JPH0348787Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は磁気テープカセツトに関し、さらに詳
しくは、フイリツプスタイプと同程度かあるいは
それ以下の大きさのオーデイオ等に用いられる新
規なコンパクトカセツトに関するものである。

（従来技術） 近年、カセツトテープレコーダの小型化および
軽量化が進み、これに使用される磁気テープカセ
ツトも小型化されたものが普及して来ており、オ
ーデイオ分野に於ても長時間にわたる高品質でか
つ高密度の記録再生に適応し得る磁気テープカセ
ツトが強く望まれるようになつて来ている。この
ような要望に適するものとして、アナログ方式と
は違い、入力信号をパルス変換して記録再生を行
うパルスコードモジユレーシヨン（PCM）の如
きデジタル方式のものが知られており、現在、こ
の方式を用いたものとしては、記録周波数帯域を
従来のオーデイオテープの５倍程度に広くする必
要からオーデイオ用コンパクトカセツトより記録
周波数帯域の広い大型のビデオテープカセツトが
一般に普及している。

このビデオカセツトは、特殊なものを除いて回
転ヘツド方式に対応したものが採用されており、
その構造としてカセツト前方に設けた開口部を閉
鎖し、かつカセツト上方に開動可能なガードパネ
ルを設けている。すなわち、デジタル方式を用い
た場合には、従来のオーデイオ用コンパクトカセ
ツトに比べて記録波長が短い高密度広周波帯域の
記録再生を行うため、防塵ならびにテープ保護対
策が充分に講じられたカセツト構造を必要として
いた。特に、この磁気テープカセツトは、従来の
オーデイオ用コンパクトカセツトと同等かそれ以
上に屋外での携行使用頻度が高くなると予想され
るため、優れた防塵効果を有する構造が必要であ
る。

このような問題に鑑みて、磁気テープカセツト
を記録再生装置に装填していない非使用時には、
カセツト前方の開口部ならびにリールシヤフト挿
入孔を閉塞して外部からの塵埃の侵入を防止する
テープカセツトが提案されている。このカセツト
は下ハーフケース底面に沿つて摺動可能なスライ
ドガードを備えたものであり、カセツト使用時に
は開口部の下方側を開放するとともにリールシヤ
フト挿入孔を露出させ、非使用時には両者とも閉
塞するようにスライドガードはバネ等により適宜
付勢されている。さらに下ハーフケースには、先
端部が下ハーフケース底面より突出した片持式の
係止部材が設けられ、一方、スライドガードには
係止部材の先端部と嵌合する２つの係止孔が形成
されている。そしてスライドガードがカセツト前
後方向にスライド移動することにより係止部材の
先端部がそのどちらか一方の係止孔と嵌合し、ス
ライドガードを所望位置に固定している。記録再
生装置には、カセツト装填部であるバケツトの底
面に係止部材先端部を押し上げて該先端部と係止
孔との嵌合を解除する解除部材が設けられてお
り、カセツト挿入時には開口部等の閉塞状態を維
持する嵌合が解除され、カセツト挿出時には開口
部等の開放状態を維持する嵌合が解除される。

上記のスライドガードは組み立ての際に摺動方
向に沿つて下ハーフケースに装着されるが、係止
部材の先端部は下ハーフケース底面から突出して
いるため、装着に際してスライドガードの進行方
向前縁（カセツト後方側の縁）が該先端部に当接
して装着の障害となり、この当接を解除して装着
するには複雑な作業を必要とする。またこのよう
なトラブルを避けるためにスライドガード装着時
に係止部材を機械的に撓ませて、先端部をケース
内側方向に没入させることも可能であるが、係止
部材の無理な撓みによる破損またはクリープによ
る弾性の低下に起因する係止効果の低減という問
題がある。

（考案の目的） そこで本考案の目的は、上記の問題点を解消
し、スライドガードを下ハーフケースに装着する
ときに、外的手段を必要とせず単に摺動するだけ
で容易に適切位置に装着できるように構成された
磁気テープカセツトを提供することにある。

