JPH03240957A - 潤滑性を有する硬質非晶質炭素―水素―珪素薄膜、表面に該薄膜を有する鉄系金属材料、およびその製造方法 - Google Patents

潤滑性を有する硬質非晶質炭素―水素―珪素薄膜、表面に該薄膜を有する鉄系金属材料、およびその製造方法

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JPH03240957A
JPH03240957A JP23776790A JP23776790A JPH03240957A JP H03240957 A JPH03240957 A JP H03240957A JP 23776790 A JP23776790 A JP 23776790A JP 23776790 A JP23776790 A JP 23776790A JP H03240957 A JPH03240957 A JP H03240957A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、潤滑性を有する硬質の非晶質薄膜、表面に硬
質低摩擦層を有する鉄系金属材料、およびその製造方法
に関し、さらに詳しくは、高硬度でかつ極めて低い摩擦
係数を有する非晶質炭素−水素−珪素薄膜、鉄系金属材
料の表面に潤滑性に優れた硬質非晶質炭素−水素−珪素
薄膜層を有する鉄系金属材料、およびその製造方法に関
するものである。
〔従来の技術およびその問題点〕
従来より、硬質薄膜の形成方法や鉄系金属材料の表面処
理方法として、溶融塩浸漬法、化学蒸着法(CVD) 
、物理蒸着法(PVD)などにより、炭化バナジウム(
VC)、炭化チタン(T i C)、および窒化チタン
(T i N)等の金属炭化物、金属窒化物等の硬質層
を工具、金型等の鉄系金属材料に被覆し、該材料表面層
の耐摩耗性、耐焼付性等を向上させる方法か実用化され
ている。しかしながら、これらの被覆層は、Hv200
0〜3000程度と硬質であるものの、被覆層自体に潤
滑性はなく摩擦係数かそれほど低くない(鋼を相手材と
し無潤滑で0.2〜0.8程度)ため、相手材との摩擦
において摺動抵抗が増加し、被覆層が摩耗し、また相手
材を損傷させる等の問題点を有していた。
また、潤滑性を有する薄膜として、炭化水素系のガスの
プラズマ分解等の方法により作製された非晶質状の炭素
膜が知られており、条件によっては0.01という非常
に低い摩擦係数を示すことから、摺動部材への適用が検
討されはじめている。
しかしなから、これらの非晶質炭素膜は構造的に不安定
であり、摺動雰囲気により容易に摩擦摩耗特性が変化し
、大気中では0.2程度まで摩擦係数が上昇してしまい
、また膜の硬度もHvl・000〜2000程度とそれ
ほど高くはない(Thin 5olid Films、
 Vol、143. (1986)、 P、31 )た
め、耐摩耗特性か必要とされる用途の硬質層としては適
用できないという問題かあった。
さらに、最近、ダイヤモンドライク炭素あるいはほぼダ
イヤモンドとい′うことかできる硬質炭素の被覆例が報
告されている。これらの炭素膜は、炭素原子の結合の程
度により硬度が変化することが知られており、最高では
は゛ぼHv 10000の値も報告され、硬質層として
は楓めて優れた材料である。しかし、該材料は超硬質で
あるため、摺動部材に用いた場合、該材料表面が平滑で
なければ相手材を損傷させてしまうという欠点を有して
いた。
しかしながら、現゛状の該材料の作製方法では、未だ平
滑かつ均一な薄膜を得ることか−jilであり、しかも
薄膜形成後の研磨による平滑化も困難であるので、該材
料を摺動部材として適用することが困難であるという問
題があった゛。
一方、非晶質状の炭化珪素膜□の作製についても報告さ
れており、硬質(Hv2000程度)かつ低摩擦係数(
0,1程度)であることが報告されているが、炭化珪素
の化学量論組成からはずれた膜ては、一般に硬度、摩擦
係数等の性質が低下してしまうことか報告されている(
Thin 5olid Films。
Vol、139. (1986)、 P、275、特開
昭60−184681号)。
また;モリブデン硫化物(M o S ’2)やグラフ
ァイトといっ−た固体潤滑剤を塗−布し、摺動特性を向
上させる方法も用いられており、条件によっては0.0
5以下の低い摩擦係数が得られる場合があるものの、塗
布層の脱落および軟質であるための損耗等゛に゛より一
1長時間の摺動に耐えることができないという問題があ
った。
さらに、前記炭素系膜および炭化珪素膜は、何れも鉄系
金属材料との密着性が悪いという問題を有していた。 
 ・ そこで、本発明者等は、上述の如き従来技術の問題点を
解決すべく鋭意研究し、各種・の系統的実験を重ねた結
果、本発明を成すに至ったものである。
〔第1発明の説明〕 発明の′目的 本発明の目的は、高硬度でかつ極めて低い摩擦係数を有
する硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜を提供するにある
・本発明者らは、上述の従来技術の問題に関し、以下の
ことに着眼した。
すなわち、先ず、硬質でかつ低摩擦の被膜を作製するに
際し、炭素系物質の被膜に着目した。これは、炭素系物
質の被膜かダイヤモンドであれば硬質であり、一方、グ
ラファイトであれば潤滑性を有し、また最近では非晶質
てあっても潤滑性を示すことか報告されていることによ
る。しかしながら、この炭素系物質の被膜を形成する場
合、炭素化合物ガスの低温プラズマ分解という簡単な方
法においては、炭素系物質のみては被膜化が十分ではな
く、また得られる炭素物質の硬度もHvlO00程度と
低い。そこで、この方法において、炭素のみては被膜化
しにくい条件のもとでも被膜化を促進し、かつ炭素の硬
質化を促進させるため、被膜中に珪素物質を含有するよ
うな系とすることに着眼した。また、被膜の摩擦係数の
値は、被膜中の炭素量およびその存在状態、ならびに含
有水素に影響されると考えられるため、炭素、水素と珪
素との組成制御および被膜中の炭素の存在状態に着目し
た。そして、非晶質炭素(ここでは擬似ダイヤモンド炭
素)の低摩擦性および擬似ダイヤモンド炭素と炭化珪素
の硬質性の両方の性質を兼ね備えた物質として、擬似ダ
イヤモンドを含む炭素を主成分とする非晶質炭素−水素
−珪素薄膜からなる硬質低摩擦表面層の構成に到達する
に至った。
第1発明の構成 本発明の潤滑性を有する硬質非晶質炭素−水素−珪素薄
膜は、炭素と水素を主成分とする非晶質薄膜であって、
該非晶質薄膜中の水素含有量か30〜50at%であり
、残りの組成が原子比で70%以上の炭素と、残部の主
成分か珪素質物質とからなり、かつ前記非晶質薄膜が擬
似ダイヤモンドを含んでなることを特徴とする。
第1発明の作用および効果 本第1発明の硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜は、高硬
度でかつ極めて低い摩擦係数を有する薄膜である。
本第1発明の硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜が上述の
如き効果を発揮するメカニズムについては、未だ必ずし
も明らかではないが、次のように考えられる。
すなわち、本第1発明において、炭素−水素−珪素薄膜
表面層中の非晶質炭素が硬質な擬似ダイヤモンドを主成
分とし、また該非晶質薄膜中の珪素と炭素とか硬質な炭
化珪素を形成しているため、高硬度の層となっていると
思われる。また、該擬似ダイヤモンドは0.1−0.2
程度の低い摩擦係数を示すことか知られている。さらに
、摩擦摩耗試験後に相手材の鋼の摺動部を分析したとこ
ろ、珪素の酸化物(Sing)が形成されていることを
確認した。S i O2の薄膜が気体の吸着等による所
謂コンタミネーション潤滑を示して比較的低い摩擦係数
(0,2程度)を示すことが知られていることを考え併
せると、互いに摩擦係数が低い擬似ダイヤモンドとSi
ngとの摺動となるために0.05以下の非常に低い摩
擦係数か達成されるものと考えられる。従って、本発明
の炭素−水素−珪素薄膜表面層は、高硬度でありかつ摩
擦係数か非常に低い薄膜を実現できたものと思われる。
〔第2発明の説明〕 以下に、前記第1発明を具体的にした第2発明を説明す
る。
本第2発明の硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜は、炭素
と水素を主成分とする非晶質薄膜からなり、該非晶質薄
膜中の水素含有量が30〜50at%であり、残りの組
成が原子比で70%以上の炭素と残部の主成分か珪素質
物質とからなり、かつ前記非晶質薄膜が擬似ダイヤモン
ドを含んでなり、高硬度でありかつ0.05以下の非常
に低い摩擦係数を有するという特徴を有する。
ここで、該非晶質薄膜中の水素を除いた組成の炭素含有
量を70at%以上としたのは、炭素含有量をこのよう
にすることにより膜中に十分な量の擬似ダイヤモンドを
含有させ摩擦係数が0.05以下の低摩擦層とすること
かできるからである。
なお、該層は、非晶質薄膜中の水素を除いた組成の炭素
含有量か50at%以上である場合、硬度が約Hv20
00以上の硬質層となるが、同炭素含有量60at%程
度までは0.4〜0.5程度の焼結体SiCと同程度の
高い摩擦係数を示す。そして、同炭素含有量か60at
%を超え該膜中の擬似ダイヤモンドの含有量が増加する
と急激に摩擦係数か減少する。
また、該非晶質薄膜は、該膜中の炭素含有量か75at
%〜90at%であることか好ましい。
これは、該炭素含有量か75at%以上である場合は、
摩擦係数が0.03程度の低摩擦層が得られるとともに
、該膜が摺動初期から極めて小さい摩擦係数を示すから
である。また、該炭素含有量が90at%を越える場合
、すなわち珪素含有量か10at%未溝の場合は、炭素
の硬質化、低摩擦化すなわちダイヤモンド化を促進する
効果が弱くなり摩擦係数が高くなる傾向を示すとともに
、前述したSiOxの形成量が減少し潤滑効果が得られ
にくくなるからである。
なお、水素含有量に関しては、燃焼法等により分析した
結果、30〜50at%の含有を確認した。0.05程
度の低い摩擦係数を示す本発明に係る硬質非晶質炭素−
水素−珪素薄膜を、600”C11時間の真空加熱によ
り水素を放出させた後に摩擦係数を調べたところ、0.
