JPH0280547A - 耐食性溶射材料およびその製造方法と、耐食性皮膜の形成方法 - Google Patents

耐食性溶射材料およびその製造方法と、耐食性皮膜の形成方法

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JPH0280547A
JPH0280547A JP22978488A JP22978488A JPH0280547A JP H0280547 A JPH0280547 A JP H0280547A JP 22978488 A JP22978488 A JP 22978488A JP 22978488 A JP22978488 A JP 22978488A JP H0280547 A JPH0280547 A JP H0280547A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐食性溶射材料およびその製造方法と、その
溶射材料を使って所要の材料表面(被処理面)に耐食性
の皮膜を形成する方法に関し、特に塩化物イオンを含む
腐食性の強い環境下においても優れた耐食性を示す材料
とその応用技術についての提案である。
〔従来の技術〕
TiやTi合金(以下「Ti材」という)は、機械的性
質および耐食性に優れ、密度が小さいので比較的軽量と
なることから、ジェットエンジン、水蒸気タービン1空
気圧縮機などのブレードをはじめ、海水、各種の酸、ア
ルカリなどを取扱う塔槽類。
機械構造部材などとして、広く利用されている。
ところが、このTi材は、電気めっきや溶融めっきで得
られる一般の金属めっき膜のような薄膜化が困難なため
、もっばら材料そのものの形態で提供されている。した
がって、材料の耐食性を向上させなければならないよう
な場合に、本来なら外界と接触する界面のみを耐食性の
材料で被覆すれば足りるのに、このTi材に限ってはそ
のような被覆処理が困難であるから、クラツド材などの
形態をとらざるを得なかった。要するに、どうしても多
量のTi材を使用せざるを得ない状況にあり、経済的負
担が大きいという欠点があった。
このような欠点を克服するため、従来、蒸着法によって
、Ti材の薄膜を被処理面上に形成する試みが行われた
。しかし、この蒸着法は、薄膜中に多くの気孔を含む薄
膜となるため、耐食皮膜として十分なものとはいえなか
った。しかも、この蒸着法による耐食皮膜の形成は、真
空容器中での処理となるため、被処理材のサイズに限界
があり、実用化を阻んでいた。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記したように、Tl材は素材そのものがもともと薄膜
化になじまないことに加え、皮膜形成の手段が蒸着法に
たよる限り耐食性が十分なものにならないことから、T
i材そのものの材質上の改良と、耐食膜形成法の改善と
が必要である。
そこで本発明者らは、他の薄膜形成技術に着目し、まず
溶射法に着目しその実用化を検討した。
たしかに、この溶射法は、被処理体の寸法的な制約がな
いこと、および蒸着法に比較すると極めて厚膜の処理が
可能であるから耐食性皮膜としては一応有効であると思
われた。。しかしながら、Ti材をそのままの状態で溶
射しただけでは、溶射中にTi材の粒子が大気中の酸素
と結合して酸化物に変化するため、得られる皮膜が、酸
化物と金属の混合体となるうえ、多数の気孔を内在する
ことになる。
以上要するに、被処理面に、通常の溶射技術によってT
i材の皮膜を形成しただけでは、酸化物と金属との混合
体による多孔質皮膜になる。しだがって、このような皮
膜では、これを腐食性環境下で使用すると、前記気孔部
から侵入する腐食成分によって、母材(被処理体)が簡
単に腐食されてしまう。また、溶射皮膜それ自体も耐食
性が十分でない。こうした理由で従来、Ti材溶射皮膜
による防食処理は殆んど行われていないのが実情である
そこで、本発明の目的は、溶射法に適用するときのTi
材自身の耐食性能を改善する一方で、このTi材を使っ
て塩化物イオンを含むような強い腐食環境下でも、実用
材として十分な耐食性を示す皮膜を、被処理面上に形成
するための技術を開発。
提案するところにある。
このような目的に対し、本発明は、溶射材料として使う
Ti材自身に防食機能をもたせることによって、多少の
