JPH0233703Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、口紅、アイシヤドウ等の繰出機構を
有した棒状化粧料容器に関するもので、特に、容
器を最大限度を超えて作動させた場合に容器の損
壊を防止するためのクラツチ機構を設けた繰出容
器に関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

口紅やアイシヤドウ等の繰出機構を有する棒状
化粧品は、通常固形化粧料が先筒の内部に収納さ
れ、先筒の後端に連結された軸筒を手で回すこと
により化粧料を先筒先端から進出又は後退させる
ようになつている。このような繰出容器は、固形
化粧料を最後まで十分に使用しようとして軸筒を
限界以上に回し過ぎる余り、損壊してしまうこと
がしばしばあつた。そこで、これを防止するため
に、化粧料の繰出限界を超えたとき、先端に化粧
料を取りつけた進退軸の後端の突起が軸筒内周に
形成されたメネジから前方へはずれるクラツチ機
構を有する繰出容器が考案された。この繰出容器
では、化粧料の繰出限界を超えたとき軸筒が空回
りするため、容器の損壊が防止される。

しかしながら、このような従来の繰出容器で
は、使用後、固形化粧料を十分に収納しようとし
て軸筒を繰出時とは逆方向に限界以上に回し過ぎ
る余り損壊してしまうのを防止することはできな
かつた。

また、従来の繰出容器は、進退軸の突起が軸筒
のメネジと係合しているため、容器に加えられた
衝撃が直接進退軸先端の化粧料へと伝わり、ちよ
つとした振動や衝撃によつて化粧料が非常に折れ
やすく、また、抜けやすかつた。

〔考案の目的〕

本考案はこれらの事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、化粧料の繰出又は
収納限界のいずれを超えたときにも軸筒が空回り
するクラツチ機構を有する繰出容器を提供するこ
とにある。

本考案の他の目的は、固形化粧料へ伝わる外部
からの衝撃を緩衝する繰出容器を提供することで
ある。

〔考案の概要〕

本考案は、基本的に、先筒と、先筒に回転自在
に連結した軸筒と、軸筒内で摺動可能且つ回転不
能であり内周にメネジを形成したラセン筒と、先
筒内で摺動可能で且つ回転不能であり後端の突起
がラセン筒のメネジと係合する進退軸と、進退軸
先端の固形化粧料と、先筒とラセン筒との間で少
なくとも突起の軸方向長さを吸収可能な圧縮バネ
と、圧縮バネとラセン筒との間の環状パツキング
とから成るものである。

〔考案の実施例〕

次に図面を参照して本考案の実施例について詳
説する。

第１図は本考案に係る繰出容器の好適実施例を
示す縦断面図で、第２図は第１図の−線にお
ける拡大断面図、第３図は−線における拡大
断面図である。

先筒１は、第２図から認められるように断面六
角形のガイド開口１１を中心に有する化粧料収納
用の筒体である。

先筒１の後部１２には、中空管状の軸筒２が相
対回転自在に連結される。この連結は、後部１２
の外周と軸筒２の先端内周とに対応して設けた環
状凹凸部２１によりなされるから、軸筒２は先筒
１に対し相対回転はできるが、軸線方向の移動は
できない。軸筒２の後半部内周には、径内向へ突
出する軸方向に互いに平行な４本の突条２２が等
間隔で設けられている。この後半部内周断面は、
第３図から認められるように円形内部に等間隔で
４個の軸方向凸部を設けた形状である。

軸筒２の中空部内には、内周全長にわたり螺旋
又はメネジ３１を形成したラセン筒３が挿入され
る。ラセン筒３の外周には、第３図から認められ
るように軸筒２の突条２２に対応して軸線方向に
４本の溝３２が形成されて突条２２と係合してい
る。これはラセン筒３を軸筒２内で摺動可能で且
つ回転不能とするためである。従つて、軸筒２の
後半部内周断面を多角形状とし、ラセン筒３の外
周断面を軸筒２の内周とほぼ一致する多角形状と
してもよい。

