JPH0241073Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用シートの移動装置、詳しくは
シートクツシヨンの前端部を、車体フロアに揺動
自由に枢着したリンクの遊端に枢支して、前記リ
ンクの揺動により、前記シートクツシヨンを、前
記リンクの上死点を挾んで前後に移動可能とした
自動車用シートの移動装置に関する。

（従来技術） 一般にこの種の移動装置は、例えば実開昭56−
18570号公報に示されているごとく、フロアパネ
ルにリンクを枢着して、該リンクの遊端に、シー
トを構成するシートクツシヨンの前端を枢着する
一方、該シートクツシヨンの後端と前記フロアパ
ネルとの間にスライド装置を介装し、前記シート
クツシヨンの前端部を手で持つて前後に押し引き
操作することで、前記リンクを前後に揺動させ
て、前記シートを前後に移動させるように成して
いる。

（考案が解決しようとする問題点） ところで以上の移動装置によれば、前記シート
が重量物である上、押し引き操作によるシートの
前後への移動に伴い、前記リンクの揺動によつ
て、特に前記シートクツシヨンの前端側が、前後
移動と同時に上下にも振動することから、該シー
トを前後に移動させるに際して、傾斜している前
記リンクが起立位置まで揺動する間、換言すれ
ば、前記シートの移動操作時の前半において、前
記シートを前後に押し引き操作するために大きな
操作力を必要とするし、しかも、該シートの前方
及び後方への移動終端で、前記シートクツシヨン
の前端側が急速に降下して、不快音が発生する不
具合もある。

本考案は以上の実情に鑑みて開発したものであ
つて、目的とするところは、前記シートをスムー
ズにしかも小さな操作力で前後に移動させること
が出来るシートの移動装置を提供せんとするにあ
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案は以上の目的を達成するために、シート
クツシヨンの前端部を、車体フロアに揺動自由に
枢着したリンクの遊端に枢支して、前記リンクの
揺動により、前記シートクツシヨンを、前記リン
クの上死点を挾んで前後に移動可能とした自動車
用シートの移動装置において、前記シートクツシ
ヨンとリンク又は該リンクに固定の固定部材との
間に、両端に係止部を持つたトーシヨンスプリン
グを設けて、該トーシヨンスプリングの各係止部
を、前記リンクの上死点を挾んだ前後への揺動で
撓み、前記トーシヨンスプリングに、前記リンク
を揺動方向とは逆方向に付勢させるばね反力を生
じさせるごとく前記シートクツシヨンとリンク又
は固定部材とに係止させたものである。

（作用） 本考案によれば、前記シートの前後方向への移
動時、前記リンクが上死点を挾んで前後に揺動す
るに伴い、前記トーシヨンスプリングに、前記リ
ンクを揺動方向とは逆方向に付勢させるばね反力
が生じるので、前記シートの前方もしくは後方へ
の移動操作時において、一方向に傾斜している前
記リンクが揺動して起立するまでは、前記トーシ
ヨンスプリングに生じているばね反力が、前記シ
ートの押し引き操作を助け、しかも前記リンクが
起立位置から他方向に傾斜するに伴つて、前記ト
ーシヨンスプリングに再度生じるばね反力の作用
により、シートクツシヨンが急速に降下するのを
抑制するのである。

（実施例） 以下本考案にかかるシートの移動装置の一実施
例を図面に基づいて説明する。

図において１はフロアパネル、２は、シートク
ツシヨン３と、該シートクツシヨン３の後端にヒ
ンジ金具４０を介して支持したシートバツク４と
から成るシートであつて、前記フロアパネル１に
対し自動車進行方向前後に所定量移動自由に取付
けている。

具体的には、前記フロアパネル１における前記
シートクツシヨン３の前端部両側と対応する位置
に、Ｌ字型の支持ブラケツト５１，５１を固定し
て、該支持ブラケツト５１，５１にそれぞれリン
ク５，５を前後方向に揺動自在に支持し、且つ、
該両リンク５，５の遊端部間にコネクテイングパ
イプ５２を架け渡して、その両端を前記各リンク
５，５に溶接で固定する一方、前記シートクツシ
ヨン３の前端部下方に配置したクツシヨンフレー
ム３１に、一対の連結ブラケツト３２，３２を固
定し、該連結ブラケツト３２，３２に前記リンク
５，５の遊端部を枢着している。

又前記フロアパネル１における前記シートクツ
シヨン３の後端部両側と対応する位置に、前後に
延びるガイドレール３３を固定する一方、前記シ
ートクツシヨン３の後端部両側に、下方に延びる
ブラケツト３４を設け、該ブラケツト３４に、前
記ガイドレール３３のガイド孔３５内を摺動する
スライドピン３６を固定している。

しかして図に示す実施例では、以上のごとく構
成したシートの移動装置において、前記クツシヨ
ンフレーム３１と前記コネクテイングパイプ５２
との間に次のごとくトーシヨンスプリング６を設
けたのである。

即ち図の実施例では、ばね鋼の棒材（トーシヨ
ンバー）から成るトーシヨンスプリング６を用
い、該トーシヨンスプリング６の長さ方向両端
を、互いに逆方向に向けて90度屈曲し、第１及び
第２係止部６１，６２を一体形成すると共に、該
トーシヨンスプリング６を前記クツシヨンフレー
ム３１と前記コネクテイングパイプ５２との間に
配置して、前記第１係止部６１を前記クツシヨン
フレーム３１に、又前記第２係止部６２を前記コ
ネクテイングパイプ５１にそれぞれ係止して、前
記リンク５の上死点を挾んだ前後への揺動によ
り、前記トーシヨンスプリング６を捩つて、該ス
プリング６に、前記リンク５，５を揺動方向とは
逆方向に付勢させるばね反力を生じさせるごとく
成したのである。

