JPH0319648Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、揚水管路に設けられ流体の逆流を
防止するリフト型の逆止弁に関する。

〈従来の技術〉 従来のリフト型の逆止弁は、弁箱内に弁座を設
け、弁体ガイドに案内されるとともに弁座に平行
して移動する弁体を配設することにより、流体流
動に応動して弁座を開閉するように構成されてい
た。

そして、この弁体ガイドは、その上部外周の螺
刻部により弁室上部に螺着されており、また、弁
体は、弁体ガイドとの間に介装された圧縮コイル
状のばねにより、弁体を閉塞する方向に付勢され
るとともに、弁座との係合部分には、密封作用を
行うゴム等よりなる平板状の密着部材が添着され
て構成されていた（このようなリフト型逆止弁の
例としては、例えば特開昭57−154565号公報があ
る）。

また、実開昭58−116876号公報には、弁箱の流
出口に大きな通過面積を構成したアームを弁箱の
内方向に垂下させ、そのボス部に弁体のガイドを
可及的下方向に長く構成した逆止弁が開示されて
いる。この逆止弁においても、ガイド上部に延設
されたアームの先端部が弁箱上部に螺着されて、
ガイドが弁箱に取付けられている。〈考案が解決
しようとする問題点〉 しかし、このような従来構成の逆止弁にあつて
は、逆止弁の組立時に弁体を装着したり、修理の
ために弁体を交換したりするとき、弁体ガイドを
何回もらせん回転させて着脱する必要があり、組
立時および修理時の作業を煩雑なものとしてい
た。

また、螺着のために弁体ガイドおよび弁室に大
径の螺刻部の形成を要し、コスト高になるという
問題があつた。

そのため、特公昭54−11932号公報には、弁体
を支持する支持軸受を弁箱に簡便に取付けること
のできる逆止弁が提案されている。この逆止弁
は、入口側に弁座を備えた弁箱と、前記弁座と協
働する弁体と、弁体を閉方向に押し付けるスプリ
ングと、スプリング用の剛体の星形支持軸受とか
らなり、その際支持軸受のリブの外端が半径方向
に突出して設けたリング状の前方壁に軸方向に隣
接している逆止弁において、支持軸受が、斜めに
した状態で前方壁の出口開口部を通過して弁室内
に挿入できるとともに組付け位置に揺動するとリ
ブ外端が弁箱に当接して支持軸受が弁室から外へ
抜け出ない形状に形成され、前記リブは外端部に
横方向に延在する半径方向の溝を有しており、こ
のリブが前方壁の前室側内壁および出口開口部内
壁により軸方向に支持されるとともに調心されて
係合し、かつ、前方壁の開口部内に半径方向に突
出して設けられた突出面と彎曲部を備えた固定手
段に前記リブの溝が係合して取付けられるように
構成されている。

しかし、この構成の逆止弁においては、弁体ガ
イドおよび弁箱側に大径の螺刻部の形成が省略さ
れてコストが節減され、その螺合作業は回避され
るものの、以下に示す別個の逆止弁組立上の問題
を抱えている。即ち、弁体およびスプリング、並
びに弁体のガイドロツドと支持軸受とは別々に弁
室内へ挿入され、弁室内においてそれらが一つの
弁ユニツトとして組立てられるようになつてい
る。しかも、ガイドロツドと支持軸受とは両者を
嵌合状態として、それを傾けて出口開口部から弁
室内へ挿入する作業を必要としていた。そのた
め、組立時および修理時の作業は熟練を要し、極
めて煩雑なものであつた。

〈問題点を解決するための手段〉 この考案は上記問題点を解決するためになされ
たものであり、 貫通する弁室を有し該弁室の一方の端に流入口
を地方の端に流出口を有する弁箱と、上記弁室の
流入口側に設けられ該弁室の軸線に直交する弁座
と、上記弁座を開閉する弁体および上記弁体をそ
の軸線方向に案内する弁体ガイド並びに上記弁体
と上記弁体ガイドとの間に介装された圧縮コイル
状のばねとよりなる弁ユニツトと、を備え、上記
弁ユニツトは、上記弁体ガイドから延出された複
数個の支持腕が上記弁箱上部に嵌脱可能に嵌着さ
れてなる逆止弁であつて、上記弁室の上部には、
上記流出口の開口径よりも中心方向へ突出した上
側突起および下側突起よりなる複数組の腕受部が
設けられ、上記弁ユニツトの支持腕が上記流出口
より挿入されるとともに回動されて上記腕受部の
上側突起および下側突起の間にはめ合い係合さ
れ、かつ上記支持腕の少なくとも１個と上記腕受
部の少なくとも１個とが止めねじにより係合され
て上記弁ユニツトが上記弁箱に取付けられてなる
逆止弁である。

