JPH0325773Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、膝関節疾患の治療に使用するサポー
ター、特に前十字靭帯損傷で膝関節の動揺を起こ
した患者に使用し、歩行時発生する膝関節動揺を
制御するための膝関節用サポーターに関する。

〔従来の技術〕

年々スポーツやレジヤー及び健康のためのアス
レチツク等が盛になり、また老人人口が増加する
にしたがつて、膝疾患が激増している。中でも前
十字靭帯損傷といわれる疾患は膝関節が前後に動
揺を起こすもので、特に歩行にはなんらかの膝装
具を装着する必要がある。

このような膝装具として、ゴム織テープやネオ
プレンスポンジ、圧縮ウレタン等からなる比較的
発泡密度が高く腰のある弾力性材と伸縮布とを貼
り合わせ一体とした複合材を筒状に縫製した圧迫
タイプの膝関節用サポーター、この圧迫タイプの
膝関節用サポーターの内外側にヒンジ式ステーを
取り付けたステー付サポーター、或いはこのステ
ー付サポーターの大腿部や下腿部位にさらに補強
ボルトを取り付けた重症用のステー付サポーター
などがある。また前途のステー付サポーターで大
腿部の両ステー部から膝蓋骨を通りかつ互いにク
ロスして下腿部に至る補助ベルトを設けた補助ベ
ルト付サポーターも本出願人により種々提案され
ている。

〔考案が解決しようとする課題〕

膝関節の動きは、屈曲、伸展、内反、外反、回
施、前後左右のすべり等が複合して行われるもの
であり、それによつて歩行や、立つたり座つたり
する機能を果たすものである。このような膝関節
の複雑な動きに対し追従し、異常な膝関節の動揺
のみに制御を行なえる膝装具は極めて限られてい
た。又たとえこのような機能を有するものがあつ
たとしても、その装具の重量が非常に大きく通常
の装着に堪えることができなかつたり、装着法が
複雑で操作性に欠け、実用性が乏しく、また個々
の患者の症状に合わせて装具を製作する必要があ
り、汎用性にも乏しく、満足すべき膝関節用サポ
ーターは存在しなかつた。

本考案の目的は、軽量で、装着操作が容易であ
つて、特に前十字靭帯損傷患者で立位状態から膝
の屈曲が大きくなるにつれて膝関節の動揺が大き
くなる症状に追従して固定力を変化させ、正常な
膝関節の動きを補助できる膝関節用サポーターを
提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

この目的は本考案によれば、 大腿部部分、下腿部部分および膝関節部部分を
被覆する弾力性布からなる本体と、 本体表面の左右に大腿部部分上方から下腿部部
分下方にわたり配置したステーと、 ステーを覆うように本体の大腿部部分と下腿部
部分にそれぞれ設けたステーカバーと、 下腿部部分のいずれか一方のステーカバーの上
方側に一端を取り付け脛骨粗面上を通るようにし
て他端を他方のステーカバーの上方側に取り付け
た金具と結合可能な非伸縮性または難伸縮性の下
腿部部分前部ベルトと、 下腿部部分のステーカバーのいずれか一方に一
端を取り付け下腿部部分の後方を通るようにして
他端を他方のステーカバーに取り付けた金具と結
合可能な非伸縮性または難伸縮性の下腿部部分後
部ベルトと、 大腿部部分のステーカバーのいずれか一方に一
端を取り付け大腿部部分の後方を通るようにして
他端を他方のステーカバーに取り付けた金具と結
合可能な非伸縮性または難伸縮性の大腿部部分後
部ベルトと、 下腿部部分の左右ステーカバーの下方側にそれ
ぞれ一端を取り付け脛骨粗面上で互いに交差する
ように斜上方に延び大腿部部分に至る伸縮性の２
つの補助ベルトと を備えることによつて達成される。

〔作用〕

本考案においては、本体を膝関節部およびその
上下の大腿部部分と下腿部部分とに亘る領域上に
締付け固定し、ステーを大腿部部分から下腿部部
分に向け左右側部に位置するように下腿部部分後
部ベルトと大腿部部分後部ベルトで調整して保持
し、下腿部部分前部ベルトの締付力により腋骨粗
面を圧迫し立位状態での正常な位置に矯正し、補
助ベルトの締付力により膝の屈曲が大きくなるに
つれて脛骨粗面への圧迫力を増し、脛骨粗面の突
出を制御するものである。

