JPH0355140Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、VTR等に使用される回転ヘツド装
置に関する。

［従来の技術］ VTR等の機器本体に組み込まれている回転ヘ
ツド装置として、第１図に示した構造をもつもの
が従来から使用されている。この回転ヘツド装置
は、上ドラム２及び下ドラム３を回転軸方向に対
向して配置している。上ドラム２は、磁気テープ
１と接触しながら、回転軸７を中心として回転す
る。他方、下ドラム３は、同様に磁気テープ１と
接触するが、固定されている。

磁気ヘツド４は、磁気テープ１に接触する位置
に設けられており、圧電素子５を介して上ドラム
２に固定されている。圧電素子５としては、たと
えばバイモルフ型の素子が使用され、リード線６
を介し所定の電圧が印加される。リード線６は、
上ドラム２に固定されているコミユテータ基板９
に接続され、更にブラシ８を介して外部電源に電
気的に接続されている。

圧電素子５に電圧が加えられると、上ドラム２
に固定されている圧電素子５の固定部分を中心と
して磁気ヘツド４が上下に変位する。ここで、ヘ
リカルスキヤン方式の磁気記録を想定すると、磁
気ヘツド４が上下方向に変位することにより、磁
気テープ１の任意の位置が磁気ヘツド４によつて
選択される。

［考案が解決しようとする課題］ 第１図に示した構成では、上ドラム２に固定さ
れている圧電素子５と外部電源とを電気的に接続
するために、ブラシ８が必要である。また、寸法
的な制約から、バイモルフ等の圧電素子５を多層
化することが困難である。

そのため、磁気ヘツド４の上下変位量を大きく
するためには、圧電素子５に高電圧を印加するこ
とが必要になる。しかし、高電圧の使用は、電圧
上昇のために専用部品を必要とし、部品点数の増
加を招き、装置構成が複雑になる。その結果、組
立て工数の増加により製品コストが上昇し、また
保守、点検等の作業も面倒になる。

本考案は、このような問題を解消すべく案出さ
れたものであり、回転中心軸に圧電素子を組み込
むことにより、回転中心軸自体の軸方向長さを制
御電圧の印加によつて変え、磁気ヘツドの上下方
向変位を制御することができる回転ヘツド装置を
提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本考案の回転ヘツド装置は、その目的を達成す
るため、複数の圧電素子がスラスト方向に積層さ
れた回転中心軸と、該回転中心軸に回転自在に支
承されたロータベースと、磁気テープに接触する
位置で前記ロータベースに固定された磁気ヘツド
と、前記回転中心軸を固定するステータベースと
を備えており、前記圧電素子に印加される制御電
圧に応じて前記回転中心軸の軸方向長さが変化す
ることを特徴とする。

［実施例］ 以下、図面を参照しながら、実施例によつて本
考案を具体的に説明する。

本実施例においては、第２図に示すように、上
ドラム１０及び下ドラム１１で回転ドラムを構成
する。下ドラム１１に固定されているステータベ
ース１２に、回転中心軸２０が固定されている。
また、上ドラム１０としたドラム１１との間に、
固定アーム１７が設けられている。

回転中心軸２０を中心として回転自在に支承さ
れているロータベース２１には、磁気テープ１５
に接触する位置で磁気ヘツド１６が固定されてい
る。ロータリトランス２２は、互いに半径方向に
対向する位置関係でロータベース２５の外周面及
び下ドラム１１の内周面に固定された一対のコイ
ルで構成されている。

また、ロータベース２５を直接駆動するため、
FG検出基板３０、FGマグネツト３１、ロータヨ
ーク３２、駆動マグネツト３３、駆動コイル３４
及びステータヨーク３５が図示した位置関係で組
み込まれている。

回転中心軸２０には、第３図に示すように、複
数の圧電素子２３，２４，２５……がスラスト方
向に積層されている。圧電素子２３には、その両
面に電極２３ａが設けられている。他の圧電素子
２４，２５……に対しても同様に、それぞれの両
面に電極が形成されている。また、個々の圧電素
子２３，２４，２５の間に絶縁層２６が配置され
ており、隣接した電極（たとえば圧電素子２３の
電極２３ａと圧電素子２４の電極２４ａ）の間を
絶縁している。電極２３ａ，２４ａ，２５ａは…
…リード線２７を介し、電極２３ｂ，２４ｂ，２
５ｂ……はリード線２８を介して外部電源２９に
接続されている。

