JPH02238B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は船外推進ユニツト、特にこれのトリミ
ング、チルテイングを行なう油圧装置に関する。

米国特許第3581702号、同第3722455号、同第
3885517号は、すべて、チルト軸線まわりに船外
推進ユニツトをトリム、チルト操作するように単
一のポンプによつて駆動される別体のトリム、チ
ルト用油圧シリンダを利用した油圧トリム・チル
ト装置を記載している。これらの装置において、
トリム用シリンダ、チルト用シリンダは、共に、
トリム操作モード、チルト操作モードのいずれに
おいても、単一のポンプからの作動流体で加圧さ
れる。トリム操作モードでは、トリム、チルト両
方のシリンダが付勢されて推進ユニツトをトリム
操作し、チルト操作モードでは、トリム用シリン
ダはそのストロークの終りに達し、チルト用シリ
ンダのみでエンジンをチルト操作させる。これら
トリム・チルト装置は圧力逃し弁を備えていてチ
ルトシリンダに緩衝器の作用をさせるようになつ
ている。これらのトリム・チルト装置はシステム
の形状寸法、すなわち、トリム・チルト両シリン
ダの作用するモーメントアームの相対長さおよび
シリンダの相対直径に依存して、推進ユニツトが
かなりのスラスト荷重を発生しているときにこの
推進ユニツトがトリム範囲を越えてチルト動作を
行うのを防ぐようになつている。この配置では、
チルトシリンダの直径が制限を受け、緩衝器とし
てその有効性を制限される。さらに、このような
装置では、その形状寸法をそれと共に用いる推進
ユニツトに注意深く合わせなければならない。

本発明によれば、ボートに枢着した船外機ある
いは船尾駆動ユニツトのような船外推進ユニツト
のトリミング、チルテイングを行う油圧装置が少
なくとも第１、第２の伸縮自在油圧ピストン・シ
リンダユニツトを有する。これらのピストン・シ
リンダユニツトに油圧ポンプが作動流体を供給
し、圧力逃し装置が、第２ピストン・シリンダユ
ニツトが所定量伸びたときに第１ピストン・シリ
ンダユニツトに供給される最高圧力を制限する。

圧力逃し装置はパイロツト作動式逆止弁であつ
てもよく、これを第２油圧ピストン・シリンダユ
ニツトのピストンを貫く孔に装着する。特にコン
パクトな配置では、圧力逃し装置は孔の一端にあ
るパイロツト作動式弁であつてもよく、その弁軸
は孔の一端から突出してピストンストロークの終
りで油圧シリンダの端と係合する。孔の反対端に
はボール逆止弁を用いて、このボール弁との間に
ただ１つのばねを配置してこれらの弁を閉位置に
向つて押すようにしてもよい。

本発明は、推進ユニツトがかなりのスラストを
発生しているときに最大トリム位置を越えて推進
ユニツトがチルト動作を行うのを防ぐのに特に有
効である。この油圧トリム制限装置はコンパク
ト、安価であり、外部のハードウエアを必要とし
ない。さらに、リリーフ弁ばねのばね率を変える
だけで種々の寸法のエンジンに合わせることがで
きる。

以下、添付図面を参照しながら本発明を詳しく
説明する。

図に示す船外機１０はボートのトランソムに取
付けるトランソムブラケツト１１を包含する。ス
イベルブラケツト１２がこのトランソムブラケツ
ト１１にチルトピン１３によつて装着してあつて
チルト運動を行なえるようになつており、船外駆
動ユニツト１４（第１図に仮想線で示す）がこの
スイベルブラケツトに普通の要領で枢着してあつ
てほぼ垂直のかり取り軸線まわりのかじ取り制御
を行なえるようにしてある。

船外駆動ユニツト１４のトリミングおよびチル
テイングを行ないかつ水中の障害物に衝突したと
きに衝撃を緩らげるために油圧トリム・チルト装
置１５が設けてある。この油圧装置１５はトリ
ム・チルト用油圧ピストン・シリンダユニツト１
６を包含し、これはその下端１８でトランソムブ
ラケツト１１にピン１９によつて枢着したシリン
ダ１７と、別のピン２１によつてスイベルブラケ
ツトに枢着したピストンロツド２０とを有する。
２つの油圧トリムピストン・シリンダユニツト２
２がトリム・チルトユニツト１６の各側に１つず
つ、トランソムブラケツト１１上に装着してあ
る。これらユニツト２２のピストンロツド２３は
後方上向きに突出する。１つのトリムシリンダ２
２の上方においてトランソムブラケツト１１内に
電動式可逆油圧ポンプユニツト２４が装着してあ
り、これは油圧シリンダ１６，２２を駆動するよ
うに接続したスプール弁２５を包含する。第１図
の完全チルト位置において、船外駆動ユニツト１
４は完全に伸びたトリム・チルトピストン・シリ
ンダユニツト１６によつてのみ支えられており、
第２図に示す最大トリム位置および下方トリム位
置では、駆動ユニツト１４は３つの油圧ピスト
ン・シリンダユニツトのすべてによつて支えられ
ている。

