JPH033321Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、湯水を入浴する者に向けて噴出させ
るためのノズルに関し、特に、シヤワー噴流とジ
エツト噴流とが切り換え可能な複合ノズルに関す
るものである。

〔従来の技術〕

従来の一般的なノズルは湯水を所要の圧力で浴
中に噴出させ、この噴出流で入浴者の肌を刺激し
て、浴中マツサージを行うもので、ノズルとポン
プとが共通のハウジングに組み込まれ、浴槽の湯
水内に浸漬配置される形式のものであつた。これ
に対し、シヤワー噴流とジエツト噴流とを選択的
に得る方式の複合ノズルが実公昭51−39713号公
報に示されている。この複合ノズルは流路切換弁
を操作して給水路をジエツト噴流孔に通じる流路
とシヤワー噴出孔に通じる流路に切り換えるよう
にしたもので、ジエツト噴出孔の喉部に空気を取
り入れる給気管を連通している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、前記ポンプと一体型のノズルは
シヤワー噴流しかできないものであるため、空気
を湯水に混合させて噴出させることができず、マ
ツサージ効果に乏しかつた。これに対し前記複合
ノズルはシヤワー噴流の他にジエツト噴流が得ら
れるが、給気管をジエツト噴出孔の喉部に直接的
に連通しているものであるため、十分に多量の空
気を取り入れることができない。そのため、ジエ
ツト噴流に含む空気量が十分でなく、噴出圧の高
い噴流が得られず、また、噴流中の気泡の破裂時
に発生する超音波のエネルギも小さく、マツサー
ジ効果の上でも未だ十分満足すべきものではなか
つた。

本考案は上記従来の不都合を解消するためにな
されたものであり、その目的は、浴者が好みに応
じてシヤワー噴流とジエツト噴流とを選択してマ
ツサージとシヤワーの双方の機能を受けることが
でき、その上、ジエツト噴流に多量の空気を取り
入れ、噴流圧の高い、かつ、超音波エネルギの大
きい噴流によつてマツサージ効果をより高めるこ
とができる噴流用複合ノズルを提供することにあ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記目的を達成するために、次のよう
な手段を採用している。すなわち、本考案は、湯
水の流入口と湯水の噴出面を有し、その噴出面側
にシヤワー噴出孔とジエツト噴出孔とが形成され
ているハウジング内部に、前記シヤワー噴出孔と
流入口とを連通する第１の流通路と、ジエツト噴
出孔と流入口とを連通する第２の流通路とが区画
して設けられ、前記流入口から第１の流通路と第
２の流通路に分かれる分岐位置には流入口からの
湯水を第１の流通路と第２の流通路に切り換える
切換バルブが設けられており、また、第２の流通
路の回りには該第２の流通路の全周を囲み該第２
の流通路よりも差渡空間の大きい空気保有室を設
け、この空気保有室の壁面に前記第２の流通路に
対して外部の空気を導入する空気導入孔を設けた
ことをもつて問題点を解決する手段としている。

〔作用〕

本考案の噴流用複合ノズルは例えば手動操作に
より、切換バルブを操作して流入口から供給され
る湯水を第１の流通路に導けば、湯水は同第１の
流通路を通つてシヤワー噴出孔からシヤワー噴流
となつて浴槽等の所望の場所へ噴出される。これ
に対し、切換バルブを第２の流通路に切に換えれ
ば、湯水は第２の流通路を通るときに空気保有室
から多量の空気をエゼクタ効果によつて導入し
て、空気と湯水との混合流がジエツト噴出孔から
強力なジエツト噴流となつて噴出される。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

なお、本明細書では、シヤワーは湯水のみを噴
出させる場合を意味し、ジエツトは湯水と空気と
の混合流体を噴出させるものとして、シヤワーと
ジエツトの用語を区別している。