〔実施例〕

次に本考案の実施例を図面について説明する。

第１図ａ，ｂは本考案による膝関節用サポータ
ーの一実施例を展開状態にして見たそれぞれ正面
図、背面図で、第１図ａは表側、すなわち体に接
する側と反対側、第１図ｂは裏側、すなわち体に
接する側を示している。

１は弾力性の布地からなるほぼ四角形状の本体
で、上辺２は下辺３より若干長く形成され、その
左右側辺４，５のほぼ中央には横Ｕ字型の凹所
６，７を備え、また本体のほぼ中心部には孔８を
備え、本体１の凹所６，７、孔８より上にある部
分は大腿部部分を覆い、凹所６，７、孔８より下
にある部分は下腿部部分を覆い、凹所６，７、孔
８のある部分は両凹所６，７が膝蓋骨部、孔８が
膝窩部上に位置して膝関節部部分を覆うようにな
つている。本体１の一方の側辺、例えば右側辺５
は大腿部部分、下腿部部分にそれぞれ切り込み
９，１０が設けられ２分割され、その内側には面
状フアスナ１１が設けられている。本体１の表側
で孔８の左右にはステー１２，１３を内部に収納
したステーカバー１４，１５が取り付けられ、ス
テー１２，１３はヒンジ式ステーとして形成さ
れ、両ステーカバー１４，１５は大腿部部分と下
腿部部分とに分割され、ステー１２，１３のステ
ーカバーより露出しているヒンジ部には保護カバ
ー１６，１７が挿入されている。

本体１の下腿部部分にあるいずれか一方のステ
ーカバー、例えば右側のステーカバー１５の上方
には非伸縮性の下腿部部分前部ベルト１８の一端
１９が取り付けられ、ベルト１８は装着時脛骨粗
面上を通るように横方向に延び、他端２０は面状
フアスナ２１を有し、下腿部部分の他方のステー
カバー、すなわち左側のステーカバー１４の上
方、対向位置に取り付けたリング状金具２２に挿
入した折り返し、自身のベルト上に面状フアスナ
２１でもつて結合できるようになつている。

本体１の下腿部部分のいずれか一方のステーカ
バー、例えば右側のステーカバー１５の任意位置
に非伸縮性の下腿部部分後部ベルト２３の一端２
４が取り付けられ、ベルト２３は装着時下腿部部
分の後側を通るように横方向に延び、他端２５は
面状フアスナ２６を有し、下腿部部分の他方のス
テーカバー、すなわち左側のステーカバー１４の
対向位置に取り付けたリング状金具２７に挿入し
て折り返し、自身のベルト上に面状フアスナ２６
でもつて結合できるようになつている。なお図で
はベルト２３の他端２５をリング状金具２７に挿
入しないで折り返した状態で示されている。

本体１の大腿部部分のいずれか一方のステーカ
バー、例えば右側のステーカバー１５の任意位置
に非伸縮性の大腿部部分後部ベルト２８の一端２
９が取り付けられ、ベルト２８は装着時大腿部部
分の後側を通るように横方向に延び、他端３０は
面状フアスナ３１を有し、大腿部部分の他方のス
テーカバー、すなわち左側のステーカバー１４の
対向位置に取り付けたリング状金具３２に挿入し
て折り返し、自身のベルト上に面状フアスナ３１
でもつて結合できるようになつている。なお図で
はベルト２８の他端３０をリング状金具３２に挿
入しないで折り返した状態で示されている。

さらに本体１の下腿部部分の左右ステーカバー
１４，１５の下方位置に伸縮性の補助ベルト３
３，３４の一端３５，３６がそれぞれ取り付けら
れ、両ベルト３３，３４は装着時脛骨粗面上で互
いに交差するように斜めに上方に延び、装着時他
端３７，３８が本体１の大腿部部分まで達するよ
うな長さを有し、他端３７，３８には面状フアス
ナ３９，４０が設けられている。

４１は本体１のフイツト性を良好にするため設
けたダーツである。

本体１は、大腿部部分と下腿部部分とを覆いか
つ両側辺を重ねて締結し得るだけのを幅を有し、
上下方向には大腿部部分が膝上100mm以上、好ま
しくは150mm以上被覆する長さ、下腿部部分は膝
下100mm以上被覆する長さを有している。その素
材としては、ゴム織テープ、ネオプレンスポン
ジ、圧縮ウレタン等で比較的発泡密度の高い腰の
ある弾力性体と伸縮布とを貼り合わせ一体とした
複合体を用いることができ、特に好ましいものと
しては、表面素材として面状フアスナが結合でき
る伸縮性パイル地、内面素材として汗を吸収発散
できる伸縮性の綿パイル、吸汗発散性の伸縮織物
（例えば倉敷紡績製のアクチオーFAB、旭化成製
のコントロール等）、芯材としてネオプレンスポ
ンジ２〜３mm厚を用いたものがある。又これらの
素材に穴をあけ通気性を増すこともできる。

