JP2728254B2 - コンダクターロールの製造方法 - Google Patents

コンダクターロールの製造方法

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JP2728254B2 JP63022085A JP2208588A JP2728254B2 JP 2728254 B2 JP2728254 B2 JP 2728254B2 JP 63022085 A JP63022085 A JP 63022085A JP 2208588 A JP2208588 A JP 2208588A JP 2728254 B2 JP2728254 B2 JP 2728254B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、コンダクターロールの製造方法に関し、と
くに鋼板の連続電気めっき処理に好適に用いられるコン
ダクターロールの製造方法に関するものである。
また、本発明が対象としているコンダクターロール
は、連続電解研磨処理(鉄鋼,非鉄金属類)や金属材料
の電解脱脂、電解脱スケール、アルミニウムおよびその
合金の陽極酸化処理の分野においても適用されるもので
ある。
〔従来の技術〕
一般に、薄鋼板への電気めっきは、被めっき鋼板を陰
極のコンダクターロールを介してめっき槽中を所定の速
度で通過させることによって行うのが普通である。例え
ば、第1図は連続電気めっき装置の概要を示すものであ
る。この装置において、被めっき鋼板pはまず、めっき
液lを満たしためっき槽tの中に入り、陰極のコンダク
ターロールrと接触すると同時に、陰極としての電位を
維持しつつ上下(ときにはどちらか一方)に並列に設置
されている陽極aの間を通過する。該被めっき鋼板pは
この陽極a間を通過中にめっきされ、その後槽外へ出て
水洗,乾燥などの工程を経て製品となる。
上記の如き装置に使用されるコンダクターロールとし
ては、その機能および耐久性の面から、 a.通電性能がよいこと、 b.耐食性能に優れていること、 c.耐摩耗性能に優れていること、 という3つの点、ならびに安価であることなどが要求さ
れる。
これに対し、従来の電気めっき用コンダクターロール
は、上記特性に対する配慮として次に示すような材質・
構造のロールが用いられてきた。
市販のハステロイC合金(16Cr−4W−5Fe−17Mo−残N
i)製ロール。
鋼製ロール表面にNiやCrをを電気めっきしたロール。
耐食製のNi基合金(例えばハステロイC合金)を鋼製
ロール表面に溶接肉盛したロル。
鋼製ロール表面に金属炭化物を溶射したロール。
しかしながら、このような従来コンダクターロール
は、ある特定の特性には優れているものの、他の特性を
満足させ得ないという欠点を有していた。例えば; 上記のハステロイCロールの場合、めっき液に対し
ては優れた耐食性を発揮しても、軟質(Hv200前後)で
あるための通板材(鋼板)という接触によって短期間内
に磨耗損傷を受け易いという問題点と共に高価であると
いう欠点があり、 上記のNiまたはCrめっきロールの場合、膜厚が薄い
うえに酸性のめっき液に腐食され易く、ロールとしての
寿命が短いという問題点を抱えており、 また、上記のNi基合金を肉盛溶接したロールは、使
用中に接触する鋼板によって摩耗損傷を受けやすいとい
う欠点と共に、さらにめっき液の腐食作用によって溶接
時に生成した樹枝状態組織がロール表面に浮き出る結果
(丁度マクロエッチングしたような状態となる)、この
組織模様がめっき鋼板に転写され、品質を甚だしく低下
させるという問題点があり、 さらに上記の金属炭化物(WC,TiC,Cr3C2など)を溶
射したロールの場合、特に酸性の強いめっき液(例えば
pH2以下)中で使用すると、溶射皮膜の気孔を通して侵