1程度まで上昇し、水素の含有も低摩擦化に寄与してい
ることを確認した。
また、前記非晶質薄膜は擬似ダイヤモンドを含んでなる
。すなわちこの擬似ダイヤモンドは、レーザーラマン分
光分析により、1550cm−’付近を中心とした幅広
のラマンバンドを示し、また1400cm−’付近を中
心としたサブバンドを示す構造的特徴を有する。
なお、該炭素−水素−珪素薄膜表面層の厚さは、0.5
μm〜10μm程度であることが望ましい。
これは、該表面層厚か0.5μm未満の場合は、該表面
層の性質が十分に発揮されず、また10μmを越えると
剥離等の不具合か生じるからである。
また、該表面層には、塩素(CIりなどの元素が、本発
明の効果を損なわない程度に混入していてもよい。また
、該非晶質薄膜の表面は非常に平滑であり、基材上に形
成させる場合には、基材の表面粗さをほとんど忠実に再
現した表面を有する薄膜か得られる。
本発明の硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜は、0.05
以下の非常に低い摩擦係数を示すことから、潤滑の不可
能な摺動部材の摺動部への適用に最適であり、また、高
硬度でもあることから従来の硬質被覆材が用いられてい
る工具、金型等の上記性質の付与という用途にも適して
いる。さらに、耐蝕性にも優れ反応性や濡れ性も低いの
で、該性質を必要とする用途に適用することもできる。
次に、本発明の潤滑性を有する硬質非晶質炭素−水素−
珪素薄膜の製造方法について、その具体的な一例を簡単
に説明すると以下のようである。
先ず、プラズマCVD法で用いる真空容器に被処理材を
配設し、プラズマCVD法により、珪素化合物ガスと炭
素化合物ガスを主体とした特殊薄膜形成ガス雰囲気中で
放電させることにより、被処理材表面に潤滑性を有する
硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜表面層を形成する。
この硬質低摩擦層形成工程では、先ず、真空容器内のテ
ーブル上に被処理材を配設し、該真空容器内に残存する
気体を除去する。ここでは、例えば、I X 10−’
Torr以下まで排気する。
次に、連続排気しながら水素(H2)ガスなどの昇温用
ガスを導入し、直流放電または高周波放電等により放電
を開始し、プラズマエネルギーにより被処理材を所定の
温度に加熱する。なお、この時の加熱温度は、膜質の良
好な表面層を得るためには、500°C程度まで昇温す
るとよい。これにより、表面層中の塩素(CIり等の膜
質低減物質の混入量を低下することができる。
次に、真空容器内に珪素化合物ガスと炭素化合物ガスを
主体とした特殊薄膜形成ガス雰囲気中で放電させ、被処
理材表面に被膜を成長させる。ここで用いる特殊薄膜形
成ガスは、雰囲気ガスと膜化原料ガスとしての反応ガス
とからなる。雰囲気ガスは、水素(H2)、アルゴン(
Ar)等の一般的に用いるガスを用いることができる。
反応ガスは、珪素化合物ガスと炭素化合物ガスとからな
る。
珪素化合物ガスとしては、四塩化珪素(SiCI!4)
、四フッ化珪素(SiF、)、トリクロルシリコン(S
 i HCI! 3)、テトラメチルシリコン(TMS
、S i  (CH=)4)などを用いる。また、炭素
化合物ガスとしては、メタン(CH,)、その他の炭化
水素ガス(C,H,)などを用いる。なお、この特殊薄
膜形成ガスの組成は、原料ガス、処理温度等により、適
宜決定され、また、全体の流量は真空容器の容積と排気
量とのバランスで決定される。
このうち、珪素化合物ガスとしてS iCl a 、炭
素化合物ガスとしてCH,を用いた場合の代表的なガス
組成としては、流量比で、Si(、Lが1に対し、CH
,か5〜50、H2が50〜500およびArか30〜
300からなるものが挙げられる。尚、炭素化合物ガス
としてアセチレン(C2H2)等の反応性の高い炭素化
合物ガスを用いる場合、および処理温度やプラズマエネ
ルギーが高く炭素化合物ガスの分解か促進される場合に
は、珪素化合物ガスに対する炭素化合物ガスの比率を小
さくすることができる。
また、本工程における真空容器の圧力は、1O−2〜1
0トールであることが好ましい。特に、放電か直流放電
による場合には、10−1〜10)−ルか、高周波放電
による場合には、1O−2〜lOトールがそれぞれ好ま
しい。これは、この圧力範囲外では放電か不安定となる
からである。
このようにして、高硬度でかつ極めて低い摩擦係数を有
する本発明の硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜を、容易
に形成することができる。
本発明の硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜が、このよう
な方法により上述の如き効果を発揮するメカニズムにつ
いては、未だ必ずしも明らかではないが、次のように考
えられる。すなわち、被処理材を、プラズマCVD法に
より、珪素化合物ガスと炭素化合物ガスを主体とした特
殊薄膜形成ガス雰囲気中で放電して被処理材表面に潤滑
性を有する硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜表面層を形
成する。この工程では、熱的非平衡状態での薄膜形成方
法であるプラズマCVD法を利用したので、低摩擦層と
しての非晶質状態の炭素−水素−珪素系薄膜表面層を低
温で容易に得ることかできる。
また、この工程では、炭素と珪素を同時に析出させるこ
とにより、炭素原子の結合状態を安定なグラファイト状
態でなく擬似ダイヤモンドにすることができる。これは
、珪素原子か4配位の結合状態のみ採るので、炭素原子
の結合状態も4配位(ダイヤモンド結合)になることが
促進されるためと考えられる。これより、被処理材表面
に、硬質かつ極めて低い摩擦係数を示す被覆層を容易に
被覆することかできるものと思われる。
次に、本発明の潤滑性を有する硬質非晶質炭素−水素−
珪素薄膜を製造するのに適した方法について、以下に説
明する。
すなわち、潤滑性を有する硬質非晶質炭素−水素−珪素
薄膜の好適な製造方法は、プラズマ反応室内に被処理材
を配設する工程と、該反応室内に残存する気体を排気す
る工程と、前記反応室内に昇温用ガスを導入するととも
に被処理材の表面を所定の蒸着温度に加熱する工程と、
前記反応室内を特殊薄膜形成ガス雰囲気とするとともに
、ガス噴射室から珪素化合物ガスと炭素化合物ガスとか
らなる膜化原料ガスを珪素化合物ガスと炭素化合物ガス
の流量比をl:5〜50とし、放電を行うことにより被
処理材の表面に硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜被膜を
均一に成長させる蒸着工程と、からなることを特徴とす
る。
〔第3発明の説明〕 本発明は、前記第1発明と主要部を−にする発明であり
、表面に硬質低摩擦層を有する鉄系金属材料に関する発
明である。
発明の目的 本発明の目的は、高硬度でかつ極めて低い摩擦係数を有
し、しかも基材との密着性に優れた硬質低摩擦層を表面
に有する鉄系金属材料を提供するにある。
本発明者らは、上述の従来技術の問題に関し、以下のこ
とに着眼した。
すなわち、先ず、硬質でかつ低摩擦の被膜を作製するに
際し、炭素系物質の被膜に着目した。これは、炭素系物
質の被膜かダイヤモンドであれば硬質であり、一方、グ