第１図には本考案に係る複合ノズルの一構成例
が示されている。

同図において、表側の枠体２３ａと裏側の枠体
２３ｂとの嵌め合いによつて形成されたハウジン
グ２３の基端側、すなわち、裏側の枠体２３ｂ側
には湯水の流入口３１ａが形成されており、この
流入口３１ａは枠体２３ｂに嵌め込まれる可撓金
属管２０やホース等の管路２１を介して湯水供給
用のポンプ（図示せず）の吐出口に通じている。
このハウジング２３内には、断面がＨ形の第１の
隔壁部材２４と、同部材２４を載置する第２の隔
壁部材２５とが収容されて同ハウジング２３内が
区画され、両隔壁部材２４，２５の間に空気保有
室２６が形成されている。この空気保有室２６は
流通路３４および孔３９よりも差渡空間が大き
く、すなわち、大径に形成され、流通路３４およ
び孔３９の全周を同心円状に囲んでいる。また、
第１の隔壁部材２４と裏側の枠体２３ｂとの間に
は流体室２７が形成されている。前記流体室２７
と流入口３１ａとは切換バルブ３０を介し枠体２
３ｂ内に設けた流通路３１ｂによつて連通されて
いる。同様に、流入口３１ａと空気保有室２６も
切換バルブ３０を介し枠体２３ｂ内に設けた流通
路３４によつて連通されている。前記切換バルブ
３０の内部にはＴ字状の流通路３２が形成されて
おり、切換バルブ３０に連結されているレバー３
３を回転することにより流入口３１ａからの湯水
を流通路３１ｂ側と同３４側に切り換えるように
なつている。

また、ハウジング２３と第１の隔壁部材２４と
第２の隔壁部材２５とによつて囲まれた空間は通
路室３５となつており、この通路室３５と前記流
体室２７とは第１の隔壁部材２４の周壁に設けた
連通孔３６によつて通じている。そして、第２の
隔壁部材２５と表側の枠体２３ａとの間にはバル
ブ３７が任意方向に回転自在に収容されており、
このバルブ３７の中心部には貫通されたジエツト
噴出孔３８が形成されている。このジエツト噴出
孔３８は第２の隔壁部材２５の中心部にあけられ
た孔３９を介して空気保有室２６に通じている。
一方、表側の枠体２３ａと第２の隔壁部材２５と
バルブ３７とによつて囲まれた空間は湯水流入室
４０を形成している。そして、この湯水流入室４
０の先端壁、すなわち、ノズル正面部には第３図
に示すように、複数のシヤワー噴出孔４１からな
るシヤワー孔群４２ａ，４２ｂ，４２ｃが前記ジ
エツト噴出孔３８を囲んで円周３等分位置に設け
られている。

一方、第２図に示すように、裏側の枠体２３ｂ
には空気調節軸４３が回転自在に軸支されてい
る。この空気調節軸４３の先端部には外部から空
気を導入する空気導入孔４４が軸長方向に対して
直交方向にあけられており、この空気導入孔４４
は軸４３および裏側の枠体２３ｂに設けた通路４
５を通して前記空気保有室２６に通じている。前
記空気調節軸４３の基端側にはレバー４６が設け
られており、このレバー４６を操作して空気調節
軸４３を回動することにより、空気導入孔４４の
開口断面積と通路４５の開口断面積との接合部に
おける重合面積が変化することとなり、この重合
面積を変化することにより、外部から空気保有室
２６に導入される空気の量を調節することができ
るようになつている。

なお、前記流通路３１ｂと、流体室２７と、連
通孔３６と、通路室３５と、湯水流入室４０に通
じる通路４９と、湯水流入室４０とは湯水を流入
口３１ａからシヤワー噴出孔４１に導く第１の流
通路を構成し、流通路３４と、孔３９とは空気保
有室２６を介して湯水を流入口３１ａからジエツ
ト噴出孔３８に導く第２の流通路を構成してい
る。