（考案の構成） 本考案は、上下ハーフケース２，３によつて形
成される内部空間に、磁気テープＴが巻装された
一対のハブ４と、該ハブ４を係止するロツク部材
６とを内蔵し、前記磁気テープＴをカセツト前方
へ引き出し可能にする開口部１０を開閉する回動
自在なガードパネル８ならびに下ハーフケース３
の外側をカセツト前後方向に摺動可能なスライド
ガード２０を有し、前記下ハーフケース３はその
底面からケース外方にわずかに突出する先端部３
４を有し片持支持された係止部材３３を供え、前
記スライドガード２０には前記先端部３４に対応
した係止孔３５を設け、該係止孔３５と前記先端
部３４とが嵌合することによりスライドガード２
０の位置を規制する磁気テープカセツトにおい
て、 前記スライドガード２０は、前記係止孔３５の
カセツト前後方向の延長線上の後方縁２０ａに、
カセツト後方かつ下方に向けて傾斜したテーパ面
３６が形成され、前記スライドガード２０装着時
に前記係止部材３３の先端部３４が前記テーパ面
３６から前記スライドガード２０の内面に乗り上
げて前記下ハーフケース３の内方に向けて後退
し、かつ前記先端部３４が前記スライドガード２
０の内面と摺動するように構成されたことを特徴
とする磁気テープカセツトである。

本考案によれば、スライドガード２０を下ハー
フケース３底面に沿つて前方から摺動させるよう
に装着する時に、まず係止部材３３の先端部３４
がテーパ面３６に当接し、次いで下ハーフケース
３の進行に伴い先端部３４がテーパ面３６に乗り
上げて係止部材３３がカセツト内方にわずかに撓
み、更に先端部３４がスライドガード２０の内面
と摺接する。このとき、係止部材３３の先端部３
４は、スライドガード装着前よりも下ハーフケー
ス３の内方に引つ込んだ状態で、スライドガード
２０の内面と接する。したがつて、係止部材３３
の先端部３４はスライドガード２０の装着時に摺
動の障害とならないので、スライドガード２０を
容易に装着することができる。

以下、本考案を図面に例示する実施態様に基づ
いて詳細に説明する。

第１図に示す磁気テープカセツト１は、従来、
オーデイオなどに用いられているコンパクトカセ
ツトと同程度あるいはそれ以下の大きさのもので
ある。前記磁気テープカセツト１は、上下ハーフ
ケース２，３から成るカセツトケース内に磁気テ
ープＴを巻装したフランジレスタイプの一対のハ
ブ４と、前記ハブ４の回動を円滑にするフリクシ
ヨンシート５と、前記ハブ４の不測の回動を防止
するロツク部材６とが内蔵され、さらに、カセツ
トケース前方の開口部１０の前方側を閉じるガー
ドパネル８と、前記開口部１０の下方側を閉じる
スライドガード２０とが取り付けられている。

なお、前記ハブ４には、前記ロツク部材６に設
けられた一対の尖突部７が夫々係合できるよう
に、テープ巻装面と同心的に突出した外周端縁４
ａが形成されている。

前記下ハーフケース３は、従来のビデオテープ
カセツトと同様に前記ハブ４が対応する一対のリ
ールシヤフト挿入孔１４が透設されていると共
に、前記磁気テープＴをカセツト前方に引き出せ
るように前記開口部１０の左右両端にテープ引き
出し口１１を構成するようになされている。さら
に、前記下ハーフケース３の底面には前記スライ
ドガード２０を係止する片持式の係止部材３３が
備えてあり、その先端部３４は前記下ハーフケー
ス３底面から突出する形状であり、かつ弾性によ
り前記下ハーフケース３底面に没入可能な構成と
なつている。また、カセツトテープ引き出し口１
１間のカセツト底部は、その壁面がカセツト後方
に退くように形成されており、前記磁気テープカ
セツト１が記録再生装置に装填された際に、該装
置のテープ引き出し部材がカセツト下方からカセ
ツト内に入り込めるように構成されている。

