JPH0317422Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、水滴などのかかる環境で使用できる
電気コネクタの尾端を封止するための防水栓に関
する。

従来の技術 防水コネクタは、水などの液体がコネクタ相互
の結合部分に侵入することを防ぐのみならず、コ
ネクタ自体もまた水などの侵入を許さない構造を
有している必要がある。そして、電線接続用コネ
クタは、筒状のハウジングに電線が固着した端子
を挿入固定して構成されているところから、これ
を防水構造とするには、ハウジングを筒状の密閉
構造のものとし、その尾端の開口部には電線を挿
通したゴム栓等を嵌合して密封することが行われ
ている。

このようなゴム栓による密封の際には、端子を
ハウジング内の所定位置に確実に係止させること
が必要であるためと、ゴム栓自体を脱出しないよ
うに固定するために、ゴム栓の後端面を抑える硬
質樹脂製のスペーサを設け、またゴム栓の後端面
から前端面まで貫通する端子押圧部材を設けるな
どにより、防水コネクタの組立を容易かつ確実に
しようとする提案がある。そして、かかる防水栓
の一例として、ハウジングの内壁面との密着と同
時に電線との密着をも達成するために、たとえば
第５〜７図に示すように筒状の樹脂製スペーサＢ
をゴム製の筒状栓体Ｃの後部に包埋して防水栓Ａ
を形成したものがある。

スペーサＢは、防水栓Ａの後端部を構成する環
状部b₁と筒状栓体Ｃの壁内に包埋される筒部b₂と
から構成されており、栓体Ｃとの結合を確実にす
るための窓部b₃が設けてある。栓体Ｃは、スペー
サＢの筒部b₂を内側と外側とから包むようにして
形成されたゴム製の筒状体であり、その内面c₁は
挿通された電線Ｄの外面との間を密封できるよう
になつており、また外面c₂はハウジングＥの内面
との間を密封できるようになつている。

しかし、このような防水栓Ａには、線径の異な
る２〜３種類の電線を防水性能面あるいは作業面
を考慮の上選択して挿入するものであるが、ゴム
製の栓体Ｃ自身の変形が樹脂製の筒部b₂によつて
制限されているので太い電線Ｄは挿通しにくい上
に、無理に挿通すると栓体Ｃの変形がc₂部分に集
中して膨出し、ハウジングＥへ装着がしにくくな
るという欠点があつた。

解決しようとする問題点 上述のような従来技術の防水栓は、太い電線に
は使用しにくく、また細い電線では隙間ができ易
いので、電線の太さに応じた寸法の防水栓を数種
常備しておく必要があり、これを選択して使用し
なければならない不便があつた。

上記の如き事情に於て、使用上の許容範囲が広
くて確実に密封できる、信頼性の高い防水コネク
タ用防水栓を提供しようとすることが、本考案の
目的である。

問題を解決するための手段 かかる考案の目的は、環状体から前方に向つて
円弧状断面を有する可撓性ピンの複数個を円環状
に配列して突設した硬質弾性材料からなるスペー
サと、軟質弾性材料からなる筒状栓体とが、該ピ
ンを該栓体の後部の壁内に同軸状に包埋したこと
によつて一体に結合されていることを特徴とする
単極型防水コネクタ用防水栓によつて達成され
る。

そして、この筒状栓体の外側壁面は防水コネク
タのハウジングの尾部内面と密着し、またその内
側壁面は電線の外側面と密着してそれぞれ隙間を
封止できるように環状にひだ等が形成してあるの
が望ましい。

実施例 第１〜４図に、本考案の防水コネクタ用防水栓
の例を示した。

２はたとえば硬質合成樹脂等で形成されたスペ
ーサ、３はたとえば弾性ゴム等で形成された栓体
で、これらを一体として防水栓１が構成されてい
る。

スペーサ２は、中心部分に電線を貫通させうる
ように余裕をもつて形成され、防水栓の後端部を
構成する環状部２１と、その一方側面から軸線と
平行な方向に突設されたピン部２２とからなつて
いる。ピン部２２はたとえば円弧状断面を有する
板状などに形成され、軸線を囲んで円環を構成す
るようにスリツト２３を介して複数個設けられる
が、必要に応じて一部を細く形成したり窓２４を
設けるなどにより、半径方向への可撓性を確保し
ている。

栓体３は、スペーサ２のピン部２２を完全に包
埋するようにして筒状に形成されたもので、中心
部分は電線４が挿通できる貫通孔になつており、
前方に向つてノズル状に延びている。栓体３の内
側面は、電線４の外面とのなじみが良くかつ密封
が可能であるように、環状のうね乃至ひだ３１が
形成してあり、また栓体３の外側面にも、コネク
タハウジング５の内壁面とのなじみが良くかつ密
封が可能であるように、環状のうね乃至ひだ３２
が形成してある。

このように構成された本考案の防水栓１に太い
電線４を挿し込むとき、栓体３は内側から押し拡
げられるが、スペーサ２のピン部２２はこれに伴
つて同時に外方へ撓み栓体３が一様に拡張するの
で、電線４の挿通を容易に行なうことができる。

そしてまた、電線４を挿通した防水栓１をコネ
クタハウジング５の尾部に嵌め込むときには、栓
体３は外側から押されるが、スペーサ２のピン部
２２はこれに伴つて同時に内方に撓み、電線４の
外面を圧迫して環状のうね３１が変形すると共に
栓体３の外面の環状のうね３２も同様に変形して
嵌入される。従つて電線４と栓体３との隙間およ
びハウジング５と栓体３との隙間はそれぞれ釣合
つた状態で封止されることとなる。

このため太い電線を挿入することが容易になる
と共に、太い電線を挿通した防水栓でも一部分の
みが集中して膨張することがないから、ハウジン
グに装着することも困難ではなく、また細い電線
を挿通した防水栓をハウジングに装着したときに
ハウジングとの隙間だけが封止されて電線との隙
間の封止が不完全となるようなことがなくなつ
た。

考案の効果 本考案の防水コネクタ用防水栓は、電線の太さ
が変つても電線の挿通ならびにハウジングへの装
着が容易であり、また電線およびハウジングとの
隙間の封止が釣合つて実現されるので、防水性が
良くて信頼性の高い防水コネクタが得られるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の防水コネクタ用防水栓の例の
構造を示す断面図、第２図はそのスペーサの斜視
図である。第３図はその電線挿入時の状態の説明
図、第４図はそのハウジングへの装着時の状態の
説明図である。第５図は従来の防水栓の断面図、
第６図イはそのスペーサの斜視図、同ロはその矢
方向からの外観図、第７図はその防水栓のハウジ
ングへの装着状態を示す部分断面図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 環状体から前方に向つて円弧状断面を有する可
   撓性ピンの複数個を円環状に配列して突設した硬
   質弾性材料からなるスペーサと、軟質弾性材料か
   らなる筒状栓体とが、該ピンを該栓体の後部の壁
   内に同軸状に包埋したことによつて一体に結合さ
   れていることを特徴とする単極型防水コネクタ用
   防水栓。