JPH0210248Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、エンジンの排気消音装置、特に消音
性能を低下させることなく加速時におけるエンジ
ンの背圧を低減するようにした排気消音装置に関
する。

（従来技術） 一般にエンジンの排気騒音を低減するサイレン
サは、排気を隔壁によつて仕切られた複数の共鳴
室を通過させるようにしたものや、排気通路に設
けた開放孔を吸音材で覆つたもの、更にはこれら
を組合せたもの等があるが、上記共鳴室は、第１
図に示すように特定のエンジン回転数でピークを
有して所謂室内こもり音の原因となる低周波の排
気騒音を低減するのに有効であり、また吸音材は
例えばエンジンの加速時に発生する気流音等のよ
うな中、高周波の排気騒音を低減するのに効果が
ある。ところが、共鳴室は排気の流れに対する抵
抗となるため、これを排気通路に備えた場合、エ
ンジンの背圧が高くなつて出力を低下させるとい
つた欠点がある。

一方、実開昭57−44925号公報によれば、エン
ジンとサイレンサとを接続する排気導入管とサイ
レンサの下流側に接続される排気導出管との間に
サイレンサを介しないバイパス通路を設け、エン
ジンに高出力が要求される時は該バイパス通路を
通して排気を排出するようにした考案が開示され
ている。しかし、このようにバイパス通路を通し
て排気するようにした場合、排気騒音が低減され
ないという問題が生じる。

（考案の目的） 本考案はエンジンの排気消音装置における上記
のような問題に対処するもので、室内こもり音の
原因となる低周波の騒音は、第１図に示すように
特定エンジン回転数でピーク値を有するものであ
るから、この回転数を瞬時に通過してしまう加速
時にはこの低周波の騒音が問題とならないことに
着目し、加速時には共鳴室をバイパスするバイパ
ス通路を通して排気を排出するようにする。これ
により、定常運転時には上記共鳴室によつて第１
図に示すような低周波騒音を抑制して室内こもり
音を低減すると共に、大きなエンジン出力が要求
される加速時には、エンジンの背圧を低減して所
要の出力が得られるようにする。そして、上記バ
イパス通路には加速時に著しくなる気流音等の
中、高周波の排気騒音を効果的に軽減し且つエン
ジン背圧を上昇させることがない吸音材を備える
ことにより、加速時の排気騒音をも防止する。こ
のようにして、低周波及び中、高周波の排気騒音
がともに効果的に軽減され且つ加速時にエンジン
の背圧が低減されて所要のエンジン出力が得られ
る排気消音装置を実現することを目的とする。

（考案の構成） 本考案は、上記目的達成のため次のように構成
したことを特徴とする。

即ち、共鳴室を有するサイレンサに排気を導入
する導入管と排気を大気中に放出する導出管とを
接続したエンジンの排気消音装置において、上記
導入管から先端が大気側に開口された背圧低減通
路を分岐すると共に、該低減通路を上記サイレン
サ内を貫通させて、その貫通部分に複数の開放孔
を形成し、かつその周囲を吸音材で包囲する一
方、上記背圧低減通路を開閉する開閉弁と、該弁
をエンジンの加速時に開方向に作動させる制御手
段とを備えている。

このような構成によれば、定常運転状態におい
ては、排気ガスは上記導入管を経て共鳴室を有す
るサイレンサに導入されることのなるので、室内
こもり音などの低周波騒音が軽減される一方、低
周波騒音が余り問題とならない加速時において
は、開閉弁が上記背圧低減通路を開く方向に作動
されるので、排気ガスが通過抵抗の少ない背圧低
減通路を経て大気中に放出され、これによりエン
ジンの背圧が下がつて出力性能が向上することに
なる。

特に、上記背圧低減通路がサイレンサを貫通し
ていると共に、その貫通部分に設けられた複数の
開放孔の周囲が吸音材により包囲されているの
で、加速時に発生する気流音等の中、高周波の排
気騒音が、上記吸音材で吸収されることにより効
果的に低減されることになる。しかも、上記吸音
材が背圧低減通路におけるサイレンサの貫通部分
に設けた開放孔の周囲を包囲するように設けられ
ていることにより、吸音材から漏れ出す排気騒音
がサイレンサのケース部分で妨げられることにな
つて消音性能が向上するばかりでなく、これらの
吸音材と開放孔等で構成される消音部をサイレン
サとは別位置に設ける場合と比較して、この種の
排気消音装置がコンパクトされることにもなる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第２図に示すように、排気消音装置１は、エン
ジン２の排気マニホルド３に接続された排気導入
管４と、該排気導入管４の下流端部に設けられた
サイレンサ５と、該サイレンサ５に接続され且つ
先端が大気に開放された排気導出管６とを有する
と共に、上記排気導入管４からはバイパス通路７
が分岐され、このバイパス通路７がサイレンサ５
内を貫通して先端が大気に開放されている。そし
て、該バイパス通路７における排気導入管４から
の分岐点にはバイパス通路７への入口を開閉する
開閉弁８が設けられていると共に、該開閉弁８を
開閉制御する制御装置９が備えられている。この
制御装置９は、開閉弁８を作動させるアクチユエ
ータ１０と、エンジン２の加速状態を判定する加
速判定手段１１と、該加速判定手段１１からの信
号を受けて上記アクチユエータ１０を駆動する駆
動手段１２とで構成され、加速判定手段１１がエ
ンジン２の加速状態を判定した時に開閉弁８がバ
イパス通路７を開通させるように動作する。ここ
で、上記排気導入管４の上流側にはプリサイレン
サ１３が備えられているが、このプリサイレンサ
１３はサイレンサ５に排気を導入する前に第１段
階の消音作用を行わせるためのものである。

