JPH019743Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、エンジンルームと車室とを仕切るダ
ツシユパネルの車室側上部に車幅方向に延びる補
強メンバーを設けたタイプの自動車の前部車体構
造に関するものである。

（従来技術） 一般に自動車の前部において、エンジンルーム
と車室とを仕切るダツシユパネルの上方に、フロ
ントウインドの下部を形成するとともに、左右の
フロントピラーを結合するためのカウルトツプを
設けたものは良く知られており、かかるタイプの
自動車において、ワイパー取付用のブラケツトを
前記カウルトツプに取付けるようにしたものが既
に提案されている（例えば、実開昭57−11813号
公報参照）。

しかしながら、前述した如く、カウルトツプを
有せず、ダツシユパネルの車室側上部に車幅方向
に延る補強メンバーを設けたタイプの自動車にお
いては、ダツシユパネル上部にワイパー取付用の
ブラケツトを直接取付けねばならず、十分な強度
を確保することがむづかしいという問題が生じる
恐れがある。

（考案の目的） 本考案は、上記の点に鑑みて為されたもので、
ダツシユパネルの車室側上部に車幅方向に延びる
補強メンバーを設けたタイプの自動車において、
最も適切且つ強固なワイパーブラケツト取付構造
を提供することを目的とするものである。

（目的を達成するための手段） 本考案では、上記目的を達成するための手段と
して、エンジンルームと車室とを仕切るダツシユ
パネルの車室側上部に、車幅方向に延び、ダツシ
ユパネルと共に閉断面を形成する補強メンバーを
配設した自動車において、前記ダツシユパネルの
エンジンルーム側上部に、ワイパー取付用のブラ
ケツトを接合するとともに、該ブラケツトの取付
部位に対応する前記ダツシユパネル後面部と、前
記ダツシユパネルの上端を車室側に折り返して形
成されたフロントウインド枠部と、前記補強メン
バーとに跨つて補強部材を接合している。

（作用） 本考案では、上記手段によつて、次のような作
用が得られる。

即ち、補強部材を、ワイパー取付用ブラケツト
の取付部位に対応するダツシユパネル後面部と、
フロントウインド枠部と補強メンバーとに跨つて
接合したことにより、一個の部材を付加しただけ
で、これら三者の剛性が著しく強化される。

（実施例） 以下、添付の図面を参照して、本考案の好適な
実施例を説明する。

本実施例の自動車の車体１前部において、エン
ジンルーム２と車室３との間には、両者を仕切る
ダツシユパネル４が設けられている。該ダツシユ
パネル４は、上部のダツシユパネルアツパ４ａと
下部のダツシユパネルロア４ｂとからなり、該ダ
ツシユパネルアツパ４ａは、車幅方向中央部で前
方に折り曲げられて前傾し、側方に向うにしたが
つて漸次後傾する形状とされている。そして、こ
のダツシユパネルアツパ４ａの車室側には、車幅
方向全長に延び且つダツシユパネルアツパ４ａと
ともに閉断面を形成する断面コ字状の補強メンバ
ー５が配設されている。該補強メンバー５は、そ
の前端部をフランジ部５ａ，５ａを介してダツシ
ユパネルアツパ４ａに接合するとともに、その両
側端部をフロントピラー（図示せず）に接合する
ことによつて、ダツシユパネルアツパ４ａの上部
の補強と左右フロントピラーの結合との用に供さ
れている。

又、前記ダツシユパネルアツパ４ａの上端は車
室３側に折り返されてフロントウインド枠部６を
構成している。該フロントウインド枠部６の前面
には、車幅方向に延びる樋状のカウルパネル７が
接合されており、該接合部は、フロントウインド
ガラス８の接着部とされている。

前記ダツシユパネルアツパ４ａのエンジンルー
ム側適所には、ワイパー９を取付けるためのブラ
ケツト１０が前記カウルパネル７下面とに跨つて
接合されている。該ワイパー９は、リンク部材１
１を介して連結されたワイパーモータ（図示せ
ず）によつて駆動されるようになつている。

