JPH0315559Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〓産業上の利用分野〓 本考案は、紡績機に用いられるドラフト装置に
関する。

〓従来の技術〓 トツプとボトムとのローラ対を、バツク、ミド
ルおよびフロントの如く複数対並設したドラフト
装置は、各ローラ対を順次その回転数を増加させ
てこのローラ対の間を通過させることにより、繊
維束を所定の太さにドラフトしている。ところ
で、生産能率の向上をめざし、処理能力を高める
べく各ローラの回転を速めると、各ローラのゴ
ム、或いはエプロンベルトが著しく摩耗する。そ
こで、摩耗の激しい部品を取り変える際に、全錘
一斉に紡績機を停止させなくても、その錘だけを
停止して取替え作業が行えるようにと、ローラを
各錘毎に個々に分離したドラフト装置が使われる
ようになつた。

〓考案が解決しようとする問題点〓 ローラを各錘毎に分断し、部品等の取替え作業
に際しては、その該当錘だけを停止できるように
構成された従来装置は、他の錘の生産に影響を与
えることはないものの、ローラのゴムやエプロン
ベルトが高スピードのために著しく摩耗をするこ
とを解消することにはならない。そのため摩擦し
た部品を取替える作業の間の生産性が低下する問
題があつた。

本考案は上記の問題点の解消を目的として構成
したドラフト装置に関する。

〓問題点を解決するための手段〓 フロント、ミドルおよびバツクといつた複数の
ローラ対の、少なくともトツプ側の各ローラを各
錘毎に個々に支持部材により回転自在に支持する
と共に、該支持部材を水平方向に移動自在に設
け、該支持部材を全錘に亘つて挿通し水平方向に
往復運動するように設けたトラバース用ロツドに
連繋し、トツプ側ローラをトラバース運動させる
ことができるように構成した。

〓作用〓 被処理繊維束がドラフト装置の各ローラ対のト
ツプ側とボトム側との間に供給され、ドラフトが
開始されると、トラバース用ロツドの水平方向に
往復運動する運動力が各錘のトツプ側ローラを支
持する支持部材に伝動され、支持部材は水平方向
に往復運動し、トツプ側ローラをボトム側ローラ
に圧接させた状態で摺動運動、即ちトラバース運
動をさせる。このトツプ側ローラのトラバース運
動により、トツプ側ローラと繊維束との圧接部位
が変動し、トツプ側ローラの摩耗は低減される。

〓実施例〓 本考案ドラフト装置１は、図示しないが、繊維
束を１基の空気噴射ノズルと解撚ベルトにより施
撚結束して紡績糸を製造する空気式紡績装置に使
用したものである。

ドラフト装置１は、繊維束の進行方向、本実施
例では第１図及び第２図中右方から左方へと順に
バツクローラ対２、ミドルローラ対３およびフロ
ントローラ対４の３対のローラ対を並設してなる
もので、ミドルローラ対３にはミドルトツプロー
ラ３ａとミドルボトムローラ３ｂのそれぞれにエ
プロン５ａ，５ｂが懸け渡してある。

バツクトツプローラ２ａ、ミドルトツプローラ
３ａ、及びフロントトツプローラ４ａの各ローラ
は、各錘毎に個々に分断してあり、それぞれのロ
ーラ２ａ，３ａ，４ａの両端部分を一対の保持板
６，６′で回転自在に保持してある。該保持板６，
６′は横長の長方形をなし、下縁部に開放する３
ケ所の切欠き穴８，９，１０を長手方向に並列し
てある。この切欠き穴８，９，１０はトツプ側の
３つのローラをそれぞれ嵌入するためのものであ
る。該保持板６，６′は基台１１に擺動自在に軸
着した一対のサイドプレート１２，１２′に螺子
１３，１３で締め付け固定するようにしてある。
該保持板６，６′の切欠き穴８，９，１０に嵌入
した各トツプ側ロール２ａ，３ａ，４ａは、先端
部分を彎曲させたＵ字形保持ピン１４によつて保
持されており、また、保持板６，６′の腔胴７内
にスプリング１５により付勢した押圧ピン１６を
設け、該押圧ピン１６でトツプ側のローラ２ａ，
３ａ，４ａをボトム側のローラ２ｂ，３ｂ，４ｂ
へと圧接させてある。