軸筒２内には、前記メネジ３１と係合するオネ
ジ状突起４１を後端に有する進退軸４が挿入され
ている。進退軸４は、第２図から認められるよう
にガイド開口１１の断面形状に対応して断面六角
形の棒状に形成され、ガイド開口１１内に挿通さ
れて非回転直線運動をするように案内される。進
退軸４とこれを挿通案内するガイド開口１１は断
面六角形のものとして図示してあるが、これは軸
筒２の回転によつて進退軸４を回転させずに並進
運動させるためである。従つて、断面六角形部分
を先筒１の開口のうちの一部のみとしてもよく、
断面を六角形に限らず三角形その他の多角形或い
は楕円形としてもよい。また、先筒内周軸線方向
に溝を形成し進退軸外周に該溝と係合する突起を
設けることにより非回転並進運動を行つてもよ
い。

進退軸４の前端４２は３つ割となつていて、固
形棒状の化粧料５を固定する。

先筒１とラセン筒３との間には、中に進退軸４
を挿通した圧縮バネ６が介在している。圧縮バネ
６は、通常ラセン筒３を後方へ押圧しており、突
起４１がラセン筒３から前方へ突出したときには
突起４１を後方へ押圧する。従つて、先筒１とラ
セン筒３との間には、圧縮バネ６が突起４１の軸
方向長さを吸収可能なだけの間隔が存在すること
が必要である。

圧縮バネ６とラセン筒３との間には、環内に進
退軸４を挿通した環状パツキング７が介在する。
環状パツキング７は、内径が突起４１の外径より
小径をなし、外径がラセン筒３の先端開口部３３
より大径をなしている。このため、圧縮バネ６が
ラセン筒３内に挿入されたり中に突起４１を挿入
したりすることが防止される。また、パツキング
７は、圧縮バネ６がラセン筒３又は突起４１に擦
傷をつけるのを防止する。

本考案に係る繰出容器は、使用時には、第１図
で示す状態から先筒１に対して軸筒２を一方向に
回転させることにより化粧料５を直線的に突出さ
せることができる。化粧料５の繰出限界を超えた
とき、第４図に示すように、突起４１がラセン筒
３から前方へはずれて軸筒２は空回りの状態とな
る。このとき、先筒１を軸筒２に対して１回転さ
せるごとに突起４１は、メネジ３１の先端不連続
部とぶつかつてカチツという快音を発し、化粧料
５の繰出限界に達したことを警告する。

使い終つた後は、軸筒２を前記と反対方向へ回
転させることにより化粧料５を先筒１内へ引込め
ることができる。このとき、突起４１は圧縮バネ
６によつて後方に押圧されているので、突起４１
はメネジ３１と容易に係合可能である。

化粧料５の収納限界を超えて軸筒２を先筒１に
対して前記反対方向へ回転させたとき、圧縮バネ
６がラセン筒３を後方へ押圧する力に抗して突起
４１はラセン筒３から後方へはずれようとする。
このとき、進退軸４の後端４３は軸筒２の底部２
３に達しているため、溝３２が突条２２と係合し
ていて軸筒２と回転不能で且つ摺動可能であるラ
セン筒３は、メネジ３１と突起４１との係合部が
ラセン筒３の後端へと移動するにつれて第１図で
示す状態から前方へ摺動してついには第５図で示
すように突起４１からはずれる。従つて、先筒１
に対して軸筒２は、空回りの状態となる。このと
き、先筒１を軸筒２に対して前記反対へ１回転さ
せるごとに、繰出限界を超えたときと同様に、突
起４１は、メネジ３１の後端不連続部とぶつかつ
てカチツという快音を発し、化粧料５の収能限界
に達したことを警告する。

