JPH033087Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車などのステアリング装置に関
するもので、とくにステアリングホイールの中央
部のパツド部が非回転状態を保持するものに関す
る。

〔従来の技術〕 近時、ステアリングホイールの中央部のパツド
部に各種操作機構の操作部を配置したものが用い
られるようになつているが、この場合、ステアリ
ングホイールの回転に際してパツド部を非回転状
態に保持する必要がある。

従来、このようにパツド部を非回転状態にする
ものとしては、たとえば、実開昭58−80361号公
報等種々のものが提案されている。このような装
置は、円環状のリム部およびこのリム部に連結し
たスポーク部、このスポーク部の中央部に固着さ
れステアリングシヤフトに結合するボス部とから
ステアリングホイール本体が構成され、上記ボス
部の外周に円筒状に合成樹脂で形成し外周に設け
た円環状部の内側に内歯車を有する上側筒状部材
が回転自在に嵌合され、この上側筒状部材の下方
位置に円筒状に合成樹脂で形成し外周に設けた円
環状部の内側に内歯車を有する下側筒状部材が上
記ステアリングシヤフトを挿通したステアリング
コラムに固着されている。また、上記ボス部には
上記上側筒状部材および下側筒状部材の両内歯車
に噛合する遊星歯車が支持枠を介して回転自在に
軸架されている。また、上記上側筒状部材の上部
に各種操作機構を有したパツドが取着されてい
る。

そうして、ステアリングホイール本体を回転す
ると、遊星歯車がボス部とともに共動回転してこ
の遊星歯車は下側筒状部材の内歯車との噛合を介
して自転しつつ公転し、かつこの遊星歯車と上側
筒状部材の内歯車との噛合を介して上側筒状部材
を相対的に逆方向に回転させ、見掛け上は上側筒
状部材とともにパツドを静止状態に保持するよう
になつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記従来のステアリング装置では、遊星歯車と
噛合する内歯車を有した上側筒状部材および下側
筒状部材に強度を持たせるために、この上側筒状
部材および下側筒状部材を強度のある硬質材料で
形成すると、その各内歯車と遊星歯車との噛合に
よりバツクラツシユ音等の異音の発生原因とな
り、また、この異音発生の対策として、上側筒状
部材および下側筒状部材を例えばナイロンエラス
トマー等の軟質材料で形成した場合には、特に上
側筒状部材のパツドに回転方向の力が加えられた
場合などに内歯車と遊星歯車との噛合に力が加わ
ると、上側筒状部材および下側筒状部材は変形を
起こし、内歯車と遊星歯車との噛合に歯飛びが生
じてしまう問題がある。

本考案は上述のような点を解決しようとするも
ので、噛合による異音の発生を減少させるために
上側筒状部材および下側筒状部材を軟質材料で形
成した場合にも、内歯車と遊星歯車との噛合に歯
飛びを起すことなく確実に噛合状態を保持するス
テアリング装置を提供することを目的とするもの
である。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、リム部４、スポーク部７およびボス
８を有しそのボス８によつてステアリングシヤフ
ト１３に固着するステアリングホイール本体１
と、上部にパツド４４を備え、上記ボス８に回転
自在に嵌合され外周に設けた円環状部１７の内側
に内歯車１８を有する上側筒状部材１５と、この
上側筒状部材１５の下方において実質的に非回転
状態に固定され外周に設けた円環状部２３の内側
に内歯車２４を有する下側筒状部材２１と、上記
上側筒状部材１５および下側筒状部材２１の内歯
車１８，２４に噛合され上記ボス８と共動回転す
る遊星歯車３５と、上記上側筒状部材１５および
下側筒状部材２１の円環状部１７，２３の外周面
に嵌着された環状の硬質強度部材３０とを具備
し、上記上側筒状部材１５および下側筒状部材２
１は、上記硬質強度部材３０よりも軟質材料で形
成したものである。

（作用） 本考案では、上側筒状部材１５および下側筒状
部材２１を軟質材料で形成し、それらの円環状部
１７，２３の内歯車１８，２４と遊星歯車３５と
の噛合による異音の発生を減少させ、しかも、円
環状部１７，２３の外周に嵌着した硬質強度部材
３０により、内歯車１８，２４と遊星歯車３５と
の噛合によつて円環状部１７，２３が大きく変形
するのを防止する。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

１はステアリングホイール本体で、このステア
リングホイール本体１は、リム芯金２の外側を被
覆材３で被つた円環状のリム部４、上記リム芯金
２に溶接連結したスポーク芯金５の外側を被覆材
６で被つた板状のスポーク部７および上記スポー
ク芯金５の中央部に溶接固着したボス８を有して
いる。このボス８は、スポーク芯金５に溶接した
下端基部９の上部に円環状のフランジ部１０が設
けられ、このフランジ部１０の上部に円筒部１１
が設けられ、この円筒部１１の上端外周部にリン
グ溝１２が形成されている。そして、ボス８の中
心部をステアリングシヤフト１３の上端部に嵌合
してナツト１４で締着固定されている。

１５は合成樹脂で一体に形成した円筒状の上側
筒状部材で、この上側筒状部材１５は、内側の嵌
合筒部１６および外周の円環状部１７を有し、こ
の円環状部１７の外側に凹溝１７ａが外周面に沿
つて形成され、また、円環状部１７の内側に内歯
車１８が形成されている。そして、内側の嵌合筒
部１６が上記ボス８の円筒部１１の外周に回転自
在に嵌合されているとともに、ボス８のリング溝
１２に嵌合筒部１６の上面に当接した抜け止め用
のスナツプリング１９が嵌着されている。

