JPH0336707B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車のオイルブレーキ用スプリン
グブレーキ装置に係り、特にスプリングチヤンバ
部をホイールシリンダ部に対して直角にかつ車軸
に沿つてほぼ平行かつ一直線上に配列したオイル
ブレーキ用スプリングブレーキ装置に関する。

従来、エアブレーキに関してブレーキの構造が
種々提案されているが、この構造のものは、エア
チヤンバが大型となるため、サスペンシヨン部品
やその他の足まわり部品と干渉するおそれがあつ
た。そこでブレーキ配管の途中までの動きを空気
圧で行い最後のブレーキシユーを作動させるとこ
ろを油圧で行うブレーキ構造、いわゆるエアオー
バ型のブレーキ構造が提案されている。この構造
は、小型なオイルブレーキ用のホイールシリンダ
部をホイールの近くに配置し、スプリングチヤン
バ部を少し離れた位置に斜め放射状等の態様で配
置したものである。

しかし、これらの構造のものにおいても、スプ
リングチヤンバ部の設置場所が限定され、車軸や
サスペンシヨン部品との干渉を避けるために設計
上の自由度が狭くなるという欠点があつた。また
スプリングチヤンバ部とホイールシリンダ部とが
分離する構造になつていないので、スプリングブ
レーキ装置の設計、例えばエアチヤンバの大き
さ、圧縮ばねのばね定数の大きさ等の設計は、ホ
イールシリンダとの関連で限定され独自に設計す
ることができず、またホイールシリンダにスプリ
ングブレーキ装置を装着する場合と装着しない場
合のブレーキ装置の互換性がない等の種々の欠点
があつた。

本発明は、上記した従来技術の欠点を除くため
になされたものであつて、その目的とするところ
は、スプリングチヤンバ部の設置場所をオイルブ
レーキのホイールシリンダ部に対して自由に設定
できるようにすることによつて、スプリングチヤ
ンバ部と該スプリングチヤンバ部のプツシユロツ
ドとをホイールシリンダ部に対して車軸に沿つて
ほぼ平行かつ一直線上に配列することができるよ
うにし、スプリングブレーキのスプリングチヤン
バ部が車軸やサスペンシヨン部品等に干渉しない
ようにすることである。また他の目的は、スプリ
ングブレーキのスプリングチヤンバ部とホイール
シリンダ部とを分離できるような構造にすること
によつて、スプリングブレーキのスプリングチヤ
ンバ部の設計をホイールシリンダ部に拘束される
ことなく独自にできるようにすることであり、ま
たこれによつてスプリングブレーキ装置を装着し
ないオイルブレーキ装置に替えたい場合、容易に
交換できるようにすることである。

要するに本発明は、シリンダに嵌挿されて圧縮
ばねにより一方向に付勢されエアと該圧縮ばねに
よつて摺動し得る第１のピストンを設けたスプリ
ングチヤンバ部と、ブレーキドラムの中に配置さ
れるオイルブレーキ用のホイールシリンダに嵌挿
されオイルによつて摺動しブレーキシユーを作動
させるように摺動方向が車軸と直角方向に配設さ
れた一対の第２のピストンを設けたホイールシリ
ンダ部とを設け、該ホイールシリンダ部と前記ス
プリングチヤンバ部とをウエツジシリンダ部を介
してつき合わせて連結し、該ウエツジシリンダ部
には第３のピストンが内蔵すると共にウエツジが
先端に固定され前記第１のピストンに連結された
第１のプツシユロツドと一直線上に配列された第
２のプツシユロツドを内蔵し、該ウエツジが前記
一対の第２のピストンに接近する方向に移動する
ことで該一対の第２のピストンを前記ブレーキド
ラムの半径方向外側へ摺動させるように構成し、
該第３のピストンの一側面を前記第１のプツシユ
ロツドに当接させ、該第３のピストンの他側面を
前記第２のプツシユロツドに当接させ、前記スプ
リングチヤンバ部と前記ホイールシリンダ部とを
連動させるように構成し、かつ前記ウエツジシリ
ンダに固着され前記第３のピストンの前記スプリ
ングチヤンバ部方向への一定値以上の移動を阻止
するストツパ台を設け、前記スプリングチヤンバ
部と該スプリングチヤンバ部の前記第１のプツシ
ユロツドとを前記ホイールシリンダ部の前記一対
の第２のピストンの摺動方向に対して直角にかつ
車軸に沿つてほぼ平行かつ一直線上に配列したこ
とを特徴とするものである。

