JPH0348202Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は加熱炉、たとえば製鉄プロセスにお
ける厚板設備や熱延設備等に設けられる加熱炉に
関するものである。

「従来の技術」 この種の加熱炉としては、従来より第３図およ
び第４図に示すような燃焼筒を備えたものが知ら
れている。この加熱炉は、加熱炉本体１の両側壁
１ａ，１ａに所定の間隔で複数のバーナ２…が備
えられ、そのバーナ２…からの火炎および燃焼ガ
スを、本体１下部にサポート３…により支持され
て設けられた燃焼筒４…内に通すことにより、そ
の燃焼筒４…の外表面からの輻射熱によつて被加
熱物５，５を下方から加熱するようになつてい
る。上記の燃焼筒４…を形成する材料としては、
耐熱性が要求されることから一般にはセラミツク
が用いられている。

この加熱炉においては、被加熱物５，５は搬送
機６によつて搬入口７から本体１内に搬入された
後、本体１内に配設されているウオーキングビー
ム方式あるいはプツシヤー方式等の移送機構（図
示せず）によつて第３図において紙面に直交する
方向手前側（第４図においては左方）に移送され
つつ加熱され、搬入口７に対向している搬出口
（図示せず）から搬出されるようになつている。
なおこの第３図および第４図に示した例では、二
つの被加熱物５，５が並んで移送されるようにな
つており、したがつて搬送機６、移送機構（図示
せず）もそれぞれ二組ずつ備えられている。

上記の搬送機６は、第４図に示すように前後方
向（第４図において左右方向）に移動自在とされ
その先端部８ａが本体１内に挿入し得る２本のア
ーム８，８を有しており、そのアーム８，８の先
端部８ａ，８ａに被加熱物５を載置してこれを本
体１内に挿入することにより被加熱物５を搬入口
７から本体１内に搬入して上記の移送機構（図示
せず）に受け渡すようになつている。この搬送機
６のアーム８，８は、炉内の高温に耐えられるよ
うに一般には耐熱金属によつて形成されている。
なお図示は省略したが、搬出口にも上記と同様の
搬送機が２組備えられ、加熱の終了した被加熱物
５，５を本体１内から搬出するようになつてい
る。また第４図において符号９は搬入口７を開閉
する扉であり、同様の扉が搬出口にも備えられて
いる。

この加熱炉によれば、被加熱物５を連続的に加
熱できるとともに、燃焼筒４によつて間接的に加
熱するようにしているので、被加熱物５の幅方向
に対して均一な加熱がなされるという利点があ
る。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで上記従来の加熱炉においては、以下に
述べるような原因によつて、燃焼筒４を形成して
いるセラミツクに割れが生じやすいという問題が
あつた。

すなわち、被加熱物５を搬入（あるいは搬出）
するための搬送機６のアーム８は、通常時は本体
１の外部に位置しているからその温度はほぼ常温
となつており、本体１内の温度に比して極めて低
温となつている。したがつて、この低温のアーム
８が本体１内に挿入され、高温となつている燃焼
筒４の近傍に位置したとき（第４図に示す状態）、
燃焼筒４はそのアーム８によつて急激に冷却され
て局所的な温度低下を生じ、大きな熱衝撃を受け
てしまう。そのような熱衝撃を受けた場合、一般
にセラミツク材料は定常的な高温に対する耐熱性
には極めて優れてはいるが耐熱衝撃性は低いもの
であるので、比較的容易に割れが生じてしまうも
のである。

このため従来においては、セラミツク材料から
なる燃焼筒４の寿命は比較的短いものであり、ま
たこの燃焼筒４は高価でもあることから保守の手
間、費用が著しくかさむばかりでなく、燃焼筒４
の破損に伴つて本体１内に設けられている移送機
構等の諸設備に対する二次的な破損が生じる等の
問題を生じていた。

上記のような問題を解決すべく、燃焼筒４を耐
熱衝撃性に優れたセラミツク材料によつて形成す
ることが検討されてはいるが、燃焼筒４に要求さ
れる程度の充分な耐熱衝撃性を有するセラミツク
材料は未だに開発されていないのが現状であり、
セラミツク燃焼筒４の割れを防止できる手段の提
供が望まれていた。

