JPH0329784Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は磁気記録再生装置に係り、特に、例え
ば業務用の特殊テープカセツトが適用される磁気
テープカセツト記録再生装置に、一般家庭用の標
準型テープカセツトが装着（挿入）できないよう
にした磁気記録再生装置の誤装着（誤挿入）防止
手段に関する。

（従来の技術） 一般にビデオテープレコーダ（以下、VTRと
称する）は一般家庭用のVTRと業務用のVTRと
の２種類があり、特に業務用のVTRは家庭用の
VTRに比較して高画質・高品位の条件がより強
く要求されているだけに、その記録方式も家庭用
のものとは自ずから異なつている。

例えば、この種業務用のVTRの記録方式はβ
カム（登録商標）方式あるいはＭフオーマツト方
式と称されている２方式などがあり、例えば前者
における方式の標準タイプのテープカセツトを使
用した信号記録時には、輝度信号とカラー信号と
を所定のアジマス角を有する磁気ヘツドを用いて
１トラツク毎に交互にガードバンドを介して記録
するものである。

また、後者のＭフオーマツト方式と称される方
式では、VTR（登録商標）方式の標準タイプのテ
ープカセツトを使用して記録時、輝度信号とカラ
ー信号とをガードバンドを介して交互に記録する
ものである。これら両方式は一般家庭用のVTR
のように、１トラツク毎に輝度信号とカラー信号
とが重畳され、所定のアジマス角を有する磁気ヘ
ツドでガードバンドレスを記録する方式とはとも
に異なつている。

従つて、例えば上記両者の業務用の記録フオー
マツトによつて信号が記録されたテープカセツト
は、その外形形状が同一なため、一般家庭用の
VTR（以下、標準型VTRと言うこともある）に
使用されるテープカセツトと誤認されやすく、こ
れが標準型VTRに装着された際には、上記した
如く記録フオーマツト及び信号の再生処理系が異
なつているため、当然、既記録信号の再生が不可
能となつて、使用者には装置（VTR）が故障し
たと思わせて不信感をいだかせるなど、色々と不
都合な事態が生じることになる。

また、このように高画質・高品位化に伴つて磁
気テープの素材は、Fe₂O₃、CrO₂を主成分とする
ものからメタル材を使用するテープが現われてき
ており、前者の素材を使用する磁気テープの記録
再生用ヘツドには、フエライトヘツドが一般的に
使用され、後者の素材を使用するテープの記録再
生用ヘツドとしては、メタル材の特性を十分に引
き出すために、例えばセンダスト及び、近年脚光
を浴びているアモルフアスヘツドが使用されてい
る。従つて、メタルテープが使用されているテー
プカセツトをフエライトヘツドを使用している標
準型VTRに装着して記録した場合、フエライト
ヘツドの組成上から飽和磁束密度が不足して、信
号が十分に記録できないという問題点が生じるも
のである。

一般に、この種テープカセツトは上下に２分割
される上ハーフと下ハーフとよりなつており、こ
れらは蓋合せ状態でネジなどで結合されて一体構
成されており、その内部に磁気テープが巻回され
る供給リール及び巻取リールがそれぞれ所定の間
隔を保つてカセツト本体の所定位置にて回転自在
に収納されている。そして、記録・再生時には、
ケース本体の一側面に設けられた開閉蓋がVTR
の開蓋機構によつて開かれ、磁気テープ引き出し
手段によつて磁気テープをカセツト本体より外部
に引き出し、磁気ヘツドに当接せしめるようにな
つている。

ここで、従来の標準型VTRに用いられる標準
型テープカセツトについて説明する。第６図は従
来の標準型テープカセツトを示す斜視図である。

同図において、テープカセツト１はカセツト筐
体２の中に磁気テープを巻回した２個のテープリ
ール（何れも図示せず）を回転自在に収納（内
蔵）している。

なお、磁気テープはカセツト筐体２の前面より
引き出し可能であり、更にカセツト筐体２の前面
には開閉可能な磁気テープ保護用の蓋体３が設け
られている。

テープカセツト１は通常、VTRのキヤビネツ
トの外側に設けられたカセツト挿入口を有するカ
セツトホルダやVTRのキヤビネツトの前面にカ
セツト挿入口を有するVTR内のカセツトホルダ
に、テープカセツト１の前面の蓋体３を先にして
挿入される。

第７図はテープカセツト１を適用する標準型
VTRのカセツトホルダの正面図を示し、テープ
カセツト１をカセツト挿入口７に誤つた方向（例
えば、蓋体３を後にして挿入したり、上下を逆に
して挿入する）にして挿入できないようにする誤
挿入防止手段を備えている。なお、同図はカセツ
ト挿入口をVTRのキヤビネツトの前面に設けた
カセツトホルダの正面図を一例として図示してい
る。