然して、サイレンサ５の内部は第３図に示すよ
うに、隔壁１４…１４により複数の室（該実施例
においては３つの膨張室１５，１５′，１５″と１
つの共鳴室１５）に画成され、上記排気導入管
４の下流端部がその一つの膨張室１５′に連通さ
れていると共に、排気導出管６の上流端部が他の
一つの膨張室１５″に連通され、且つ各室１５，
１５′，１５″，１５を相互に連通させる連通路
１６…１６が設けられている。一方、排気導入管
４から分岐されて、該サイレンサ５内を貫通して
いるバスパス通路７には、該サイレンサ５を貫通
する部分の周壁に多数の開放孔１７…１７が設け
られていると共に、該開放孔１７…１７が吸音材
１８により包囲されている。

このような構成によれば、エンジン２が定常運
転状態にある場合は、制御装置９における加速判
定手段１１から駆動装置１２ないしアクチユエー
タ１０に開閉弁８を開動させる制御信号が出力さ
れないから、該開閉弁８は第３図に実線で示すよ
うに、バイパス通路７の入口部を閉鎖した状態に
ある。従つて、エンジン２から排出される排気ガ
スは排気導入管４によりサイレンサ５の１つの膨
張室１５′に流入する。そして、連通路１６…１
６を介して膨張室１５及び共鳴室１５と連通す
る膨張室１５″に順次流入した後、排気導出管６
から大気中に放出される。このように、定常運転
状態においては、排気ガスは共鳴室１５に連通
した膨張室１５″を介して大気中に放出されるか
ら、該共鳴室１５及び上記各膨張室１５，１
５′，１５″の作用によつて室内こもり音等の低周
波騒音が軽減されることになる。

然して、エンジン２が加速されると、上記制御
装置９の加速判定手段１１から駆動手段１２を介
してアクチユエータ１０に制御信号が出力され、
開閉弁８が、第３図に鎖線で示すように作動され
てバイパス通路７の入口部を開通させる。そのた
め、排気ガスは排気導入管４の分岐点からバイパ
ス通路７に流入し、該通路７を通つて大気中に放
出される。つまり、加速時には排気ガスは膨張室
１５，１５′，１５″及び共鳴室１５を介するこ
となく大気中に放出されるから、排気ガスがスム
ーズに流れることになり、エンジン２の背圧が低
減して加速に必要な出力が得られることになる。
その場合、バイパス通路７には開放孔１７…１７
が設けられていると共に、該開放孔１７…１７が
吸音材１８により包囲されているから、加速時に
発生する気流音等の中、高周波の排気騒音が該吸
音材１８により吸収され、加速時の排気騒音も軽
減されることになる。

尚、この実施例においては、開閉弁８がバイパ
ス通路７を開く時、該弁８が排気導入管４を閉じ
るようになつているが、この排気導入管４の排気
通路は常時開通させ、バイパス通路７のみを開閉
させるようにしてもよい。

（考案の効果） 以上のように本考案に係る排気消音装置によれ
ば、定常運転状態においては、排気ガスは上記導
入管を経て共鳴室を有するサイレンサに導入され
ることになるので、室内こもり音などの低周波騒
音が軽減される一方、低周波騒音が余り問題とな
らない加速時においては、開閉弁が上記背圧低減
通路を開く方向に作動されるので、排気ガスが通
過抵抗の少ない背圧低減通路を経て大気中に放出
され、これによりエンジンの背圧が下がつて出力
性能が向上することになる。

特に、上記背圧低減通路がサイレンサを貫通し
ていると共に、その貫通部分に設けられた複数の
開放孔の周囲が吸音材により包囲されているの
で、加速時に発生する気流音等の中、高周波の排
気騒音が、上記吸音材で吸収されることにより効
果的に低減されることになる。しかも、上記吸音
材が背圧低減通路におけるサイレンサの貫通部分
に設けた開放孔の周囲を包囲するように設けられ
ていることにより、吸音材から漏れ出す排気騒音
がサイレンサのケース部分で妨げられることにな
つて消音性能が向上するばかりでなく、これらの
吸音材と開放孔等で構成される消音部をサイレン
サとは別位置に設ける場合と比較して、この種の
排気消音装置がコンパクトされることにもなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は低周波排気騒音の特性図、第２，３図
は本考案の実施例を示すもので、第２図は排気消
音装置の概略図、第３図は該装置におけるサイレ
ンサの拡大断面図である。 １……排気消音装置、４……導入管（排気導入
管）、５……サイレンサ、６……導出管（排出導
出管）、７……背圧低減通路（バイパス通路）、８
……開閉弁、９……制御手段（制御装置）、１５，
１５′，１５″……膨張室、１５……共鳴室、１
７……開放孔、１８……吸音材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 共鳴室を有するサイレンサに排気を導入する導
   入管と排気を大気中に放出する導出管とを接続し
   たエンジンの排気消音装置において、上記導入管
   から先端が大気側に開口された背圧低減通路を分
   岐すると共に、該通路を上記サイレンサ内を貫通
   させて、その貫通部分に複数の開放孔を形成し、
   かつその周囲を吸音材で包囲する一方、上記背圧
   低減通路を開閉する開閉弁と、該弁をエンジンの
   加速時に開方向に作動させる制御手段とを備えた
   ことを特徴とするエンジンの排気消音装置。