〈作用〉 この考案は、上記のように構成されたものであ
り、弁ユニツトは、その軸線を流出口の軸線に合
せ、軸線方向に真つ直ぐに移動させて弁室内に挿
入するとともに、その軸線を中心とした回動によ
り、弁体ガイドの複数個の支持腕が、弁室上部の
複数個の腕受部の上側突起と下側突起との間には
め合い係合され、支持腕と腕受部とが止めねじに
より係止されて、弁ユニツトが弁箱に固定され
る。

〈実施例〉 以下、この考案の一実施例を第１図ないし第４
図に基づいて説明する。

図において１はこの逆止弁の外殻をなす弁箱で
あり、その内側に断面が略四つ葉クローバ形をな
す弁室３を形成するととも、弁室３と流入口２と
流出口４とが同一軸線上に設けられて、流体が流
入口２から流出口４へ向かつて流過するように形
成されている。この弁室３の四つ葉クローバ形断
面は、フランジ部６，７における連結用ボルトを
避けるようにして、弁室３の断面積を大きく設定
するために付与された形状であり、連結用ボルト
が８本の場合は、８個の膨出部をもつた断面形状
が付与される。

弁座５は流入口２の下流に弁室３の軸線に直交
して形成されている。

腕受部８は、実施例では所定の間隔を隔てて上
下に配設された上側突起８ａと下側突起８ｂとか
らなり、上側突起８ａと下側突起８ｂとの間に、
後述する支持腕１７がはめ合い係合するように形
成されている。そして、４個の腕受部８が弁室３
の下流側の所定位置に、互いに弁室３の軸心に向
つて突出して形成されている。更に、所定の腕受
部８には、止めねじ２７を螺着するためのめねじ
部９が螺刻されている。

弁ユニツト１０は、弁座５を開閉する弁体１１
および弁体１１をその軸線方向に案内する弁体ガ
イド１５並びに弁体１１と弁体ガイド１５との間
に介装されたばね２０とより形成されている。

弁体１１は、円板状に形成され、その中心に上
方へ延びたロツド部１２が一体的に形成されてお
り、弁体１１の下部には密着部材１３が添着され
ている。密着部材１３は、弾性を有し、耐油性、
耐老化性の優れた例えばハイカーニトリルゴム等
からなり、弁座５面との圧接部に、断面が湾曲状
で下方に膨出するとともに、環状に形成された環
状座１４が設けられている。

弁体ガイド１５は、その軸心にロツド部１２を
嵌通して弁体１１を軸線方向に案内するガイド孔
１６が穿設されており、その上部には、外方へ延
びて上記腕受部８にはめ合い係合する４個の支持
腕１７が設けられている。また、所定の支持腕１
７の先端部には、上述のめねじ部９に対応する切
欠部１９が設けられている。

ばね２０は、圧縮コイルばねであつて、ばね２
０が弁体１１と弁体ガイド１５との間に介装され
たとき、弁体１１を常時下方へ付勢するように形
成されている。

そして、ばね２０はロツド部１２に外嵌され、
ロツド部１２がガイド孔１６に嵌装されると、弁
体１１、弁体ガイド１５、ばね２０夫々の軸心を
共有するとともに、ばね２０が弁体１１と弁体ガ
イド１５との間に介装されて弁ユニツト１０が形
成されている。この弁ユニツト１０は、その軸線
を流出口４の軸線に合せ、軸線方向に真つ直ぐに
移動させて弁室３内に挿入する。そこで所定の支
持腕１７の切欠部１９を上記めねじ部９に対応さ
せ、４個の支持腕１７を弁ユニツト１０の軸心を
中心として回動させて、４個の腕受部８に嵌入を
行いはめ合い係合される（第４図参照）。そして、
めねじ部９に止めねじ２７がねじ込まれることに
より、切欠部１９に止めねじ２７が嵌入して、支
持腕１７が腕受部８に固定される。

尚、ばね２０の付勢力は、揚水が所定の流量で
弁体１１が第１図の二点鎖線で示す位置にあると
き、揚水ポンプが急停止し、揚水流量が零になる
と急速に弁座５を閉塞するように設定されてお
り、また、揚水ポンプの所要の揚水量の流体圧に
より、弁座５が全開されるばね圧が付与される。

更に、流入口２と弁室３との間には、揚水ポン
プ始動のための常閉弁であるバイパス弁２２が、
バイパス弁座２３、バイパス通路２４とともに設
けられている。

次に、このように構成された逆止弁の動作につ
いて説明する。

先ず、揚水ポンプが作動して揚水を開始し、所
定の揚水量に達すると、その水圧は弁体１１を付
勢しているばね２０の付勢力に打ち勝つて、弁体
１１を上方へ押上げる。このとき、弁体１１は、
そのロツド部１２がガイド孔１６に案内されて、
弁座５面に平行して上昇し、弁座５と弁体１１の
密着部材１３との間には、弁体１１全周縁に亘つ
て等間隔の流通路が開かれる。