次に以上の構成からなる移動装置の作用を説明
する。

第１図は、前記シート２を後方に移動させた状
態を示し、この状態では、前記リンク５，５が第
１図において２点鎖線で示す上死点から自動車進
行方向後方側に揺動傾斜しているので、前記トー
シヨンスプリング６には、前記リンク５，５を自
動車進行方向前方側に付勢させるばね反力が生じ
ている。

しかして懸かる状態から前記シート２を前方に
移動させるには、例えば前記シートクツシヨン３
の前端部を手で持つて前方に引つ張ればよいので
あつて、該シートクツシヨン３の前方への引き操
作により、前記リンク５，５が第１図実線で示す
位置から前方（第１図反時計方向）に揺動して、
前記シート２が前方に移動するのである。

ところで前記シート２の前方への移動時、後方
に傾斜していた前記リンク５，５が上死点まで揺
動する間は、前記リンク５，５が、前記シートク
ツシヨン３の前端側を次第に持ち上げるので、従
来ではそれだけシート２の引き操作力を大きくす
る必要があり、また前記リンク５，５が上死点を
越えた位置から更に前方へ揺動傾斜するに従い、
一旦上昇した前記シートクツシヨン３の前端側が
次第に降下するので、前記シート２の前方への引
操作力は前記よりも小さくてすむが、この時、シ
ートクツシヨン３の自重により、従来では該シー
トクツシヨン３の前端側が急速に降下して、該シ
ート２の前方への移動終端で大きな衝突音が発生
しかねないのである。

しかしながら図に示す実施例のものでは、該シ
ートの前方への移動時において、後方に傾斜して
いる前記リンク５，５が上死点まで揺動する間
は、前記トーシヨンスプリング６に発生している
前記リンク５，５を前方側に付勢させようとする
ばね反力の作用により、前記シート２を前方に移
動させる操作力が低減することとなるし、又前記
リンク５，５が上死点を越えた位置から更に前方
へ揺動傾斜するに従い、前記トーシヨンスプリン
グ６に、前記リンク５，５を後方側に付勢させよ
うとするばね反力が生じることから、該トーシヨ
ンスプリング６がいわゆるクツシヨン材の役割を
果たして、前記シートクツシヨン３の急速な降下
が抑制されるのである。

尚、前記シート２を前方から後方に移動させる
場合においても同様の作用効果が期待できること
は勿論である。

以上の実施例では、前記トーシヨンスプリング
６の第２係止部６２を前記コネクテイングパイプ
５２に係止したが、前記リンク５に係止してもよ
い。

（考案の効果） 以上のごとく本考案は、シートクツシヨンの前
端部を、車体フロアに揺動自由に枢着したリンク
の遊端に枢支して、前記リンクの揺動により、前
記シートクツシヨンを、前記リンクの上死点を挾
んで前後に移動可能とした自動車用シートの移動
装置において、前記シートクツシヨンとリンク又
は該リンクに固定の固定部材との間に、両端に係
止部を持つたトーシヨンスプリングを設けて、該
トーシヨンスプリングの各係止部を、前記リンク
の上死点を挾んだ前後への揺動で撓み、前記トー
シヨンスプリングに、前記リンクを揺動方向とは
逆方向に付勢させるばね反力を生じさせるごとく
前記シートクツシヨンとリンク又は固定部材とに
係止させたから、前記シートの前方もしくは後方
への移動操作時において、傾斜している前記リン
クが揺動して起立するまでは、前記トーシヨンス
プリングに生じているばね反力が、前記シートの
押し引き操作を助け、しかも前記リンクが起立位
置から傾斜するに伴い、前記トーシヨンスプリン
グに再度生じるばね反力の作用によりシートクツ
シヨンが急速に降下するのが抑制され、従つて全
体として、前記シートの前後への移動操作を、従
来よりも小さな操作力でしかもスムーズに行うこ
とが出来るに至つたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる移動装置を適用したシ
ートの概略側面図、第２図は前記移動装置の斜視
図である。 １……フロアパネル、２……シート、３……シ
ートクツシヨン、５……リンク、６……トーシヨ
ンスプリング、６１……第１係止部、６２……第
２係止部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンの前端部を、車体フロアに揺
   動自由に枢着したリンクの遊端に枢支して、前記
   リンクの揺動により、前記シートクツシヨンを、
   前記リンクの上死点を挾んで前後に移動可能とし
   た自動車用シートの移動装置において、前記シー
   トクツシヨンとリンク又は該リンクに固定の固定
   部材との間に、両端に係止部を持つたトーシヨン
   スプリングを設けて、該トーシヨンスプリングの
   各係止部を、前記リンクの上死点を挾んだ前後へ
   の揺動で撓み、前記トーシヨンスプリングに、前
   記リンクを揺動方向とは逆方向に付勢させるばね
   反力を生じさせるごとく前記シートクツシヨンと
   リンク又は固定部材とに係止させたことを特徴と
   する自動車用シートの移動装置。