入しためっき液によって母材の鋼製ロールが腐食しこれ
が原因で溶射皮膜が剥離脱落するという問題点があっ
た。
なお、耐食合金を溶射することも考えられるが、溶射
の皮膜は特別の処理をしない限り、多孔質であるから前
記金属炭化物溶射皮膜と同じく剥離脱落現象が著しいと
いう問題点があた。
〔発明が解決しようとする課題〕
さて、上掲のに示した溶射被覆ロールの製造に当っ
て、ロール表面に金属炭化物や耐食合金を溶射する上記
従来技術の場合、次のような問題点があった。すなわ
ち、最近、生産性向上のためにラインを高速化している
が、こうした現状では高速化に伴い陰極電流効率(めっ
き付着効率)を向上させるためにめっき液の低pH化を実
施しており、その結果、腐食が一層進行しやすくなって
いるのが実情であり、上述した課題は益々大きなものと
なっている。
要するに、本発明の目的は、耐食性および耐腐食摩耗
性がともに優れる安価なロールを製造できる技術の開発
にあり、それによって従来技術が抱えている上述した技
術的課題を悉く解決しようというものである。
〔課題を解決するための手段〕
上掲の目的を実現するための有効な手段として本発明
では、耐食,耐摩耗性材料を、低圧の無酸素(アルゴ
ン)雰囲気下で溶射被覆する方法、及びかかる溶射被覆
の後さらに熱間静水圧加圧処理を施す方法を提案する。
すなわち、第1の方法は、鋼鉄製ロールを低圧の実質
的に酸素を含まないアルゴンガス雰囲気中において、プ
ラズマ発生ガスとしてアルゴンを用いる溶射ガンにてプ
ラズマアークのみを発生させることにより予熱し、その
予熱ロールの表面に、Coを主成分としてこれにCr−W−
C−FeもしくはCr−C−Fe−Ni−Moを加えた合金、ある
いはNiを主成分としてこれにCr−W−Fe−Moを添加した
合金よりなる耐食,耐摩耗性溶射材料を、引続き、同じ
低圧の実質的に酸素を含まないアルゴンガス雰囲気中で
前記溶射ガンにて、このガンとロールの電源接続の極性
を変えることにより、プラズマ溶射することにより、ま
た場合によってはさらに、上記プラズマ溶射の処理によ
って得られる溶射皮膜を、同じ実施的に酸素を含まない
アルゴンガス雰囲気下において、このガンとロールの電
源接続の極性を再び変えてプラズマアークを発生させて
再溶融することにより、実質的に酸素を含まない無気孔
の溶射皮膜を形成させる技術である。
第2の方法として本発明は、上述のような処理によっ
て得られた無気孔溶射皮膜つきロールをさらに熱間静水
圧加圧処理することにより、より高密度化された無気孔
溶射皮膜を有するコンダクターロールを低コストで製造
使用とする技術である。
〔作用〕
以下に、前記課題解決手段に想到するに至った背景に
ついて詳述し、併せて本発明方法の具体的内容について
説明する。
さて、我々の知る一般的な溶射法というのは、大気雰
囲気中で溶射するので、溶射材料は加熱溶融に伴って酸
化物となる。このようにして得られた酸化物を含む溶射
皮膜は、一般に、塑性変形しにくくかつ脆い酸化物粒子
を介して結合した堆積層であるから、上記粒子間には気
孔発生の主因である微少な空間が存在する。その結果、
このような溶射層は、その後加熱したとしても上記酸化
物粒子の存在が障害となって金属粒子どうしの相互融合
が阻害されるからポーラスな皮膜しかできない。しか
も、金属粒子を取り囲む酸化物は、被処理材に対しても
冶金的結合作用の障害となるので、溶射材料成分が被処
理材表面に十分拡散浸透することなく、単なる機械的結
合に止まる。要するに、従来の被膜は、かかる理由で剥
離しやすいのである。
なお、このような問題点を本質的に解決することな
く、単に溶射層を厚く形成したとしても、それは層が厚
くなるというだけであり、却ってその表・裏面における
冷却速度の違いに起因した内部応力を発生しやすくし、
剥離は一層容易になる。従って、通常の大気溶射では0.