ラファイトであれば潤滑性を有し、また最近では非晶質
であっても潤滑性を示すことが報告されていることによ
る。しかしながら、この炭素系物質の被膜を形成する場
合、炭素化合物ガスの低温プラズマ分解という簡単な方
法においては、炭素系物質のみでは被膜化が十分ではな
く、また得られる炭素物質の硬度もHvlO00程度と
低い。そこで、この方法において、炭素のみては被膜化
しにくい条件のもとでも被膜化を促進し、かつ炭素の硬
質化を促進させるため、被膜中に珪素物質を含有するよ
うな系とすることに着眼した。また、被膜の摩擦係数の
値は、被膜中の炭素量およびその存在状態、ならびに含
有水素に影響されると考えられるため、炭素、水素と珪
素との組成制御および被膜中の炭素の存在状態に着目し
た。そして、非晶質炭素(ここでは擬似ダイヤモンド炭
素)の低摩擦性および擬似ダイヤモンド炭素と炭化珪素
の硬質性の両方の性質を兼ね備えた物質として、擬似ダ
イヤモンドを含む炭素を主成分とする非晶質炭素−水素
−珪素薄膜からなる硬質低摩擦表面層の構成に到達する
に至った。
さらに、鉄系金属材料と被膜との密着性に関して、鉄系
金属材料および被膜の両者に含まれる炭素に着目し、上
記構成の被膜の作製前に予め鉄あるいは他の金属の炭素
化合物を被覆し、被膜の密着性を向上させることを実現
するに至った。これは、炭素系物質および炭化珪素系物
質の被膜は、鉄系金属材料との反応性か高く、熱平衡状
態では接触して存在することかエネルギー的に不安定な
ために、鉄系金属材料と上記被膜が直接接触し密着性が
低下することを防ぐためである。
第3発明の構成 本発明の表面に硬質低摩擦層を有する鉄系金属材料は、
鉄または鉄合金材料からなる基材部と、該基材部の表面
に形成した金属炭素化合物層と、該金属炭素化合物層の
表面に形成された炭素を主成分とする非晶質薄膜であっ
て、該非晶質薄膜中の水素含有量か30〜50at%て
あり、残りの組成が原子比で70%以上の炭素と、残部
の主成分が珪素質物質とからなり、かつ前記非晶質薄膜
が擬似ダイヤモンドを含んでなる炭素−水素−珪素薄膜
表面層と、からなることを特徴とする。
第3発明の作用および効果 本第3発明の鉄系金属材料は、高硬度でかつ極めて低い
摩擦係数を有し、しかも基材との密着性に優れた硬質低
摩擦層を表面に有している。
本第3発明の鉄系金属材料が上述の如き効果を発揮する
メカニズムについては、未だ必ずしも明らかではないが
、次のように考えられる。
すなわち、本第3発明において、炭素−水素−珪素薄膜
表面層中の非晶質炭素が硬質な擬似ダイヤモンドを主成
分とし、また該非晶質薄膜中の珪素と炭素とが硬質な炭
化珪素を形成しているため、高硬度の層となっていると
思われる。また、擬似ダイヤモンドは0.1〜0.2程
度の低い摩擦係数を示すことが知られている。さらに、
摩擦摩耗試験後に相手材の鋼の摺動部を分析したところ
、珪素の酸化物(SiOz)が形成されていることを確
認した。SiO2の薄膜か気体の吸着等による所謂コン
タミネーション潤滑を示して比較的低い摩擦係数(0,
2程度)を示すことが知られていることを考え併せると
、互いに摩擦係数か低い擬似ダイヤモンドと5iOzと
の摺動となるために0.05以下の非常に低い摩擦係数
が達成されるものと考えられる。従って、本発明の炭素
−水素−珪素薄膜表面層は、高硬度でありかつ摩擦係数
が非常に低い薄膜を実現できたものと思われる。
また、反応性が高く熱平衡状態ではエネルギー的に共存
することが困難な基材部と炭素−水素−珪素薄膜表面層
を、その両者の構成元素である炭素を媒介とし、鉄ある
いは他の金属の炭素化合物を中間層として設け、直接接
触することを防いだ構造とし、しかも該中間層は基材部
および表面層の両者に対して密着性が良好なため、結果
的に基材部と表面層との密着性を向上させているものと
思われる。
〔第4発明の説明〕 以下に、前記第3発明を具体的にした第4発明を説明す
る。
本第4発明の表面に硬質低摩擦層を有する鉄系金属材料
において、基材部は、鉄または鉄合金材料からなる鉄系
金属材料であれば特に限定されるものではなく、炭素を
含むもの、例えば炭素鋼、合金鋼、鋳鉄、焼結合金等で
もよく、また純鉄のような炭素を極くわずかしか含まな
いものてもよい。
次に、金属炭素化合物層は、前記基材部としての鉄系金
属材料の表面に形成した鉄または他の金属の炭素化合物
からなる中間層である。該金属炭素化合物層は、基材部
と炭素−水素−珪素薄膜表面層を直接接触しない構造と
するとともに、その両者の構成元素である炭素を媒介と
して、基材部および表面層の両者に対して密着性を良好
にする金属炭素化合物からなる層である。従って、この
目的を実現する金属炭素化合物であれば、材料や、構造
、組成などを特に限定するものではない。なお、該金属
炭素化合物としては、例えば鉄のほかに、バナジウム(
V)、チタン(T i) 、クロム(Cr)、ニオブ(
Nb)、タングステン(W)、モリブデン(MO)、タ
ンタル(Ta)などの化合物が挙げられる。また、該金
属炭素化合物層の厚さは、基材部と炭素−水素−珪素薄
膜表面層か接触しなければよく、0.1−10μmの範
囲であればよい。ただし、鉄炭素化合物等それほど硬度
の高くない金属炭素化合物層の場合には、その中でも、
0.1−1μmの範囲である場合はより望ましい。なお
、該金属炭素化合物は、該中間層の効果を損なわない範
囲で窒素元素を含んでいてもよい。
次に、炭素−水素−珪素薄膜表面層は、前記金属炭素化
合物層の表面に形成された表面層であり、炭素と水素を
主成分とする非晶質薄膜からなり、該非晶質薄膜中の水
素含有量か30〜50at%であり、残りの組成が原子
比で70%以上の炭素と残部の主成分が珪素質物質とか
らなり、かつ前記非晶質薄膜が擬似ダイヤモンドを含ん
でなり、高硬度でありかつ0.05以下の非常に低い摩
擦係数を有するという特徴を有する。ここで、該非晶質
薄膜中の水素を除いた組成の炭素含有量を70at%以
上としたのは、炭素含有量をこのようにすることにより
膜中に十分な量の擬似ダイヤモンドを含有させ摩擦係数
か0.05以下の低摩擦層とすることができるからであ
る。なお、抜屑は、非晶質薄膜中の水素を除いた組成の
炭素含有量が50at%以上である場合、硬度か約Hv
2000以上の硬質層となるか、同炭素含有量60at
%程度までは0.4〜0.5程度の焼結体SiCと同程
度の高い摩擦係数を示す。そして、同炭素含有量か60
at%を超え該膜中の擬似ダイヤモンドの含有量が増加
すると急激に摩擦係数が減少する。
また、該非晶質薄膜は、該膜中の炭素含有量が75at
%〜90at%であることが好ましい。
これは、該炭素含有量が75at%以上である場合は、
摩擦係数か0.03程度の低摩擦層か得られるとともに
、該層が摺動初期から稲めて小さい摩擦係数を示すから
である。また、該炭素含有量が90at%を越える場合
、すなわち珪素含有量か10at%未満の場合は、炭素
の硬質化、低摩擦化すなわちダイヤモンド化を促進する
効果が弱くなり摩擦係数が高くなる傾向を示すとともに
とともに、前述したSiO2の形成量が減少し潤滑効果
が得られにくくなるからである。
なお、水素含有量に関しては、燃焼法等により分析した
結果、30〜50at%の含有を確認した。0.05程
度の低い摩擦係数を示す本発明に係る硬質非晶質炭素−
水素−珪素薄膜を、600°C11時間の真空加熱によ
り水素を放出させた後に摩擦係数を調べたところ、0.
