JPH0345931Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、絞り加工により皺模様を形成した服
地からなる衣服に関する。

（従来技術） 一般に服地に絞り加工を施した場合、絞り形成
部周りに生じる皺により皺模様が現れる。

この絞り形成部周りに生じる皺は、服地を糸で
結止して形成する従来の伝統的な絞り加工によつ
ては、洗濯した場合や時間の経過と共に次第に伸
び、その皺模様が消えてしもうものである。

そのため、前記絞り加工を施した服地を用いて
例えば和服を作る場合、従来では、前記皺がいず
れ伸びてしまうことを考慮して、湯熨等の方法に
より前記皺を予め伸ばした上で、裁断を行い、縫
製していたのである。

（考案が解決しようとする問題点） ところが服地を裁断して衣服を縫製するに際
し、前記のごとく湯熨等の方法により前記皺を予
め伸ばしていたのでは、皺伸ばしのための行程が
増えて、それだけコスト高となるのであつて、反
面、前記絞り加工によつて生じる皺模様は、独特
の意匠感を与えるものである。

しかして本考案は以上の点に鑑みて開発したも
ので、合成繊維からなる服地に熱処理により絞り
を施した場合や、あるいは天然繊維からなる服地
でもプリセツト加工でもつて絞りを形成した場合
には、該服地を洗濯したりあるいは長期に渡つて
使用しても、前記絞り形成部位に生じる皺模様が
消えることがないことに着目したものであつて、
目的とするところは意匠感に優れ、洗濯や長期使
用に対する皺模様の形体安定性にも優れ、しかも
従来の平生地では得ることのできない伸縮性に優
れた衣服を提供せんとするにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は以上の目的を達成するために、絞り加
工により皺模様を形成した服地を裁断、縫製して
なる衣服であつて、前記皺模様を伸長可能に保存
させた服地を、前記皺模様の収縮状態で裁断して
少なくとも前身頃片を形成し、これら前身頃片
を、他の裁断布片に、縫製して成るごとくしたの
である。

（作用） 本考案の衣服によれば、絞り加工によつて形成
される絞り模様と皺模様とで、全体として一種独
特の意匠感を現出し、かつ着用時、前記皺模様を
形成する皺が自由に伸び縮みして、非常に着易い
のである。

（実施例） 以下本考案にかかる衣服の一実施例を図面に基
づいて説明する。

図に示す衣服は、女性用の前開きとしたオーバ
ーブラウスであつて、該ブラウスは、合成繊維か
らなる服地を裁断して、左右に分割した一組の前
身頃片１ａ，１ｂと一枚の後身頃片２と左右の肩
片３ａ，３ｂと、左右の袖片４ａ，４ｂと襟片５
とを形成すると共に、これら各片を一体に縫製す
るようにした既知のものである。

しかして図に示す実施例では、前記一組の前身
頃片１ａ，１ｂを形成する服地として、絞り加工
によつて発生する絞り模様Ｘと該絞り模様Ｘの周
りに発生する皺により現れる皺模様Ｙとを熱処理
でもつて伸長可能に保存するごとく、換言すれ
ば、前記絞り模様Ｘ及び前記皺模様Ｙが洗濯など
で消えることのないように処理を施した合成繊維
製の服地を用い、該服地を、前記皺模様Ｙの収縮
状態で所定寸法に裁断して、前記前身頃片１ａ，
１ｂを形成する一方、前記前身頃片１ａ，１ｂ以
外の各片２，３ａ，３ｂ，４ａ，４ｂ，５は、絞
り加工を施していない無模様の服地を裁断して形
成するのである。そして以上の各片を一体に縫製
する際、前記両前身頃片１ａ，１ｂを、前記皺模
様Ｙの収縮状態で前記左右の肩片３ａ，３ｂ、左
右の袖片４ａ，４ｂ及び後身頃片２とをそれぞれ
一体に縫製するのである。

以上のごとくして縫製した衣服にあつては、前
記前身頃片１ａ，１ｂに皺模様Ｙが収縮状態のま
まで残つているので、前記前身頃片１ａ，１ｂに
ニツト製品に似た伸縮性が備わり、従つて着用時
に窮屈感がなく、しかも身体にフイツトするので
あり、さらに前記前身頃片１ａ，１ｂの洗濯や長
期使用による形くずれも起こらず、また前記絞り
模様Ｘに前記皺模様が相俟つて、衣服全体に一種
独特の意匠感を現出するのである。

尚以上のごとく構成した衣服の内面側に、裏生
地を縫着してもよい。

また以上の実施例では、絞り加工によつて発生
する絞り模様Ｘと該絞り模様Ｘの周りに発生する
皺により現れる皺模様Ｙとを熱処理でもつて伸長
可能に保存させた合成繊維製の服地を用いたが、
絞り加工によつて発生する絞り模様Ｘと該絞り模
様Ｘの周りに発生する皺により現れる皺模様Ｙと
をプリセツト加工でもつて伸長可能に保存させた
天然繊維製の服地を用いてもよい。

（考案の効果） 以上のごとく本考案は、絞り加工により皺模様
を形成した服地を裁断、縫製して成る衣服であつ
て、前記皺模様を伸長可能に保存させた服地を、
前記皺模様の収縮状態で裁断して少なくとも前身
頃片を形成し、これら前身頃片を、他の裁断布片
に、縫製して成るごとくしたから、即ち、本考案
は、絞り加工により皺模様を形成して伸長可能に
その皺模様を保存できるように処理した服地によ
り少なくとも前身頃を形成し、しかも、前記前身
頃を裁断するときに、前記皺模様を収縮状態で行
つてそのまゝ他の裁断布片に縫製したもので、縫
製後縫製箇所以外に、前身頃全体において前記皺
模様が伸長可能になつているのである。

従つて、本考案によれば、衣服を構成する服地
自体に絞り模様と皺模様とが収縮状態のまゝ残る
から、これら模様部分が自由に伸長できることに
なり、衣服にニツト製品のような伸縮性が備わる
のである。

この結果、衣服の皺模様を保存でき、また服地
のもつ伸縮性により非常に着易くなり、しかも、
身体の線に容易に沿うことができると共に、豊か
なボリユーム感が得られるのである。

又本考案によれば、絞り加工によつて施される
絞り模様と収縮状態にある皺模様とで、衣服に一
種独特の意匠感が現れるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる衣服の一実施例を示す
正面図、第２図は要部の拡大断面図である。 １ａ……前身頃片、１ｂ……前身頃片、Ｘ……
絞り模様、Ｙ……皺模様。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 絞り加工により皺模様を形成した服地を裁断、
   縫製して成る衣服であつて、前記皺模様を伸長可
   能に保存させた服地を、前記皺模様の収縮状態で
   裁断して少なくとも前身頃片を形成し、これら前
   身頃片を、他の裁断布片に、縫製して成ることを
   特徴とする衣服。