そして、流入口２より流入した揚水は、弁座５
より弁室３へ入り、更に流出口４へと流過する。
この弁室３の流過時には、四つ葉クローバ形に拡
張された断面積の弁室３により流動抵抗が低く、
圧力損失が小さい。

次に、揚水ポンプが停電等により急停止する
と、管路内の揚水量は減少を続け、やがて零とな
り、ついには逆流を始める。このとき逆流が生じ
る前に弁体１１は、ばね２０の付勢力により閉成
遅れを生ずることなく、弁座５を閉塞して水撃作
用が防止される。

弁体１１により弁座５が閉塞されると、弁座５
には弁体１１の環状座１４が係合し、このとき、
環状座１４はその断面湾曲状の膨出部で圧縮応力
を吸収するとともに、ゴムの反発弾性により密封
状態が形成される。

尚、この考案は上述の説明および図例に制限さ
れることなく、この考案の技術的思想から逸脱し
ない範囲において、その実施態様を変更すること
ができる。例えば、弁体の密着部材の断面形状
は、汎用されている平板状の構成であつてもよい
ことはもちろんである。

〈考案の効果〉 以上説明したようにこの考案の逆止弁は、貫通
する弁室を有し該弁室の一方の端に流入口を他方
の端に流出口を有する弁箱と、弁室の流入口側に
設けられ弁室の軸線に直交する弁座と、弁座を開
閉する弁体および弁体をその軸線方向に案内する
弁体ガイド並びに弁体と弁体ガイドとの間に介装
された圧縮コイル状のばねとよりなる弁ユニツト
と、を備え、上記弁ユニツトは、弁体ガイドから
延出された複数個の支持腕が弁箱上部に嵌脱自在
に嵌着されてなる逆止弁であつて、弁室の上部に
は、流出口の開口径よりも中心方向へ突出した上
側突起および下側突起よりなる複数組の腕受部が
設けられ、弁ユニツトの支持腕が流出口より挿入
されるとともに回動されて腕受部の上側突起およ
び下側突起の間にはめ合い係合され、かつ支持腕
の少なくとも１個と腕受部の少なくとも１個とが
止めねじにより係合されて弁ユニツトが弁箱に取
付けられてなる構成なので、弁体および弁体ガイ
ド、ばねは弁箱外で予じめ組立てて弁ユニツトと
して構成できるとともに、弁箱の流出口より軸線
方向に移動させて弁室内に真つ直ぐに挿入し、支
持腕の幅員相当分程度の回動により支持腕と腕受
部とのはめ合い係合ができ、弁ユニツトの嵌脱作
業が容易に行えるとともに、組立、修理に要する
時間を短縮することができる。

また、弁ユニツト取付けのための弁体ガイド支
持腕およびその腕受部が簡潔に形成できるととも
に、製造コストを低減できる効果を奏する。

更に、弁体ガイドが弁体軸心部に設けられてい
るので、弁体の上下の摺動抵抗が小さくなり、そ
のため揚水ポンプが停止したとき、弁体の閉塞方
向への応答性が極めて早く、水撃作用の発生を防
止して、管路の破損を防止する効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の逆止弁の第２図に
おけるイ−イ線断面図、第２図は同じく平面図、
第３図は同じく弁ユニツトの側面図、第４図は同
じく弁ユニツトの平面図である。 １……弁箱、５……弁座、８……腕受部、１０
……弁ユニツト、１１……弁体、１５……弁体ガ
イド、１７……支持腕、２０……ばね。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 貫通する弁室を有し該弁室の一方の端に流入口
   を他方の端に流出口を有する弁箱と、 前記弁室の流入口側に設けられ該弁室の軸線に
   直交する弁座と、 前記弁座を開閉する弁体および前記弁体をその
   軸線方向に案内する弁体ガイド並びに前記弁体と
   前記弁体ガイドとの間に介装された圧縮コイル状
   のばねとよりなる弁ユニツトと、 を備え、前記弁ユニツトは、前記弁体ガイドから
   延出された複数個の支持腕が前記弁箱上部に嵌脱
   自在に嵌着されてなる逆止弁であつて、 前記弁室の上部には、前記流出口の開口径より
   も中心方向へ突出した上側突起および下側突起よ
   りなる複数組の腕受部が設けられ、 前記弁ユニツトの支持腕が前記流出口より挿入
   されるとともに回動されて前記腕受部の上側突起
   および下側突起の間にはめ合い係合され、 かつ前記支持腕の少なくとも１個と前記腕受部
   の少なくとも１個とが止めねじにより係止されて
   前記弁ユニツトが前記弁箱に取付けられてなるこ
   とを特徴とする逆止弁。