気孔を含む皮膜となっても、優れた耐食性を発揮する溶
射皮膜を得るのに好都合な技術を提供するものである。
すなわち、TiおよびTi合金粉末を、あらかじめパラ
ジウム(Pa)めっき処理し、これを溶射材料として溶
射皮膜を形成させる方法である。特に、溶射環境を実質
的に酸素を含まない減圧アルゴンガス雰囲気下でプラズ
マ溶射することによって、緻密で酸化物のないPdを含
む高度な耐食性を有する皮膜を得る方法をより好ましい
方法として提案する。
このような考え方の下で、本発明は、上記目的によく適
合する耐食性溶射材料として、粒子の表面がPdで被覆
されたTiもしくはTi合金粉末よりなるものを、 そしてその製造方法として、TiもしくはTi合金粉末
の粒子を、Pdを溶解しためっき液中に浸漬して化学め
っきすることにより、その表面にPdめっき膜を被成す
る方法を提案する。
さらに、前記溶射材料を利用した溶射皮膜を形成する方
法として、 第1に、被処理面上に、粒子表面にPdめっき膜を有す
るTiもしくはTi合金粉末よりなる耐食性溶射材料を
、プラズマ溶射することにより被着させる方法、 第2に、被処理面上に、粒子表面にPdめつき膜を有す
るTiもしくはTi合金粉末よりなる耐食性溶射材料を
、実質的に酸素を含まない減圧アルゴンガス雰囲気下に
おいてプラズマ溶射することにより被着させる方法、 そして必要に応じて、プラズマ溶射することによって得
られる耐食性被膜を、実質的に酸素を含まない減圧アル
ゴンガス雰囲気下において加熱することにより、溶射皮
膜中のPdを合金化することを特徴とする耐食性被膜の
形成方法、 を提案する。
〔作 用〕
一般に、TiやTi合金の耐食性は、その表面に形成さ
れる緻密な耐食性の酸化膜(TiO□)に依存するもの
であり、ステンレス鋼の耐食機構と本質的に同じである
。したがって、Ti材を使用する環境下では、多少の酸
素が存在する方がむしろ好ましいといえる。この点、例
えば、酸素のない還元状態でしかも塩化物イオン(Cヒ
)が存在するような水?6 ?&中におかれたTi材は
、酸化膜(TiO□)がCIによって腐食され、ひいて
は酸化膜直下の母材も孔食状に腐食される。例えば、塩
酸や海水を取扱うパイプラインのフランジ部の隙間腐食
などがそれである。すなわち、バンキングを装着したフ
ランジ部は、系外から酸素の供給が殆んどないうえ、塩
酸(IIcI)や海水(NaC1、MgC12)の主成
分であるCIがこのバッキング部に侵入し、激しい孔食
(隙間腐食)を発生する。
この隙間腐食の対策としては、孔食の発生が予想される
位置に、ペースト状のパラジウム酸化物(PdO)を塗
布する方法がある。しかしこの方法は、塗布した酸化物
(PdO)によりTiの酸化が促進され、安定なTiO
□皮膜を生成する点で好ましい方法であるが、バッキン
グを取り替えるたびに、PdOペーストを塗布する必要
があり、プラントの保守点検上の問題となっている。
このペースト状のPd酸化物塗布の代わりに、本発明は
、溶射用材料であるTiおよびTi合金の各粒子表面に
、あらかじめ化学めっき法によってPdを被覆しておき
、これを溶射材料として、被処理面に対してプラズマ溶
射することにより、Pdを含む溶射皮膜を直接形成させ
る技術である。
したがって、本発明では、TiおよびTi合金の各粒子
表面にPdが被覆しであるので、溶射皮膜中の個々の粒
子毎にPdを付帯していることになるから、前記ペース
ト法のように、Pdの効果が表面に限定されることがな
い。すなわち、本発明ではPdの効果が溶射皮膜の全体
に及ぶ特徴がある。
また、本発明における溶射用材料(Ti材)へのPd被
覆は、金属Pdの他、PdOのような酸化物であっても
防食効果に変わりがない。したがって、溶射中にPd被
膜が酸化物へと変化しても、その効果は変わらないので
、溶射環境が大気中でも効果がある。しかしながら、実
質的に酸素を含まない減圧のアルゴンガス環境下で溶射
すれば、皮膜が緻密になるうえ、Pdが金属として皮膜
を構成するので、−段と高度な耐食皮膜を形成すること
になる。
このような粒子表面がPdで被覆されたTiおよびTi
合金粒子よりなる耐食性溶射材料は、Ti材の表面に、
Pdを化学めっき(無電解めっき)することにより製造
する。このめっき処理に当って、め−。