以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明す
る。本発明に係るオイルブレーキ用スプリングブ
レーキ装置１は、スプリングブレーキのスプリン
グチヤンバ部２と、オイルブレーキのホイールシ
リンダ部３と、ウエツジシリンダ部４とからなつ
ており、スプリングチヤンバ部２にはシリンダ５
と、該シリンダの内周面に摺動自在に嵌挿された
第１のピストン６とが設けられている。該第１の
ピストンは、該第１のピストンの頂面とシリンダ
５との間に収容された圧縮ばねの一例たる第１の
圧縮ばね７によつて左方向に押圧されるように付
勢されている。また第１のピストン６の底面とシ
リンダ５との間に形成された中空室たるエアチヤ
ンバ１０には、常にはエアタンク（図示せず）の
高圧エアが、エアボート１１から流入しており、
第１のピストン６を第１の圧縮ばね７のばね圧に
抗して図中右方向に押圧している。

第１のピストン６には取付け軸１２が固着され
ており、該取付け軸の先端に枢着された中間軸１
３に第１のプツシユロツド１４が固着されてい
る。第１のプツシユロツド１４はウエツジ・シリ
ンダ４の後端部にボルト止めされたストツパ台１
７に形成された穴１７ａにＯリング１８を介して
嵌挿されており、また中間軸１３とストツパ台１
７との間に装着された伸縮自在なダストカバー１
９によつて被覆されている。

ホイールシリンダ部３はブレーキドラム（図示
せず）の内部に配置されるものであつて、該ホイ
ールシリンダ部３には、ホイールシリンダ２１が
設けられており、該ホイールシリンダには、その
上部及び下部に内周面にオイルシール２３を介し
て摺動自在に嵌挿された一対の第２のピストン２
４が車軸４０に対して直角方向に相対向して配設
され、該第２のピストンの軸心部には、一対の調
節部材２５が夫々螺着されている。またホイール
シリンダ２１には図中右方に延出したウエツジシ
リンダ２２が一体的に形成されている。なお、ウ
エツジシリンダ部４は、アクスルとボルト止めさ
れているスパイダ２９にボルトで固定されてい
る。調節部材２５の頂面には、溝２５ａが形成さ
れており、該溝に一対のブレーキシユー２６の底
面に形成された溝２６ａに保持された半月状の凸
起２６ｂが嵌入されており、該調節部材２５を回
転させないでその軸方向（図中上下方向）に移動
させてブレーキシユー２６のライニング２７とブ
レーキドラム（図示せず）の内周面との隙間が調
節できるようになつている。また調節部材２５の
位置決めをするために、第２のピストン２４の頂
面外周部に形成されたスプロケツト２４ａに、ホ
イールシリンダ２１に固着された押えばね２１ａ
が圧着係合していて、該第２のピストン２４を節
度をもつて回転させて調節部材２５を上記のよう
にその軸方向に移動させてライニング２７とブレ
ーキドラム間の隙間調整ができるようになつてい
る。

ウエツジシリンダ２２に形成された穴２２ａに
は、先端にウエツジ２８ａを形成した第２のプツ
シユロツド２８が嵌挿されており、該第２のプツ
シユロッドのウエツジ２８ａは、一対の第２のピ
ストン２４間に形成された中空室２１ｂに収容さ
れた２個のローラ３０間に挿入され、該ウエツジ
２８ａが図中左方向に移動すると、該ローラと第
２のピストン24の底面との間に収容された中間部
材３１を図中上下方向に夫々押圧するようになつ
ている。またウエツジシリンダ２２の穴２２ａと
連通するようにかつ右端を開口して形成された中
空室２２ｃには、第１の圧縮ばね７よりばね定数
がはるかに小さい圧縮ばねの一例たる第２の圧縮
ばね３２が収容されており、該第２の圧縮ばねに
よつて第２のプツシユロツド２８の右端付近に形
成されたフランジ部２８ｂを介して第２のプツシ
ユロツド２８が右方向に押圧されるように付勢さ
れている。第３のピストン３４はオイルシール３
５を介してウエツジシリンダ２２の中空室２２ｃ
に摺動自在に嵌挿されており、該第３のピストン
の右側面は第１のプツシユロツド１４の左端に、
また左側面は第２のプツシユロツド２８の右端に
夫々当接し、更にストツパ台１７によりスプリン
グチヤンバ部２方向への一定値以上の移動が阻止
されるようになつている。

