JPH0352224Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案はブレーキ倍力装置におけるキー部材の
抜止め装置に関する。

「従来の技術」 一般にブレーキ倍力装置は入力軸によつて作動
される弁機構を備えており、その弁機構を構成す
る弁プランジヤは、上記バルブボデイに形成した
孔内に半径方向外方から挿入して上記弁プランジ
ヤに係合させたキー部材によつて上記バルブボデ
イから抜出るのが防止され、さらにそのキー部材
も抜止め装置によつて上記孔から抜出るのが防止
されている。

従来、上記キー部材の抜止め装置として、上記
キー部材を、バルブボデイに形成した上記孔内に
半径方向外方から挿入されて弁プランジヤに係合
し、その弁プランジヤがバルブボデイから抜出る
のを防止する抜止部と、この抜止部に一体に連設
され、上記バルブボデイの外周のほぼ半周を囲む
キー部材の円弧部とから構成し、さらに上記バル
ブボデイの外周に、上記キー部材の円弧部の反対
側からその外周のほぼ半周を囲むばね性を有する
リテーナを配設し、かつこのリテーナの両端部を
上記円弧部の端部に穿設した孔内に係合させてキ
ー部材に連結することにより、上記キー部材が上
記孔から抜出るのを防止するようにしたものが提
案されている（実開昭58−164965号）。

「考案が解決しようとする問題点」 しかるに、そのような構成の抜止め装置では、
上記リテーナの両端部を各円弧部の端部に穿設し
た孔内にそれぞれ別個に係合させる必要があるた
め、その組立作業が煩雑なものとなつていた。

「問題点を解決するための手段」 本考案はそのような事情に鑑み、上記抜止部と
円弧部とを有するキー部材と、このキー部材の円
弧部の反対側からバルブボデイの外周のほぼ半周
を囲むリテーナとを備える抜止め装置において、
上記キー部材の円弧部の両端部内側に係合凹部を
形成するとともに、リテーナの両端部外側にその
リテーナの弾性により上記係合凹部に係合してキ
ー部材とリテーナとがバルブボデイの半径方向外
方に分離されるのを防止する係合爪を形成し、さ
らに上記リテーナの軸方向両端部を、バルブボデ
イに形成した一対の段部端面によつて又はバルブ
ボデイに形成した段部端面と上記キー部材とによ
つて挟持して、上記係合凹部と係合爪との係合が
軸方向に離脱されるのを防止したものである。

「作 用」 そのような構成によれば、キー部材とリテーナ
とをバルブボデイの外周に嵌装するように組付け
るだけで、上記リテーナの弾性によりこれに形成
した係合爪をキー部材の係合凹部に係合させて両
者が半径方向外方に分離されるのを防止できるの
で、従来に比較して組立作業を極めて容易なもの
とすることができる。

そしてこの際、上記キー部材は上記抜止部を挿
入した孔によつて軸方向の移動が制限されてお
り、またリテーナはバルブボデイに形成した一対
の段部端面によつて又はバルブボデイに形成した
段部端面と上記キー部材とによつて挟持されてや
はり軸方向の移動が制限されているので、両者が
必要量以上に軸方向に相対移動して上記係合凹部
と係合爪との係合が軸方向に離脱するのが防止さ
れている。

「実施例」 以下本考案をタンデムブレーキ倍力装置に適用
した実施例について説明すると、第１図におい
て、フロントシエル１とリヤシエル２とで構成し
た密封容器内は、その中央部に設けたセンタープ
レート３によつて前後のフロント室４とリヤ室５
との２室に区画してあり、かつ、上記リヤシエル
２およびセンタープレート３の軸部に、合成樹脂
からなる概略筒状のバルブボデイ６をそれぞれシ
ール部材７，８により気密を保つて摺動自在に貫
通させている。

そして上記バルブボデイ６には、上記フロント
室４とリヤ室５とに収納したフロントパワーピス
トン９とリヤパワーピストン１０とをそれぞれ連
結するとともに、各パワーピストン９，１０の背
面にフロントダイアフラム１１とリヤダイヤフラ
ム１２とをそれぞれ張設し、それらダイアフラム
１１，１２によつて上記フロント室４とリヤ室５
とをそれぞれ２室に区画して、合計４つの室Ａ，
Ｂ，Ｃ，Ｄを形成している。