次に上記実施例の作用を説明する。

第１図に示す状態においては流入口３１ａと流
通路３４とが流通路３２を介して連通されてお
り、流体室２７に通じる流通路３１ｂは切換バル
ブ３０によつて閉じられでるから、ポンプから供
給される湯水は流通路３４を通つて空気保有室２
６に入り込み、さらに第２の隔壁部材２５の流通
路３４を通りジエツト噴出孔３８から勢いよく噴
出する。この湯水の噴射に際し、空気導入孔４４
から導入される外部の空気はジエツト噴流による
吸引力によつて空気保有室２６に吸引導入されて
保有される。そして、この空気保有室２６で保有
されている空気はエゼクタ効果によつて噴流湯水
の全周から多量に引き込まれ、噴流湯水と空気と
の混合が行われる。この湯水と空気の混合に際し
ては、空気保有室２６の差渡空間である径が流通
路３４や孔３９の径よりも十分に大きく、つま
り、流路３４，３９に比べ空気保有室２６は大き
な径空間を有しているので、空気の保有量が大き
く、しかも、噴流湯水の全周が空気保有室２６に
接しているので、エゼクタ効果によつてその全周
から多量の空気が取り入れられて湯水と空気との
混合が行われる。すなわち、空気導入孔４４を流
路断面積の小さい流通路３４や孔３９あるいは噴
出孔３８に開口する場合には、必然的に空気導入
孔４４の径も小さくなり、噴流湯水と空気導入孔
４４との接触面積が小さくなる。空気導入孔４４
の流路断面積および噴流湯水との接触面積が小さ
いと、噴流湯水からの吸引力を受けてもその吸引
力に応じきれず（吸引力に空気の供給能力が追い
つかず、）エゼクタ効果によつて取り入れられる
空気量は少なくなる。空気量が少ないと浴中に噴
出したときに噴出流が浴槽内の湯水から受ける抵
抗が大きくなり、この抵抗損失により噴流圧が小
さくなる。また、噴流に含まれる空気量が少ない
と、気泡も少なくなり、この気泡が他の気泡に衝
突して破裂するときに発生する超音波のエネルギ
も小さくなり、ジエツト噴流を体に受けたときの
超音波による温熱効果（体を超音波エネルギで温
める効果）も小さくなり、噴流圧と温熱効果によ
る総合的なマツサージ効果も小さくなる。このこ
とから、ジエツト噴流によるマツサージでは噴出
される湯水中に多量の空気を含むようにすること
が望ましいが、本実施例では、前記の如く、大き
な空間（大径）の空気保有室を第２の流通路の全
周を囲む状態で、つまり、噴流湯水の全周を囲ん
だ格好で設け、この空気保有室の壁面に空気導入
孔４４を臨ませているので、空気保有室２６に多
量の空気を常時保有することができるとともに、
噴流湯水の全周が空気保有室２６の空気に囲まれ
ることから、噴流湯水と空気保有室２６内の空気
との接触面積が大きくなり、エゼクタ効果によつ
て多量の空気を空気保有室から噴流湯水中に取り
込むことができ、この多量の空気を含んだ混合湯
水が孔３９を経てジエツト噴出孔３８から浴槽内
に向けて噴出されるのである。このように噴流に
多量の空気を含ませると、ジエツト噴流を浴中に
噴出したとき、その噴流中の多量の空気が浴槽内
の湯水と噴流との境界部で噴流抵抗を小さくする
潤滑剤として機能し、このことから抵抗損失の小
さい強い噴流圧を得ることができる。その上、噴
流中の空気量が多いと、気泡も大きくなり、この
気泡が破裂するときに発生する超音波エネルギも
大きくなり、噴流を体に受けたときの温熱効果も
大きくなり、マツサージ効果を十分に高めること
ができる。

この第１図の状態でレバー３３を時計方向に
90゜回転すれば、流通路３２ａを介して流入口３
１ａと流体室２７に通じる流通路３１ｂが通じ、
流通路３４は切換バルブ３０によつて閉鎖される
から、ポンプから供給される湯水は流通路３１ｂ
を通つて流体室２７に入り込み、さらに連通孔３
６を通つて通路室３５に入り込む。そしてこの湯
水はさらに通路室３５から第２の隔壁部材２５に
設けた通路４９を通つて湯水流入室４０に入り込
み、シヤワー孔４１からシヤワー噴流となつて噴
出される。

本実施例では、マツサージ効果を高めるため、
シヤワー噴流を間欠的に噴出するようにしてい
る。すなわち、前記湯水流入室４０には羽根車４
７が回転自在に収容されている。この羽根車４７
にはその軸部から複数の羽根が120゜の等角間隔に
放射状に突設されており、そのうちの１枚の羽根
の端部（噴出面側の端部）には１つのシヤワー孔
群４２ａ又は４２ｂ又は４２ｃを覆うのに必要な
面積をもつ閉鎖板４８が固定されている。この羽
根車４７は、ポンプから送られてくる湯水が湯水
流入室４０に入り込むことにより、その湯水の圧
力を受けて回転するようになつており、この羽根
車４７が回転することにより前記閉鎖板４８によ
つて各シヤワー孔群４２ａ，４２ｂ，４２ｃが順
次1/3回転するごとに閉鎖されるから、各シヤワ
ー孔群４２ａ，４２ｂ，４２ｃからの噴出湯水は
間欠シヤワーとなつて外部に噴出される。