〔考案の作用及び効果〕

本考案は、以上の構成を有し、先筒に対して軸
筒を回転させることにより化粧料を先筒先端から
進出又は後退させることができる。化粧料の繰出
限界を超えたとき、本考案の繰出容器は、進退軸
後端の突起がラセン筒から前方へはずれて軸筒が
空回りする。従つて、繰出時に軸筒を限界以上回
し過ぎる余り容器を損壊してしまうのを防止でき
る。このとき、突起は圧縮バネによつて後方に押
圧されているので、軸筒を逆方向に回転させれば
突起はラセン筒のメネジと容易に係合して、化粧
料を容器内に収納できる。

また、化粧料の収納限界を超えたとき、本考案
の繰出容器は、進退軸後端の突起がラセン筒を前
方へ押出しラセン筒から後方へはずれて軸筒が空
回りする。従つて、収納時に軸筒を限界以上回し
過ぎる余り容器を損壊してしまうのを防止でき
る。このとき、ラセン筒が圧縮バネによつて後方
に突起に対して押圧されているので、軸筒を繰出
方向に回転させれば突起はラセン筒のメネジと容
易に係合して、化粧料を繰出すことができる。

更に、本考案の繰出容器は、ラセン筒が軸筒に
対して摺動可能であり、ラセン筒は圧縮バネによ
つて常に押さえられている。このため、容器外部
に衝撃が加えられたとき、この衝撃は、圧縮バネ
によつて緩衝された後に進退軸を経て固形化粧料
へと伝わる。従つて、本考案の繰出容器は、ハン
ドバツク内で振動を加えられたり、少々の高さか
ら落とされたりしても、簡単に化粧料が折れたり
抜けたりしてしまうことはない。

その上、本考案は、先筒と軸筒との間の圧縮バ
ネのため、先筒と軸筒との回転作動に軽い摩擦抵
抗を与えて安定ならしめ、化粧料の円滑で安定し
た繰出又は収納を行なうことができるとともに、
先筒や軸筒がプラスチツクから成る場合にも金属
製の高級繰出容器と同様の重厚な使用感を得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る繰出容器の縦断面図で
ある。第２図は、第１図の繰出容器の−線に
おける拡大断面図である。第３図は、第１図の繰
出容器の−線における拡大断面図である。第
４図は、化粧料を最大限に繰出したときの繰出容
器の縦断面図である。第５図は、化粧料を最大限
に収納したときの繰出容器の縦断面図である。 主要符号、１……先筒、２……軸筒、３……ラ
セン筒、４……進退軸、５……固形化粧料、６…
…圧縮バネ、７……環状パツキング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ａ 非円形状のガイド開口を有する先筒； ｂ 前記先筒に回転自在に連結し後半部に非円
   形状の内周断面を有する軸筒； ｃ 前記軸筒の内周とほぼ一致する外周形状を
   外周の少なくとも一部に有して前記軸筒内で
   摺動可能で且つ回転不能であり、内周にメネ
   ジを形成したラセン筒； ｄ 前記ガイド開口とほぼ一致する外周形状を
   外周の少なくとも先端部に有して前記先筒内
   で摺動可能で且つ回転不能であり、前記メネ
   ジに係合する突起を後端に有する進退軸； ｅ 前記進退軸の先端に取付けられ前記先筒内
   に収納される固形化粧料； ｆ 前記先筒と前記ラセン筒との間に介在し、
   少なくとも前記突起の軸方向長さを吸収可能
   な圧縮バネ；並びに ｇ 前記突起の外径より小径をなす内径及び前
   記ラセン筒の先端開口部より大径をなす外径
   を有し、環内に前記進退軸を挿通して前記圧
   縮バネと前記ラセン筒との間に介在した環状
   パツキング； から成るところの繰出容器。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載された
   繰出容器であつて、 前記非円形状のガイド開口が多角形状である
   ところの繰出容器。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１又は２項に記載
   された繰出容器であつて、 前記軸筒の前記非円形状の内周断面が円形内
   部に等間隔で４個の軸方向凸部を設けた形状で
   あるところの繰出容器。