図に示すように、誤挿入防止のために、テープ
カセツト１の蓋体３の下縁中央部にガイド溝４を
設け、このガイド溝４はカセツト筐体２の底板
（底面）に設けたガイド溝５とカセツトの挿入方
向に関して同一線上になるように位置し、しかも
連通するようにして形成されている。

一方、VTR側のカセツトホルダ６の内部のテ
ープ挿入口７の下方には、テープカセツト１のガ
イド溝４及び５と対応する位置に、例えばリブ状
の部材（突起）よりなるストツパ８を設けてい
る。

従つて、テープカセツト１を正しい方向で
VTRのカセツト挿入口７に挿入すれば、カセツ
トホルダ６のストツパ８とテープカセツト１のガ
イド溝４及び５が一致して、これらが互いに係合
してテープカセツト１のカセツトホルダ６への挿
入が許容される。

しかしながら、テープカセツト１を表裏に逆に
して挿入しようとすると、カセツト筐体２の蓋体
３の上縁に形成した段部９がストツパ８に当接
し、あるいは、テープカセツト１を前後を逆にし
て挿入しようとしても、カセツト筐体の後面１０
（ガイド溝はない）がストツパ８に当接して、何
れの場合にもテープカセツト１のカセツトホルダ
６への挿入が阻止される。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、前記したように、最近では一般家庭
用の標準型VTRの外に、特殊用途のVTRが出現
している。

すなわち、例えば、報道用等の業務用に用いら
れるβカム（登録商標）方式あるいはＭフオーマ
ツト方式と称する特殊VTRは、標準型VTR用の
テープカセツトを用いながら記録方式が異なり、
更にテープ走行速度も異なるので（規格が異なる
ので）、標準型のVTRとは全く互換性がない。

また、この他に磁気テープの素材の点からも、
高密度記録のためにメタルテープや蒸着テープ等
を用いた場合には、記録電流や消去電流が異なる
ので、やはり互換性があるとはいえない。

従つて、このような特殊用途のVTRに、一般
の標準型テープカセツトが装着されるのを防止す
る手段が強く望まれていた。

なお、このような特殊VTRのテープカセツト
もカセツト筐体やテープ保護用の筐体等には標準
カセツト用のものが使用されるので、特殊カセツ
トでありながら外観寸法、形状等は殆んど標準型
のものと同一で、これらを単なる表示等で区別し
たのでは使用時における混乱を招き、使用者の不
信感を買う恐れもあつた。

そこで、本考案は上記の特殊テープカセツトを
使用する特殊VTRのカセツト挿入口に標準型テ
ープカセツトを誤つて装着（挿入）しようとして
も、装着（挿入）が阻止される誤装着（誤挿入）
防止手段を形成し、このような特殊VTRに標準
型テープカセツトが装着されるのを防止した磁気
記録再生装置を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記の目的を達成するために、カセツ
ト挿入空間を有するカセツトハウジング２０を具
備し、このカセツトハウジング２０を移動させて
磁気テープを収納したテープカセツト１１を所定
の記録あるいは再生動作位置に装着するよう構成
した磁気記録再生装置において、前記カセツトハ
ウジング２０の一部に前記カセツト挿入空間に突
出する突出部材２４を設け、かつ、この突出部材
２４の位置を、標準型テープカセツトの前記カセ
ツトハウジング２０への装着を阻止する位置に設
定したことを特徴とする磁気記録再生装置を提供
するものである。

（作用） 上記の構成の磁気記録再生装置においては、こ
の磁気記録再生装置（VTR）に設けた前記突出
部材２４と係合する切欠部１５が形成されたテー
プカセツトのみが装着（挿入）が可能となる。

これにより、上記VTRの信号記録方式に基づ
く記録態様と、このVTRに装着（挿入）される
テープカセツト内に収納された磁気テープへの信
号記録態様とは常に一致する。

（実施例） 本考案になる磁気記録再生装置の一実施例につ
いて、以下に図面と共に説明する。

第１図は本考案になる磁気記録再生装置の一実
施例に適用されるテープカセツトである標準型テ
ープカセツト以外のテープカセツト（特殊テープ
カセツト）を示す斜視図である。なお、以下、特
記するもの以外は標準型テープカセツト（第６図
示）と同様とする。