第３図に示すトリム・チルトピストン・シリン
ダユニツト１６は米国特許第4052952号の第91011
図に示すものに類似している。このユニツトはピ
ストン組立体２６を受け入れるシリンダ１７と、
シリンダ端キヤツプ２７と、ピストン２６に取付
けてあつてシリンダ端キヤツプ２７を貫通してい
るピストンロツド２０とを包含する。ピストン組
立体２６はピストンロツド２０に取付けたシヨツ
クピストン２８と浮動式トリムピストン２９とを
包含する。シヨツクピストン２８はばね負荷式ボ
ールシヨツク弁３０を包含し、駆動ユニツト下部
が水中の障害物に当つたときにピストンロツド２
０に加える衝撃に応じてシヨツクピストン２８を
通して流れを生じさせるようになつている。した
がつて、衝撃時には、駆動ユニツト１４は上向き
に傾き、ピストンロツド２０を伸ばし、シヨツク
ピストン２８をトリムピストン２９から離すよう
に引張ることになる。シヨツクピストン２８には
ばね負荷式ボールもどし弁３１があつて、衝撃荷
重が過ぎたときに船外駆動ユニツト１４をその下
方位置にゆるやかにもどすようになつている。ピ
ストン組立体の底側に作動流体を供給すべく第１
の入口３２が設けてあり、ピストン組立体の頂側
に作動流体を供給すべく第２の入口３３が設けて
ある。この第２入口は管状ピストンロツド２０に
入れ子になつたチユーブ３４によつてピストン組
立体の頂側に接続してあり、かつシヨツクピスト
ン２８の頂付近でピストンロツド２０の側面に設
けた孔３５と接続してある。

トリムピストン・シリンダ組立体２２はトラン
ソムブラケツト１１に装着した閉鎖シリンダ３６
と、このシリンダ３６に装着したピストン３７，
３８と、シリンダキヤツプ３９を貫通するピスト
ンロツド２３とを包含する。シリンダ２２はピス
トン３７の上方で通路４１によつて溜め４０に接
続してある。ピストン３７，３８の下方で、シリ
ンダ３６は通路４２によつてポンプユニツト２４
に接続してある。ピストン３８の１つはパイロツ
ト作動式逆止弁４３を包含し、これはトリムピス
トンがそのスロークのトツプに達したときにトリ
ム用、トリム・チルト用の両ユニツト１６，２２
においてピストン２６，３７，３８下方の最高圧
力を制限するように作用する。パイロツト作動式
逆止弁４３は第４，５，６図に最もはつきりと示
してあり、ピストン３８を貫く孔４４を包含す
る。孔４４の頂には絞り４５が設けてあり、この
絞り４５を貫いて突出する軸４８とこの軸を囲む
弁座４９とを有するパイロツト弁部材４７のため
の弁座４６を与えている。ボール逆止弁５１の弁
座部材５０が孔４４の下端に螺合してあり、ただ
１つのコイルばね５２がボール弁部材５１、パイ
ロツト弁部材４７の両方を閉位置に向つて押して
いる。ボール弁部材５１とばね５２との間にはば
ね案内部材５３が設けてあつてばね５２を位置決
めしている。トリムピストン３８の頂には溝５４
が設けてあり、これはトリムピストン３８がその
ストロークのトツプにあるときに弁孔４４と上方
シリンダ孔５５とを連通させる。

第４図に示したように、トリムピストン３８は
その最高トリム位置の下にあり、それ故、ボー
ル、パイロツトの弁部材５１，４７はその閉位置
にある。第５図において、トリムピストン３８は
そのストロークの終りに達しており、パイロツト
弁軸４８がシリンダキヤツプ３９と係合してパイ
ロツト弁４７を開いている。ピストン３８下方の
圧力は充分に高くてボール逆止弁５１を開いてお
り、それによつてこの弁を通る流れがピストン３
８下方の油圧システム内の圧力を調整するように
作用する。第６図において、トリムピストン３８
は第５図と同じ位置にあるが、ピストン３８下方
の圧力は所望レベル以下にあり、ボール逆止弁５
１は閉じている。

