JPH0230013Y2

JPH0230013Y2 -

Info

Publication number: JPH0230013Y2
Application number: JP1983050013U
Authority: JP
Priority date: 1983-04-04
Filing date: 1983-04-04
Publication date: 1990-08-13
Also published as: JPS59154312U

Description

【考案の詳細な説明】この考案はスラツジ濾過に使用するフイルタプ
レスに係り、特に前記フイルタプレスに使用する
濾板の改良に関する。

周知の通り、フイルタプレスの濾板（筋板）に
は単式（リセスドプレート型）、複式（プレート
アンドフレーム型）を問わず、濾布を支持し、ま
た濾布を透過した濾液の排出を容易にするため
に、その濾過作用面に凹凸が形成されている。こ
のため、濾過作用面の凹部、すなわち濾液の排出
溝にあたる部分にスケールが沈積して濾液の通過
が阻害され、濾過機としての機能が著しく低下す
る。特に浄水場、下水処理場などで発生するスラ
ツジを濾過する場合、濾過助剤として消石灰（水
酸化カルシウム）を添加することが多く、添加さ
れた消石灰（水酸化カルシウム）は大気中の炭酸
ガスと反応し炭酸カルシウムを生成し、この炭酸
カルシウムが前記濾板の凹部に固着して濾液の排
出を阻害することは周知の事実である。そして、
前記炭酸カルシウムは非常に固いため、その除去
には多大の労力と、数日間にも及び濾過機の運転
停止期間とを要し、濾過機の稼動率を著しく低下
させるという欠点があつた。

本考案は上記の事情に鑑み、スケールの固着を
防止するフイルタプレスの濾板を提供するもの
で、前記濾過作用面をゴムなどの弾性体で構成し
濾過作用面を変形自在にしたことを特徴とする。

以下、図面に基づき本考案を説明する。

まず、本考案の要部の説明に先立ち、本考案が
適用されるフイルタプレスについて説明する。第
１図は本考案に係る濾板が適用されるセンタフイ
ード単式フイルタプレスの一構成例を示す概略断
面図であり、同図イは濾過工程におけるフイルタ
プレスの状態を示し、同図ロはケーキ排出工程に
おけるフイルタプレスの状態を示すものである。
これらの図において、１は図示しない支持台に固
定された固定ヘツド、２は油圧装置の出力軸２ａ
によつて左右に揺動される移動ヘツドである。そ
して、固定ヘツド１と移動ヘツド２との間には濾
布３が濾板４を介して多数張設されており、各濾
板４が移動ヘツド２によつて圧着されると前記濾
布３が濾室５を形成するようになつている。そし
て各濾室５には同図イに示すように、各濾板４の
中心部を貫通する供給孔６を介してスラリ７が圧
入され、その液分は濾布３を透過して濾板４に形
成された凹凸状の濾過作用面を流れ、濾板４の下
方に設けられた孔９から濾液８として外部へ排出
される。一方、スラリ７中の固形分は濾布３に遮
られ、濾室５内にケーキとして残留する。そして
上述した濾過操作が終了すると同図ロに示すよう
に各濾板４を逐次開放して濾室５内のケーキ１０
を外部へ排出する。こうして１回の濾過操作サイ
クルが終了し、以下同様のサイクルが繰返えされ
る。

次に、上述したセンタフイード単式フイルタプ
レスに適用した本考案の一実施例を第２図と第３
図を参照して説明する。第２図と第３図におい
て、第１図の各部に対応する部分には同一の符号
を付してある。さて、本実施例の特徴は濾板４の
構成にある。すなわち、濾板４は、濾板母体１１
と、濾板母体１１の濾布３に向き合う外面に固着
された板状部材１２とから構成されている。ここ
で濾板母体１１は、鉄などの金属、またはプラス
チツクスを材料として形成され、また、板状部材
１２は天然ゴム、合成ゴムなどの弾性体で作ら
れ、その表面、つまり濾過作用面１２ａには多数
の濾液排出溝１３が形成され、板状部材１２は全
体的に網状になつている。そしてこの板状部材１
２は、濾板母体１１の外面に形成された凹所１１
ａに嵌着され、ねじ１４によつて濾板母体１１に
一体に固定されている。