き液としては、塩化パラジウムなどが用いられ、添加剤
としてはヒドラジンや次亜りん酸ナトリウム等を用いる
。めっきは、例えばpH1〜13、温度20〜80℃の
条件の下で行い、薄付け、本付けしながら所定の厚みの
析出Pd層をTi材粒子表面に形成させ、その後水洗、
乾燥することにより被覆を完成させる。
次に、本発明における皮膜形成に当たっては、大気中で
プラズマ溶射する場合のみならず、減圧アルゴンガス雰
囲気中でのプラズマ溶射も行う。
第1図は、本発明のPd被覆Ti粉末を用いて減圧プラ
ズマ溶射する装置を示したものである。この図において
、図示の符号lは溶射雰囲気を画成するためのチャンバ
ーである。このチャンバー1には、排気用バルブ2、吸
気用バルブ3が配設してあり、またチャンバー1内のガ
スを吸引する真空ポンプ4が、雰囲気ガス中の粉塵類を
除去するためのマルチサイクロン5およびフィルター6
を介して接続しである。さらにこのチャンバー1には、
内圧保持用のアルゴンガス供給管7、被処理材冷即用の
アルゴンガス冷却管8、および溶射ロボ。
トモータ冷却のために用いるアルゴンガス冷却管9が取
付けられている。
一ヒ記チャンバー1内には、プラットフォーム10が設
置してあり、そのプラットフォーム10上には、溶射ロ
ボソ目1と回転台12が設置してあり、その回転台12
上には被処理材13が設置される。そして、該被処理材
13に対しては、温度計測用の熱電対14が、また溶射
ロボットIIの先端部には溶射ガン】5がそれぞれ取付
けてあり、いずれもチャンバー1の外から制御できるよ
うに構成しである。前記溶射ガン15には、雰囲気調整
も考慮しプラズマ発生ガスとしてアルゴン、水素、窒素
などのガス類を用いる。そして、この溶射ガン15と被
処理材13とは、チャンバー外にて接続され、両者は必
要に応して極性が変えられるようになっている。
次に、上記装置を用いて、本発明のPd被覆T1粉末を
被処理面に向けて溶射する方法について具体的に説明す
る。
(1)チャンバー1に取付けられている吸・排気用バル
ブ2,3およびアルゴンガス供給管7を閉とした後、真
空ポンプ4を作動させてチャンバー1内の空気を系外に
排出し、内圧をlXl0−”〜10−3mbr(ミリバ
ール)トスル。
(2)次に、アルゴンガス供給管7を開とし、チャンバ
ー1内に内圧: 60 mbr程度の希薄なアルゴンガ
ス雰囲気を構成する。
(3)その後、再び真空ポンプ4を作動させてチャンバ
ー1内のアルゴンガス圧力を20 mbrとした後、溶
射ガン15を作動させてプラズマアークを発生させると
共にそのアークの先端を被処理材の表面近傍へもって行
き、該被処理材を加熱する。
(4)  この被処理材の加熱は、外部電源16の接続
を、極性切換スイッチ17を用いて、溶射ガン15の方
を陰極とし被処理材13の方を陽極として、プラズマア
ークを被処理材】3の表面を数回掃走させることにより
行う。この処理によって被処理材13の表面は清浄化さ
れるとともに加熱、昇温され、被処理材13の予熱が果
たされる。
(5)なお、前記工程(3)と(4)の処理時、冷却用
のアルゴンガス供給管7は開とし、熱電対によって指示
される温度を監視しながら被処理材13が過熱されない
ように制御する。もっとも、たとえ過熱されても雰囲気
中には酸素が含まれていないため該被処理材13が酸化
されるおそれはないが、過熱による基質の冶金的変化を
少なくする意味で上記温度制御は必要である。
(6)被処理材13の表面を清浄にするとともに予熱を
完了したら、再びアルゴンガス供給管7を開としてチャ
ンバー1内の圧力を200+nbrとする。
(7)その後、溶射ガン15の極性を陰極から陽極へ、
また被処理材13の方を陽極から陰極へそれぞれ切換え
、本発明の前記溶射材料を被処理材13の表面へ所定の
厚さに溶射する。
このようにして被覆形成したTi材とPdとからなる溶
射皮膜は、雰囲気中に酸素がないため酸化物をほとんど
含まず、無気孔で緻密な状態を呈し、大気中のプラズマ
溶射皮膜特有の微小金属粒子が堆積したような組織とは
異なったものになる。と(に、この溶射皮膜は、酸化物
を含まないtこめ、被処理材13の基地との結合も緊密
であり、被処理材I3の予熱温度および硬質溶射材料の
化学組成の選択によっては両者を冶金的に結合させるこ
ともできる。
本発明の別の工程例として、上記(7)の処理後、引き
