（第１図）と接続する基部に設けられてい
る。立柱ねじ８１の軸の上端部８５は螺刻され、
その頂面には端部ねじ８７に螺合する内部螺刻部
を備える凹部８６が設けられている。螺刻上端部
８５は、立柱の上端に連なつて置かれる２つの鍔
部材８８，８９からなる２個組鍔を取付けるのに
充分な長さであり、１番目に取付けられる鍔部材
は立柱の上端部８５の外部螺刻部に螺合する内部
螺刻部を有し、立柱上端部に２番目に取付けられ
る鍔部材は固定ねじ８７により固定される。２番
目に取付けられる鍔の上部鍔部材８９は橋絡手段
１３（第１図）の一要素である。１個又は２個の
ブリツジが上部鍔部材８９に寸法決定後はんだ付
けされる。

下部鍔部材８８は円錐状の上面及び上端部螺刻
部８５に螺合する内部螺刻部を設けられている。
上部鍔部材８９は下部鍔部材８８の円錐状上面と
一致する凹部が設けられている。従つて上部鍔部
材は一時的に取りはずされ、各ねじ端が口腔内で
同数の障害物とならないように各ブリツジの寸法
を測定した後橋絡手段を構成するよう載置するこ
とができる。下部鍔部材の本体を螺刻端の頂面ま
で延在させることにより不都合は生じない。

第１０図は橋絡手段の好ましい実施例を示す。
この実施例では橋絡手段は立柱に直接取付けられ
る。梁部材９１，９２，９３の端部は下部鍔部材
の切欠内に受容され、それぞれ上部鍔部材９４，
９５，９６，９７により固定される。最後に鍔は
それぞれ端部固定ねじ９８，９９，１００，１０
１により固定される。

梁部材９１，９２，９３，９４は断面が液滴状
で適当な大きさにされており立柱及び基板が設置
される外科手術で一動作で取付けられる。梁部材
は下顎義歯に含まれる結合手段のための拘止手段
である。

各立柱は、下顎義歯を係止しうるよう橋絡手段
が口腔内で自由に位置決めされる長さを有する。
梁部材（第１１図）の液滴状の垂直断面はこの係
合に鑑みて正確に選定される。

好ましい実施例の変形例においては、下部鍔部
材における切欠の端部の一致する凹部に受容され
る梁部材端部に拡大部が設けられる。

支持方式の全ての部分は18金の金に５％の白金
を合金した18−５金製であるのが好ましい。この
合金は体組織及び体液と適合し、延性及び強度に
関し所望の特性を有する。

本発明による支持方式は高度の標準化が可能で
ある。この結果支持方式の部品を下顎骨に取付け
るのに要する時間は短縮される。これは極めて重
要であり、非常に意義のある外科手術ができる。
長さ寸法が変化する部材は立柱ねじ及び上記立柱
ねじ間に置かれる長い皮質ねじのみである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例の組立体の斜視
図、第２図は本発明による組立体中に入れられる
基板の平面図、第３図は他の基板の平面図、第４
図は第２図の基板の立面図、第５ａ図及び第５ｂ
図はそれぞれ本発明による方式に用いられる治具
の平面図及び立面図、第６図は第５ａ図及び第５
ｂ図の治具の断面図、第７図は第５ａ図及び第５
ｂ図の治具の別の断面図、第８図は本発明の心合
わせ手段の部分縦断面図、第９図は第１図の組立
体中の立柱を示す図、第１０は本発明による組立
体中に入れられる橋絡手段の好ましい実施例を示
す図、第１１図は橋絡手段中に入れられる梁の好
ましい実施例の断面図である １……基板、２〜５……立柱ねじ、６〜１２…
…皮質ねじ、１３……橋絡手段、２０……成人男
性用基板、２１〜２４……細長開口、２５〜３１
……円形開口、３５……成人女性用基板、４０…
…治具、４１〜４７……貫通孔、４８……入口
面、４９……出口面、５０……スペーサ、５１…
…開口、５２……陥没上面、５３，５４……案内
面、６０……心合わせ手段、６１……支持面、６
２……アンビル、６３……ピン、６４……スリー
ブ、６５，６６……貫通孔、６７……ブツシユ、
６８……工具台、６９……貫通孔、７０……ブツ
シユ、７１……目盛り、７２……調節装置、７３
……ばね、８０……立柱、８１……立柱ねじ、８
２……外部螺刻部、８４……結合ねじ、８５……
上端部、８６……凹部、８７……端部ねじ、８
８，８９……鍔部材、９１〜９３……梁部材、９
４〜９７……上部鍔部材、９８〜１０１……端部
固定ねじ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 平面図における中心線が弦の長さ34mmで弧の
   高さが８乃至10mmの弧状をなす中間部を有する弧
   状金属片からなる基板と；下顎義歯中の結合手段
   用の拘止手段からなる橋絡手段と； 該中間部に植設され該橋絡手段を担持するよう
   夫々が立柱を下顎骨に固定する外部螺刻部を有す
   る一組の少なくとも４本の立柱と、 該立柱の各々の該橋絡手段を固定せしめ、該立
   柱を適所に固定するよう固定する固定手段と； 該基板を該各立柱の両側で下顎下面に固定する
   よう結合させる一組の皮質ねじと、 該立柱は更に基板に固定するためのその基部に
   設けられた内部螺刻部と、 該固定手段用のその上端部に設けられた外部螺
   刻部とを 含むことを特徴とする下顎義歯用下顎を支持する
   装置。 ２ 該固定手段の各々は２個の部材からなる顎か
   らなり、該顎部材は立柱の上端部に連なつて取付
   けられ、１番目に取付けられる顎部材は立柱の上
   端部の該外部螺刻部と螺合する内部螺刻部を有
   し、端部ねじが２番目に取付けられる顎部材を固
   定することを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の装置。 ３ 組立時には該２番目に取付けられる顎部材
   は、４つの該顎部及びはんだ付及び溶接により該
   拘止手段を形成する３つの結合粱部材からできた
   該橋絡手段の一部であることを特徴とする特許請
   求の範囲第２項記載の装置。 ４ 最初に該橋絡手段での位置に応じて取付けら
   れる該顎部材の上面には、拘止手段を形成する粱
   部材の端部を受容する１つ乃至２つの切欠があ
   り、次に取付けられる顎部材は該切欠中の粱部材
   を固定する固定手段として働くことを特徴とする
   特許請求の範囲第３項記載の装置。 ５ 最初に取付けられる顎部材の切欠に一致させ
   て次の取付けられる顎部材に切欠が設けられるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第４項記載の装
   置。 ６ 該切欠は該粱部材の一致する拡大部を受容す
   るように内側に陥没していることを特徴とする特
   許請求の範囲第３項又は第４項記載の装置。 ７ 該次に取付けられる顎部材は、立柱上端部の
   外部螺刻部に螺合する内部螺刻部からなり該端部
   ねじを形成することを特徴とする特許請求の範囲
   第４項記載の装置。 ８ 該粱部材の垂直断面は、下顎義歯の本体中に
   固定されたばね端子と協働する液滴形をしている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第７
   項のいずれか一項記載の装置。 ９ 各部分が18金の金に５％白金を合金した18−
   ５金からなることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項乃至第８項のいずれか一項記載の装置。