1程度まで上昇し、水素の含有も低摩擦化に寄与してい
ることを確認した。
また、前記非晶質薄膜は擬似ダイヤモンドを含んでなる
。すなわちこの擬似ダイヤモンドは、レーザーラマン分
光分析により、1550an−’付近を中心とした幅広
のラマンバンドを示し、また1400an−’付近を中
心としたサブバンドを示す構造的特徴を有する。
なお、該炭素−水素−珪素薄膜表面層の厚さは、0.5
μm−10μm程度であることが望ましい。
これは、該表面層厚か0.5μm未満の場合は、該表面
層の性質が十分に発揮されず、また10μmを越えると
剥離等の不具合か生じるからである。
また、該表面層には、塩素(Cj’)などの元素か、本
発明の効果を損なわない程度に混入していてもよい。
また、該非晶質薄膜の表面は非常に平滑であり、基材上
に形成させる場合には、基材の表面粗さをほとんど忠実
に再現した表面層を有する薄膜か得られる。
上記表面に硬質低摩擦層を有する鉄系金属材料は、0.
05以下の非常に低い摩擦係数を示すことから、潤滑の
不可能な摺動部材への適用に最適であり、また、高硬度
でもあることから従来の硬質被覆材が用いられている工
具、金型等の用途にも適している。さらに、本発明にか
かる鉄系金属材料は耐蝕性にも優れ反応性や濡れ性も低
いので、該性質を必要とする用途にも好適である。
〔第5発明の説明〕 本第5発明は、前記第3発明または第4発明の表面に硬
質低摩擦層を有する鉄系金属材料を製造するに好適な方
法である。
第5発明の目的 本発明の目的は、高硬度でかつ極めて低い摩擦係数を有
し、しかも基材との密着性に優れた硬質低摩擦層を表面
に有する鉄系金属材料の製造方法を提供するにある。
また、本発明の目的は、高硬度でかつ極めて低い摩擦係
数を有し、しかも基材との密着性に優れた硬質低摩擦層
を容易に形成することができる方法を提供するにある。
第5発明の構成 本発明の表面に硬質低摩擦層を有する鉄系金属材料の製
造方法は、鉄または鉄合金材料からなる被処理材の表面
に金属炭素化合物層を形成する工程と、該金属炭素化合
物層を形成した被処理材を。
プラズマCVD法により、珪素化合物ガスと炭素化合物
ガスを主体とした特殊薄膜形成ガス雰囲気中で放電させ
ることにより被処理材表面に潤滑性を有する硬質非晶質
炭素−水素−珪素薄膜表面層を形成する硬質低摩擦層形
成工程と、からなることを特徴とする。
第5発明の作用および効果 本第5発明の表面に硬質低摩擦層を有する鉄系金属材料
の製造方法により、高硬度でかつ極めて低い摩擦係数を
有し、しかも基材との密着性に優れた硬質低摩擦層を容
易に形成することができる。
本第5発明の鉄系金属材料の製造方法が上述の如き効果
を発揮するメカニズムについては、未だ必ずしも明らか
ではないが、次のように考えられる。
本発明の表面に硬質低摩擦層を有する鉄系金属材料の製
造方法は、先ず、鉄または鉄合金材料からなる被処理材
の表面に金属炭素化合物層を形成する。これにより、熱
平衡状態ではエネルギー的に共存することが困難な被処
理材と炭素−水素−珪素薄膜表面層の中間部に、その両
者の構成元素である炭素を媒介として被処理材および表
面層の両者に対して密着性の良好な中間層を形成するこ
とができる。
次いて、該金属炭素化合物層を形成した被処理材を、プ
ラズマCVD法により、珪素化合物ガスと炭素化合物ガ
スを主体とした特殊薄膜形成ガス雰囲気中で放電させる
ことにより被処理材表面に潤滑性を有する硬質非晶質炭
素−水素−珪素薄膜表面層を形成する。この工程では、
熱的非平衡状態での薄膜形成方法であるプラズマCVD
法を利用したので、低摩擦層としての非晶質状態の炭素
−水素−珪素系薄膜表面層を低温で容易に得ることがで
きる。また、この工程では、炭素と珪素を同時に析出さ
せることにより、炭素原子の結合状態を安定なグラファ
イト状態ではなく擬似ダイヤモンドにすることができる
。これは、珪素原子が4配位の結合状態のみ採るので、
炭素原子の結合状態も4配位(ダイヤモンド結合)にな
ることが促進されるためと考えられる。これより、被処
理材の鉄炭素化合物層形成面に、硬質かつ極めて低い摩
擦係数を示す被覆層を、鉄系金属材料に密着性よく、し
かも容易に被覆することができるものと思われる。
〔第6発明の説明〕 以下に、前記第5発明を具体的にした第6発明を説明す
る。
本第6発明の表面に硬質低摩擦層を有する鉄系金属材料
の製造方法において、先ず、鉄または鉄合金材料からな
る被処理材の表面に金属炭素化合物層を形成する(金属
炭素化合物層形成工程)。
この金属炭素化合物層形成工程は、被処理材と炭素−水
素−珪素薄膜表面層の中間層として、該両層と密着性に
優れた金属炭素化合物層を形成する工程である。この密
着性を向上させる金属炭素化合物層の形成方法としては
、特に限定するものではないか、低温プラズマ浸炭法や
、金属炭素化合物被覆法などか挙げられる。
このうち、低温プラズマ浸炭法は、次工程である硬質低
摩擦層形成工程に先立ち同一のプラズマ反応室内で処理
できるのか特徴である。また、900°C程度で主に炭
素の拡散層を形成することを目的として行われる通常の
プラズマ浸炭法に比べ、低温(約550°C程度)で処
理するので、炭素は拡散しにくく薄い鉄炭素化合物層か
形成されるのか特徴である。なお、このような低温プラ
ズマ浸炭法により形成される薄い鉄炭素化合物は、それ
自体では特に実用性かないため通常は用いられない。こ
の具体的方法としては、炭素化合物ガスを含む雰囲気中
で直流または高周波でプラズマを発生させることにより
、被処理材料表面上に薄い鉄炭素化合物層を形成させる
。なお、低温プラズマ浸炭法を用いれば、被処理材の鉄
と炭素が結合し鉄炭素化合物層を形成するため、化合物
形成用の金属を他に供給する必要がなく、炭素の供給だ
けで密着性を向上させる中間層を形成することができる
また、金属炭素化合物被覆法は、溶融塩浸漬法や化学蒸
着法(CVD) 、物理蒸着法(PVD)、およびプラ
ズマCVD法などにより、鉄系金属材料の表面に鉄また
はその他の金属の炭素化合物層を被覆する。なお、プラ
ズマCVD法の場合は、次工程である硬質低摩擦層形成
工程に先立ち同一のプラズマ反応室内で処理できる。な
お、PVD法およびプラズマCVD法による場合は低温
て処理か可能である。従って、この場合は次工程である
硬質低摩擦層形成工程(炭素−水素−珪素薄膜被覆工程
)か低温であるため、その前処理としての本工程も低温
で実施できるので有利である。
次に、前記金属炭素化合物層を形成した被処理材を、プ
ラズマCVD法により、珪素化合物ガスと炭素化合物ガ
スを主体とした特殊薄膜形成ガス雰囲気中で放電させる
ことにより被処理材表面に潤滑性を有する硬質非晶質炭
素−水素−珪素薄膜表面層を形成する(硬質低摩擦層形
成工程)。
この硬質低摩擦層形成工程では、先ず、真空容器内のテ
ーブル上に被処理材を配設し、該真空容器内に残存する
気体を除去する。ここでは、例えば、I X 10−’
Torr以下まで排気する。
次に、連続排気しながら水素(H2)ガスなどの昇温用
ガスを導入し、直流放電または高周波放電等により放電
を開始し、プラズマエネルギーにより被処理材を所定の
温度に加熱する。なお、この時の加熱温度は、膜質の良
好な表面層を得るためには、鋼の高温焼戻により軟化が
始まる限界の温度まで昇温するとよい。これにより、表
面層中の塩素(C1)等の膜質低減物質の混入量を低減
することかできる。
次に、真空容器内に珪素化合物ガスと炭素化合物ガスを
主体とした特殊薄膜形成ガス雰囲気中で放電させ、被処
理材表面に被膜を成長させる。ここで用いる特殊薄膜形
成ガスは、雰囲気ガスと膜化原料ガスとしての反応ガス
とからなる。雰囲気ガスは、水素(H2)、アルゴン(
Ar)等の一般的に用いるガスを用いることができる。
反応ガスは、珪素化合物ガスと炭素化合物ガスとからな
る。
珪素化合物ガスとしては、四塩化珪素(S i CI!