上記バルブボデイ６内に収納した弁機構１５は
バルブボデイ６内に摺動自在に嵌合した弁プラン
ジヤ１６を備えており、この弁プランジヤ１６の
末端を図示しないブレーキペダルに連動させた入
力軸１７に連結している。また、弁プランジヤ１
６の先端をプツシユロツド１８の右端大径部内に
設けたリアクシヨンデイスク１９の端面に対向さ
せ、このプツシユロツド１８の先端はシール部材
２０を介してフロントシエル１の軸部から摺動自
在に外部に突出させて図示しないマスターシリン
ダのピストンに連動させている。

上記パワーピストン２やバルブボデイ６等は、
通常は、リターンスプリング２１によつて図示非
作動位置に保持させてあり、この非作動状態で
は、上記弁プランジヤ１６がバルブボデイ６から
抜出るのを防止するキー部材２２は、リヤシエル
２の内面に当接してバルブボデイ６に対する弁プ
ランジヤ１６の自由な右行を規制し、次に入力軸
１７および弁プランジヤ１６が作動された際に直
ちに上記弁機構１５による流体回路の切換え動作
が得られるようにしている。

すなわち、上記キー部材２２は、自由な状態で
はバルブボデイ６に対して大きく後退して弁機構
１５の弁体２３と弁座２４との間に大きな間隙を
確保するが、上記非作動状態ではリヤシエル２の
内面に当接してバルブボデイ６に対して前進さ
れ、それによつて弁プランジヤ１６の自由な後退
を規制して上記弁体２３と弁座２４との間の間隙
を微少若しくは実質的に零に保ち、次に入力軸１
７および弁プランジヤ１６が作動された際に直ち
に流体回路を切換えるようになつている。

次に、前述した室Ａは常時負圧が導入される定
圧室となつており、フロントシエル１に取付けた
負圧導入管２５を介して図示しないインテークマ
ニホールドに連通している。またこの定圧室Ａは
上記バルブボデイ６に形成した軸方向通路２６お
よび半径方向通路２７を介して常時定圧室Ｃに連
通している。

またこれらの定圧室Ａ，Ｃは、ブレーキ倍力装
置の非作動時には、上記軸方向通路２６、弁機構
１５の弁体２３と弁座２４との間隙およびバルブ
ボデイ６に形成した半径方向通路２８を介して変
圧室Ｄに連通し、さらにバルブボデイ６に形成し
た軸方向通路２９を介して変圧室Ｂに連通してい
る。

この状態では、各定圧室Ａ，Ｃおよび変圧室
Ｂ，Ｄのそれぞれに負圧が導入されて等圧とな
り、各ダイアフラム１１，１２の前後に圧力差が
生じていないので、それらはリターンスプリング
２１によつて図示非作動位置に保持されるように
なる。

然して、上記弁プランジヤ１６がバルブボデイ
６から抜出るのを防止するキー部材２２は、上記
バルブボデイ６に形成した半径方向の孔３４内に
外方から挿入されて上記弁プランジヤ１６に係合
し、その弁プランジヤ１６がバルブボデイ６から
抜出るのを防止する抜止部２２ａと、第２図に示
すように、この抜止部２２ａの外端部に一体に連
設され、上記バルブボデイ６の外周のほぼ半周を
囲む一対の円弧部２２ｂと、さらに各円弧部２２
ｂの両端部内側に形成した係合凹部２２ｃとを備
えてる。

これに対し、上記キー部材２２が上記孔３４内
から抜出るのを防止するリテーナ３５は、第１図
ないし第３図に示すように、上記キー部材２２の
円弧部２２ｂとは反対側から上記バルブボデイ６
の外周のほぼ半周を囲む円弧状本体３５ａと、こ
の円弧状本体３５ａの両端部を外側に向けて折返
して形成した係合爪３５ｂとを備えており、各係
合爪３５ｂは自己の弾性により上記係合凹部２２
ｃに係合可能となつている。そして各係合爪３５
ｂの軸方向の幅は、上記キー部材２２がバルブボ
デイ６に対して所要量移動しても、両者が軸方向
に離脱することがないような幅に設定している。

さらに、上記リテーナ３５の円弧状本体３５ａ
の両端部に、上記係合爪３５ｂと軸方向に位置を
ずらして一対の当接部３５ｃを形成し、各当接部
３５ｃは円弧状本体３５ａの両端部から半径方向
外方に円弧状に、上記係合爪３５ｂよりもさらに
外方まで突出させて形成している。各当接部３５
Ｃは、バルブボデイ６に形成した軸方向通路２９
の変圧室Ｄ側開口部内に収容可能な大きさに設定
してあり、かつリテーナ３５をバルブボデイ６の
所定位置に組付けた際に、上記係合爪３５ｂと反
対側の端面が上記軸方向通路２９の内部に形成し
た段部端面２９ａに隣接するような幅に設定し、
その段部端面２９ａとキー部材２２とによつてリ
テーナ３５を軸方向両側から挟持できるようにし
ている。