5mm以下、厚くても1.0mmを上廻る皮膜形成は行っていな
いのが実情である。
そこで本発明では、溶射環境から酸素を除き、低圧の
アルゴンガス雰囲気中で被処理材を余熱し、その後溶射
する方法に想到した。その結果、溶射層を構成する金属
粒子は、酸化物を含まないのみならず粒子が相互に融合
しやすくなるために無気孔な溶射層を形成し、さらに被
処理材を予め予熱した場合には内部応力が熱的に解放さ
れるので、膜を厚くしても前述の如き問題は発生しない
という新たな知見が得られた。
さらに、酸化物粒子の存在がないので、被処理材の表
面では金属どうしが直接接触し、両金属が相互に拡散浸
透し易くなり、冶金的結合の強固な皮膜が得られるので
ある。
次に、本発明方法の詳細を説明する。
第2図は、本発明製造方法を実施する際に用いる装置
について示す。この図において、図示の符号1は溶射雰
囲気を画成するためのチャンバーである。このチャンバ
ー1には、排気用バルブ2、吸気用バルブ3が配設して
あり、またチャンバー1内のガスを吸引する真空ポンプ
4が、雰囲気ガス中の粉塵類を除去するためのマルチサ
イクロン5およびフィルター6を介して接続してある。
さらにこのチャンバー1には、内圧保持用のアルゴンガ
ス供給管7、コンダクターロールである被処理材冷却用
のアルゴンガス冷却管8、および溶射ロボットモータ冷
却のために用いるアルゴンガス冷却管9が取付けられて
いる。
上記チャンバー1内には、プラットフォーム10が設置
してあり、そのプラットフォーム10上には、溶射ロボッ
ト11と回転台12が設置してあり、その回転台12上には被
処理材(コンダクターロール)13が設置される。そし
て、該被処理材13に対しては、温度計測用の熱電対14
が、また溶射ロボット11の先端部には溶射ガン15がそれ
ぞれ取付けてあり、いずれもチャンバー1の外から制御
できるように構成してある。前記溶射ガン15には、雰囲
気調整も考慮しプラズマ発生ガスとしてアルゴン,水
素,窒素などの非酸化性ガス類を用いる。そして、この
溶射ガン15と被処理材13とはチャンバー外に接続され、
両者は必要に応じて極性が変えられるようになってい
る。
次に、上記装置を使って硬質の耐食,耐摩耗溶射材料
を溶射被覆する方法について具体的に説明する。
(1)チャンバー1に取付けられている吸・排気用バル
ブ2,3およびアルゴンガス供給管7を閉とした後、真空
ポンプ4を作動させてチャンバー1内の空気を系外に排
出し、内圧を1×10-2〜10-3mbr(ミリバール)とす
る。
(2)次に、アルゴンガス供給管7を開とし、チャンバ
ー1内に内圧:60mbr程度の希薄なアルゴンガス雰囲気を
構成する。
(3)その後、再び真空ポンプ4を作動させてチャンバ
ー1内のアルゴンガス圧力を20mbrとした後、溶射ガン1
5を作動させてプラズマアークを発生させると共にその
アークの先端を被処理材の表面近傍へもって行き、該被
処理材を加熱する。
(4)この被処理材の加熱は、外部電源の接続を、溶射
ガン15の方を陰極とし被処理材13の方を陽極として、プ
ラズマアークを被処理材13の表面を数回掃走させること
により行う。この処理によって被処理材13の表面は洗浄
化されるとともに加熱、昇温され、被処理材13の予熱が
果たされる。予熱の温度は、通常500〜900℃が適温であ
るが、材質の機械的性質に悪影響を与えない限り任意に
選択できる。
(5)なお、前記工程(3)と(4)の処理時、冷却用
のアルゴンガス供給管7は開とし、熱電対によって指示
される温度を監視しながら被処理材13が過熱されないよ
うに制御する。もっとも、たとえ過熱されても雰囲気中
には酸素が含まれていないため該被処理材13が酸化され
るおそれはないが、過熱による基質の冶金的変化を少な
くする意味で上記温度制御は必要である。
(6)被処理材13の表面を清浄にするとともに予熱を完
了したら、再びアルゴンガス供給管7を開としてチャン