続き次のような処理を行えば、溶射皮膜の被処理材13
への冶金的結合は一層確実なものとなる。
すなわち、 (8)  (71の処理後、溶射材料の供給を中止して
プラズマアークだけを発生させ、これを再び溶射加工面
へ近づけて生成した溶射皮膜を加熱熔融させる。
(9)溶射皮膜を厚くするには、(7)の処理によって
溶射厚さを大としてもよいが、(7)と(8)の処理を
繰返すことによっても可能である。
0〔本発明のさらに別の工程例として、上記(8)の処
理後に再び(7)の溶射処理を繰返して溶射皮膜を被成
させてもよい。
0υ (7) 、 +7) + +8)または(7) 
+ +8) + I:iωの処理が終了すれば、真空ポ
ンプ4と供給アルゴンガス量を調整して、チャンバー1
内のガス圧力を10mbr程度とした後、再びアルゴン
ガスをチャンバー1内に導入して100mbr圧力とし
、このままの状態で30〜60分間放置する。
この処理中は常に真空ポンプ4を動かし、新しいアルゴ
ンガスを外部から供給しているため、被処理材13の温
度は次第に低下してくる。
α乃30〜60分間放置後、アルゴンガス供給量を大と
し、大気圧程度にするとともに真空ポンプ4の運転を中
止する。次いで、吸気用バルブ3および排気用バルブ2
を間として、大気とチャンバー1内の圧力差がなくなっ
たことを確認してから該チャンバー1の蓋を開き、被処
理材13を外に取り出す。
なお、上記溶射皮膜層をその後加熱して溶融させる処理
を施す場合、被処理材をマイナスに印加しておくと、表
面がより清浄化されるので、溶射時の必須工程であるブ
ラスト処理を施すまでもなく溶射作業の続行が可能であ
る。また、この溶射皮膜層の加熱溶融に際しては、被処
理材に熱電対を取付け、冷却用アルゴンガスを冷却管8
を通じて供給することによってその温度を制御すれば、
被処理材の材質に熱的な悪影響を与えることはない。
以上説明したような方法によって得られたPd被覆Ti
材溶射材料のプラズマ溶射皮膜は、他の単一材料の大気
中のプラズマ溶射法によって形成される皮膜とは全く異
なり、緻密で被処理材との密着性に優れたものとなるの
で、Pdを含むTi溶射皮膜の性能を長期間に亘って発
揮することができる。
なお、本発明は、大気中のプラズマ溶射法によっても所
望の耐食性皮膜の形成が可能であることは上述のとおり
であるが、ただ、この場合、得られる皮膜は、Tiおよ
びPdとも金属と酸化物の混合物になっているうえ、多
孔質である。したがって、耐食性の点に着目した場合、
減圧アルゴンガス雰囲気中でのプラズマ溶射皮膜のそれ
と比較すると、やや皮膜特性が劣る。
〔実施例〕
実施例1 溶射材料としては、純度99,8%のTiおよびTi合
金(6%Al−4%V−残部Ti、粒子径:5〜45μ
m)の粒子に、次のような方法でPd被覆処理を施した
ものを使用した。
上記粒子へのPd被覆処理に当り、次のような3種類の
混合薬液を準備した。
第−液・・・塩化第一錫   15g/I!   25
°C塩酸(36%)   lQml/I! 第二液・・・塩化パラジウム 1.0g/ 1  25
℃塩酸(36%)    3ml//1 第三液・・・塩化パラジウム 2.0g/ 1 50〜
80℃アンモニヤ(28Z) 200 ml/ /1ヒ
ドラジン(30Z)  3o ynt、’1そして、先
ず、Ti粒子を第−液の活性化剤中に5分間浸漬してT
i粒子表面を活性化させた後、第二液へ10〜15分間
浸漬した。その後、第三液に10〜15分間浸漬した後
、これを引き上げて純水で処理後のTi粒子を水洗し、
さらにエチルアルコールで脱水した後、真空乾燥してP
d被覆Ti粒子を得た。
その後、上記Pd被覆Ti粒子を用い、第1図に示す装
置による減圧アルゴンガス雰囲気中での溶射および大気
下プラズマ溶射を行い、SO5304(寸法直径20■
璽×長150 ms)の試験片に、厚さ100μmとな
るように溶射皮膜を形成した。
一方、比較例として、無処理(Pd皮膜のない)のTi
およびTi合金粉末を用い、第1図に示す装置によるア
ルゴンガス雰囲気溶射、および大気下プラズマ溶射法に
よって、同じ試験片に100μm厚の溶射皮膜を形成し
た。
このようにして得られた溶射皮膜付き試験片について、
次に示す3種類の無機酸中に240時間浸漬し、浸漬前