同図において、テープカセツト１１のカセツト
筐体２の前面には開閉可能な蓋体１２が設けられ
ているが、この蓋体１２の上面１３の略中央部に
は傾斜面１４を有する切欠部１５が形成されてい
る。

なお、蓋体１２の下蓋中央部には、標準型テー
プカセツトであるテープカセツト１にあるような
ガイド溝４及び５は形成されていない。

第２図は、上記の特殊テープカセツトが装着さ
れる特殊VTRのカセツトハウジングの要部を示
す断面図である。

同図において、VTRキヤビネツト１６の操作
パネル１７には、テープカセツト１１のカセツト
挿入口１８を有し、このカセツト挿入口１８の内
側にはカセツトハウジング２０よりなるカセツト
挿入空間を備えている。

カセツトハウジング２０は、カセツトホルダ２
１と、このカセツトホルダ２１の上方に所定間隔
で固定された補強板２２とよりなり、図示の位置
では操作パネル１７のカセツト挿入口１８と対向
しているが、モータを駆動源として矢印Ａ−Ｂ方
向に昇降可能である。

補強板２２の略中央部には角孔２３を有し、こ
の角孔２３にストツパ２４が進退自在で、かつ回
転しないように嵌合している。

第３図はストツパの側面図を示し、ストツパ２
４はポリアセタールなどの樹脂製の成形品で、斜
面２５と垂直面２６と軸部２７が一体に成形され
ている。なお、ストツパ２４はアルミダイカスト
製などのものでも良い。

ストツパ２４はその軸部２７に圧縮ばね２８を
挿通し、更に軸部２７を取付板２９の孔に挿通し
ているので、ストツパ２４は常に突出方向に付勢
されている。

また、カセツトハウジング２０には、ゴムロー
ラ３０を備え、後述するカセツトローデイング動
作に際して、テープカセツト１１をカセツトハウ
ジング２０内に自動装填する。

本考案になる一実施例の磁気記録再生装置に適
用されるテープカセツト及びカセツトハウジング
の構成は以上のようなもので、次にその動作を説
明する。

テープカセツト１１を、第４図に示すように、
カセツト挿入口１８より矢印Ｃ方向に挿入する
と、カセツトの切欠部１５の傾斜面１４がストツ
パの斜面２５と当接し、ストツパ２４は圧縮ばね
２８に抗してＡ方向に退避する。この結果、テー
プカセツト１１は引続き矢印Ｃ方向に挿入され
て、やがてゴムローラ３０に接触するが、この時
にゴムローラ３０の偏位を検出してモータが始動
し、減速機構と駆動チエイン（いずれも図示せ
ず）を介してゴムローラ３０を矢印Ｄ方向に回転
させるので、テープカセツト１１は自動的に２図
中のａの位置（２点鎖線で示す）に至る。

そして、テープカセツト１１がａの位置に達す
ると、別の検知手段が作動して、同じモータによ
つてカセツトハウジング２０を矢印Ｂ方向に下降
させ、第２図中のｂの位置に至るとモータが停止
して、テープカセツト１１とカセツトハウジング
２０は、このｂの位置に保持される。

なお、この位置ではテープカセツト１１の蓋体
１２は上方に約90゜開かれており、テープカセツ
ト１１より磁気テープを引き出した後に所定の記
録あるいは再生動作等が行なわれる。

次に、第５図は特殊VTRのカセツトハウジン
グに標準型テープカセツトを挿入した場合を示
し、標準型テープカセツトであるテープカセツト
１（第６図示）をこの特殊VTRのカセツト挿入
口１８より矢印Ｃ方向に挿入すると、カセツトの
蓋体３に形成した段部９がストツパ２４の垂直面
２６に当接するので、このカセツトはそれ以上の
挿入を阻止される。

なお、このテープカセツト１を表裏を逆に挿入
しても蓋体３のガイド溝４及び５はストツパ２４
より幅が狭いために挿入を阻止され、又このテー
プカセツト１１を前後を逆に挿入してもカセツト
の後面１０がストツパ２４に当接するので同様に
挿入を阻止される。

一方、特殊テープカセツト１１を表裏を逆にし
てカセツト挿入口１８に挿入した場合にも、カセ
ツトの蓋体１２の下縁には何等ガイド溝や切欠き
が形成されていないので、やはりストツパ２４に
当接して、それ以上のテープカセツトの挿入を阻
止する。

また、テープカセツト１１を標準型VTRのカ
セツト挿入口４（第７図参照）に挿入しようとし
ても、テープカセツト１１の蓋体１２の下縁には
ガイド溝や切欠きがないので、ストツパ８によつ
て挿入を阻止される。

