JPH0341387B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はパワーステアリング装置に関し、更に
詳細には、操舵補助力を必要としない時にはトー
ションバーのばね定数を実質的に上昇させる事に
よつて、剛性を高める事のできるパワーステアリ
ング装置の改良に関するものである。

従来、この種のパワーステアリングとしては、
トーションバーのばね定数を実質的に上昇させる
為にクランプ手段を用い、入力軸と出力軸（ラツ
ク＆ピニオン形式の操舵装置ではピニオン軸）と
を一体に回転させる様にしたものが知られてお
り、更にこのクランプ手段の作動をエンジン駆動
等のパワーシリンダ用ポンプからの油圧により制
御する事により、高速走行時の剛性感を向上させ
ると同時に危険回避の必要ある時にはクランプ力
を減少させ、従来のパワーステアリング装置と同
様の作動を行わせるものがあつた。

しかしながら、上記の如き従来技術では、クラ
ンプ手段を作動する油圧制御が上記のパワーシリ
ンダ用ポンプとソレノイド等の電気的に油路開度
を制御できる装置とにより行われていた。これは
下記の如き欠点があつた。即ちクランプ手段を作
動させる為の油量が極めて少ない為に、前記油路
開度を制御できる装置にて油流量や圧力を調整し
ようとしても、作動油の温度的粘度変化及び作動
油中の介在物等に影響を受けやすく微妙な調整が
極めて困難であつた。又、これを可能にしようと
すれば、油路及び油路開度制御装置の製作精度が
高くなり、製造コストの上昇をもたらしていた。

本発明の目的は上記の如き従来技術の欠点を改
善したパワーステアリング装置を提供する事にあ
る。

かかる目的を達成する為に本発明はクランプ手
段を作動させる油圧発生源として電動モータによ
り駆動されるポンプを用いる様にしたのである。

以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に
説明する。

第１図を参照すると、本発明に係るパワーステ
アリング装置を公知のエンジン駆動パワーステア
リング方式に適用した場合の実施例が示してあ
る。図中、符号１はパワーシリンダを示す。この
パワーシリンダの両端は通常の方法で車輪２，３
に連結されている。このパワーシリンダには制御
弁４を介してパワーポンプ５が接続されている。
このパワーポンプは車輪のエンジン６によつて駆
動される。制御弁４はハウジング７の中に収容さ
れている。この制御弁は一端にステアリングホイ
ール８が接続された入力軸９とこの入力軸の外周
に嵌合され且つハウジング内に収容された図示し
ない弁スリーブとから成る通常の形態を有する。
この入力軸の他端には出力軸１０が後述するトー
ションバー１１を介して接続されている。尚、上
記弁スリーブは出力軸１０にピンにより固定され
ている。

この入力軸と出力軸との接続は図示の実施例で
は入力軸に設けられたコ字状の突出部とこの突出
部を緩く嵌合するよう出力軸に設けられたスリツ
トとから成つている。入力軸の突出部が出力軸の
スリツトに嵌合したとき入力軸はある角度出力軸
に対して自由に回転できるようになつている。入
力軸と出力軸との間には上述のトーションバー１
１が介在されている。このトーションバーは入力
軸に設けられた中央孔９ａの中に緩く嵌合し、そ
の一端は出力軸に固定され、他端は入力軸に固定
されている。

出力軸１０には例えばピニオンギヤ１２が一体
に形成され、このピニオンギヤはラツクバー（図
示せず）に形成されたラツク歯と噛合つている。

車輛の直進状態即ちステアリングホイール８の
中立位置からステアリングホイールを左右に回転
させると、入力軸９が回動する。この場合、入力
軸はトーションバー１１をねじりながら出力軸に
対してある角度回転する。この回転によつて入力
軸は弁スリーブとの間で弁作用を行い、従つて、
パワーポンプ５からパワーシリンダ１に流体が供
給され、ステアリングホイールの操舵が補助され
る。このような作用については公知であるので詳
細には述べない。