バー1内の圧力を200mbrとする。
(7)その後、溶射ガン15の極性を陰極から陽極へ、ま
た被処理材13の方を陽極から陰極へそれぞれ切換え、硬
質溶射材料を被処理材13の表面へ所定の厚さに溶射す
る。
このようにして被覆形成した溶射皮膜は、雰囲気中に
酸素がないため酸化物をほとんど含まず、無気孔で緻密
な状態を呈し、大気中のプラズマ溶射皮膜特有の微小金
属粒子が堆積したような組織とは異なるものである。そ
のうえ、該溶射皮膜は酸化物を含まないために被処理材
13の基地との結合も緻密であり、被処理材13の予熱温度
および硬質溶射材料の化学組成の選択によって両者を冶
金的に結合させることもできる。
本発明の別の工程例として上記(7)の処理後、引き
続き次のような処理を行えば、溶射皮膜の被処理材13へ
の冶金的結合は一層確実なものとなる。
すなわち、 (8)(7)の処理後、溶射材料の供給を中止してプラ
ズマアークだけを発生させ、これを再び溶射加工面へ近
づけて生成した溶射皮膜を加熱溶融させる。
(9)溶射皮膜を厚くするには、(7)の処理によって
溶射厚さを大としてもよいが、(7)と(8)の処理を
繰返すことによっても可能である。
(10)本発明のさらに別の工程例として、上記(8)の
処理後に再び(7)の溶射処理を繰返して溶射皮膜を被
成させることもできる。
(11)(7),(7)+(8)または(7)+(8)+
(10)の処理が終了すれば、真空ポンプ4と供給アルゴ
ンガス量を調整してチャンバー1内のガス圧力を10mbr
程度とした後、再びアルゴンガスをチャンバー1内に導
入して、100mbr圧力とし、このままの状態で30〜60分間
放置する。
この処理中は常に真空ポンプ4を動かし、新しいアル
ゴンガスを外部から供給しているため、被処理材13の温
度は次第に低下してくる。
(12)30〜60分間放置後、アルゴンガス供給量を大と
し、大気圧程度にするとともに真空ポンプ4の運転を中
止する。次いで、吸気用バルブ3および排気用バルブ2
を開として、大気とチャンバー1内の圧力差がなくなっ
たことを確認してから該チャンバー1の蓋を開き、被処
理材13を外に取り出す。
このようにして各工程を経て被処理材表面に形成され
た溶射皮膜は、粒子間および基材との結合力が非常に大
きいため、1〜2mmの厚膜でも剥離することはなく、次
のようなCo系もしくはNi系の耐食,耐摩耗性溶射材料を
適宜選択してコンダクターロール表面へ被覆形成させる
ことができる。
なお、上記溶射層をその後加熱して溶融させる処理を
施す場合、被処理部材をマイナスに印加しておくと、表
面がより清浄化されるので、溶射時の必須工程であるブ
ラスト処理を施すまでもなく溶射作業の続行が可能であ
る。また、この溶射層の加熱溶融に際しては、被処理材
に熱電対を取付け、冷却用アルゴンガスを冷却管8を通
じて供給することによってその温度を制御すれば、被処
理材の材質に熱的な悪影響を与えることはない。
以上説明したような方法によって溶射被覆処理したコ
ンダクターロールは、その表面に従来の溶射層(皮膜)
とは全く異なった“緻密で高密着性の皮膜”を形成して
いるので、長期間にわたって優れた耐食性と耐摩耗性を
発揮し、従来の大気溶射ロールの欠点を完全に解消でき
る。
しかも、本発明は、低圧の無酸化雰囲気下、溶射によ
って得られた無気孔皮膜の特性を利用し、かかる溶射皮
膜を熱間静水圧加圧処理することによって、一段と質の
高いコンダクターロールを製造することができる。
この熱間静水圧加圧(HIP)処理は、第3図に示すよ
うな装置を利用して行う。この装置は主として、圧力容
器31、上蓋32、下蓋33及び断熱材層34から構成されてお
り、その高圧容器(圧力容器31)中に収容されている電
気炉中の支持台36上に被処理材(コンダクターロール)
35を設置し、その周囲にアルゴンガスを充満させるとと
もにヒータ線37によって加熱し、ガス圧と高温を同時に