上記構成を有する本実施例において、上記キー
部材２２とリテーナ３５とを組付けるには、先ず
リテーナ３５の円弧状本体３５ａをバルブボデイ
６に形成した上記孔３４の開口側と反対側の外周
に嵌装するとともに、そのリテーナ３５の両端当
接部３５ｃをそれぞれ軸方向通路２９内に収納し
て段部端面２９ａに当接若しくは近接させる。

そして次に、反対側からキー部材２２の抜止部
２２ａを上記孔３４内に挿入してその先端部を弁
プランジヤ１６に係合させるとともに、各円弧部
２２ｂの両端部内側に形成した係合凹部２２ｃ内
に上記リテーナ３５の係合爪３５ｂをそれぞれ係
合させれば、組付が完了する。

この状態では、上記キー部材２２とリテーナ３
５とはそれぞれに形成した係合凹部２２ｃと係合
爪３５ｂとの係合により相互に半径方向外方に分
離されるのが防止される。しかも上記キー部材２
２は、上記抜止部２２ａを挿入した孔３４によつ
て軸方向の移動が所要量に制限されており、また
リテーナ３５の当接部３５ｃは、バルブボデイ６
に形成した段部端面２９ａと上記キー部材２２の
円弧部２２ｂとによつて挟持されてやはり軸方向
の移動が所要量に制限されているので、両者が必
要量以上に軸方向に相対移動して上記係合凹部２
２ｃと係合爪３５ｂとの係合が軸方向に離脱する
のが防止される。

なお、第４図に示すように、バルブボデイ６の
外周に環状溝３６を形成し、その環状溝３６内に
リテーナ３５の円弧状本体３５ａを嵌合してその
両側を上記環状溝の段部端面３６ａによつて挟持
させてもよい。この場合には、リテーナ３５に当
接部３５ｃを形成しておけば、上記当接部３５ｃ
と環状溝３６とにより、キー部材２２がバルブボ
デイ６に対して軸方向に変位した際にそれに伴な
つてリテーナ３５が傾くことを良好に防止できる
が、必要に応じてその当接部３５ｃを省略するこ
とも可能である。

「考案の効果」 以上のように、本考案によれば、キー部材とリ
テーナとをバルブボデイの外周に嵌装するように
組付けるだけで、極めて容易にキー部材がバルブ
ボデイから離脱することを防止できるという効果
が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示し、かつ第２図
の−線に沿う断面図、第２図は第１図の−
線に沿う断面図、第３図はリテーナ３５の斜視
図、第４図は本考案の他の実施例を示す要部の断
面図である。 １……フロントシエル、２……リヤシエル、６
……バルブボデイ、１５……弁機構、１６……弁
プランジヤ、２２……キー部材、２２ａ……抜止
部、２２ｂ……円弧部、２２ｃ……係合凹部、２
９ａ……段部端面、３４……孔、３５……リテー
ナ、３５ａ……円弧状本体、３５ｂ……係合爪、
３５ｃ……当接部、３６……環状溝、３６ａ……
段部端面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 バルブボデイに摺動自在に嵌合した弁機構の弁
   プランジヤと、上記バルブボデイに形成した孔内
   に半径方向外方から挿入されて上記弁プランジヤ
   に係合し、その弁プランジヤがバルブボデイから
   抜出るのを防止するキー部材の抜止部と、この抜
   止部に一体に連設され、上記バルブボデイの外周
   のほぼ半周を囲むキー部材の円弧部と、この円弧
   部の反対側から上記バルブボデイの外周のほぼ半
   周を囲み、かつ両端部が上記各円弧部に連結され
   て上記キー部材が上記孔から抜出るのを防止する
   リテーナとを備えたブレーキ倍力装置におけるキ
   ー部材の抜止め装置において、 上記キー部材の円弧部の両端部内側に係合凹部
   を形成するとともに、上記リテーナの両端部外側
   にそのリテーナの弾性により上記係合凹部に係合
   してキー部材とリテーナとがバルブボデイの半径
   方向外方に分離されるのを防止する係合爪を形成
   し、さらに上記リテーナの軸方向両端部を、バル
   ブボデイに形成した一対の段部端面によつて又は
   バルブボデイに形成した段部端面と上記キー部材
   とによつて挟持して、上記係合凹部と係合爪との
   係合が軸方向に離脱されるのを防止したことを特
   徴とするブレーキ倍力装置におけるキー部材の抜
   止め装置。