「問題点を解決するための手段」 上記の問題点を解決するために、この考案は、
内部にセラミツク材料によつて形成された燃焼筒
を有する加熱炉本体と、先端部がその加熱炉本体
内に挿入し得るアームを有しそのアームによつて
被加熱物を加熱炉本体内に搬入または加熱炉本体
内から搬出する搬送機とを具備してなり、前記加
熱炉本体内において被加熱物を前記燃焼筒によつ
て加熱するように構成した加熱炉において、前記
搬送機のアームの少なくとも加熱炉本体内に挿入
される部分の表面に、断熱材を取り付けてなるこ
とを特徴としている。

「作用」 この考案の加熱炉では、搬送機のアームに取り
付けた断熱材が熱的な緩衝材として作用し、燃焼
筒に対する熱衝撃を緩和する。

「実施例」 以下、この考案の一実施例を第１図および第２
図を参照して説明する。なお、この実施例の加熱
炉において上述した従来の加熱炉と同様の構成要
素については、第１図および第２図に第３図およ
び第４図と同一符号を付して説明は省略する。

この実施例の加熱炉が上述した従来の加熱炉と
異なるところは、搬送機６の各アーム８，８の先
端部８ａ，８ａに断熱材１０を取り付けた点にあ
る。この断熱材１０は、第２図に示すようにアー
ム８，８が本体１内に挿入されたときに本体１内
に位置する部分および搬入口７のやや外側に位置
する部分に対して、第１図に示すようにアーム
８，８の両側面および下面を被覆するように取り
付けられている。この断熱材１０の材料として
は、たとえばセラミツクフアイバーあるいはセラ
ミツクボード等の充分な耐熱性を有する材料を用
いることが望ましい。

このように搬送機６のアーム８に断熱材１０を
取り付けることによつて、この断熱材１０が熱的
な緩衝材となり、アーム８の先端部８ａが本体１
内に挿入されたときに生じる燃焼筒４に対する熱
衝撃は充分に緩和され、燃焼筒４に割れが生じる
ことを防止でき、その寿命を延ばすことができ
る。したがつて、保守に要する手間、費用を大幅
に削減でき、しかも断熱材１０を取り付けるだけ
の極めて簡単な構成であるから設備費が増大する
こともない。

また、断熱材１０を取り付けることによつてア
ーム８自体の温度上昇が抑制されるから、その熱
変形が防止できるとともに、アーム８を通した熱
損失も低減させることができる。

なお、上記実施例においては、被加熱物５と直
接接する部分であるアーム８の上面に対しては断
熱材１０を取り付けないようにしたが、必ずしも
そうすることはなく、上面に対しても断熱材を取
り付けてアーム８の表面全体を被覆するようにし
ても良い。また、アーム８の先端部８ａのみなら
ず、その全長にわたつて断熱材１０を取り付ける
ことでも勿論良い。さらにこの考案は、アームに
断熱材を取り付けるのみであるので、既存の加熱
炉に対して容易にかつさほどの費用を要せずに改
造することができる。

「考案の効果」 以上詳細に説明したように、この考案によれば
搬送機のアームの少なくとも加熱炉本体内に挿入
される部分の表面に断熱材を取り付けたので、セ
ラミツク燃焼筒がアームから受ける熱衝撃は緩和
され、燃焼筒の割れを防止することができ、した
がつてセラミツク燃焼筒の寿命を延ばすことがで
きるという効果を奏する。また、アーム自体の温
度上昇が抑制され、その熱変形が防止できるとと
もにアームを通した熱損失も低減させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの考案の一実施例の加
熱炉の概略構成を示すもので、第１図は正断面
図、第２図は部分側断面図である。第３図および
第４図は従来の加熱炉の概略構成を示すもので、
第３図は正断面図、第４図は部分側断面図であ
る。 １……加熱炉本体、４……燃焼筒、５……被加
熱物、６……搬送機、８……アーム、８ａ……先
端部、１０……断熱材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部にセラミツク材料によつて形成された燃焼
   筒を有する加熱炉本体と、先端部がその加熱炉本
   体内に挿入し得るアームを有しそのアームによつ
   て被加熱物を加熱炉本体内に搬入または加熱炉本
   体内から搬出する搬送機とを具備してなり、前記
   加熱炉本体内において被加熱物を前記燃焼筒によ
   つて加熱するように構成した加熱炉において、前
   記搬送機のアームの少なくとも加熱炉本体内に挿
   入される部分の表面に、断熱材を取り付けてなる
   ことを特徴とする加熱炉。