後の試験片の重量差から耐食性の良否を判定した。
酸の種類: 塩酸、硫酸、りん酸 酸の濃度: それぞれ2.5%(重量)浸漬温度ニア0
℃一定 第1表は、酸浸漬による腐食減量を示したものである。
比較例にあるPd皮膜をもたない無処理の溶射材料を用
いたものは、平均的に腐食減量が多(、減圧プラズマ溶
射装置を用いた溶射皮膜でもかなりの腐食減量が認めら
れた。
これに対し、本発明例にかかるPdを被覆したTiおよ
びTi合金溶射材料を用いたものでは、優れた耐食性を
示した。特に、減圧下のアルゴンガス雰囲気中でプラズ
マ溶射したときの皮膜は、比較例で得られている皮膜に
比べると、塩酸中で12〜14%、硫酸中で6.8〜1
2%、りん酸中で4〜5%程度の腐食減量にとどまった
また、本発明例での溶射材料を大気中でプラズマ溶射し
た場合でさえも、比較例に比べると、かなりの防食効果
を示しており、多少の気孔が存在することの明らかな溶
射皮膜であっても、必要な防食性能を発揮することが判
明した。
第  1 表 (備考)数字は重量減少を示し、単位はmg/cm2で
ある。
実施例2 この実施例では、食塩水中における耐食性を評価した。
すなわち、SO5304の板材(横50mm X 41
100mmx厚さ5−重)を被処理体とし、これを第2
図に示すように2枚を重ね合わせた。図において21お
よび22はそれぞれ溶射皮膜を形成した試験片であり、
23は試験片が離れないように取付けたSO5304製
のボルトである。
上記試験片をこのような状態で食塩水中に浸漬すると、
該試験片が相互に接触している個所では、僅かな隙間2
4が形成されるので、食塩水中に溶解している酸素の供
給が回能となり、孔食が発生しやすい環境が構成される
。これに対し、その他の試験片部は、開放された環境に
あるため、酸素の供給が行われ易く、孔食の発生が少な
い環境である。
そこで、被処理体(試験片)に、実施例1と同じように
溶射皮膜を形成させた後、上述の如き状態下にある各試
験片を50〜60℃に保持した5%食塩水中に6か月間
浸漬した。その後、試験片を取り出し、その表面を目視
および5倍の拡大鏡で観察した。
第2表は、この観察結果を示したもので、本発明にかか
るPd被覆Ti材料を用いて溶射した皮膜を有する試験
片は、大気中で溶射した皮膜を有する試験片どうしの場
合にのみ、それらの接触部で2カ所軽微な孔食が発生し
たに止まり、その他の皮膜部分は接触部、露出部とも全
く異常はなく健全な状態を示した。
これに対し、比較例のものは、減圧下アルゴン雰囲気下
のプラズマ溶射したものでも孔食が発生した。このこと
から、この減圧プラズマ溶射方法によって得られる皮膜
は、元来緻密である筈であるが、1カ所でも気孔が存在
すると、その部分が選択的に腐食されることを示してお
り、この点、本発明の接触皮膜処理材では、多少の気孔
が存在しても、防食効果に何の障害もないことが確認で
きた。
実施例3 この実施例では、第1図に示す装置を用いて、Pd被覆
Ti、 Ti合金のプラズマ溶射皮膜を形成させた後、
さらに同装置内で熱処理を行うことによって、得られた
溶射皮膜をTi−Pd合金化させた例である。すなわち
、第1図の装置は、実質的に酸素を含まないため、得ら
れる溶射皮膜は酸化物がなく、純度の高い金属皮膜であ
る。したがって、溶射後、第1図の外部型′tA16と
極性切換スイッチ17によって、溶射ガン15を陰極と
し被処理材13を陽極として、溶射ガンからアルゴンガ
スを流出しながら、両極に2〜3 KVAの電圧を負荷
させつつ、溶射ガンから発生するプラズマジェットによ
って被処理体を800〜900°Cに3分間加熱して熱
処理を施したのである。
供試溶射材料は次のとおりであり、粒子径は全て5〜4
4μmで、Pd被屓処理を施したものである。
(1)純Ti (2)  Ti合金(6%Al−4%■−残Ti)(3
)  Ti合金(4%Ah−3%Mn−残Ti)(4)
  Ti合金(7%Al−4%Mn−残Ti)熱処理後
の溶射皮膜を光学顕微鏡(X 100)で観察したとこ
ろ、Ti、 Ti合金皮膜とも気孔は全く認められなか
った。また、同じ断面をX線マイクロアナライザーによ
ってPdの分布を調査した結果、Pdは皮膜全体に均等
に分布していることが判明した。
そこで、これらの熱処理溶射皮膜の耐食性を、Pd被覆
を施していないTiおよびTi合金粉末を溶射して得ら