入力軸９と出力軸１０とをクランプするクラン
プ手段２０が設けられている。このクランプ手段
は図示の実施例では第２図に示すように出力軸１
０に設けられた複数の孔２１の中に摺動自在に嵌
合された複数のプランジヤー２２から成つてい
る。これらプランジヤーは入力軸９に設けられた
例えば正方形状の回転拘束部２３に第３図に示す
如く係合するようになつている。

プランジヤー２２は本発明に係るクランプ流体
装置３０によつて出力軸１０に設けられた孔２１
内を摺動する。このクランプ流体装置は出力軸１
０の孔２１に接続された油圧作動のクランプポン
プ３１とこのクランプポンプを駆動する電動モー
タ３２とこの電動モータを電気的に制御する制御
器３３とを備えている。

クランプポンプ３１はパワーポンプ５に油路で
接続され、又、クランプポンプ３１と孔２１との
接続ラインとクランプポンプ３１とパワーポンプ
５との接続ラインとの間には例えば絞り弁３４お
よび安全弁３５が設けられている。これら絞り弁
と安全弁とはクランプポンプ３１に内蔵可能であ
る。制御器３３は一方でエンジンキースイツチ３
６を介して車載電源３７に接続され、他方で車速
センサー３８およびステアリングセンサー３９に
接続されている。尚上記絞り弁の代わりにオリフ
イスを使用してもよい。

車速センサ３８は車輛の速度を検出し、これに
よつて制御器３３は車速の増大に応じてクランプ
手段へのクランプポンプ３１の出力が増大するよ
うに設定されている（第４図参照）。尚、符号４
０は車速センサ３８に接続されたスピードメータ
ーである。この第４図に示す如きクランプポンプ
の出力の車速に対する特性は第５図に示す如きパ
ワーポンプ５の車速に対する特性に対して対称的
である。更に詳細にのべると、第５図の特性では
車速の増大に応じてパワーポンプ５の出力が減少
するのに対し、第４図の特性では車速の増大に応
じてクランプポンプ３１の出力が増大する。車速
の増大に応じてパワーポンプ５の出力が減少する
ことは車輛が高速になるにつれてパワーが徐々に
きかなくなつていくことを意味する。そして、こ
の高速になるにつれてクランプポンプ３１の出力
を増大させ、その流体供給量を増大してプランジ
ヤー２２が強力に入力軸の回転拘束部２３に係合
し入力軸と出力軸との間の自由度を拘束すること
によつてパワーをより減少させるのである。この
入力軸と出力軸との間の拘束はトーションバーの
剛性を高めパワーアシストの依存比率を減少さ
せ、結果として制御弁の作動をも拘束して操舵力
に対する制御弁の作動量の比を小さくし、入力軸
と制御弁との位相差を小さくする。

ステアリングとセンサ３９はステアリングホイ
ール８の操作例えば操舵角速度を検出し、これを
制御器に供給する。制御器はこのステアリングホ
イールの回転角速度に応じて第４図にａ〜ｆで示
すようにクランプポンプの出力を一時的に減少さ
せ、即ちプランジヤー２２の入力軸に対する係合
を緩和させる。従つて、入力軸と出力軸との間の
拘束力が一時的に減少され通常の状態に近づいた
制御量で制御弁を必要量作動させてパワーを最適
量きかせるようになつている。又、本発明ではス
テアリングセンサによりステアリングホイールの
操舵角度を検出し、その操舵角度量に応じて制御
器がクランプポンプの出力を大きくし、もつて入
力軸と出力軸との間の拘束力を増大させるように
することもできる。