圧電素子２３は、第４図に示すように円筒状の
本体をもつている。そして、円筒状本体の上側端
面及び下側端面のそれぞれに、電極２３ａ及び２
３ｂを形成している。電極２３ａ，２３ｂには、
円筒状本体の中心に対して角度差をもつ凸部２３
ｃ，２３ｄがそれぞれ形成されており、それぞれ
リード線２７，２８に接続されている。

外部電源２９からリード線２７，２８を介して
電極２３ａ，２３ｂ，２４ａ，２４ｂ……に直流
の制御電圧を印加するとき、回転中心軸２０に積
層された複数の圧電素子２３，２４，２５……が
厚み方向、すなわち回転中心軸２０の軸方向に伸
縮する。圧電素子２３，２４，２５……の伸縮
は、集積され回転中心軸２０の軸方向長さＬの変
化となつて現れる。その結果、回転中心軸２０に
支承されているロータベース２１が上下に変化
し、磁気ヘツド１６も同じ方向に変位する。そし
て、磁気ヘツド１６の変移に応じ磁気テープ１５
の任意の位置での記録又は再生が行われる。

回転中心軸２０は、第３図に示した一様な外径
をもつ円筒状の外に、周面に形成した小径部に圧
電素子を組み込む形式を採用することもできる。
たとえば、第５図に示すように、ステータベース
１２から突出している回転中心軸２０は、軸受け
面２０ａ及び２０ｂでロータベース２１を回転可
能に支承する。軸受け面２０ａ，２０ｂに段差を
設け、その間に周面が一段と凹んだ小径部２０ｃ
を形成する。

小径部２０ｃに、複数の圧電素子２３を積層配
置する。個々の圧電素子２３には、第３図で示し
た場合と同様に両面に電極が形成されており、そ
れぞれの上側電極及び下側電極ごとにリード線を
介して外部電源に接続されている。

この場合にも、圧電素子２３の電極に制御電圧
を印加することによつて、回転中心軸２０が同様
に軸方向に伸縮する。回転中心軸２０の伸縮を磁
気ヘツド１６に上下方向の変位として伝え、磁気
テープ１５の任意位置での記録又は再生が可能と
なる。

［考案の効果］ 以上に説明したように、本考案の回転ヘツド装
置においては、圧電素子を固定側の回転中心軸に
複数の圧電素子をスラスト方向に積層している。
そのため、回転側に配置する場合に必要であつた
ブラシ等の集電子が不要となるばかりでなく、部
品点数が増加することもない。しかも、個々の圧
電素子の変位が集約された値として磁気ヘツドが
上下方向に変位するので、圧電素子単体当り小さ
な制御電圧を印加しても十分に大きな変位量を得
ることができる。そのため、回路の簡略化、回転
ヘツド装置の小型軽量化ばかりでなく、磁気記録
再生装置全体の小型化、軽量化も可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の回転ヘツド装置を示す部分断面
図、第２図は本考案実施例の回転ヘツド装置の平
断面図、第３図は同回転ヘツド装置の回転中心軸
を示し、第４図のａ〜ｃはそれぞれ本考案実施例
で使用した圧電素子の上面図、側断面図及び底面
図、第５図は他の実施例における回転中心軸を示
す。 １２……ステータベース、１５……磁気テー
プ、１６……磁気ヘツド、２１……ロータベー
ス、２０……回転中心軸、２３〜２５……圧電素
子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の圧電素子がスラスト方向に積層された回
   転中心軸と、該回転中心軸に回転自在に支承され
   たロータベースと、磁気テープに接触する位置で
   前後ロータベースに固定された磁気ヘツドと、前
   記回転中心軸を固定するステータベースとを備え
   ており、前記圧電素子に印加される制御電圧に応
   じて前記回転中心軸の軸方向長さが変化すること
   を特徴とする回転ヘツド装置。