 4)、四フッ化珪素(SiF、)、トリクロルシリコ
ン(SiHCA’s)、テトラメチルシリコン(TMS
S t  (CHI)4 )などを用いる。また、炭素
化合物ガスとしては、メタン(CH4)、その他の炭化
水素ガス(C,Hゎ)などを用いる。
なお、この特殊薄膜形成ガスの組成は、原料ガス、処理
温度等により、適宜決定され、また、全体の流量は真空
容器の容積と排気量とのバランスで決定される。このう
ち、珪素化合物ガスとして5iCi!4、炭素化合物ガ
スとしてCH4を用いた場合の代表的なガス組成として
は、流量比で、S i Cl 4か1に対し、CH,か
5〜50.H2か50〜500およびArか30〜30
0からなるものが挙げられる。なお、炭素化合物ガスと
してアセチレン(C2H2)等の反応性の高い炭素化合
物ガスを用いる場合、および処理温度やプラズマエネル
ギーか高く炭素化合物ガスの分解が促進される場合には
、珪素化合物ガスに対する炭素化合物ガスの比率を小さ
くすることができる。
また、本工程における真空容器の圧力は、lo−2〜1
0トールであることが好ましい。特に、放電か直流放電
による場合には、10−1〜10)−ルが、高周波放電
による場合には、10−”〜10トールがそれぞれ好ま
しい。これは、この圧力範囲外では放電が不安定となる
からである。
この硬質低摩擦層形成工程において、前記非晶質処理材
表面に潤滑性を有する硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜
表面層の好適な形成方法は、プラズマ反応室内に被処理
材を配設する工程と、該反応室内に残存する気体を排気
する工程と、前記反応室内に昇温用ガスを導入するとと
もに被処理材の表面を所定の蒸着温度に加熱する工程と
、前記反応室内を特殊薄膜形成ガス雰囲気とするととも
に、ガス噴射室から珪素化合物ガスと炭素化合物ガスと
からなる膜化原料ガスを珪素化合物ガスと炭素化合物ガ
スの流量比を1:5〜50とし、放電を行うことにより
被処理材の表面に硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜被膜
を均一に成長させる蒸着工程と、からなることを特徴と
する。
〔実施例〕
以下、本発明の詳細な説明する。
実施例1 被処理材として高速度鋼材を用い、プラズマ化学蒸着処
理して該被処理材表面に非晶質炭素−水素−珪素薄膜を
形成し、数層の性能評価試験を行った。なお、この処理
において用いたプラズマ化学蒸着処理装置を、第1図に
示す。
先ず、ステンレス製のプラズマ反応室・11の中央に設
けた基台12の上に、被処理材13として外径20mm
X厚さ10mmの高速度鋼(JIS SKH5I:試料
番号l)を、基台12の中心から60mmの間隔を置い
て5つ配置した。なお、基台12の支持柱14の内部に
は冷却水を送る冷却水管(図示せず)が取りつけられて
いる。
次に、プラズマ反応室11を密閉したのち、ガス導出管
15に接続された真空ポンプのロータリーポンプ(図示
せず)および拡散ポンプ(図示せず)により残留ガスが
lXl0−’)−ルになるまで減圧した。なお、ガス導
入管16は、コントロールバルブを介して各種ガスボン
ベ(共に図示せず)に連結している。
次に、lXl0−’)−ルまで減圧した炉内に昇温用ガ
スとして水素ガスを導入し、同時に真空引きしながら反
応室11の圧力をlトールに保つように調整した。そし
て、反応室11の内側に設けたステンレス製陽極板17
と陰極(基台)12の間に数百ボルトの直流電圧を印加
して放電を開始し、被処理材表面か550°Cになるま
でイオン衝撃による昇温を行った。ここで、直流電源回
路は、陽極17と陰極12により構威し、内部の被処理
材の温度を測定する二色温度計(図示せず)からの入力
により電源制御され、被処理材の温度を一定に保つ働き
をする。
次に、反応室11内に、四塩化珪素(SiCI!4)ガ
スと、メタン(CH,)ガス、水素(H2)ガスおよび
アルゴン(Ar)ガスを、それぞれ流量3.50.10
001および700 cc/minで導入して全圧力4
トールの特殊薄膜形成雰囲気とし、被処理材の温度を5
50℃に保ちながら1時間の直流放電を持続させること
によ・り化学蒸着処理を行った。
化学蒸着処理の後、放電を止め、被処理材を減圧下(〜
101トール)で冷却し、被処理材を反応室11より取
り出したところ、該被処理材の表面には黒色の層が形成
されていた。
この被処理材表面の黒色層について、X線回折法による
物質同定試験を行った結果、被処理材からの回折線の他
に回折線か認められず、アモルファス状態であることか
分かった。また、EPMA分析により、水素を除く組成
で炭素含有量か77at%と測定され、残部か珪素を主
成分としその他塩素等を微量含むことかわかった。さら
に、レーザーラマン分光分析を行った。その結果を、第
2図に示す。同図中、「1」か本実施例の結果を示す。
第2図に示すように、レーザーラマン分光により、14
00cm−’付近を中心としたサブバンドを持つ155
0cm−’付近を中心とした幅広のラマンバンドを示す
擬似ダイヤモンド(ダイヤモンドライクカーボン)か得
られており、被覆層中のCはダイヤモンドライク成分か
主体であることか分った。
また、被処理材の被覆層の層厚さ、表面硬度の測定試験
、および摩擦摩耗試験を行った。なお、層厚さの測定は
断面光学顕微鏡観察法で行い、表面硬度測定はマイクロ
ビッカース硬度計を用い、層表面から荷重10gfで測
定した。摩擦摩耗試験はボールオンディスク試験法を用
い、φ6mmのJIS SUJ 2焼入焼戻材ボール(
Hv約800)を相手材とし、荷重640gf:摺動速
度0.2m/Sで50分間行った。その結果を、第1表
に示す。
比較例1 比較のために、Si CA’ 4ガスの代わりにTiC
l4ガスを用いた以外は、前記実施例1と同様の条件お
よび方法によりプラズマ化学蒸着処理を行った。その結
果、被処理材の表面には、鼠色の層が形成されていた。
この鼠色の層について、X線回折法による物質同定試験
、EPMA試験、X線光電子分光、およびレーザーラマ
ン分光を行った結果、水素を除く組成で炭素含有量80
at%て残部の主成分かチタンからなる非晶質炭素と結
晶質炭化チタンの混合物であり、また該非晶質炭素はグ
ラファイトライクCか主成分であることか分かった。さ
らに、レーザーラマン分光分析を行った。なお、レーザ
ーラマン分光分析を行った結果を、第2図に併せて示す
。同図中、「C1」が試料番号CIの結果を示す。第2
図に示すように、レーザーラマン分光により、1360
cm−’および1590cm−’付近に現れる幅広のバ
ンドは、結晶性のくずれたグラファイト(すなわちグラ
ファイトライクC)によるものである。また、この被覆
層の層厚さ、表面硬度、および摩擦摩耗試験を上記と同
様に行った。その結果を、第1表に併せて示す。
第1表 注1)初期は0゜2程度、数分で層が摩耗して消失した
注2)相手材か凝着した。
第1表より明らかのごとく、本実施例1の場合、Hv2
500という通常の炭化物、窒化物と同等の硬度を有し
ながら、0.03という非常に低い摩擦係数を示してい
ることか分る。
これに対し、比較例1(試料番号C1)では、チタンを
含有させても炭化チタンを形成するのに必要な量を超え
る炭素が硬質化しないために層の硬度が低く、摩耗によ
り容易に層が消失し、摩擦係数が増加するとともに相手
材の凝着が発生した。
