JPH0217261B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、金属の連続鋳造方法に関する。

特に一方向凝固が容易に得ることができる方法
に関する。

金属の連続鋳造においては、従来方法によれば
樹枝状組織が同方向に成長して得られる柱状晶
が、鋳型側壁より鋳物中央方向に成長し、中央部
に等軸晶が成長する場合が多い。また異物等が鋳
物内部に蓄積され、内部欠陥が多く生じる。

このため塑性加工時に、柱状晶成長方向に圧縮
された場合に、合金によつては、粒界割れを生じ
好ましくない。

この欠点を解決するために、特公昭55−46265
のように、鋳型を加熱し、鋳型出口部で凝固させ
る装置が提案されているが、その運転においてブ
レークアウトを起こし易く操業上難点があつた。
また鋳型自体を加熱するためヒータを鋳型内に内
蔵させるものであり、好ましい構造及び方法では
なかつた。

即ち機器内電線等細物の導電用材としてのロツ
ド等を製造する際に要求される材質の項目である １ 異物、ピンホール等内部欠陥の少ないこと。

２ 長尺物で均一な品質をもつもので、偏析の少
ないこと。

３ 柱状晶が、ロツドの中心に向かつて成長しな
いこと。

の条件を満たす製品を得ることが出来、さらに鋳
造の際に必要な項目である安全性を有することを
満たす連続鋳造方法が、要求されている。

本発明は、以上の要望を満たすものである。

即ち、鋳型を一端部、中間部、他端部に分けた
鋳型の一端部を、溶融金属浴に突出し溶融金属浴
により加熱し、少なくとも他端部は、冷却構造体
に接した構造であつて、鋳型の一端部及び他端部
は、少なくとも熱良導体とし、その中間部の一部
又は全部を断熱構造体１１とする装置を用いて、
凝固界面が鋳造方向に対し凹状にならない遅い速
度で鋳造することを特徴とする連続鋳造方法であ
る。

以下本発明について、詳細に述べる。

本発明方法が適用される金属は、銅、金、銀、
アルミニウム、亜鉛、鉛、スズ等およびこれらの
合金等である。特に熱良導体のものが好ましい。

本発明の鋳型の一端部は、溶融金属浴により加
熱されている。特に溶融金属浴に突出させること
により溶融金属の熱により鋳型をより加熱するこ
とができる。この事により別の加熱手段を用いず
に過剰加熱することなく溶湯の入口側で凝固面を
保持できる。また同時に、一方凝固を可能とし、
結晶粒の非常に大きい鋳造組織を得ることができ
るものである。

さらに鋳型の他端部は、冷却構造体に接した構
造である。鋳型の一方を加熱し他端を冷却するこ
とにより一方向凝固を好ましく行い得るものであ
る。

また同時に鋳型出口部で溶融金属は、全く存在
しない。これれによりブレークアウトのない連続
鋳造を可能とするものである。

また更に、鋳型の一端部及び他端部は、少なく
とも熱良導体とし、中間部は、断熱構造とする。

このことにより、より効率的に凝固界面が鋳造
方向に対して凹状にならない一方向凝固を可能と
するものである。温度勾配が、急傾斜となるため
である。熱良導体の耐火物としては、例えば、窒
化珪素、炭化珪素、黒鉛等である。断熱構造とし
ては、断熱性の耐火材であるＡ₂O₃、MgO、
CaO等のものを配置するかあるいは、さらにその
構造体中に空洞を設けガス等を存在させるものと
する。ガスとしては、空気等で良く、熱の良導体
でないものほど良い。さらに断熱構造体の位置
は、極力溶融金属側に配置し、凝固界面をより溶
融金属側にすることが好ましい。より一方向凝固
を容易にするためである。さらに、鋳型の外部に
も断熱構造体を上記同様に設ける事がより好まし
い。

また、鋳型の冷却構造体の溶融金属浴側から、
鋳型壁面に不活性ガス及び又は中世ガスを吹き込
む構造とする。この構造とすることにより、凝固
した金属の偏析を防止し、溶融金属の温度を均一
に保持するものである。上記ガスは、少なくとも
溶融金属の鋳型への入口部の溶体を攪伴混合する
役割をなすものである。冷却構造体に接した鋳型
の部分より、少なくとも鋳型の入口側から、装入
できる構造であることが好ましい。

