JPH0245109Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案はステアリングホイールの動きを入力軸
及びトーシヨンバーを介しロータリーバルブに伝
え、オイルポンプよりの圧油をパワーシリンダー
に選択的に給排して操舵し、且つ、ばねにより中
立状態のトーシヨンバーに予圧を与えるようにし
た動力舵取装置のばね反力装置に関するものであ
る。

（従来技術） 第１図は従来の動力舵取装置に於けるばね反力
装置である。入力軸１上のロータリーバルブ２と
バルブボデイ３の中立を出した時に入力軸１上に
突設したピン４、出力軸５上に突設したピン６と
は組立誤差により一直線上にならず周方向で位置
ずれを生ずる。そのため、ピン４，６を嵌合する
円弧ばね７の溝７ａ，７ｂを前記位置ずれに合せ
て周方向にずらせ、円弧ばね７を中立位置に保持
しているが、ずれ量Ｌの異る種々の円弧ばね７を
種々用意してマツチングする必要があり、組立に
手数を要し、又ロータリーバルブの作動角から円
弧ばねの広がる範囲が定まるため必要なばね力を
得る為には円弧ばねのスペースをかなり大きくと
る必要があり、限られたスペース内におさめるに
は円弧ばねの強度の点から困難な場合が多かつ
た。

又、実開昭60−137673号公報にはバルブハウジ
ング内に回転可能に支持した第１軸と一体的に回
転するバルブロータと、前記第１軸の軸端部に同
軸的かつ所定量相対回転可能に嵌合して連結した
第２軸と一体的に回転し、前記バルブロータの外
周に同心的に配置したバルブスリーブと、このバ
ルブスリーブと前記バルブロータ間に設けられパ
ワーシリンダの各油室に対する給排流路を切換え
可能な切換弁機構と、前記両軸間に同心的に挿通
されてこれら両軸を結合し操舵トルクに応じて前
記バルブロータとバルブスリーブ間に相対回転を
生じさせるトーシヨンバーを備えて、前記両軸間
の相対回転により前記切換弁機構を作動して、前
記パワーシリンダの各油室に対する作動油の給排
を制御するロータリバルブ式制御弁を具備する動
力舵取装置において、前記両軸の一方の外周両側
の一部に凹状のカム面を形成するとともに、前記
両軸の他方にその相対回転時前記カム面の作用に
て前記他方の軸の径外方へ所定量摺動する一対の
押圧子を組付け、かつ、この押圧子の外側に同押
圧子を前記カム面に弾撥的に押圧する環状のバネ
部材を配置するとともに、前記押圧子に車速に応
じて減圧する油圧を前記トーシヨンバーの挿通孔
を通して付与し、前記押圧子を前記バネ部材に抗
して付勢した動力舵取装置が開示されているが、
パワーシリンダーに送給する油圧切換バルブの中
立位置と、入力軸に設けられたＶ溝（カム面）と
出力軸に設けられた透孔（組付穴）の中立位置と
が加工誤差によりずれた場合のことが考慮されて
いない。

上記中立位置がずれた場合、左右どちらかにバ
ルブセンターがずれ、車両が真直に走行しない、
いわゆる斜めハンドルとなつて非常に危険であ
る。

（目的） 本考案は中立状態の入力軸とロータリーバルブ
に位置ずれを生じてもトーシヨンバーに対するプ
リセツト予圧の左右差を生ぜず、中立直進走行時
の剛性を向上することができ、コンパクトなロー
タリーバルブ機構にマツチした小型でスペースを
取らないばね反力装置を提供することを目的とし
ている。

（構成） 本考案はステアリングホイールの動きを入力軸
及びトーシヨンバーを介しロータリーバルブに伝
え、オイルポンプよりの圧油をパワーシリンダー
に選択的に給排して操舵し、且つばねにより中立
状態のトーシヨンバーに予圧を与える如くなした
動力舵取装置に於て、入力軸外周にバルブの中立
位置が多少ずれてもばね反力が増大せず、ばね反
力が作用しない所定長の底面を有するＶ溝を形成
し、該Ｖ溝に対設した出力軸の透孔にボールを嵌
合し、出力軸外周に配設した円弧状又は環状ばね
で該ボールをＶ溝に圧接して中立状態のトーシヨ
ンバーに予圧を与える如くし、中立状態の入力軸
とロータリーバルブに多少の位置ずれを生じても
ばね反力が増大せず、トーシヨンバーに対する予
圧プリセツトの左右差を生じないようにすること
を特徴としている。

第２図乃至第４図は本考案の第一実施例であ
る。入力軸１０はトーシヨンバー１１を介し出力
軸１２とを連結し、トーシヨンバー１１は一端を
セレーシヨン１３により出力軸１２に圧入固定
し、バルブの中立位置を決めた後ピン１４により
入力軸１０と固定される。ロータリーバルブ１５
は出力軸１２上のピン１６により出力軸１２と連
結され、ステアリングホイールを捩つた時、路面
からの反力に応じて入力軸１０と出力軸１２との
間に相対変位が生じ、バルブの油路を切換えバル
ブハウジング１７内のインポート１８から圧油を
左右シリンダー（図示せず）に分配し、ラツク軸
１９をパワーアシストする。

