JPH0346829Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はオイルセパレーターに関し、更に詳細
には空気調和機の冷媒回路内に設けられ、冷凍機
油の浮遊する圧縮機からの吐出冷媒を、冷媒と油
に分離するオイルセパレーターの改良に関する。

（従来の技術） 第５図には、空気調和機の冷媒回路が示されて
いる。この冷媒回路は、圧縮機１と、該圧縮機１
に四方弁２を介して接続された室内側及び室外側
熱交換器３，４と、該両熱交換器３，４の間に設
けられている毛細管５と、圧縮機１の吸入側に連
結されているアキユムレーター６と、圧縮機１の
吐出側に連結されたオイルセパレーター７と、該
オイルセパレーター出口側に設けられた毛細管８
とを備えている。

オイルセパレーターは、一般に前述のような冷
媒回路において室内側熱交換器３と室外側冷媒回
路とを接続する延長配管９の全長が長い場合に、
冷媒と混合している圧縮機の潤滑油が延長配管９
及び冷媒回路内で停滞することによつて、圧縮機
に対する潤滑油の循環が滞ることを防ぐために、
圧縮機より吐出された冷媒の中に浮遊する潤滑油
を冷媒中より分離して残留させ、これを毛細管８
を介し圧縮機の吸入側に戻して圧縮機の油面を正
常に保つ作用を行なうものである。

かかる作用を行なう従来のオイルセパレーター
７の構造は第６図に示されている。

従来のオイルセパレーター７は、本体１０の上
壁面を貫通して該本体１０内に入る入口配管１１
と出口配管１２とを有し、各配管には管端の開口
部を包むように金網１３が取付けられている。そ
して、本体１０の下壁面には油戻し配管１４が該
下壁面を貫通して設けられ、当該配管１４を介し
て本体１０内の油を戻す。

このように構成された従来のオイルセパレータ
ーにおいて、入口配管１１より本体１０に入る圧
縮機より吐出された油の浮遊する冷媒は、入口配
管１１の先端に取付けられた金網１３を通過する
際に、油を金網に付着させて本体内に滴下させ、
更に、出口配管１２の先端の金網１３を通過する
際にも金網に付着させて本体内に滴下させ、油を
本体内に残留させて出口配管１２より気相冷媒の
みを放出する。本体１０内に溜まつた油は、下部
の油戻し配管１４より毛細管を介して圧縮機吸入
側へと導かれる。

（考案が解決しようとする問題点） 従来のオイルセパレーターは、以上のように構
成されていたので、ストレーナ部を通過する冷媒
の速度を低速度にしないと、霧状の油は付着、滴
下しない。しかし、冷媒の速度を低速度にするた
めには本体の内容積を相当大きくしなければなら
ないという問題があつた。また、ストレーナー部
全面の速度分布を一定にすることは難かしく、そ
のため速度分布の違いにより付着率も低下し、油
回収率も悪くなる傾向があるといつた問題点があ
つた。

本考案の目的は、かかる従来の問題点を解消す
るためになされたもので、小型で気液分離効果の
高いオイルセパレーターを提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案のオイルセパレーターは、筒状の容器本
体内に挿入され且つ各開口端を対向して位置決め
された、油を含む冷媒ガス導入用の入口配管およ
び気相冷媒を排出する出口配管と、前記入口配管
と出口配管との対向した前記開口端の間に配置さ
れ、該出口配管の前記開口端の直上にあつてこの
開口端の直径より大きな直径の遮へい部および該
遮へい部の外側に設けられた少なくとも１つの連
通穴を有する仕切板と、該仕切板と前記入口配管
の前記開口端との間に設けられた油付着手段の前
記連通穴から前記容器底部に落下した油を排出す
る油戻し配管とを備えて構成されている。

（作用） 前記構成の本考案におけるオイルセパレーター
によると、入口配管から容器本体内に導入され
た、油を含んだ冷媒は油付着手段に衝突して霧状
になつている油を付着させて下方の仕切板上に滴
下させる。仕切板上に滴下した油は、油付着手段
を通過して仕切板に衝突することで分離された油
と共に油膜となつて遮へい部の周囲に形成された
連通穴より容器本体底部へ落下し、該底部に溜ま
りながら順次油戻し配管から排出されて回収され
る。他方、油が分離された後の気相冷媒は仕切板
の連通穴を通り該仕切板の遮へい部直下に位置す
る出口配管の開口端へ圧力差により吸引されるよ
うに流れて導出される。そのとき、遮へい部の直
径が出口配管開口端のそれよりも大きいため連通
穴と出口配管開口端との間に比較的に距離があ
り、その結果連通穴から落下する油が気相冷媒の
出口配管開口部へ向う流れに乗つて出口配管へ流
入することがない。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図について説明す
る。第１図及び第２図には本考案の一実施例に係
るオイルセパレーター２０が示されている。この
オイルセパレーター２０は筒状の容器本体２１を
含み、その上壁面２１ａの中心部には入口配管２
２が貫通配置され、この配管２２と同軸上になる
ように下壁面２１ｂの中心部には出口配管２３が
貫通配置されている。本体２１の下壁面２１ｂか
ら貫通配置された出口配管２３の開口端は、本体
２１内の底部に油が溜まることを考慮して入口配
管２２よりも長く本体内に進入され比較的に高い
位置にある。このような本体２１内の位置で入口
配管２２の開口端と出口配管２３の開口端とは同
軸上で対面し、その間に仕切板２４が配置されて
いる。