れる溶射皮膜(ただし、溶射装置および溶射皮膜の熱処
理条件は本発明例と同じ)と、Ti板(純度99.8%
)およびTi−Pd合金板(Pd O,15%)につい
て、これらを比較例として、それぞれを2.5%、70
℃の塩酸中に240時間浸漬して調査した。
その結果を第3表に示す。この表から判るように、本発
明の熱処理溶射皮膜についてみると、腐食減量が比較例
の溶射皮膜はもとより、Ti板より少なく、Ti−Pd
合金板と同等の耐食性を示した。
このことは、本発明にかかる溶射皮膜は、それをさらに
熱処理することによって、Ti−Pd合金板と同等の耐
食性を付与できることを示しており、高価なTi−Pd
合金板を使用するまでもなく、プラズマ溶射法によって
も部材の表面部のみを経済的に耐食処理できることが実
証された。
第   3   表 〔発明の効果〕 以上説明したように、TiおよびTi合金粉末の粒子表
面にPdを被覆した耐食性溶射材料とすることにより、
この材料を用いて得られるプラズマ溶射皮膜は、恰もT
i−Pd合金のような状態となるので、被処理面の耐食
性が著しく向上する。特に、この溶射材料を減圧アルゴ
ンガス雰囲気下でプラズマ溶射して得られる皮膜特性は
、耐酸性およびC1含有の水溶液中における耐孔食性に
優れた性能を発揮する。
したがって、本発明のPd被覆溶射材料およびこの材料
を用いた溶射皮膜を施工することによって、耐食性能に
優れた機械装置部材の製造が可能となり、腐食損傷事故
の低減1保守点検費の削減、装置の長寿命化などが期待
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、減圧アルゴンガス雰囲気下で溶射するための
減圧プラズマ溶射装置の路線図、第2図は、食塩水中に
浸漬して隙間腐食を発生させるための試験片の外観図で
ある。 l・・・チャンバー 2・・・排気用バルブ、3・・・
吸気用バルブ、4・・・真空ポンプ、5・・・サイクロ
ン、6・・・フィルター7・・・アルゴンガス供給管、 8・・・被処理体冷却用アルゴンガス供給管、9・・・
ロボットのモータ冷却用アルゴンガス供給管、10・・
・プラットフォーム、11・・・溶射ロボット、12・
・・被処理体保持台、13・・・被処理体、14・・・
温度計測用熱電対、15・・・溶射ガン、16・・・外
部直流電源、17・・・極性切換スイッチ、21、22
・・・溶射被覆試験片、23・・・接合ボルト、24・
・・2枚の試験片で構成される隙間。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1、粒子の表面がPdで被覆されたTiもしくはTi合
    金粉末よりなる耐食性溶射材料。2、TiもしくはTi
    合金粉末の各粒子を、Pdを溶解しためっき液中に浸漬
    して化学めっきすることにより、その表面にPdめっき
    膜を被成することを特徴とする耐食性溶射材料の製造方
    法。 3、被処理面上に、粒子表面にPdめっき膜を有するT
    iもしくはTi合金粉末よりなる耐食性溶射材料を、プ
    ラズマ溶射することにより被着させることを特徴とする
    耐食性皮膜の形成方法。 4、被処理面上に、粒子表面にPdめっき膜を有するT
    iもしくはTi合金粉末よりなる耐食性溶射材料を、実
    質的に酸素を含まない減圧アルゴンガス雰囲気下におい
    てプラズマ溶射することにより被着させることを特徴と
    する耐食性皮膜の形成方法。 5、プラズマ溶射することによって得られる耐食性皮膜
    を、実質的に酸素を含まない減圧アルゴンガス雰囲気下
    において加熱することにより、溶射皮膜中のPdを合金
    化することを特徴とする請求項1または4記載の耐食性
    皮膜の形成方法。
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CN107620027A (zh) * 2017-05-10 2018-01-23 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 一种金属/高分子复合涂层的制备方法

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