第３図に破線で示す油圧ポンプユニツト２４は
電動式可逆歯車ポンプ５６とシヤツトル弁２５と
を包含する。完成品としての油圧ポンプユニツト
２４がPrestolite CompanyからモデルEO―
28334―４として市販されている。。溜め４０がシ
ステムに作動流体を正しく供給するために設けて
ある。ポンプユニツト２４のスプール弁２５は加
圧流体に応答して作動し、ポンプ５６からピスト
ン・シリンダユニツトへ、またその逆の流体の流
れを制御する。

スプール弁２５は閉じた管状弁ハウジング５８
内で軸線方向に移動できるスプール５７を包含す
る。このスプール５７はくぼみ部分６０を有する
中央ピストン５９を包含し、このくぼみ部分６０
はスプール５７を貫通している通路６２を経て中
央ポート６１とスプール５７の左側とを連通させ
る。中央ポート６１は通路６３によつて溜め３９
に接続してある。スプール５７は、さらに、中央
ピストン５９に取付けた互に反対向きのプランジ
ヤ部分６４を包含し、これらのプランジヤはスプ
ール５７が左または右に変位したときに流れ制御
ポート６５，６６を開くようになつている。流れ
制御ポート６５，６６およびそれに接続した通路
を流れる流れは、さらに、ばね負荷弁部材６７，
６８によつて制御される。これらの弁部材はスプ
ール５７のプランジヤ部分によつて開放される。
スプール弁２５は２つの流路６９，７０によつて
ポンプ５６の両側に接続されており、これらの流
路６９，７０はボール逆止弁７１，７２を通して
溜め４０に接続しており、これらボール逆止弁は
溜め４０からの流れを選択的に許したり、阻止し
たりする。

作 動 作動にあたつて、トリム用、トリム・チルト用
のピストン３７，３８，２６がその下方位置にあ
り、電動ポンプ５６を始動してスプール弁２７の
ポート７３に圧力を加えることによつて船外推進
ユニツト１４を上向きにトリミング操作すること
ができる。ついで、流体の圧力がばね負荷式弁部
材６７を開いて流体制御ポート６５を通し、ポー
ト７４から流体を流出させ、作動流体を流路４２
を通してトリム・チルト用シリンダおよびトリム
用シリンダに供給する。それによつて、ピストン
を上昇させる。同時に、圧力はスプール弁部材５
７を右に駆動し、プランジヤ６４が流れ制御ポー
ト６６を開けてトリム・チルト用ピストン２６上
方の作動流体をポンプの吸込側にもどす。トリム
用ピストン３７，３８上方の作動流体は流路４１
によつて溜め４０にもどり、ポンプ５６に必要な
補充流体はボール逆止弁７１を通つて溜め４０か
ら上つてくる流体で与える。

トリム用ピストン３７，３８がそのストローク
のトツプに達すると、パイロツト作動式逆止弁４
３が開き、トリム・チルト用ピストン・シリンダ
ユニツト１６に供給される流体の最高圧力を制限
することになる。パイロツト作動式逆止弁４３内
に正しい寸法のばね５２を設置したならば、シス
テム内圧力は充分に減じられてトリム・チルト用
ピストン２６が船外推進ユニツトの推力に打ち勝
つのを防ぎ、それによつてプロペラが前進推力を
発生しているときに船外推進ユニツトが傾くのを
防ぐ。