この仕切板２４は円板形状を呈すると共に、出
口配管２３の開口端の直上に位置し且つ該開口端
の直径より大きな径の遮へい部２８とこの遮へい
部２８の外側周囲に相互に間隔をあけて形成され
た多数の連通穴２５とからなり、当該仕切板２４
の外周部は容器本体２１の内壁に接している。

このような仕切板２４と入口配管２２の開口端
との間における本体２１内には油付着手段として
の金網２６が配置されている。なお、符号２７は
本体２１内に溜まつた冷媒からの分離油を戻す油
戻し配管を示している。

このように構成された前記実施例のオイルセパ
レーター２０によると、入口配管２２から吸入さ
れた、油を含んだ冷媒は金網２６に衝突すること
によつて、霧状になつている油を金網に付着させ
て仕切板２４上に滴下させ、仕切板２４に滴下し
た油は、金網２６を通過して仕切板２４に衝突す
ることで分離された油と共に油膜となつて遮へい
部２８の周囲に形成された連通穴２５より容器本
体２１の底部へ落下し、該底部に溜まりながら順
次油戻し配管２７から毛細管を経て圧縮機へと導
かれる。

他方、油が分離された後の気相冷媒は仕切板２
４の連通穴２５を通り該仕切板２４の遮へい部２
８直下に位置する出口配管２３の開口端へ圧力差
により吸引されるように流れて導出される。その
時、遮へい部２８の直径が出口配管２３の開口端
のそれよりも大きいため連通穴２５と出口配管２
３の開口端との間に比較的に距離があり、その結
果連通穴２５から落下する油が気相冷媒の出口配
管開口部へ向う流れに乗つて出口配管へ流入する
ことがない。

このように、本実施例のオイルセパレーター２
０では、金網２６と仕切板２４とにより強制的に
冷媒の流速を低下させ、浮遊する油を容器本体の
容積をより有効に利用して確実に回収でき、しか
も、そのための構成において分離された油が気相
冷媒出口配管へ流入して再混入する問題も生ぜ
ず、油の回収効率も良好となる。

なお、前記実施例では、気液分離のための油付
着手段として金網を使用する場合について説明し
たが、ここで言う金網とは種々のものが考えら
れ、例えば第３図に示されるように金網板２６ａ
を何枚か重ねたものであつてもよい。また、第４
図に示されるようにスプリング状の鋼線を巻いた
もの（例えば金属タワシ）２６ｂであつても前記
実施例と同様の効果を得ることができると共に、
気液分離率を一段と高めることができる。また油
付着手段としては他にガラス繊維又は同様なもの
を金網状にしたり或いは第４図に示されるような
形状にすることによつて構成することができる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案のオイルセパレー
ターによれば、油付着手段と仕切板とを用いて油
を含む冷媒ガスの油分離効率を、従来より小さな
容積の容器で十分に高めることができ、しかも、
そのための構成において分離された油が仕切板の
連通穴から容器本体底部へ落ちる際に気相冷媒出
口配管へ流入して再混入することもなく油の回収
効果をも高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るオイルセパレ
ーターを、金網を取り除いて且つ本体を破断して
示す断面図、第２図は前記実施例のオイルセパレ
ーターの縦断面図、第３図及び第４図はこの考案
のオイルセパレーターに使用される油分離用の２
種類の金網を示す斜視図、第５図は従来のオイル
セパレーターを使用した冷媒回路図、第６図は従
来のオイルセパレーターを示す断面図である。 ２０……オイルセパレーター、２１……本体、
２１ａ……上壁面、２１ｂ……下壁面、２２……
入口配管、２３……出口配管、２４……仕切板、
２５……連通穴、２６……金網、２７……油戻し
配管、２８……遮へい部、なお、図中同一番号は
同一部分又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筒状の容器本体内に挿入され且つ各開口端を対
   向して位置決めされた、油を含む冷媒ガス導入用
   の入口配管および気相冷媒を排出する出口配管
   と、前記入口配管と出口配管との対向した前記開
   口端の間に配置され、該出口配管の前記開口端の
   直上にあつてこの開口端の直径より大きな直径の
   遮へい部および該遮へい部の外側に設けられた少
   なくとも１つの連通穴を有する仕切板と、該仕切
   板と前記入口配管の前記開口端との間に設けられ
   た油付着手段と、前記容器内底部に開口し前記仕
   切板の前記連通穴から前記容器底部に落下した油
   を排出する油戻し配管とを備えてなるオイルセパ
   レーター。