更に、テープカセツト１１を表裏を逆にして従
来の標準型VTRのカセツト挿入口６に挿入しよ
うとしても、蓋体１２の上面１３の切欠部１５は
ストツパ８の高さに比べて高さが低いので（又は
ストツパ８が傾斜面１４に当接するので）ストツ
パ８より先の挿入を阻止され、この他に、万一、
テープカセツト１１を前後を逆に挿入しようとし
ても、カセツト筐体２の後面１０がストツパ８に
当接して挿入を阻止される。

以上のように、本考案の一実施例の磁気記録再
生装置（VTR）は、標準型テープカセツトと外
形形状が同一で、しかも標準型VTRとは異なる
記録方式の、例えば業務用等の特殊VTRに使用
されるテープカセツト（特殊テープカセツト）を
正しい向きで装着（挿入）した場合には、カセツ
トハウジングへの装着（挿入）が可能であるが、
このテープカセツトを表裏を逆に、あるいは前後
を逆に装着（挿入）しようとした場合には、この
ような誤装着（誤挿入）を確実に未然に防止で
き、従つて、使用者に不信感を抱かけるようなこ
とがなくなる。

また、この磁気記録再生装置（VTR）に、一
般家庭用の標準型テープカセツトを装着（挿入）
しようとした時には、カセツトの挿入方向の如何
に拘らず装着（挿入）が阻止され、誤装着（誤挿
入）が防止される。すなわち、このVTRへの異
種のテープカセツトの誤装着（誤挿入）を防止す
るだけでなく同種のテープカセツトの装着（挿
入）方向を誤つた誤装着（誤挿入）をも確実に未
然に防止できる。

なお、ストツパ２４を設ける位置は、この
VTRのカセツトハウジング２０に装着（挿入）
される特殊テープカセツトに形成する切欠部１５
に対応する位置ならばカセツトハウジング２０内
のどこでも良く、特に、テープカセツトの挿入方
向と略直角な方向に突出するように設けられるも
のであればいずれの位置にあつても良い。

（考案の効果） 以上の如く、本考案の磁気記録再生装置は、カ
セツトハウジングの一部にカセツト挿入空間に突
出する検知部材を設け、この突出部材を設け、か
つ、この突出部材の位置を、標準型テープカセツ
トの前記カセツトハウジングへの装着を阻止する
位置に設定したので、この突出部材と係合する切
欠部を設けたテープカセツトのみが装着可能とな
り、この磁気記録再生装置の実行（再生動作等）
する信号記録方式に基づく記録態様とは異なる態
様で信号が記録された磁気テープを収納するテー
プカセツトを上記記録再生装置に誤装着（誤挿
入）することを未然に防止できる等の特長を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案になる磁気記録再生装置の一実
施例に適用されるテープカセツトである標準型テ
ープカセツト以外のテープカセツトを示す斜視
図、第２図は本考案になる磁気記録再生装置（特
殊VTR）の一実施例のカセツトハウジングの断
面図、第３図はストツパの側面図、第４図は本考
案になる磁気記録再生装置（特殊VTR）の一実
施例にこの特殊VTRに適用されるテープカセツ
トを装着（挿入）した時の断面図、第５図は本考
案になる磁気記録再生装置（特殊VTR）の一実
施例に標準型テープカセツトを装着（挿入）した
時の断面図、第６図は標準型テープカセツトを示
す斜視図、第７図は標準型テープカセツトを適用
する標準型VTRのカセツトホルダの正面図であ
る。 ２……カセツト筐体、１１……テープカセツ
ト、１２……蓋体、１３……蓋体１２の上面、１
４……傾斜面、１５……切欠部、１６……VTR
キヤビネツト、１８……カセツト挿入口、２０…
…カセツトハウジング、２１……カセツトホル
ダ、２４……ストツパ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) カセツト挿入空間を有するカセツトハウジン
   グを具備し、このカセツトハウジングを移動さ
   せて磁気テープを収納したテープカセツトを所
   定の記録あるいは再生動作位置に装着するよう
   構成した磁気記録再生装置において、 前記カセツトハウジングの一部に前記カセツ
   ト挿入空間に突出する突出部材を設け、かつ、
   この突出部材の位置を、標準型テープカセツト
   の前記カセツトハウジングへの装着を阻止する
   位置に設定したことを特徴とする磁気記録再生
   装置。 (2) 前記突出部材を前記カセツトハウジングの頂
   面に設けた進退自在なストツパとし、このスト
   ツパをテープカセツトの進入方向と略直角な方
   向に突出するようにばね付勢したことを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載の磁気
   記録再生装置。