このような構成において、供給孔６からスラリ
７が高圧供給され、前述したように圧搾脱水が行
われると、上記スラリ７の高圧供給による加圧に
よつて板状部材１２が、その濾過作用面１２ａを
第３図実線の状態から２点鎖線の状態に変形させ
る。このため、大気中の炭酸ガスと水酸化カルシ
ウムの反応によつて板状部材１２の濾過作用面１
２ａに生成付着した炭酸カルシウム（スケール）
は、上記濾過作用面１２ａの圧縮変形によつて破
砕されると同時に濾過作用面１２ａから分離し、
濾布３を透過した濾液により洗い流される。この
ようにして、濾過作用面１２ａに発生したスケー
ルは濾過操作中に除去されるので、清掃する必要
がなく、またスケールが成長して濾過作用を阻害
することもなくなる。

なお、本出願人が先に出願し、実公昭57−
57766号に記載されているようなケーキ圧搾用ダ
イヤフラム付フイルタプレスにおいては、圧搾用
ダイヤフラムを設置しない濾過作用面にのみ本考
案を適用することで上述した作用効果を得ること
ができる。

ところで、本考案の作用効果を一層高めるため
に、板状部材１２の材質、柔軟度（加圧時の変形
度）、厚さ、或いは濾液排出溝１３の形状（第２
図と第３図に示した三角、四角など）、深さ、刻
設ピツチ等が検討される。

上記変形度について言えば、濾液排出溝１３を
構成する突子１２ｂの平常時（非加圧時）の頂面
面積が、加圧時において10〜30％程度、好ましく
は20〜25％増加する程度がよい。上記は、直径Ｄ
が18mm、高さＨが５mm、頂面面積の総和が、板状
部材１２の全平面積の40％前後（30〜50％）のも
のについての結果であるが、上記以外の板状部材
についても大体同一である。

以上説明したように本考案によれば、濾布に向
き合う濾板母体の外面に凹所を設け、濾室側に凹
凸部を設けた濾過作用面の、その凹部に多数の濾
液排出溝が形成された弾性体よりなる板状部材
を、上記濾板母体の凹所に嵌着し、かつ上記板状
部材の濾液排出溝を構成する突子の平常時（非加
圧時）の頂面面積を、加圧時において少なくとも
10％増加させるように形成したものであるから、
原液（スラリ）の高圧供給による加圧によつて、
板状部材が、その濾過作用面を変形させ、この濾
過作用面に生成付着しているスケールが破砕され
ると同時に、濾過作用面から分離し、濾布を透過
した濾液により洗い流されることにより、濾過作
用面に発生したスケールを濾過操作中に除去する
ことができ、清掃する必要がない上に、スケール
が成長して濾過作用を阻害することを防止できる
利点が得られる。また、この結果濾過機の稼動率
を上昇させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が適用されるセンターフイード
単式フイルタプレスの概略構成を示す断面図で、
同図イは濾過工程における同フイルタプレスの状
態を示し、同図ロはケーキ排出工程における同フ
イルタプレスの状態を示すものである。また第２
図は本考案の一実施例を示す断面図、第３図は板
状部材の略図、第４図は板状部材の正面図であ
る。３……濾布、５……濾室、７……スラリ（原
液）、１１……濾板母体、１１ａ……凹所、１２
……板状部材、１２ａ……濾過作用面、１２ｂ…
…突子、１３……濾液排出溝。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

濾室空間の２枚の濾布の間に原液を加圧注入し
て圧搾・濾過を行なうフイルタプレスであつて、
濾布に向き合う濾板母体の外面に凹所を設け、濾
室側に凹凸部を設けた濾過作用面の、その凹部に
多数の濾液排出溝を形成した弾性体よりなる板状
部材を、上記濾板母体の凹所に嵌着させるフイル
タプレスの濾板において、上記板状部材は、その
濾液排出溝を構成する突子の平常時の頂面面積
が、加圧時において少なくとも10％増加するよう
に形成されたことを特徴とするフイルタプレスの
濾板。