前記サイドプレート１２，１２′は基台１１に
擺動自在に軸着してあるが、この軸１７には円柱
形の支軸１８が立設してあり、この支軸１８に両
サイドプレート１２，１２′を連繋する支持腕１
９がブツシユ２０を介して揺動自在に接続してあ
る。この両サイドプレート１２，１２′の擺動は
ハンドル２１を把持して行われるが、両サイドプ
レート１２，１２′と基台１１との固定は、該ハ
ンドル２１の鉤部２２と基台１１の軸２３との係
合によつて行われるようにしてある。そして、該
軸２３にはスライドベアリング２４が設けてあ
り、基台１１にハンドル２１を固定した状態で両
サイドプレート１２，１２′を揺動可能にしてあ
る。また、両サイドプレート１２，１２′の少な
くとも一方のサイドプレート１２には係止用の突
出部２５が設けてあり、この突出部２５には、先
端をＵ字形に形成した連結杆２６が係合してあ
る。この連結杆２６は、複数の併設した錘の全錘
に亘つて挿通したトラバース用ロツド４０に連結
してある。該トラバース用ロツド４０は、図示し
ない被処理繊維束の供給走行方向と直交方向に水
平に往復運動するように設けてあり、このトラバ
ース用ロツド４０の往復運動が連結杆２６、突出
部２５を経てサイドプレート１２に伝動され、該
サイドプレート１２及びトツプ側の各ローラ２
ａ，３ａ，４ａへと水平方向の揺動運動として伝
達されるように構成してある。

ドラフト装置１の駆動は、複数基の並設した基
台１１に挿通した３本のラインシヤフト２７，２
８，２９と、各ボトム側のローラ２ｂ，３ｂ，４
ｂとの間に動力伝動部材として図示しないベルト
を懸け渡し行うようにしてある。尚、バツクボト
ムローラ２ｂとラインシヤフト２７との間、及び
ミドルボトムローラ３ｂとラインシヤフト２８と
の間には、それぞれ電磁クラツチ３０，３１が介
装してある。

第４図は本考案ドラフト装置の第２の実施例を
示したもので、トツプ側の各ローラ２ａ，３ａ，
４ａを保持する保持板６，６′を、第１の実施例
においては両サイドプレート１２，１２′に螺子
止め固定したが、この両サイドプレート１２，１
２′に替えて、補助プレート３２，３２′に螺子止
め固定したところに第１の実施例とは違いがあ
る。この両補助プレート３２，３２′は支持腕３
３で連繋してあり、この支持腕３３を両サイドプ
レート１２，１２′の間に架け渡した補助腕３４
に、前記第１の実施例と同様にして揺動自在に接
続し、補助プレート３２，３２′を揺動させてト
ツプ側のロール２ａ，３ａ，４ａをトラバース運
動させるように構成してある。３５，３５は補助
プレート３２，３２′の上下方向の振れ止め用ス
トツパーで、第１の実施例と同じ部材には同一の
符号を付した。

第５図は本考案ドラフト装置の第３の実施例を
示したもので、前記第２の実施例で示した構造と
同じく、トツプ側ローラ２ａ，３ａ，４ａを保持
する保持板６，６′は補助プレート３２，３２′に
螺子止め固定されているが、両補助プレート３
２，３２′を両サイドプレート１２，１２′で摺動
自在に保持する構造に違いがある。即ち、両補助
プレート３２，３２′は、第５図中左右方向の両
側端部にそれぞれ連結腕３６，３６を設けて連繋
してあり、一方、両サイドプレート１２，１２′
にも一対の保持腕３７，３７を架け渡し、両保持
腕３７，３７のそれぞれに、上下で対をなすガイ
ド部材３８，３８を水平方向に２組ずつ設け、４
組のガイド部材３８，３８，…で前記連結腕３
６，３６を同図中上下方向に移動自在に保持して
ある。他の構造は前記第１、第２の実施例の構造
と変わるところはなく、同一の部材には同一の符
号を付してある。