さらに本発明に用いる鋳型装置は、溶解炉又は
保持炉の下部に鋳型を設けたもの、あるいは、溶
解炉又は保持炉の側壁横に鋳型を設けたものであ
つても良い。

本発明方法を用いるに適した製品の大きさとし
ては、あまり大径のものは、適さない。例えば、
直径が20mm以下の大きさのものである。これは、
鋳型の温度が、溶融金属あるいは半固体金属に伝
わる範囲であることが好ましい一方向凝固を可能
にするためである。

以上の装置を用いて、凝固界面が、鋳造方向に
対して凹状にならない遅い速度で鋳造することに
より、好ましい一方向凝固組織を得ることができ
る。

以上のように本発明を実施することにより、以
下の効果を得ることができる。

(1) ブレークアウトの危険がなく、凝固界面が鋳
造方向に対して凹状にならない一方向凝固組織
の長尺金属塊を得ることができる。

(2) 異物の混入、ピンホールがない長尺金属塊を
得ることができる。

(3) 温度勾配が、急であるため一方向凝固の鋳塊
を容易に得ることができる。

(4) 偏析が少ない一方向凝固の鋳塊を得ることが
できる。

(5) 鋳塊表面が、極めて滑らかである。

(6) 一方向凝固のため、加工性が極めて良い。

(7) 結晶粒の大きい長尺金属塊を得ることができ
るため、機器内電線（例えば、オーデイオ機器
用電線）等の細物の導電線用材としてのロツド
を製造するために適する。

実施例 １ 第１図に示した装置を用いて実施した。

溶解炉２底部側壁に取付けた11mm径の孔を有す
るグラフアイト鋳型６の中間部の一部に空中のア
ルミナ耐火物を配置し、断熱構造体１１とし、さ
らに該鋳型の外側にも上記同様の断熱体１２を設
けた。その鋳型に外径10.6mmの純銅棒の端を溶融
金属１供給側より１cm内側に位置させる。

炉には、溶解された純銅50Kgを入れ1250℃に保
持した。溶融金属供給側と反対側に設置された冷
却構造体５に８／分の水を通じ、純銅の凝固位
置を鋳型内の溶融金属供給側に設定した。

グラフアイト鋳型に、第１図に示すごとくN₂
ガスを４より導入し、溶融金属中へ１０の位置よ
り噴出させた。溶融金属を攪伴し、温度および金
属成分のバラツキをなくす働きをした。

尚N₂ガスが、溶融金属側のみに放出されるよ
う、ガスシール８を設けた。

凝固したロツドを33mm／分でピンチロール７に
より、連続的に引抜いた。

この結果得られた純銅は、凝固界面が鋳造方向
に対して、凹状にならない一方向凝固のものであ
り、結晶粒が極めて大きいものであつた。

これをオーデイオ用線に用いることにより、好
ましい音を聞くことができた。これは、電気信号
が伝わる方向に結晶粒界が極めて少ないため、本
来の音が再現されるためである。

実施例 ２ 第２図の装置においても、N₂ガスの吹き込み
位置を変更した他実施例１と同様に行つたとこ
ろ、好ましい一方向凝固のロツドが得られた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、横型連続鋳造において、適用された
本発明である。第２図は、下向の連続鋳造装置を
示す。 １は、溶融金属、２は、溶解炉、３は、鋳造ロ
ツド、４は、N₂ガス導入口、５は、冷却構造体、
６は、グラフアイト鋳型である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鋳型を一端部、中間部、他端部に分けた鋳型
   の一端部を、溶融金属浴に突出し溶融金属浴によ
   り加熱し、少なくとも他端部は、冷却構造体に接
   した構造であつて、鋳型の一端部及び他端部は、
   少なくとも熱良導体とし、その中間部の一部又は
   全部を断熱構造体１１とする装置を用いて、凝固
   界面が鋳造方向に対し凹状にならない遅い速度で
   鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。