ここで、比較例1の層かHv500と軟質であるのは、
第2図に示したように、含有炭素かグラファイトライク
であるからであり、また、初期の摩擦係数の値0.2も
一般に知られているグラファイトライクの摩擦係数の値
に一致するものである。
すなわち、非晶質炭素を含む被覆層では、該炭素の存在
状態が層の硬度や摩擦特性を決定づけていると言うこと
ができる。
実施例2 特殊薄膜形成雰囲気中のS L Cf tガスおよびC
H,ガスの流量を、それぞれ5 cc/min、80c
c/minとした以外は、前記実施例1と同様の方法で
化学蒸着処理を行ったところ、被処理材の表面に黒色の
層か形成されていた(試料番号2)。この被処理材表面
の黒色層について、実施例1と同様にX線回折法による
物質同定試験を行った結果、被処理材からの回折線の他
に回折線か認められず、アモルファス状態であることが
分かった。また、EPMA分析により、水素を除く組成
で炭素含有量か約80at%と測定され、残部か珪素を
主成分としその他塩素等を微量含むことか分かった。
さらに、レーザーラマン分光により、被覆層中の炭素は
ダイヤモンドライクCか主成分であることか分った。そ
の結果を、第3図に示す。同図中、「2」か本実施例の
結果を示す。また、この被処理材の被覆層の層厚さ、お
よび表面硬度の測定試験、および摩擦摩耗試験を実施例
1と同様に行った。その結果を、第2表に示す。
実施例3 被処理材として冷間ダイス鋼材を用い、プラズマ化学蒸
着処理して該被処理材表面に非晶質炭素−珪素薄膜を形
成し、数層の性能評価試験を行った。
第2表 注3)相手材か凝着した。
先ず、被処理材として冷間ダイス鋼(JIS 5KD1
1:試料番号3)を用い、珪素化合物ガスとしてトリク
ロルシリコン(SiHCl2)、炭素化合物ガスとして
アセチレン(C2H2)を用い、それぞれ流量を7 c
c/minおよびl OOcc/min、プラズマ化学
蒸着処理の温度を500°C、プラズマ化学蒸着処理時
間を0.5時間とした以外は、前記実施例2と同様の条
件および方法により、プラズマ化学蒸着処理を行った。
その結果、被処理材の表面には黒色の層が形成されてい
た。
この被処理材表面の黒色層について、X線回折法による
物質同定試験を行った結果、被処理材からの回折線の他
に回折線が認められず、アモルファス状態であることが
分かった。また、EPMA分析により、水素を除く組成
で炭素含有量が85at%であり、残部が珪素を主成分
としその他塩素等を微量含むことがわかった。さらに、
レーザーラマン分光により、被覆層中のCはダイヤモン
ドライク成分を含んでいることが分った。その結果を、
第3図に併せて示す。同図中、「3」が本実施例の結果
を示す。また、この被処理材の被覆層の層厚さ、および
表面硬度の測定試験、および摩擦摩耗試験を実施例1と
同様に行った。その結果を、第2表に併せて示す。
比較例2〜7 比較のために、化学蒸着処理時のメタンガスの流量を3
0 cc/min、および40 cc/minとした場
合(比較例2および3:試料番号C2およびC3)につ
いて、それ以外の条件は上述の本実施例2と同様の条件
および方法により、プラズマ化学蒸着処理を行った。そ
の結果、被処理材の表面には茶色の層(試料番号C2)
およびこげ茶色の層(試料番号C3)が形成されていた
。これらの層について、X線回折法による物質同定試験
、EPMA分析、赤外分光、およびレーザーラマン分光
を行った結果、それぞれ水素を除く組成で炭素含有量6
0at%および68at%の非晶質炭化珪素を主成分と
する層であることが確認された。しかし、試料番号C3
の層では、レーザーラマン分光により若干のダイヤモン
ドライクの炭素が形成されていることが確認された。レ
ーザラマン分光の結果を、第3図に併せて示す。なお、
同図中、rC2」が試料番号C2の結果を、「C3」が
試料番号C3の結果を、それぞれ示す。また、これらの
被覆層の層厚さ、表面硬度および摩擦摩耗試験を上記と
同様に行った。その結果を、第2表に併せて示す。
また、化学蒸着処理時のメタンガスの流量を増加させ、
150 cc/minとした場合(試料番号C4)につ
いて、それ以外の条件は上述の実施例2と同様の条件お
よび方法により、プラズマ化学蒸着処理を行った。その
結果、被処理材表面にはややくすんだ黒色の層か形成さ
れていた。この黒色層について、上記と同様に性能評価
試験を各種分析により行った結果、水素を除く組成で炭
素含有量92at%であり、残部か珪素を主成分とし、
その他塩素等を微量含むことか分かった。しかし、レー
サーラマン分光の結果、被覆層中の炭素はグラファイト
ライク成分を含んでいることか分かった。その結果を、
第3図に併せて示す。また、上記と同様に層厚さ、表面
硬度および摩擦摩耗試験結果を行った結果を、第2表に
併せて示す。
さらに、イオンブレーティング法によるダイヤモンドラ
イク炭素被覆(比較例5.試料番号C5)、プラズマC
VD法による窒化チタン被覆(比較例6:試料番号C6
)、および未処理材(比較例7、試料番号C7)につい
ても、比較試験として上記と同様に被覆層の層厚さ、表
面硬度および摩擦摩耗試験を行った。その結果を、第2
表に併せて示す。
第2表より明らかのごとく、本実施例2および実施例3
の場合、Hv2000〜2300という通常の炭化物、
窒化物と同等程度の硬度を有しながら、0.03〜0.
04という非常に低い摩擦係数を示し、摩耗深さも浅い
ことか分る。
これに対し、比較例2(試料番号C2)では、硬度は実
施例2および実施例3と同等であるが、含有炭素量か低
くダイヤモンドライク成分をはとんと含まない非晶質炭
化珪素であるために摩擦係数か高く、それに伴い摩耗深
さも増加した。この0.43という摩擦係数は、焼結体
のSiCセラミックスと同等の高い値である。また、比
較例3(試料番号C3)では、含有炭素量の増加により
過剰炭素かダイヤモンドライクの炭素として生成しはじ
めるため摩擦係数か急激に減少する。しかし、その含有
量がまだ十分ではないため、0.09の摩擦係数を示し
、層の摩耗深さも0.4μmと実施例に比べ大きい値を
示した。さらに、比較例4(試料番号C4)では、水素
を除く組成で92at%の多量の炭素を含んでいるが、
第3図に示したラマン分光の結果から、炭素は主にグラ
ファイトライクで存在しているものと判断されている。
しかし、レーサーラマン分光においては、グラファイト
の感度(ラマン散乱効率)かダイヤモンドに比ベロ0倍
も高いことから、比較例4の層においてもダイヤモンド
ライクの炭素がある程度存在している可能性がある。こ
れは、第2表からも明らかのように、層の硬度が比較的
高く、摩擦特性の前記実施例よりは劣るものの比較的良
好なのは、ダイヤモンドライクの炭素をある程度含んで
いるためと考えられる。また、比較例5(試料番号C5
)のダイヤモンドライク炭素被覆では、Hv5000と
いう高硬度を示すものの、摩擦係数は0゜15と高く、
更に相手材の摩耗量か実施例2および3に比べ一桁大き
かった。また、比較例6(試料番号C6)の窒化チタン
被覆の場合は、比較例7(試料番号C7)の未処理材に
比較すれば摩擦係数は小さいか、本実施例2および3に
比較すれば摩擦係数で約15倍、摩耗深さで約7倍と非
常に大きな値であった。
このように、本実施例2および実施例3により得られた
表面層は、現在用いられている被覆材に比へ、非常に良
好な耐摩耗性を示すことか分る。
なお、上記実施例1〜3を比較すると、摩擦係数が0.