第４図には本実施例の噴流用複合ノズル２２を
噴流用アタツチメント５０に取り付けた一使用例
が示されている。第４図において、５１は胴体部
であり、この胴体部５１から前記可撓管２０が伸
設され、その可撓管２０の先端部に本実施例の複
合ノズル２２が嵌合固定される。なお、前記可撓
管２０は変形自在であり、かつ、その変形形状を
定形的に保持できる一般にフレキシブルホースと
いわれている金属製の可撓管によつて形成されて
いる。胴体部５１の裏面側には吸盤が設けられ、
この吸盤を利用して胴体部５１は浴槽の壁面に吸
着によつて固定される。この胴体部５１からは可
撓管２０の管路２１に通じる湯水吸入管５２が突
設され、この湯水吸入管５２は送水管５３を介し
てポンプの吐出口に連通される。

第５図には、上記噴流用アタツチメント５０の
浴槽５４内での使用例が示されている。同第５図
の入浴状態で、レバー３３を操作することによ
り、入浴する者はシヤワーとジエツトの好みの噴
流を選択して首筋、肩部、背中等、の凝つた部分
をマツサージすることができる。しかも強力なマ
ツサージ効果が得られる。

なお、本考案は上記実施例に限定されることが
なく、様々な実施の態様を採り得るものである。

例えば、上記実施例ではシヤワー孔群４２ａ，
４２ｂ，４２ｃを円周３等分位置に設けたが、こ
れと異なり、シヤワー噴出孔４１を、ジエツト噴
出孔３８の周りの全周に亙つて設けてもよい。ま
た、本実施例では湯水流入室４０内に羽根車４７
を収容して間欠シヤワーとしているが、必要に応
じ、羽根車４７を省略し連続シヤワーにしてもよ
い。

〔考案の効果〕

本考案の複合ノズルはシヤワー噴流とジエツト
噴流とを切り換え可能に構成したものであるか
ら、好みの噴流を選択してマツサージとシヤワー
を楽しむことができ、特に、マツサージ効果は湯
水に空気を混合させる構造を採用しているため
に、強力なものとなり、１のノズルで、マツサー
ジに共用できて非常に便利である。

また、流入口とジエツト噴出孔とを連通する第
２の流通路の回りに、該第２の流通路の全周を囲
み該第２の流通路よりも差渡空間の大きい空気保
有室を設け、この空気保有室の壁面に前記第２の
流通路に対して外部の空気を導入する空気導入孔
を設けているから、空気保有室を多量の空気を導
入してこれを保有することができるとともに、噴
流湯水を均一に空気保有室の空気と接触させて噴
流湯水に対する空気の取り入れ量を多くすること
ができる。したがつて、第２の流通路を通る噴流
湯水のエゼクタ効果によつて空気保有室から多量
の空気を当該噴流湯水に導入することができ、空
気量の多いジエツト噴流を得ることができる。

したがつて、この空気量の多いジエツト噴流を
浴槽内に噴出させたとき、浴槽内の湯水から受け
る抵抗を小さくすることができ、強い噴流圧でマ
ツサージをすることが可能となる。その上、ジエ
ツト噴流に多量の空気を含むことで、噴流の超音
波エネルギも大きくなり、その噴流を体に受けた
ときの温熱効果も大きく、これら、強い噴流圧と
高い温熱効果の相乗作用によつて大きなマツサー
ジ効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る噴流用複合ノズルを可撓
管との結合状態で示す断面図、第２図は第１図の
Ａ−Ａ断面図、第３図は第１図を噴出面側から見
た正面図、第４図は本実施例の複合ノズルを装備
した噴流用アタツチメントの正面図、第５図は本
実施例の複合ノズルの一使用例を示す斜視図であ
る。 ２３……ハウジング、３０……切換バルブ、３
８……ジエツト噴出孔、４１……シヤワー噴出
孔、４４……空気導入孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 湯水の流入口と湯水の噴出面を有し、その噴出
   面側にシヤワー噴出孔とジエツト噴出孔とが形成
   されているハウジングの内部に、前記シヤワー噴
   出孔と流入口とを連通する第１の流通路と、ジエ
   ツト噴出孔と流入口とを連通する第２の流通路と
   が区画して設けられ、前記流入口から第１の流通
   路と第２の流通路に分かれる分岐位置には流入口
   からの湯水を第１の流通路と第２の流通路に切り
   換える切換バルブが設けられており、また、第２
   の流通路の回りには該第２の流通路の全周を囲み
   該第２の流通路よりも差渡空間の大きい空気保有
   室を設け、この空気保有室の壁面に前記第２の流
   通路に対して外部の空気を導入する空気導入孔を
   設けたことを特徴とする噴流用複合ノズル。