ステー１２，１３は金属製、プラスチツク製な
どからなり、図の実施例に示すようにヒンジ部を
有するもののほか、膝の屈曲に応じて曲がり得る
ような構造（例えばコイルばね）のものを使用す
ることができ、ステーカバー１４，１５としては
皮革、合成皮革、綿、ナイロン等各種のものを使
用することができる。

下腿部部分前部ベルト１８は、下腿部部分の一
方のステーカバーより脛骨粗面上を通つて他方の
ステーカバーに達しており、脛骨粗面を圧迫し、
立位状態で正常な位置に矯正する役割を持つもの
で、30〜100mm、好ましくは50mmの幅を有し、素
材としては非伸縮性又は難伸縮性の布地、例えば
綿ベルト、ナイロンベルト、好ましくは片面に面
状フアスナが結合するパイルを持つものを用いる
ことができる。なおベルト１８の内側にパツドを
固定または取外し可能に取り付けることにより膝
蓋部への当りをよくすることも可能である。

下腿部部分後部ベルト２３は、下腿部部分の一
方のステーカバーより下腿部の後側を通つて他方
のステーカバーに至つており、下腿部部分のステ
ーの位置を正常な位置に調整しまた保持する機能
を有し、15〜50mm、好ましくは25mmの幅を有し、
素材としては非伸縮性又は難伸縮性の布地、例え
ば綿ベルト、ナイロンベルト、好ましくは片面に
面状フアスナが結合し得るパイルを持つものが適
している。

大腿部部分後部ベルト２８は、大腿部部分の一
方のステーカバーより大腿部の後側を通つて他方
のステーカバーに至つており、大腿部部分のステ
ーの位置を正常な位置に調整し、屈伸による大腿
筋の変化にもステーの位置ずれを防止する役割を
持ち、その幅、素材については下腿部部分前部ベ
ルトと同様のものを用いることができる。

補助ベルト３３，３４は、下腿部部分のステー
カバーの下側より斜め上方に延び、ともに脛骨粗
面上を通つて本体の大腿部部分上に締結されるも
ので、立位では脛骨粗面への圧迫は少なく、膝の
屈曲が大きくなるにつれて脛骨粗面への圧迫を増
し、脛骨粗面の突出を制御する役割を持ち、30〜
100mm、好ましくは50mmの幅を有し、素材として
は伸縮性のベルトで、ゴム織テープ、ゴムシー
ト、ゴム或いはウレタン発泡体と伸縮性布からな
る複合テープなどを用いることができる。

次に本考案のサポーターの装着方法を第２図
ａ，ｂ，ｃについて説明する。なお第２図ａは装
着状態における正面図、第２図ｂはその側面図、
第２図ｃはその背面図を示す。

装着に当たつては、本体１の裏側を脚の後側か
ら当て、孔８が膝窩上に位置し、上辺２が後大腿
部上に、下辺３が後下腿部上に位置し、ステー１
４，１５がそれぞれ大腿部より下腿部の左右側に
沿つて位置するようにし、左右側辺４，５を脚の
前側に回し、左側辺４を下にしてその上に右側辺
５を重ね、面状フアスナ１１を本体１上に締結さ
せる。なおこの場合、右側辺５に設けた切り込み
９，１０を利用して側辺５を部分的に本体１上に
固定し、両側辺４，５の相互位置を調整して最終
位置に固定するようにすると装着が容易である。
このようにして本体１の左右側辺４，５を前で重
ね合わせることにより側辺４，５の凹所６，７は
膝蓋部を囲むように一つの開口を形成する。次い
で下腿部部分前部ベルト１８を膝蓋骨下部に合わ
せ脛骨粗面上を通るように延ばし、その自由端２
０をリング状金具２２に挿入して折り返し、ベル
ト１８自身の上に面状フアスナ２１でもつて固定
する。次に下腿部部分後部ベルト２３を後方に回
し、自由端２５をリング状金具２７に挿入して折
り返し、ベルト２３自身上に面状フアスナ２６で
もつて固定する。

次に両補助ベルト３３，３４を前側に回し、下
腿部部分前部ベルト２３上で交差するように斜め
上方に引き伸ばし、ステー１２，１３のヒンジ部
上を通るようにして大腿部部分の後方へ回し本体
１上へ面状フアスナ３９，４０でもつて固定す
る。最後に大腿部部分後部ベルト２８を後方へ回
し、自由端３０をリング状金具３２に挿入して折
り返し、ベルト２８自身の上に面状フアスナ３０
でもつて固定する。