03〜0.04と異なっているが、この30%の値の変
化は、そのまま摩擦力の変化に対応するため、同一の摩
擦摩耗形態である限り摺動部材の摩擦や損傷に対して敏
感に影響を与える。すなわち、例えば第1表および第2
表に示したように、被覆層の摩耗深さが変化しており、
また相手材の摩耗量も摩擦係数の少しの変化が敏感に対
応するので、できる限り低い値の摩擦係数を示す非晶質
薄膜であることか好ましい。従って、前記実施例1〜3
の摩擦係数0.03〜0.04を有する非晶質薄膜は、
比較例C5〜C7の0.15〜0.92は言うに及ばず
、比較例C3の0.09に比較しても概めて低い摩擦係
数を有するという顕著な効果を奏するものである。さら
に、実施例1および2の摩擦係数0.03を有する非晶
質薄膜は、極めて優れた耐摩耗性を有するものである。
なお、第4図に、前記実施例1〜3および比較例2〜5
により得られた薄膜の摩擦係数と該薄膜層中の水素を除
く組成での炭素含有量との関係を示す。なお、同時に、
前記実施例1と同様にし、四塩化珪素(SiCf4)ガ
ス、メタン(CH,)ガス、水素(H2)ガスおよびア
ルゴン(Ar)ガスの流量を変えて得た薄膜について、
同様に該薄膜の摩擦係数と該薄膜層中の水素を除く組成
での炭素含有量との関係を併せて示す。なお、この場合
、炭素含有量の値は、試料3点の平均とした。
実施例4 珪素化合物ガスとして、テトラメチルシリコン[Si 
(CH3)41を用いた以外は、前記実施例1と同様の
方法および条件により化学蒸着処理を行ったところ、被
処理材の表面に黒色の層か形成されていた(試料番号4
)。この黒色層について、実施例1と同様の性能評価試
験を行った結果、水素を除く組成て83at%の炭素を
含有する珪素を含むダイヤモンドライクCであり、塩素
は含有していないことか分かった。さらに、同時に化学
蒸着処理を行った被覆材について燃焼法により水素含有
量を測定したところ、約40at%であることか分かっ
た。第5図に、レーザーラマン分光の結果を、また第3
表に前記と同様の各種性能評価試験結果をそれぞれ示す
。なお第5図中、「4」が本実施例の結果を示す。
比較例8 前記実施例4と同様にして得た非晶質薄膜を、l x 
l O−’ Torr程度の真空中で600°C,1時
間の加熱を行い含有水素を放出させて比較用薄膜を作製
した(試料番号C8)。この比較用試料について、実施
例1と同様に性能評価試験を行った。
第5図に、レーザーラマン分光の結果を、また第3表に
前記と同様の各種性能評価試験結果をそれぞれ示す。な
お第5図中、「C8」が試料番号C8の結果を示す。
第3表 第5図より明らかのごとく、炭素の状態は、水素の放出
によりやや変化しているが、ダイヤモンドライクCに近
い状態を保っている。しかし、第3表より明らかのよう
に、摩擦係数の値は0.11まで上昇し、摩耗深さも増
大している。すなわち、珪素を含有するダイヤモンドラ
イクCの構成のみでは0.05以下の低い摩擦係数を実
現することが困難であり、水素の含有によってはじめて
0.05以下の低い摩擦係数を達成することができると
考えられる。
実施例5 被処理材として高速度鋼材および冷間ダイス鋼材を用い
、プラズマ浸炭処理およびプラズマ化学蒸着処理して該
被処理材表面に鉄炭素化合物層、および非晶質炭素−水
素−珪素薄膜を形成し、数層の性能評価試験を行った。
なお、この処理において用いたプラズマ化学蒸着処理装
置を、第1図に示す。
先ず、ステンレス製のプラズマ反応室11の中央に設け
た基台12の上に、被処理材13として外径20mmX
厚さ10mmの高速度鋼(JIS SKH51:試料番
号5)を、基台12の中心から60mmの間隔を置いて
5つ配置した。なお、基台12の支持柱14の内部には
冷却水を送る冷却水管(図示せず)が取りつけられてい
る。
次に、プラズマ反応室11を密閉したのち、ガス導出管
15に接続された真空ポンプのロータリーポンプ(図示
せず)および拡散ポンプ(図示せず)により残留ガスが
lXl0−’)−ルになるまて減圧した。なお、ガス導
入管16は、コントロールバルブを介して各種ガスボン
ベ(共に図示せず)に連結している。
次に、lXl0−4h−ルまて減圧した炉内に昇温用ガ
スとして水素ガスを導入し、同時に真空引きしなから反
応室11の圧力をlトールに保つように調整した。そし
て、反応室11の内側に設けたステンレス製陽極板17
と陰極(基台)12の間に数百ポルトの直流電圧を印加
して放電を開始し、被処理材表面か550″Cになるま
てイオン衝撃による昇温を行った。ここで、直流電源回
路は、陽概17と陰ff112により構成し、内部の被
処理材の温度を測定する二色温度計(図示せず)からの
入力により電源制御され、被処理材の温度を一定に保つ
働きをする。
次に1.プラズマ浸炭用ガスとしてメタン(CH4)ガ
スを水素(H2)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスとと
もに、流量をそれぞれ50.750、および500 c
c/min導入し、全圧力を4トールとし、被処理材の
温度を550°Cに保ちなから6時間直流放電を持続さ
せることによりプラズマ浸炭処理を行った。
次に、放電を持続させたままで、四塩化珪素(SjCA
4)ガスを3 cc/min導入して全圧力を4トール
の特殊薄膜形成雰囲気とし、被処理材の温度を550°
Cに保ちなから1時間の直流放電を持続させることによ
り化学蒸着処理を行った。
化学蒸着処理の後、放電を止め、被処理材を減圧下(〜
10−’トール)て冷却し、被処理材を反応室11より
取り出したところ、該被処理材の表面には黒色の層か形
成されていた。
また、被処理材として冷間ダイス鋼(JIS 5KD1
1:試料番号6)を用い、珪素化合物ガスとしてトリク
ロルシリコン(SiHCffi3)、炭素化合物ガスと
してアセチレン(C2H2)を用い、それぞれ流量を5
 cc/minおよび40 cc/min、プラズマ浸
炭処理およびプラズマ化学蒸着処理の温度を500°C
、プラズマ化学蒸着処理時間を0.5時間とした以外は
、上述と同様の条件および方法により、プラズマ浸炭処
理およびプラズマ化学蒸着処理を行った。その結果、被
処理材の表面には黒色の層か形成されていた。
これら被処理材表面の黒色層について、X線回折法によ
る物質同定試験を行った結果、何れも被処理材からの回
折線の他に回折線が認められず、アモルファス状態であ
ることか分かった。また、EPMA分析により、水素を
除く組成で試料番号5の炭素含有量が79at%、試料
番号6の炭素含有量が72at%であり、何れも残部が
珪素を主成分としその他塩素等を微量含むことがわかっ
た。さらに、レーザーラマン分光分析により、何れの試
料においても1400an−’付近を中心としたサブバ
ンドを持つ1550an−’付近を中心とした幅広のラ
マンバンドを示す擬似ダイヤモンド(ダイヤモンドライ
クカーボン)が得られているおり、被覆層中のCはダイ
ヤモンドライク成分が主体であることが分った。なお、
オージェ電子分光(AES)分析法による深さ方向元素
分析により、中間層として鉄炭素化合物層が0.2μm
形成されていることが分かった。
また、これら被処理材の被覆層の層厚さ、表面硬度、お
よび摩擦摩耗試験を行った。なお、層厚さの測定は断面
光学顕微鏡観察法で行い、表面硬度測定はマイクロビッ
カース硬度計を用い、層表面から荷重10gfで測定し
た。摩擦摩耗試験はボールオンディスク試験法を用い、
φ6mmのJISSUJ 2焼入焼戻材ボール(Hv約
800)を相手材とし、荷重640gf:摺動速度0.