そしてスプリングチヤンバ部２とホイールシリ
ンダ部３とがウエツジシリンダ部４を介してスト
ツパ台１７でつき合わされて連結され、また右側
面が第１のピストン６に連結された第１のプツシ
ユロツド１４に当接し左側面が一対の第２のピス
トンを作動させる第２のプツシユロツド２８に当
接しスプリングチヤンバ部２とホイールシリンダ
部３とを連働させるようにした第３のピストン３
４が設けられ、スプリングチヤンバ部２と該スプ
リングチヤンバ部の第１のプツシユロツド１４と
がホイールシリンダ部３に対して直角にかつ車軸
４０に沿つてほぼ平行かつ一直線上に配列される
ように構成されている。

本発明は、上記のように構成されており、以下
その作用について説明する。通常のブレーキ状態
では、オイルポート３８からオイルがホイールシ
リンダ２１の中空室２１ｂに流入し、該オイルに
よつて一対の第２のピストン２４，２４が夫々図
中上下方向に押圧され、調節部材２５を介してブ
レーキシユー２６を押圧し、ブレーキがかけられ
る。この場合、ウエツジシリンダ部４の第３のピ
ストン３４は、ストツパ台１７に当接しているの
で、オイルによるブレーキ作用は、スプリングチ
ヤンバ部２に伝達されることはない。従つて該ス
プリングチヤンバ部のシリンダ５の直径、第１の
圧縮ばね７のばね定数等は、ホイールシリンダ部
３に影響されることなく設定することができ、自
由度が大となる。なお中空室２１ｂ内のエアを外
部に排出するときは、オイルポート３８からオイ
ルを送りエア抜きポート３７からエアを排出すれ
ばよい。

パーキングブレーキとして使う場合には、シリ
ンダ５のエアポート１１をスプリングブレーキレ
バー（図示せず）を操作して開き、エアチヤンバ
１０の高圧エアを外部に排出する。すると第１の
圧縮ばね７の復原力によつて第１のピストン６が
図中左方向に押圧される。これに伴つて第１のプ
ツシユロツド１４が第３のピストン３４を左方向
に第２の圧縮ばね３２に抗して押圧する。すると
第２のプツシユロツド２８のウエツジ２８ａがロ
ーラ３０を夫々上下方向に押圧し、中間部材３１
を介して第２のピストン２４を夫々上下方向に押
圧し、調節部材２５を介してブレーキシユー２６
が押圧されパーキングブレーキがかかる。緊急ブ
レーキの場合も同様である。

スプリングブレーキを解除するには、スプリン
グブレーキレバーを操作してエアポート１１から
エアチヤンバ１０に高圧エアを流入させる。する
と第１のピストン６は高圧エアによつて第１の圧
縮ばね７のばね圧に抗して図中右方向に押圧され
る。これに伴つて第１のプツシユロツド１４が右
方向に移動し、第２のプツシユロツド２８が第２
の圧縮ばね３２の復原力によつて図中右方向に移
動し、ウエツジ２８ａの最小リフト部にローラ３
０が当接する如くなつて、第２のピストン２４の
調節部材２５によるブレーキシユー２６の押圧作
用が解除されパーキングブレーキも解除される。

