JPH0339491Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は紡機用メタリツク針布の構成に関する
ものであり、高速高生産カードに適する紡機用メ
タリツク針布を提供することを目的とするもので
ある。

従来の技術およびその問題点 従来生産の増加のためにはカード各部の回転を
上げて供給量の増加を図つている。

しかしながらこのように供給量を増加すれば当
然シリンダ用メタリツク針布上の繊維密度が増す
ことになり、第３図に示すような従来のメタリツ
ク針布では巻き付きや開繊不足等からネツプ等の
増加は避けられないという欠点を有する。

又繊維を確実に捕促し、かつ沈積しようとする
繊維を浮上らせるため第４図の様に歯１の働角面
に屈折点２を設けた構造のものが考えられてい
る。

上記屈折点があるため繊維を浮上らせるという
効果はあるが、製造工程中における打抜及び熱処
理で加工歪、熱処理歪が起り、更にカードに取付
けても屈折点に応力が集中して折れやすい欠点が
ある。

このため歯先の硬度を下げざるを得ず、耐摩耗
性が低下するという欠点がある。

又シリンダ用メタリツク針布の働角を大きくす
ると未開繊状態でシリンダからドツフアへ繊維が
移行し、平行度の悪いクラウデイ状のスライバを
生じ、逆にシリンダ用メタリツク針布の働角を小
さくすると、通常のシリンダ回転数においてはシ
リンダに繊維が捲付いてかえつてネツプが増大
し、スライバ品質が低下するという欠点がある。

問題点を解決するための手段 本考案は上記従来の欠点を解消し高速高生産カ
ードに適したメタリツク針布を提供するものであ
り、働角55〜68゜で直線部を有してなる歯先と、
上記歯先の傾斜と逆方向の傾斜を有する歯元部と
を弧状で滑かに接続して働角面を形成し、歯の背
稜を直線で形成すると共に、歯深さ0.4〜0.6mmで
歯底部に直線部を設けて歯間の空間を大きく形成
してなるものである。

以下本考案の紡機用メタリツク針布の実施例を
図面に基いて説明する。

実施例 本考案の紡機用メタリツク針布の１実施例を第
１図に示す。

働角X60゜で直線部を設けてなる歯先３と、上
記歯先の傾斜と逆方向の直線よりなる傾斜４を有
する歯元部５とを弧状で滑らかに接続して働角面
６を形成し、歯の背稜７を直線で形成すると共
に、歯底部８に歯深さB0.5mmの直線部を設けて
歯間の空間を大きく形成して本考案のメタリツク
針布を構成する。

実施例におけるメタリツク針布の他の仕様は針
高Ａ；2.8mm、縁厚Ｃ；0.6mm、歯厚Ｅ；0.08mm、
ポイント長Ｇ；0.05mm、背角Ｙ；32゜、山数Ｍ；
16山／25.4mmである。

なお、働角Ｘは55〜68゜が適当であり、上記角
度より大きい場合遠心力により繊維が飛び出し、
充分な梳綿作用を行うことが出来ず、又小さい角
度であるとシリンダよりドツフアへの移行が悪
く、ネツプ数が激増する。

又、歯深さＢは0.4〜0.6mmが適当であり、歯深
さが0.6mmを超えると繊維が沈み捲付きやすくな
り、0.4mm未満であると歯先部が短くなり、長ら
く使用し磨針を重ねて実施するようになると繊維
の把持が悪くなつてネツプの増大となる。

なお、働角面６上部の実際に繊維の把持に供す
る部分の歯深さB₁は0.15〜0.3mmが良い。

上記メタリツク針布を高速高生産カードのシリ
ンダに捲付けて従来のメタリツク針布と紡出比較
試験を行つた結果は下記の通りである。

なおドツフア用メタリツク針布は次の仕様のも
のを用いた。

針高Ａ；4.0mm、歯深さＢ；22mm、 縁厚Ｃ；0.85mm、働角Ｘ；55゜ 山数Ｍ；12山／25.4mm 紡出条件 綿40′^sカード糸用 シリンダ回転数；360r.p.m ドツフア回転数；27r.p.m 紡出ゲレン；300ゲレン／6YD ネツプ数；従来２〜３個／50″口であつたのが
本考案のメタリツク針布では0.5〜1.0個と
なつた。

本考案のメタリツク針布は上記の構成よりな
り、働角面は歯元部へ滑らかな弧状で接続し、歯
の背稜を直線で形成しているため、第４図で示す
ような屈折点を有するメタリツク針布に比較し、
歯先の硬度をビツカース硬度800以上と硬くする
ことができるので、耐摩耗性を従来の２〜３倍と
することができる。

又、本考案のメタリツク針布は働角Ｘを55〜
68゜とし、歯元部を歯先の傾斜の逆方向の直線を
有する傾斜とし、更に、歯深さを0.4〜0.6mmとし
ているので、高速高生産紡出においても繊維が捲
付かず優れた開繊性を有し、クラウデイの少い繊
維平行度が優れた均一なスライバを紡出すること
ができる。

又、生産量が増大しても歯先から飛び出す繊維
が少なく生産量による性能の変化が少い。

第２図に本考案のメタリツク針布Ａを使用した
カードと従来のメタリツク針布Ｂを使用したカー
ドの生産量増大とネツプ数との関係図を示す。

考案の効果 本考案のメタリツク針布は上記のような歯形状
に形成し、歯底部に直線部を設けて歯間の空間を
大きく形成しているので、生産量が増大しても開
繊性が良く、ネップ数が少い高品質のスライバを
得ることが出来る。

又、歯底部に直線部を設けて歯間の空間を大き
く形成しているため、種カス、葉カスの詰まりが
少い等の実用的効果の大きい考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図イ，ロは本考案の１実施例を示すメタリ
ツク針布の側面図および正面図、第２図は生産量
とネツプ数曲線図、第３図、第４図は従来のメタ
リツク針布の正面図である。 １……歯、２……屈折点、３……歯先、４……
傾斜、５……歯元部、６……働角面、７……背
稜、８……歯底部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 働角55〜68゜で直線部を有してなる歯先と、上
   記歯先の傾斜と逆方向の傾斜を有する歯元部とを
   弧状で滑かに接続して働角面を形成し、歯の背稜
   を直線で形成すると共に、歯深さ0.4〜0.6mmで歯
   底部に直線部を設けて歯間の空間を大きく形成し
   てなる紡機用メタリツク針布。