前記スライドガード２０は、プレート状のもの
で、その左右両端部分が前記下ハーフケース３の
側壁１５に沿うように直角に立ち上つた側片２６
に形成され、その垂直断面形状が略コ字状になさ
れており、前記側片２６の上端縁には互に向き合
つてカセツトケース内に僅かに入り込むような張
り出し部２７が形成されている。さらに、前記ス
ライドガード２０は前記下ハーフケース３の底部
に対応する面には、前記リールシヤフト挿入孔１
４に対応する透設孔２３が形成され、また該スラ
イドガード２０をカセツト前方へ付勢させるスラ
イドガード用ばね２５が係合している。また前記
スライドガード２０には、前記下ハーフケース３
に設けられたリールシヤフト挿入孔１４と前記透
設孔２３とが一致する位置すなわち、前記開口部
１０を開放する位置および前記挿入孔１４を閉塞
するそれぞれの位置において、前記係止部材３３
の先端部３４と嵌合する２つの係止孔３５が設け
られ、さらに、これらの係止孔３５をカセツト後
方に延長した後方縁２０ａにはカセツト後方に向
かつてカセツト下方に傾斜したテーパ面３６が形
成されている。前記上ハーフケース２は、従来の
ビデオテープカセツトと同様に前記下ハーフケー
ス３と組み合せたときに、該下ハーフケース３と
ともに前記テープ引き出し口１１を形成するよう
に前方部分が構成されている。また、図示しない
が前記上ハーフケース２の内面には前記ハブ４の
回転位置を規制する手段が設けられている。

前記磁気テープカセツト１を組み立てる際は、
始めに、前記下ハーフケース３の下側に前記スラ
イドガード２０を取り付けるが、このとき、前記
下ハーフケース３の側壁１５に設けた段部３２の
上縁と前記スライドガード２０の張り出し部２７
の下面とを係合するように嵌める。そして前記下
ハーフケース３に沿つて前記スライドガード２０
をカセツト前方から後方に向けて摺動させると、
前記係止部材３３の先端部３４が前記スライドガ
ード２０の後方縁２０ａに設けた前記テーパ面３
６に当接し、さらに該スライドガード２０が進行
することにより前記先端部３４はテーパ面３６上
を移動して前記下ハーフケース３の内面に乗り上
げる（第２図参照）。すなわち、前記スライドガ
ード２０の進行により前記係止部材３３の先端部
３４は前記テーパ面３６を乗り上げて前記下ハー
フケース３の内方へ向けて後退するので、前記下
ハーフケース３の底面の外観はほぼ平坦な面とな
り、前記先端部３４が障害とならずに容易に前記
スライドガード２０を前記下ハーフケース３に装
着できる。前記係止部材３３の前記先端部３４が
前記テーパ面３６から更に前記スライドガード２
０の内面に乗り上げたとき、前記係止部材３３は
カセツト内方にわずかに撓み、前記先端部３４は
前記スライドガード２０の内面と弾性的に接す
る。このとき、前記係止部材３３の前記先端部３
４は、前記下ハーフケース３と前記スライドガー
ド２０とのクリアランス分だけ前記下ハーフケー
ス３からわずかに突出している。

また、前記スライドガード２０は、前記スライ
ドガード用ばね２５が前記下ハーフケース３に形
成された係止ピン１３に一端が嵌着され、他方端
が前記係合突部２２に係合されることにより、カ
セツト前方に付勢されてカセツト前後方向にスラ
イド可能になされる。

その後、前記下ハーフケース３の内面に敷いた
フリクシヨンシート５の上に、磁気テープＴが巻
装された前記ハブ４を前記リールシヤフト挿入孔
１４に夫々対応させて配設すると共に、磁気テー
プＴを前記テープ引き出し口１１からカセツト外
に出すようにして左右のテープガイド１２間に装
架する。その上にもう一つのフリクシヨンシート
５をかぶせ、その上から前記ロツク部材６を配設
し、係止軸３１に取り付けたばね２９によつて所
望方向に付勢する。

その後、前記ガードパネル８は、前記上ハーフ
ケース２を被せるときに、前記回転支軸９が前記
孔１６に回転可能に挿嵌されると共に、前記ガー
ドパネル用ばね２８により閉じ方向に付勢される
ように取り付けられる。

最後に前記上ハーフケース２が被せられた後、
ねじ等により前記上下ハーフケース２，３が締結
されて前記磁気テープカセツト１が組み立てられ
る。

このようにして組み立てられた前記磁気テープ
カセツト１はその保管時に於て、前記ガードパネ
ル８および前記スライドガード２０が前記開口部
１０を閉じていると共に、前記ハブ４の夫々外周
端縁４ａと前記ロツク部材６の尖突部７とが当接
して、該ハブ４が回動しないようになされてい
る。