このように本発明によれば、スプリングチヤン
バ部２とホイールシリンダ部３は、夫々独立して
構成されているので、第２図に示すように、スプ
リングチヤンバ部２をホイールシリンダ部３から
少し離れたところに配置することができ、また同
図に示すように、ホイールシリンダ部３に対して
直角にかつ車軸４０とほぼ平行かつ一直線上にス
プリングチヤンバ部２と該スプリングチヤンバ部
の第１のプツシユロツド１４とを配列することが
でき、オイルブレーキ用スプリングブレーキ装置
１をコンパクトにアクスルハウジング１６に装置
することができる。従つて車軸、サスペンシヨン
部品等に干渉することはない。またスプリングブ
レーキ装置を装着しないオイルブレーキに替えた
い場合には、ホイールシリンダ部３を従来使用し
ているホイールシリンダに変換すればよい。

本発明は、上記のように構成され、作用するも
のであるから、スプリングチヤンバ部の設置場所
がホイールシリンダ部に対して自由に設定できる
ので、スプリングチヤンバ部と該スプリングチヤ
ンバ部のプツシユロツドとをホイールシリンダ部
に対して直角にかつ車軸に沿つてほぼ平行かつ一
直線上に配列することができ、スプリングブレー
キのスプリングチヤンバ部が車軸やサスペンシヨ
ン部品等に干渉することがないという利点があ
る。またスプリングブレーキのスプリングチヤン
バ部とホイールシリンダ部とが分離できるような
構造になつているので、スプリングチヤンバ部の
設計をホイールシリンダ部に拘束されることなく
独自にでき、また装置全体をオイルブレーキにし
たい場合は、ホイールシリンダ部を通常のホイー
ルシリンダに交換すればよいので、簡単に交換で
きるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例に係り、第１図はオイル
ブレーキ用スプリングブレーキ装置の縦断面図、
第２図はオイルブレーキ用スプリングブレーキ装
置をアクスルハウジングに取り付けた状態を示す
斜視図である。 １はオイルブレーキ用スプリングブレーキ装
置、２はスプリングチヤンバ部、３はホイールシ
リンダ部、４はウエツジシリンダ部、５はスプリ
ングチヤンバ部のシリンダ、６は第１のピスト
ン、１４は第１のプツシユロツド、２２はウエツ
ジシリンダ、２４は第２のピストン、２６はブレ
ーキシユー、２８は第２のプツシユロツド、３４
は第３のピストン、４０は車軸である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダに嵌挿されて圧縮ばねにより一方向
   に付勢されエアと該圧縮ばねによつて摺動し得る
   第１のピストンを設けたスプリングチヤンバ部
   と、ブレーキドラムの中に配置されるオイルブレ
   ーキ用のホイールシリンダに嵌挿されオイルによ
   つて摺動しブレーキシューを作動させるように摺
   動方向が車軸と直角方向に配設された一対の第２
   のピストンを設けたホイールシリンダ部とを設
   け、該ホイールシリンダ部と前記スプリングチヤ
   ンバ部とをウエツジシリンダ部を介してつき合わ
   せて連結し、該ウエツジシリンダ部には第３のピ
   ストンを内蔵すると共にウエツジが先端に固定さ
   れ前記第１のピストンに連結された第１のプツシ
   ユロツドと一直線上に配列された第２のプツシユ
   ロツドを内蔵し、該ウエツジが前記一対の第２の
   ピストンに接近する方向に移動することで該一対
   の第２のピストンを前記ブレーキドラムの半径方
   向外側へ摺動させるように構成し、該第３のピス
   トンの一側面を前記第１のプツシユロツドに当接
   させ、該第３のピストンの他側面を前記第２のプ
   ツシユロツドに当接させ、前記スプリングチヤン
   バ部と前記ホイールシリンダ部とを連動されるよ
   うに構成し、かつ前記ウエツジシリンダに固着さ
   れ前記第３のピストンの前記スプリングチヤンバ
   部方向への一定値以上の移動を阻止するストツパ
   台を設け、前記スプリングチヤンバ部と該スプリ
   ングチヤンバ部の前記第１のプツシユロツドとを
   前記ホイールシリンダ部の前記一対の第２のピス
   トンの摺動方向に対して直角にかつ車軸に沿つて
   ほぼ平行かつ一直線上に配列したことを特徴とす
   るオイルブレーキ用スプリングブレーキ装置。