被処理体に加える装置である。
なお、このような雰囲気調整の可能な装置を用いるこ
となく、大気中で溶射を行うと、皮膜が多孔質になると
共に貫通孔を多く含んでいるために加熱はできても皮膜
への加圧ができないという欠点があった。このため、従
来はわざわさ多額の費用をかけて被処理体の外周に密接
する金属製容器を製作し、これを通じて加熱,加圧する
必要があった。この加熱,加圧処理の後は再びこの金属
製容器を機械的に除去させる必要がある。
これに対し本発明で得られる溶射皮膜は無気孔である
ため、直接該HIP処理が可能であり、一段と高い緻密性
とロール母材との密着性にすぐれた性質のコンダクター
ロール皮膜が得られる。
〔実施例〕
実施例1 以下に、直径100mm、長さ500mmのJIS G3445(1983)S
TKM13A製コンダクターロールに本発明の製造方法を適用
して厚さ1.2mmの溶射皮膜を形成した例を説明する。
まず、前記コンダクターロールを収容するチャンバー
内を、内圧20mbrの低圧アルゴンガス雰囲気に調整し、
プラズマアークを発生させてロールの予熱を行い、引続
き第2表に示すような3種の溶射材料を溶射した。な
お、使用した溶射材料は、第2表に示すような成分組成
のCo基(A,B)及びNi基(C)合金で、前者は硬質材
料,後者は比較的軟質の材料である。これらはともにす
ぐれれた耐食性を示すものである。
これに対し、同じ溶射合金を用いて大気プラズマ溶射
により厚さ1.0mmの皮膜を形成させたものを比較例とし
て説明する。
そこで、上述の如き本発明法、従来法の適用によって
得られた溶射被覆ロールを用い、構造用鋼板(厚さ0.3m
m)の連続電気亜鉛めっき及び錫めっきを実施してその
特性を調査した。第3表は両めっき液の化学組成及びめ
っき条件を示したものであり、いずれも強い酸性を有す
るうえ、高い電流密度でめっき処理をしており、コンダ
クターロールとしては極めて厳しい環境と言えるもので
ある。また、第4表は、連続1000時間運転した後、該コ
ンダクターロールをめっき液より引上げ、その表面を観
察した結果を示すものである。この第3表が示す結果か
ら明らかなように、本発明方法で溶射被覆したロール
は、溶射材料A,B,Cを問わず、又溶射したままのもの及
びその溶射皮膜をプラズマアークで加熱,溶融した皮膜
とも全く健全な状態を維持していた。これに対し比較例
の溶射ロールは、皮膜の40%以上が剥離脱落し、ロール
表面皮膜としての機能を消失していた。
実施例2 上記実施例1に示したものと同じ寸法,同じ素材のコ
ンダクターロールに対し、上述したと同じ方法によって
溶射材料B,Cの溶射皮膜を形成させ、引続きこの皮膜つ
きコンダクターロールを、1050℃−500気圧のHIP処理を
施した。
次いで得られたコンダクターロールについて、上記実
施例1と同じ電気めっき液中2000時間運転した後、その
表面を観察したが、全く異常は認められず、さらに長期
間にわたって使用できることが確認された。
この実施例では、大気中溶射ロールは比較しなかっ
た。その理由は、実施例1の連続めっき条件と同一であ
り、又この条件では大気中溶射ロールの寿命が極めて短
期間であったためである。
〔発明の効果〕 以上説明したように、低圧無酸化環境下で耐食,耐摩
耗性材料をプラズマ溶射する本発明製造方法によれば、
無気孔で母材との密着性がよく、強酸性のめっき液中で
も長期間にわたって使用することができるコンダクター
ロールを安価に製造することができる。また、本発明
は、上記溶射被覆後のロールをさらに熱間静水圧加圧
(HIP)処理することにより、一段と皮膜密度と密着性
との向上したコンダクターロールを安価に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、コンダクターロールを使用した鋼板の連続電