入力軸１０外周には対称位置に夫々Ｖ溝２０を
形成し、該Ｖ溝２０に対設した出力軸１２の透孔
２１にはボール２２を嵌合し、出力軸１２外周に
所定の隙間ｌを存して配設した円弧状ばね２３で
該ボール２２をＶ溝２０の底面２０ａに圧接して
いる。底面２０ａの長さはバルブの中立位置が多
少ずれてもばね反力が増大せず、ばね反力が作用
しない長さになつている。１６は出力軸１２外周
面に突設したピで、円弧ばね２３の両端は該ピン
１６に当接して、円弧ばね２３が拡開された時の
位置ずれを防止している。

次に作用について説明する。円弧ばね２３は取
り付けられた時既に強制的に拡開されていて入力
軸１０に第６図の如くプリセツト予圧ｆを与えて
いる。中立状態ではボール２２は第４図の如くＶ
溝２０の底面２０ａに圧接している。入力軸１０
と出力軸１２とに相対変位が生じた時はボール２
２は第５図の如く、Ｖ溝２０の斜面２０ｂで外方
に押されて円弧ばね２３を拡開し乍ら突出するの
でばね反力を得ることができる。円弧状ばね２３
の拡開量はＶ溝２０の斜面２０ｂの形状を選ぶこ
とにより自由に選択でき、中立状態ではＶ溝２０
の底面２０ａの長さは前記の如くなつているの
で、バルブの中立位置が多少ずれてもばね反力の
左右差に影響がないようにすることができる。

第７図は本考案の第２実施例である。第１実施
例の円弧状ばね２３の代りにエンドレスの輪ばね
３３を用い、入力軸と出力軸に相対変位が生じて
ボール２２が外方へ移動し、該輪ばね３３がボー
ル２２で外方へ変形した時、輪ばね３３がおさま
る凹部３４，３４を出力軸１２に形成してある。
第１実施例の位置決めピンは不要である。他の構
造・作用は第１実施例と同様なので省略する。

（効果） 本考案よると、ステアリングホイールの動きを
入力軸及びトーシヨンバーを介しロータリーバル
ブ伝え、オイルポンプよりの圧油をパワーシリン
ダーに選択的に給排して操舵し、且つばねにより
中立状態のトーシヨンバーに予圧を与える如くな
した動力舵取装置に於て、入力軸外周にバルブの
中立位置が多少ずれてもばね反力が増大せず、ば
ね反力が作用しない所定長の底面を有するＶ溝を
形成し、該Ｖ溝に対設した出力軸の透孔にボール
を嵌合し、出力軸外周に配設した円弧状又は環状
ばねで該ボールをＶ溝に圧接して中立状態のトー
シヨンバーに予圧を与える如くしてあるので、中
立状態の入力軸とロータリーバルブに多少位置ず
れを生じてもばね反力は増大せず、ばね反力が作
用しないのでトーシヨンバーに対するプリセツト
予圧の左右差を生せず、中立直進走行時の剛性を
向上することができ、コンパクトなロータリーバ
ルブ機構にマツチした小型でスペースを取らない
ばね反力装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の動力舵取装置のばね反力装置の
分解斜視図、第２図は本考案の第１実施例正断面
図、第３図は第２図のＡ−Ａ平断面図、第４図は
第３図のボール部拡大部分図、第５図は第４図の
入力軸と出力軸に相対変位が生じた時の図、第６
図は入力軸ねじれ角とトルクとのグラフ、第７図
は本考案の第２実施例の第３図相当図である。 １０……入力軸、１１……トーシヨンバー、１
２……出力軸、１５……ロータリーバルブ、２０
……Ｖ溝、２１……透孔、２２……ボール、２３
……円弧状ばね、３３……輪ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ステアリングホイールの動きを入力軸及びトー
   シヨンバーを介しロータリーバルブに伝え、オイ
   ルポンプよりの圧油をパワーシリンダーに選択的
   に給排して操舵し、且つばねにより中立状態のト
   ーシヨンバーに予圧を与える如くなした動力舵取
   装置に於て、入力軸外周にバルブの中立位置が多
   少ずれてもばね反力が増大せず、ばね反力が作用
   しない所定長の底面を有するＶ溝を形成し、該Ｖ
   溝に対設した出力軸の透孔にボールを嵌合し、出
   力軸外周に配設した円弧状又は環状ばねで該ボー
   ルをＶ溝に圧接して中立状態のトーシヨンバーに
   予圧を与える如くなした動力舵取装置に於けるば
   ね反力装置。