2m/sで50分間行った。その結果を、第4表に示す
比較のために、化学蒸着処理時のメタンガスの流量を2
0 cc/minとした場合(試料番号C9)について
、それ以外の条件は上述の本実施例と同様の条件および
方法により、プラズマ浸炭処理およびプラズマ化学蒸着
処理を行った。その結果、被処理材の表面には茶色の層
が形成されていた。この茶色層について、X線回折法に
よる物質同定試験、EPMA分析、赤外分光、およびレ
ーザーラマン分光を行った結果、水素を除く組成で炭素
含有量55at%の非晶質炭化珪素であることが確認さ
れた。また、この被覆層の層厚さ、表面硬度および摩擦
摩耗試験を上記と同様に行った。その結果を、第4表に
併せて示す。さらに、イオンブレーティング法によるダ
イヤモンドライク炭素被覆(試料番号Cl0)、プラズ
マCVD法による窒化チタン被覆(試料番号CIILお
よび未処理材(試料番号C12)についても、比較試験
として上記と同様に被覆層の層厚さ、表面硬度および摩
擦摩耗試験により行った。その結果を、第4表に併せて
示す。
第4表より明らかの如く、本実施例の場合、Hv200
0〜2500という通常の炭化物、窒化物と同等程度の
硬度を有するとともに0.04〜0゜05という非常に
低い摩擦係数を示し、相手材の摩耗量も非常に少なかっ
た。これに対し、比較例C9では、炭素含有量か低いた
めに硬度は実施例と同等であるか摩擦係数か高く、それ
に伴い相手材の摩耗量も増加した。また、比較例CIO
のダイヤモンドライク炭素被覆では、Hv5000とい
う高硬度を示すものの摩擦係数はO,l 5であり、相
手材の摩耗量も実施例に比べ一桁大きかった。
第4表 また、比較例C1lの窒化チタン被覆の場合は、比較例
CI2の未処理材に比較すれば摩擦係数、相手材の摩耗
量ともに小さいが、本実施例に比較すれば摩擦係数の値
で約15倍、相手材の摩耗量で約230倍と衡めて大き
な値であった。このように、本実施例により得られた表
面層は、現在用いられている被覆材に比べ、非常に良好
な耐摩耗性を示すことが分る。
実施例6 第5表に示した条件以外は、前記実施例5の試料番号5
と同様の方法で化学蒸着処理を行ったところ、被処理材
の表面に黒色の層が形成されていた(試料番号7.8)
。これら被処理材表面の黒色層について、実施例5と同
様にX線回折法による物質同定試験を行った結果、何れ
も被処理材からの回折線の他に回折線が認められず、ア
モルファス状態であることが分かった。また、EPMA
分析により、水素を除く組成で試料番号7の炭素含有量
が78at%、試料番号8の炭素含有量が?2at%と
測定され、さらに、レーザーラマン分光により被覆層中
にはダイヤモンドライクCが主成分であることが分った
。また、この被処理材の被覆層の層厚さ、表面硬度およ
び摩擦摩耗試験を実施例5と同様に行った。その結果を
、第6表に示す。
比較のために、中間層としての金属炭素化合物層を形成
させない他は、上記と同様の方法により化学蒸着比較処
理を行った。その結果、被処理材の表面には黒色の層か
形成されていた(試料番号C13)。この黒色層につい
て、X線回折法による物質同定試験、EPMA分析およ
びレーザーラマン分光を行った結果、試料番号7および
8と同様の炭素含有量78.、at%の非晶質炭素−水
素−珪素薄膜であることが確認された。また、この被覆
層の層厚さ、表面硬度および摩擦摩耗試験を摩擦摩耗試
験の荷重を4600gfとした以外は上記と同様に行っ
た。その結果を、第6表に併せて示す。
第5表 第6表より明らかのごとく、本実施例の場合、Hv23
00〜2500という通常の炭化物・窒化物と同等の硬
度を有しなから、0,04〜0.05という非常に低い
摩擦係数を示し、相手材の摩耗量も非常に少なかった。
これに対し、比較例C13ては、被覆層の密着性か悪い
ために高荷重での摩耗試験中に被覆層の剥離か発生して
しまい、剥離前には実施例6の試料番号7と同様の低い
摩擦係数を示していたか、剥離の発生とともに摩擦係数
か急増し、それに伴い相手材の摩耗量も増加してしまっ
た。
第  6  表 か発生した。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1〜実施例6て用いられたプラ
ズマ化学蒸着処理装置の概略図、第2図は本発明の実施
例1および比較例1て得られた薄膜のレーザーラマン分
光結果を示す線図、第3図は本発明の実施例2.3およ
び比較例C2〜C5て得られた薄膜のレーザーラマン分
光結果を示す線図、第4図は本発明の実施例1〜3およ
び比較例C2〜C5て得られた薄膜の摩擦係数と該薄膜
層中の水素を除く組成での炭素含有量との関係を示す線
図、第5図は本発明の実施例4および比較例C8て得ら
れた薄膜のレーサーラマン分光結果を示す線図である。 注4) 初期は0.04 試験開始後数分て剥離 試料番号1 試料番号2 試料番号3 試料番号4 プラズマ反応室 2 3 4 5 6 I 2 3 4 5 8 基台 被処理材 支持柱 ガス導出管 ガス導入管 試料番号CI 試料番号C2 試料番号C3 試料番号C4 試料番号C5 試料番号C8

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)炭素と水素を主成分とする非晶質薄膜であって、
    該非晶質薄膜中の水素含有量が30〜50at%であり
    、残りの組成が原子比で70%以上の炭素と、残部の主
    成分が珪素質物質とからなり、かつ前記非晶質薄膜が擬
    似ダイヤモンドを含んでなることを特徴とする潤滑性を
    有する硬質非晶質炭素−水素−珪素薄膜。
  2. (2)鉄または鉄合金材料からなる基材部と、該基材部
    の表面に形成した金属炭素化合物層と、 該金属炭素化合物層の表面に形成された炭素と水素を主
    成分とする非晶質薄膜であって、該非晶質薄膜中の水素
    含有量が30〜50at%であり、残りの組成が原子比
    で70%以上の炭素と、残部の主成分が珪素質物質とか
    らなり、かつ前記非晶質薄膜が擬似ダイヤモンドを含ん
    でなる炭素−水素−珪素薄膜表面層と、 からなることを特徴とする表面に硬質低摩擦層を有する
    鉄系金属材料。
  3. (3)鉄または鉄合金材料からなる被処理材の表面に金
    属炭素化合物層を形成する工程と、 該金属炭素化合物層を形成した被処理材を、プラズマC
    VD法により、珪素化合物ガスと炭素化合物ガスを主体
    とした特殊薄膜形成ガス雰囲気中で放電させることによ
    り被処理材表面に潤滑性を有する硬質非晶質炭素−水素
    −珪素薄膜表面層を形成する硬質低摩擦層形成工程と、
    からなることを特徴とする表面に硬質低摩擦層を有する
    鉄系金属材料の製造方法。
  4. (4)前記金属炭素化合物層が鉄炭素化合物層であり、
    該鉄炭素化合物層の形成は、炭素化合物ガスを含む雰囲
    気中で低温プラズマ処理により行うことを特徴とする請
    求項(3)記載の表面に硬質低摩擦層を有する鉄系金属
    材料の製造方法。
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