駆動ユニツトを下向きに傾けるには、電動ポン
プ５６を逆回転させてスプール弁部材５７の右側
に流体を供給し、右側の流れ制御ポート６６を開
き、通路７５を通してトリム・チルト用シリンダ
１６の頂に流体を供給し、トリム・チルト用ピス
トン２６を下向きに駆動する。右側の圧力はスプ
ール弁部材５７を左に駆動して左側の流れ制御ポ
ート６５をポンプ入口に対して開く。同時に、ス
プール弁ピストン５９のくぼんだ部分６０が弁ハ
ウジング５８の中央ポート６１と整合してスプー
ル弁ピストン５７の左側からスプール５７の通路
６２を通して溜め４０に至るもどり流路を開く。
こうして、トリム・チルト用ピストン２６がトリ
ム用ピストン３７，３８を下向きに駆動し始める
と、余分な流体が溜めにもどることになる。ポン
プ５６を止めたときに流路７７にある小さなオリ
フイス７６がスプール弁部材５７の右側にある圧
力を受けてスプール弁部材５７を中央位置に急速
にもどらせる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の特徴を備えた船外機を完全傾
斜位置で示す斜視図、第２図は第１図の船外機を
最大トリム位置で示す図、第３図は第１，２図の
船外機に組込んだ油圧装置の概略図、第４，５，
６図は第１，２図の船外機に組込んだパイロツト
作動式逆止弁の種々の位置を示す図である。 １０…船外機、１５…油圧トリム・チルト装
置、１６…トリム・チルト用油圧ピストン・シリ
ンダユニツト、１７…シリンダ、１９…ピン、２
０…ピストンロツド、２２…トリム用油圧ピスト
ン・シリンダユニツト、２４…電動式可逆油圧ポ
ンプユニツト、２５…スプール弁、２６…ピスト
ン組立体、３６…シリンダ、３７，３８…ピスト
ン、４３…パイロツト作動式逆止弁、５７…スプ
ール、５９…中央ピストン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ボートに取付けた支持部材に枢着した船外推
   進ユニツトのトリミング、チルテイングを行う油
   圧装置であつて、 Ａ） 前記推進ユニツトと前記支持部材とに枢着
   した第１の伸縮自在油圧ピストン・シリンダユ
   ニツトと、 Ｂ） 前記推進ユニツト、前記支持部材のいずれ
   か一方に連結してあり、前記推進ユニツト、前
   記支持部材の他方のものに係合する伸縮部分を
   有する第２の伸縮自在油圧ピストン・シリンダ
   と、 Ｃ） 油圧ポンプと、 Ｄ） 前記第１、第２の油圧ピストン・シリンダ
   ユニツトを前記油圧ポンプに油圧作動状態で接
   続してこれら両ピストン・シリンダユニツトに
   作動流体を供給するようにした導管装置と、 Ｅ） 前記第２ピストン・シリンダユニツトが所
   定量伸びたときに前記第１ピストン・シリンダ
   ユニツトに供給されている作動流体の最高圧力
   を限定する圧力逃し装置と、 を包含することを特徴とする油圧装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の油圧装置におい
   て、前記第２油圧ピストン・シリンダユニツトが
   両端の閉じたシリンダと、このシリンダ内に往復
   動自在に装着したピストンと、このピストンに連
   結してあり、前記シリンダの一方の閉じた端を貫
   いて延びているピストンロツドとを包含し、前記
   圧力逃がし装置が前記ピストンを貫くリリーフ弁
   を包含していることを特徴とする油圧装置。 ３ 特許請求の範囲第２項記載の油圧装置におい
   て、前記圧力逃がし装置が、さらに、前記第２油
   圧ピストン・シリンダユニツトが所定量伸びたと
   きを除いて前記リリーフ弁を通る流れを阻止する
   パイロツト作動式逆止弁を包含することを特徴と
   する油圧装置。 ４ 特許請求の範囲第１項記載の油圧装置におい
   て、前記第２油圧ピストン・シリンダユニツトが
   両端の閉じたシリンダと、このシリンダ内に往復
   動自在に装着したピストンと、このピストンに連
   結してあり、前記シリンダの一方の閉じた端を貫
   いて延びているピストンロツドとを包含し、さら
   に、前記圧力逃し装置が、 １） 前記ピストンを貫く孔と、 ２） この孔の一端に装着したパイロツト作動式
   弁と を包含し、このパイロツト作動式弁が、前記第２
   油圧ピストン・シリンダユニツトが所定量伸びた
   ときに前記シリンダの閉じた両端の一方と係合し
   て前記パイロツト作動式弁を開くように前記孔の
   一端から突出している弁軸を包含していることを
   特徴とする油圧装置。 ５ 特許請求の範囲第４項記載の油圧装置におい
   て、前記圧力逃し装置が、さらに、前記孔に装着
   したリリーフ弁を包含することを特徴とする油圧
   装置。 ６ 特許請求の範囲第５項記載の油圧装置におい
   て、前記圧力逃し装置が前記孔の各端にある弁座
   を包含していることを特徴とする油圧装置。 ７ 特許請求の範囲第６項記載の油圧装置におい
   て、前記パイロツト作動式弁が前記弁軸に取付け
   たパイロツト弁部材を包含し、前記リリーフ弁が
   ボール弁部材を包含することを特徴とする油圧装
   置。 ８ 特許請求の範囲第７項記載の油圧装置におい
   て、前記圧力逃し装置が、さらに、前記弁部材間
   に装着してあつて前記弁部材を前記弁座に向つて
   押してそこを閉じるようになつているコイルばね
   を包含することを特徴とする油圧装置。