本考案による膝関節用サポーターを装着した患
者が歩行する場合、本体１上に設けられ下腿部部
分後部ベルト２３、大腿部部分後部ベルト２８に
補助されて正しい位置に保持されたステー１２，
１３により下肢は横揺れすることなく保持され、
立位状態で膝が屈曲しない状態では下腿部部分前
部ベルト１８により脛骨粗面に適度の圧迫力が加
えられて脛骨粗面を正常な位置に絶えず引き戻す
ように働き、膝が大きく屈曲すると補助ベルト３
３，３４により脛骨粗面への圧迫力が増大し、脛
骨粗面が前方へ突出しようとするのを防止するよ
うに働く。

なお、本体１の膝窩部に相当する位置に設けた
孔８は、膝の屈曲時に本体の素地がだぶついて大
腿と下腿により挟み込まれて痛みを生ずるのを軽
減するものであるが、孔の代わりにこの部分を薄
手の伸縮布にすることもできる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、膝の屈曲の多少に応じて補助
ベルトと下腿部部分前部ベルトにより脛骨粗面へ
の圧迫力を可変にして不必要な過度の圧迫力を加
えることなく膝関節の前方への突出を制御し、常
に正しい位置に保持されるステーの支持作用とと
もに、膝関節部の動揺を防止することができ、し
かも軽量で、装着も簡単に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは本考案の実施例のそれぞれ正面
図、背面図、第２図ａ，ｂ，ｃは第１図に示す実
施例の装着状態におけるそれぞれ正面図、側面
図、背面図である。 １……本体、１２，１３……ステー、１４，１
５……ステーカバー、１８……下腿部部分前部ベ
ルト、１９……下腿部部分前部ベルトの一端、２
０……下腿部部分前部ベルトの他端、２２……リ
ング状金具、２３……下腿部部分後部ベルト、２
４……下腿部部分後部ベルトの一端、２５……下
腿部部分後部ベルトの他端、２８……大腿部部分
後部ベルト、２９……大腿部部分後部ベルトの一
端、３０……大腿部部分後部ベルトの他端、３
３，３４……補助ベルト、３５，３６……補助ベ
ルトの一端。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 大腿部部分、下腿部部分および膝関節部部分
   を被覆する弾力性布からなる本体と、 本体表面の左右に大腿部部分上方から下腿部
   部分下方にわたり配置したステーと、 ステーを覆うように本体の大腿部部分と下腿
   部部分にそれぞれ設けたステーカバーと、 下腿部部分のいずれか一方のステーカバーの
   上方側に一端を取り付け脛骨粗面上を通るよう
   にして他端を他方のステーカバーの上方側に取
   り付けた金具と結合可能な非伸縮性または難伸
   縮性の下腿部部分前部ベルトと、 下腿部部分のステーカバーのいずれか一方に
   一端を取り付け下腿部部分の後方を通るように
   して他端を他方のステーカバーに取り付けた金
   具と結合可能な非伸縮性または難伸縮性の下腿
   部部分後部ベルトと、 大腿部部分のステーカバーのいずれか一方に
   一端を取り付け大腿部部分の後方を通るように
   して他端を他方のステーカバーに取り付けた金
   具と結合可能な非伸縮性または難伸縮性の大腿
   部部分後部ベルトと、 下腿部部分の左右ステーカバーの下方側にそ
   れぞれ一端を取り付け脛骨粗面上で互いに交差
   するように斜め上方に延び大腿部部分に至る伸
   縮性の２つの補助ベルトと を備えた膝関節用サポーター。 ２ 本体がネオプレンスポンジを芯材とし表面に
   伸縮性のフレンチパイル、内面に綿トリコツト
   を貼り合わせた比較的腰のある弾力性布からな
   り、本体の大腿部部分と下腿部部分の右側の側
   辺の内面に前記伸縮性のフレンチパイルと結合
   しうる面状フアスナを取り付け、かつこの右側
   の側辺を複数に分割した請求項１記載の膝関節
   用サポーター。 ３ 本体の大腿部部分と下腿部部分との境目にお
   いて左右両側辺に膝蓋骨部を包囲するように横
   Ｕ字型の切り込みを設けた請求項１記載の膝関
   節用サポーター。 ４ 本体の膝窩部部分を切り抜いた請求項１記載
   の膝関節用サポーター。