気めっき層の略線図、 第2図は、低圧無酸化雰囲気した溶射装置の略線図、 第3図は、熱間静水圧加圧装置の略線図である。 1…チャンバー、2…排気用バルブ、3…吸気用バル
ブ、4…真空ポンプ、5…サイクロン、6…フィルタ
ー、7…アルゴンガス供給管、8…被処理体冷却用アル
ゴンガス供給管、9…ロボットのモータ冷却用アルゴン
ガス供給管、10…プラットフォーム、11…溶射ロボッ
ト、12…回転駆動装置、13…被処理体、14…温度計測用
熱電対、15…溶射ガン、16…直流電源、17…切換スイッ
チ、31…圧力容器、32…上蓋、33…下蓋、34…断熱材
層、35…被処理材、36…支持台、37…ヒータ線、38…溶
射金属被覆層。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−159566(JP,A) 特開 昭58−204198(JP,A) 特開 昭52−54628(JP,A) 特開 昭58−133398(JP,A) 特開 昭59−64796(JP,A) 特開 平1−127659(JP,A) 特開 平1−177389(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼鉄製ロールを低圧の実質的に酸素を含ま
    ないアルゴンガス雰囲気中において、プラズマ発生ガス
    としてアルゴンを用いる溶射ガンにてプラズマアークの
    みを発生させることにより予熱し、その余熱ロールの表
    面に、Coを主成分としてこれにCr−W−C−Feもしくは
    Cr−C−Fe−Ni−Moを加えた合金、あるいはNiを主成分
    としてこれにCr−W−Fe−Moを添加した合金よりなる耐
    食,耐摩耗性溶射材料を、引続き、同じ低圧の実質的に
    酸素を含まないアルゴンガス雰囲気中で前記溶射ガンに
    て、このガンとロールの電源接続の極性を変えることに
    より、プラズマ溶射することを特徴とするコンダクター
    ロールの製造方法。
  2. 【請求項2】上記プラズマ溶射の処理によって得られる
    溶射皮膜を、同じ実質的に酸素を含まないアルゴンガス
    雰囲気下において、このガンとロールの電源接続の極性
    を再び変えてプラズマアークを発生させて再溶融するこ
    とにより、実質的に酸素を含まない無気孔の溶射皮膜を
    形成することを特徴とする請求項1に記載のコンダクタ
    ーロールの製造方法。
  3. 【請求項3】鋼鉄製ロールを低圧の実質的に酸素を含ま
    ないアルゴンガス雰囲気中において、プラズマ発生ガス
    としてアルゴンガスを用いる溶射ガンにてプラズマアー
    クのみを発生させることにより予熱し、その余熱ロール
    の表面に、Coを主成分としてこれにCr−W−C−Feもし
    くはCr−C−Fe−Ni−Moを加えた合金、あるいはNiを主
    成分としてこれにCr−W−Fe−Moを添加した合金よりな
    る耐食,耐摩耗性溶射材料を、引続き、同じ低圧の実質
    的に酸素を含まないアルゴンガス雰囲気中で前記溶射ガ
    ンにて、このガンとロールの電源接続の極性を変えるこ
    とにより、プラズマ溶射し、その後、溶射被覆ロールを
    熱間静水圧加圧処理することにより高緻密化溶射皮膜を
    形成させることを特徴とするコンダクターロールの製造
    方法。
  4. 【請求項4】上記プラズマ溶射の処理によって得られる
    溶射皮膜を、同じ実質的に酸素を含まないアルゴンガス
    雰囲気下において、このガンとロールの電源接続の極性
    を再び変えてプラズマアークを発生させて再溶融するこ
    とにより、実質的に酸素を含まない無気孔の溶射皮膜を
    形成することを特徴とする請求項3に記載のコンダクタ
    ーロールの製造方法。
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