２１は合成樹脂で一体に形成した円筒状の下側
筒状部材で、この下側筒状部材２１は、内側下部
の円筒状の取付部２２および外周の円環状部２３
を有し、この円環状部２３の外側に凹溝２３ａが
外周面に沿つて形成されているとともに、この円
環状部２３の内側に内歯車２４が形成されてい
る。そして、内側の取付部２２が上記ステアリン
グシヤフト１３を挿通したステアリングコラム２
５の外側に嵌合してねじ２６で固着されている。

上記上側筒状部材１５および下側筒状部材２１
の各円環状部１７，２３の外周面には、各凹溝１
７ａ，２３ａと嵌合する突部３０ａを内側に一体
に突設した環状の例えば金属あるいは硬質合成樹
脂などの硬質強度部材３０がそれぞれ嵌着されて
いる。なお、これらの硬質強度部材３０は上側筒
状部材１５および下側筒状部材２１の成形時に一
体成形すればよい。

上記スポーク芯金５の中央部近くにほぼコ字形
の支持枠３２が取付片３３を介してねじ３４で固
着され、この支持枠３２に遊星歯車３５が支軸３
６で回転自在に軸架されている。

上記上側筒状部材１５上に電気ユニツト４０が
取付片４１を介してねじ４２で取付けられ、この
電気ユニツト４０の上面に複数個の操作ボタン４
３が並設されている。そして、上記電気ユニツト
４０を被つてかつ各操作ボタン４３を突出した状
態でパツド４４が被嵌されている。

そうして、ステアリングホイール本体１を回転
すると、遊星歯車３５が上側筒状部材２１の内歯
車２４との噛合を介して自転しつつ公転し、か
つ、上側筒状部材１５の内歯車１８との噛合を介
して上側筒状部材１５を相対的に逆方向に回転さ
せ、見掛け上は上側筒状部材１５とともに電気ユ
ニツト４０およびパツド４４を静止状態に保持す
るようになつている。

また、遊星歯車３５を例えばガラス繊維を含有
したポリアセタール樹脂で形成した場合、上側お
よび下側筒状部材１５，２１を形成する合成樹脂
のASTMロツクウエル硬度が90より大きいと、
その内歯車１８，２４と遊星歯車３５との噛合に
より異音が発生してしまう。そこで、ASTMロ
ツクウエル硬度が90以下の例えばナイロンエラス
トマー樹脂で上側および下側筒状部材１５，２１
を形成した場合、その内歯車１８，２４と遊星歯
車３５との噛合による異音は減少して実用上問題
にならない程度になるが、遊星歯車３５と内歯車
１８，２４との噛合に力が加わると、遊星歯車３
５と噛合する内歯車１８，２４の円環状部１７，
２３が押し広げられて変形し歯飛びを生じること
になる。しかし、円環状部１７，２３の外周面に
は環状の硬質強度部材３０を嵌着しているので、
円環状部１７，２３の変形が防止され、内歯車１
８，２４と遊星歯車３５との噛合に歯飛びが生じ
ることはない。

なお、上側および下側筒状部材１５，２１を形
成する合成樹脂のASTMロツクウエル硬度が例
えば55より小さい場合は、素材自体が軟らかすぎ
るために遊星歯車３５に対して内歯車１８，２４
の歯自体が変形してしまうので、たとえ硬質強度
部材３０を設けても歯飛びを生じてしまう。その
ため、ASTMロツクウエル硬度が55〜90の範囲
の合成樹脂が上側および下側筒状部材１５，２１
の素材として有効である。

〔考案の効果〕

本考案によれば、上側筒状部材および下側筒状
部材の円環状部の外周に環状の硬質強度部材を嵌
着し、その上側筒状部材および下側筒状部材を硬
質強度部材よりも軟質材料で形成したため、内歯
車と遊星歯車との噛合による異音の発生を減少さ
せることができるとともに、内歯車と遊星歯車と
の噛合によつて円環状部が大きく変形するのを防
止することができ、特に、上側筒状部材のパツド
に回転方向の力が加えられたときでも、内歯車と
遊星歯車との歯飛びを確実に防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

図は本考案のステアリング装置の一実施例を示
す断面図である。 １……ステアリングホイール本体、４……リム
部、７……スポーク部、８……ボス、１３……ス
テアリングシヤフト、１５……上側筒状部材、１
７……円環状部、１８……内歯車、２１……下側
筒状部材、２３……円環状部、２４……内歯車、
３０……硬質強度部材、３５……遊星歯車、４４
……パツド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 リム部、スポーク部およびボスを有しそのボス
   によつてステアリングシヤフトに固着するステア
   リングホイール本体と、 上部にパツドを備え、上記ボスに回転自在に嵌
   合され外周に設けた円環状部の内側に内歯車を有
   する上側筒状部材と、 この上側筒状部材の下方において実質的に非回
   転状態に固定され外周に設けた円環状部の内側に
   内歯車を有する下側筒状部材と、 上記上側筒状部材および下側筒状部材の内歯車
   に噛合され上記ボスと共動回転する遊星歯車と、 上記上側筒状部材および下側筒状部材の円環状
   部の外周面に嵌着された環状の硬質強度部材とを
   具備し、 上記上側筒状部材および下側筒状部材は、上記
   硬質強度部材よりも軟質材料で形成した ことを特徴とするステアリング装置。