JPH0356590Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は住宅、特に集合住宅の床面に用いる床
用防音材料に関する。

〔従来の技術〕

最近の住宅、特に２階建以上の他階層住宅や、
住人の多い集合住宅などでは防音や遮音の問題が
大きくクローズアツプされてきており、これに対
する対策がいろいろなされている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

一般に、遮音において、音の透過損失は板の面
積当りの重量に比例するといわれている。このた
め壁や床、天井等の材質の重さを増せば遮音性能
は向上するが、これでは家の重量が増大し、経済
性を追求して軽量化傾向にある現状に反するもの
である。また壁面等では重量を有する遮音シート
等を用いて、防音の目的を達しようとしている
が、床面の遮音は解決されていないのが実情であ
る。すなわち、剛性の高い重量のある材料が良い
とはいえないのは、床に直接物（靴で歩いたり、
物を落したりするため）が当るための衝撃音が大
きく影響するからである。

従つてコンクリート床を厚くしても重量ばかり
増して、音はコンクリートを伝つて階下へ響き、
上を人が歩いたり物を落したりするたび、下の人
は不快になる欠点を有していた。また軟質の遮音
シートを敷いても、厚さがないため同様に直接衝
撃音が下へ伝つてしまう欠点があつた。

本考案はこの様な欠点を除去し、軽量・低価格
にて大きな防音性能を発揮することのできる防音
床材を提供するものである。

以下、図面を参照しつつ詳述する。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、図面に示す様に床面に用い床衝撃音
を階下に伝えない防音床材Ａであつて、空洞ある
いは穴等の空気孔１を内部に多数持つ板材を芯材
２とし、該芯材２の両面に弾性材料からなる遮音
板材３を層状に貼着したことを特徴としている。

ここに示した芯材２は、ベニヤ板・木質チツプ
圧搾板等の合板材か、あるいは繊維物を板状に形
成せしめた繊維板材か、または合成樹脂を板状に
発泡形成した発泡板材等を用い、その内部に貫通
あるいは非貫通の空気孔１を造形する。

さらに、この心材２に貼合せる遮音板材３は、
天然コルク材あるいはコルクを素材に形成された
コルク板材、または合成ゴム板、または発泡合成
樹脂等を用い防音床材Ａを完成する。

〔作用〕

遮音のためには、一つの遮音材で一挙に遮音す
るよりも二度にわたつて遮音する中空多重壁の原
則を用いた構成の方がより効果的に遮音を行うこ
とができる。しかし、中空構造も壁や天井には遮
音効果が大きいが床にはその振動の大きさ故遮音
を半減させてしまうし、強度的、施工面的に問題
を多くかかえている。

このため本考案は、図面の如く空洞あるいは穴
等の空気孔１を内部に持つ板材を芯材２とし、こ
の両面に遮音板材３を接着剤にて一体に貼着して
いるので床の構造は剛性が高まると共に中空多重
壁を構成することが出来る。すなわち、上部に位
置する遮音板材３で衝撃音をまず吸収し、続いて
芯材２の空気孔１を通つて下部にある次の遮音板
材３に達してここでさらに遮音されるから、総合
的に大巾に音吸収がなされ下室へ伝わる衝撃音は
極めて小さいものとなる。ここでの芯材２の働き
は、その上下の遮音板材３をしつかりと貼着せし
めて一体となし強度を大きく高めることと、空気
孔１により中空多重壁を構成せしめ遮音をより高
める作用さらには芯材２そのものの固さによる遮
音効果をも発揮せしめる。

この場合、遮音板材３としては微細な気胞を内
含したコルク板材が好ましい材料となり、高価な
天然コルク板に限らず、コルクを粒状に粉砕しこ
れを接着剤で固着せしめた安価なコルク板材でも
充分である。このコルクはよく知られているよう
に微細な空気をその細胞の内にとじ込めた状態で
形成されているため該細胞内の空気は音を伝えな
い性質を有しており、しかも該気胞のクツシヨン
性により衝撃をも吸収してしまうから遮音材とし
て特に優れる。しかも高い耐圧縮性を保有するの
で床材とそて最適で、これを空気孔１を有する芯
材２と組合せることによつて最高の床を形成する
ことができる。なお、前記した性能を充分発揮さ
せるためのコルク板材厚みは10〓以上に設けるこ
とが望ましい。

また、遮音板材３としては上記した以外に、同
じ効果を有するとじ込められた空気孔１を持つ発
泡合成樹脂材、あるいは合成ゴム材等一般によく
使用される遮音材を用いることも出来る。

〔実施例〕

本考案の防音床材Ａは、床面だけに限らず壁あ
るいは天井にも応用することができ、これを実施
することにより床や壁の全体厚みを大きく減少さ
せることが可能となる。また施工においては切断
も簡単でその上面に仕上げ材を貼着することのみ
で完成する手軽さを持つ。

次に、本考案の遮音板材Ａの一実施例と従来品
とを示しその遮音性を比較した表を示す。

Ａ… 5.5〓厚の穴開きベニヤに上下両面から10
〓厚のコルク板材を挟貼着一体にした防音床材
を、10〓厚の下地ベニヤの上に設置し、この上
に仕上げ材を敷置したもの。

Ｂ… 10〓厚のコルク板材に上方は10〓厚・下方
は12〓厚のベニヤを貼合せた床材を、10〓厚の
下地ベニヤの上に設置し、この上に仕上げ材を
敷置したもの。

Ｃ… 12〓厚のベニヤを、10〓厚の下地ベニヤの
上に設置し、この上に仕上げ材を敷置したも
の。

☆ 表でも明確なように本考案の遮音材は大変す
ぐれた遮音性能を発揮するものであり、特に衝
撃音にすぐれた特性を有している。

〔考案の効果〕

以上の説明の様に本考案は、安価な芯材に空気
層を形成しこれに遮音材を組合せた極めて簡単な
構造で、強力な衝撃音吸収効果を発揮しつつその
質量及び重量の大巾な低減を実現しかつ遮音構造
の厚みを薄くでき、施工性にすぐれ階下に対して
理想的な防音材となつた画期的な防音床材であ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の防音床材を示す部分断面図であ
る。 Ａ……防音床材、１……空気孔、２……芯材、
３……遮音板材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 床衝撃音に対応する防音床材Ａであつて；空
   洞あるいは穴等の空気孔１を内部に持つ板材を
   芯材２とし、その両面に弾性素材からなる遮音
   板材３を貼着したことを特徴とする防音床材。 (2) 前記遮音板材３は、コルク板であることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   防音床材。 (3) 前記遮音板材３は、合成ゴム材であることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の防音床材。 (4) 前記遮音板材３は、発泡合成樹脂材であるこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の防音床材。