第６図は本考案ドラフト装置の第４の実施例を
示したもので、前記第３の実施例と同様に、両補
助プレート３２，３２′には一対の連結腕３６，
３６が設けてあり、一方、両サイドプレート１
２，１２′には一対の保持腕３７，３７′が設けて
ある構造に変わりがないが、両保持腕３７，３７
に両連結腕３６，３６を直接摺動自在に設けた構
造に違いがある。３９はスライドベアリングで、
他の構造は前記第１、第２、第３の実施例の構造
と変わるところはなく、同一の部材には同一の符
号を付してある。

次に本考案ドラフト装置の作用を前記第１の実
施例に基づいて説明する。

図示しない被処理繊維束がドラフト装置１へと
供給されると、該繊維束は、バツクローラ対２、
両エプロンベルト５ａ，５ｂ、フロントローラ対
４の間を、各ローラの回転力を受けて走行し、ド
ラフトが行われる。と同時に、全錘に亘つて挿通
されているトラバース用ロツド４０が図示しない
駆動力を受けて水平方向、即ち、第１図において
上下方向に往復運動し、このロツド４０に接続し
た連結杆２６も一体となつて往復運動し、両サイ
ドプレート１２，１２′を、支軸１８を支点とし
て同図中上下方向に揺動運動させる。両サイドプ
レート１２，１２′に保持されたトツプ側のロー
ラ２ａ，３ａ，４ａも一体となつて揺動運動、即
ち、トラバース運動をし、これによつてトツプ側
のローラ２ａ，３ａ，４ａ及びエプロンベルト５
ａの、ボトム側のローラ２ｂ，４ｂ及びエプロン
ベルト５ｂとの繊維束のニツプ点は変動される。
このトツプ側のローラ２ａ，３ａ，４ａとエプロ
ンベルト５ａが繊維束のニツプ点を変動されるこ
とにより摩耗は低減される。

〓考案の効果〓 本考案ドラフト装置は、トツプ側のローラ及び
エプロンベルトを稼動時に一体的に水平方向に往
復運動させることができるように構成してあるの
で、トツプ側のローラ及びエプロンベルトは被処
理繊維束のニツプ点が常時変動し、ローラのゴム
やエプロンベルトの摩耗を低減でき、長時間の使
用に耐える効果を有する。

従つて、本考案ドラフト装置を紡績機に使用す
れば、紡績糸の生産性は格段に向上するもので
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案ドラフト装置の第１
の実施例を示したもので、第１図は使用態様を示
した平面図、第２図は一部分を切除した側面図、
第３図はハンドルと基台との係止部分を示した部
分縦断正面図、第４図は本考案ドラフト装置の第
２の実施例を示した平面図、第５図は本考案ドラ
フト装置の第３の実施例を示した平面図、第６図
は本考案ドラフト装置の第４の実施例を示した平
面図。 １……ドラフト装置、２ａ……バツクトツプロ
ーラ、３ａ……ミドルトツプローラ、４ａ……フ
ロントトツプローラ、５ａ……エプロンベルト、
６，６ａ……保持板、１１……基台、１２，１
２′……サイドプレート、１７……軸、１８……
支軸、１９……支持腕、２１……ハンドル、２
４，３９……スライドベアリング、２５……突出
部、２６……連結杆、３２，３２′……補助プレ
ート、３４……補助腕、３６……連結腕、３７…
…保持腕、３８……ガイド部材、４０……トラバ
ース用ロツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フロント、ミドルおよびバツクといつた複数の
   ローラ対の、少なくともトツプ側の各ローラを各
   錘毎に個々に支持部材により回転自在に支持する
   と共に、該支持部材を水平方向に移動自在に設
   け、該支持部材を全錘に亘つて挿通し水平方向に
   往復運動するように設けたトラバース用ロツドに
   連繋したことを特徴とするドラフト装置。