前記上下ハーフケース２，３、前記ガードパネル
８、前記ロツク部材６の材質は、従来用いられて
いるポリアセタール樹脂、ABS樹脂、PS樹脂等
のプラスチツク樹脂でよく、また、前記スライド
ガード２０も前述のプラスチツク樹脂により構成
されている。なお、前記スライドガード２０は、
例えばステンレス等の金属で構成することも出来
るが、しかしカセツト本体がプラスチツク樹脂で
構成さているために、前記スライドガードの繰り
返しのスライド操作によりカセツト本体を削つて
しまうので、好ましくは前記上下ハーフケース
２，３に対し、対摩耗性を有するプラスチツク樹
脂が望ましい。

前記磁気テープＴは、強磁性酸化鉄や二酸化ク
ロム系のテープでもよいが、例えばメタルテープ
あるいは蒸着テープ等の如く高密度記録再生に適
しているものが好ましい。

（考案の効果） 以上詳細に説明したように、カセツト前方から
スライドさせて前記下ハーフケース３に装着する
前記スライドガード２０の後方縁２０ａには、前
記テーパ面３６が形成されているので、前記スラ
イドガード２０はカセツト組み立て時の装着に際
し、前記係止部材３３の先端部３４に前記縁２０
ａが引つ掛る等のトラブルが回避され、極めて容
易に組み込むことができ、特に本考案の対象とす
るコンパクトな磁気テープカセツトにあつてはそ
の効果は顕著に現われる。従つて、本考案によれ
ば、機械等によつても容易に組み立て得るように
構成された組み立て性に優れた磁気テープカセツ
トを提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施態様を表わす分解斜視
図、第２図は係止部材とテーパ面とが当接した状
態の断面図である。 １……磁気テープカセツト、２……上ハーフケ
ース、３……下ハーフケース、４……ハブ、４ａ
……外周端縁、５……フリクシヨンシート、６…
…ロツク部材、７……尖突部、８……ガードパネ
ル、９……回転支軸、１０……開口部、１１……
テープ引き出し口、１２……テープガイド、１３
……係止ピン、１４……リールシヤフト挿入孔、
１５……側壁、１６……孔、１７ｂ……内側壁、
１８……切欠き、１９……アーム部、１９ａ……
張り出し片、２０……スライドガード、２０ａ…
…後方縁、２２……係合突部、２３……透設孔、
２５……スライドガード用ばね、２６……側片、
２７……張り出し部、２８……ガードパネル用ば
ね、２９……ロツク部材用ばね、３１……ばね係
止軸、３２……段部、３３……係止部材、３４…
…先端部、３５……係止孔、３６……テーパ面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上下ハーフケース２，３によつて形成される内
   部空間に、磁気テープＴが巻装された一対のハブ
   ４と、該ハブ４を係止するロツク部材６とを内蔵
   し、前記磁気テープＴをカセツト前方へ引き出し
   可能にする開口部１０を開閉する回動自在なガー
   ドパネル８ならびに下ハーフケース３の外側をカ
   セツト前後方向に摺動可能なスライドガード２０
   を有し、前記下ハーフケース３はその底面からケ
   ース外方にわずかに突出する先端部３４を有し片
   持支持された係止部材３３を供え、前記スライド
   ガード２０には前記先端部３４に対応した係止孔
   ３５を設け、該係止孔３５と前記先端部３４とが
   嵌合することによりスライドガード２０の位置を
   規制する磁気テープカセツトにおいて、 前記スライドガード２０は、前記係止孔３５の
   カセツト前後方向の延長線上の後方縁２０ａに、
   カセツト後方かつ下方に向けて傾斜したテーパ面
   ３６が形成され、前記スライドガード２０装着時
   に前記係止部材３３の先端部３４が前記テーパ面
   ３６から前記スライドガード２０の内面に乗り上
   げて前記下ハーフケース３の内方に向けて後退
   し、かつ前記先端部３４が前記スライドガード２
   ０の内面と摺動するように構成されたことを特徴
   とする磁気テープカセツト。