而して、前記ブラケツト１０の取付部位に対応
するダツシユパネルアツパ４ａ後面部と、前記フ
ロントウインド枠部６と、前記補強メンバー５と
に跨つて断面略コ字状を呈する補強部材１２が接
合されている。符号１２ａ，１２ｂ，１２ｃは、
補強部材１２を接合するためのフランジ部、１
３，１４は溶接用開口である。

該補強部材１２は、ダツシユパネルアツパ４ａ
のワイパーブラケツト取付部位、フロントウイン
ド枠部６および補強メンバー５の剛性強化に大き
く寄与している。

又、本実施例においては、第２図に示すよう
に、前記補強メンバー５を上下から挟む上部およ
び下部ステアリングブラケツト１６，１７からな
るステアリングブラケツト１５が付設されてい
る。符号１９は溶接用開口である。

即ち、上部ステアリングブラケツト１６は、ダ
ツシユパネルアツパ４ａ上部と補強メンバー５の
上面および後面とに跨つてそれぞれフランジ部１
６ａ，１６ｂ，１６ｃを介して接合される一方、
下部ステアリングブラケツト１７は、前記補強メ
ンバー５の下面と上部ステアリングブラケツト１
６のフランジ部１６ｄとに跨つてフランジ部１７
ａを介して接合されている。従つて、ステアリン
グブラケツト１０は、補強メンバー５を上下から
挟持した構造となり、剛性が著しく強化される。

このステアリングブラケツト１５の後端に、ス
テアリングシヤフト１８がボルト等を用いて支持
される。

又、前記上部ステアリングブラケツト１６の前
端部は、前記ダツシユパネルアツパ４ａ上端のフ
ロントウインド枠部６に接合されており、両者の
接合により、フロントウインドガラス８の接着部
の剛性が著しく強化されている。

図面中、符号２０はボンネツト、２１はステア
リングホイールである。

（考案の効果） 叙上の如く、本考案によれば、ダツシユパネル
の車室側上部に、車幅方向に延び且つ該ダツシユ
パネルと共に閉断面を形成する補強メンバーを設
けた構造の自動車において、前記ダツシユパネル
のエンジンルーム側上部に、ワイパー取付用のブ
ラケツトを接合するとともに、該ブラケツト取付
部位に対応するダツシユパネル後面部と、ダツシ
ユパネル上端を車室側に折り返して形成されたフ
ロントウインド枠部と、前記補強メンバーとに跨
つて補強部材を接合したので、ワイパーブラケツ
ト取付部位の剛性が強化され、強固なワイパーブ
ラケツト取付構造が得られるとともに、フロント
ウインドの接着部となるフロントウインド枠部お
よび補強メンバーの剛性をも強化することができ
るという実用的な効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例にかかる自動車の前
部車体構造を示す概略断面図（即ち、第２図のＡ
−Ａ断面図）、第２図は、本考案の実施例にかか
る自動車の前部車体構造の要部を示す斜視図であ
る。 ２……エンジンルーム、３……車室、４……ダ
ツシユパネル、５……補強メンバー、６……フロ
ントウインド枠部、１０……ブラケツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンルームと車室とを仕切るダツシユパネ
   ルの車室側上部には、車幅方向に延び、ダツシユ
   パネルと共に閉断面を形成する補強メンバーが配
   設され、前記ダツシユパネルのエンジンルーム側
   上部には、ワイパー取付用のブラケツトが接合さ
   れており、該ブラケツトの取付部位に対応する前
   記ダツシユパネル後面部と、前記ダツシユパネル
   の上端を車室側に折り返して形成されたフロント
   ウインド枠部と、前記補強メンバーとに跨つて補
   強部材が接合されていることを特徴とする自動車
   の前部車体構造。