第６図は本発明に係るパワーシリンダ装置をモ
ータ駆動パワーステアリング方式に適用した場合
の実施例を示す。この実施例ではパワーポンプ５
をモータ５０で駆動するようにしていることを除
き、上記実施例と略同一である。従つて、この第
６図では第１図と同様の部分には同じ符号が付し
てある。ここに、制御器は、例えば、ステアリン
グセンサ３９のパルスをＰ／Ｖで電圧変換した信
号と、車速センサ４０のパルスをＦ／Ｖで電圧変
換した信号と、三角波発振器の基準信号とを比較
器に入力しパルス幅変調信号を発生させPWM出
力器で増幅した出力信号で電動モータを駆動させ
るような構成を有している。

上述の本発明の構成において、注目されるべき
ことは、第４図および第５図に示すように、ステ
アリングホイールが移動している間、その角速度
に応じて、換言すると、ステアリングセンサ３９
から出力が出ている間、その出力の大きさに応じ
てクランプポンプ出力又はパワーポンプ出力が変
化されることである。これは、ステアリングホイ
ールが移動し始める際にステアリングセンサが単
にスイツチオンする場合と大きく異なる。

モータ５０は制御器３３に接続され、車速およ
びステアリングホイールの操作によつて制御され
る。この第６図の実施例によれば、制御器からク
ランプモータへ送る電力制御パターンとパワース
テアリングモータへ送る電力制御パターンが対照
的になる為、一つの制御器の回路中の主要部分を
共有でき、経済的であるというメリツトがある。

本発明によれば、クランプ手段を作動させるの
に電動モータにより駆動されるポンプによつて行
うようにしたのでクランプ作動の微少な調整が可
能であり且つ精度の高いクランプ作動を安価な装
置で行うことができる実益がある。又、本発明に
よれば、ステアリングホイールの移動中その角速
度に応じてクランプポンプ出力又はパワーポンプ
出力を変化させることができるので常に適式のパ
ワー状態とクランプ手段の適式な制御とを得るこ
とができるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るパワーステアリング装置
をエンジン駆動パワーステアリング方式に適用し
た場合の実施例を示す構成図、第２図は制御弁部
分の断面図、第３図はクランプ手段の拡大断面
図、第４図はクランプポンプ出力と車速との関係
を示すグラフ、第５図はパワーポンプ出力と車速
との関係を示すグラフ、第６図は本発明に係るパ
ワーステアリング装置をモータ駆動パワーステア
リング方式に適用した場合の実施例を示す構成図
である。 １……パワーシリンダ、２，３……車輪、４…
…制御弁、５……パワーポンプ、８……ステアリ
ングホイール、９……入力軸、１０……出力軸、
１１……トーションバー、２０……クランプ手
段、３０……クランプ流体装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ステアリングホイールに連結された入力軸
   と、該入力軸との位相差によつて操舵補助力を発
   生させる制御弁と、タイロツドを介して操舵可能
   な車輪に連結されたラツクと該ラツク上に形成さ
   れたラツク歯と噛み合うピニオンを有する出力軸
   と、前記入力軸に一端を固定され前記出力軸に他
   端を固定され、前記入力軸と出力軸を弾性的に結
   合するトーションバーと、該トーションバーのば
   ね定数を実質的に変化させて前記入力軸と前記制
   御弁と前記出力軸とを一体に回転させるクランプ
   手段とを備えたパワーステアリング装置におい
   て、車輛の速度を検出する車速センサと、ステア
   リングホイールの角速度を検出し該角速度に応じ
   た信号を発生するステアリングセンサと、前記車
   速センサとステアリングセンサとの電気信号を入
   力し、該電気信号の入力に応じた電力を出力する
   制御器と、該制御器からの供給電力によつて回転
   数が制御される電動モータと、該電動モータによ
   つて駆動され、前記クランプ手段へ流れる流体の
   流量を変化させる油圧ポンプとを設け、前記制御
   器はステアリングホイールが移動している間、該
   ステアリングホイールの角速度に応じて電動モー
   タを制御することを特徴とするパワーステアリン
   グ装置。