JPH018410Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (1) 考案の分野 この考案は、有効室内幅を増大でき、しかも廉
価製作可能な自動車用ドアトリムに関する。

(2) 従来技術とその問題点 第１図に示す如く、従来の車両用アームレスト
の構造は、平板状ドアトリム１の表面からアーム
レスト本体２を車室内方へと突出させて取り付け
るようになつていたため、第２図に示す如く実質
室内幅をD₁、アームレストの突出幅をD₃とする
と、実際に乗員が利用可能な有効室内幅D₂の値
は D₂＝D₁−2D₃ となり、殊に小型車の場合にあつてはD₁／D₂の
比率が悪くなるという欠点があつた。

そこで、このような問題を解決すべく、最近の
車両にあつては第３図に示す如く、ドアトリム自
体をアームレスト部３を残してドア内方へとプレ
ス加工により凹ませ、これによりドアトリムとア
ームレストとを一体成形してなる成形ドアトリム
４が提案されているが、この種のドアトリムは製
作にあたつて型費がかかりコスト高となるため廉
価車用としては採用しがたいという問題があつ
た。

(3) 考案の目的 この考案は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、その目的とするところは実質
室内幅を有効に利用することができ、しかも安価
に製作が可能な自動車用ドアトリムを提供するこ
とにある。

(4) 考案の構成 この考案は上記の目的を達成するために、平板
状のドアトリム材の略中央部に、水平な切込線を
形成するとともに、この切込線の上方を内奥側に
プレス加工を施し、切込線を下辺とする台形状の
凹部をドアトリム材の表面側に設け、ドアトリム
材が取付けられるインナーパネルは上記凹部の裏
面側を包囲する曲面形状に形成され、アームレス
ト本体の手前側下面に設けられた溝内にドアトリ
ム材の凹部開口の下端縁を装着させるとともに、
アームレスト本体の内奥側上下面を、凹部底面側
下端縁とインナーパネルの底板との間に挾持させ
るように凹部内にアームレスト本体を挿入嵌合
し、アームレスト本体底部の突起を上記底板に係
合固定して、アームレスト本体をドアトリム材に
取付けたことを特徴とする。

(5) 実施例の説明 以下に、この考案の好適な一実施例を第４図〜
第７図を参照しながら詳細に説明する。

第６図および第７図に示す如く、本考案に係わ
る自動車用ドアトリム５は、平板状のドアトリム
材６の略中央部に、水平な切込線７を形成すると
ともに、この切込線７の上方を内奥側へプレス加
工して、略台形状の開口８を備えた凹部９が形成
されている。また、この凹部９は第７図に示すよ
うに、下方に向かつて内奥側へと傾斜する簡単な
形状であり、この凹部９はアームレスト本体収納
スペースを形成する。なお、第６図において１０
はドアウインド昇降用のハンドル挿通のための透
孔である。

ドアトリム材６としてはプレスボード等が用い
られ、また予めプレスボードの表面に第７図に示
す如く表皮材６ａとして塩化ビニールシートや不
織布あるいは不織地等をラミネートしておき、こ
れをプレス加工により膨出させるようにすれば、
プレス加工を施した後に表皮材を貼るための作業
が不要となり製作工程を一層簡単にすることがで
きる。

第５図は、本考案に係わる自動車用ドアトリム
の取付構造を示す断面図であつて、１１はドアの
アウターパネル、１２はインナーパネルであり、
これらは上端縁に設けられたウエザストリツプ１
１ａ，１２ａを残してその下端縁等においてカシ
メ付け対向固定されており、またインナーパネル
１２には前記ドアトリム６に設けられた凹部９の
底部開口９ａおよび凹部９の背面９ｂを包囲する
如く曲折された凹部１４が予めプレス加工により
形成されている。

そして、前記ドアトリム６はその凹部９を、イ
ンナーパネル１２の凹部１４に適合させた形でそ
の表面に張設され、適宜箇所に樹脂クリツプ１５
によつて一体に固定される。

また、アームレスト本体１３は第５図に示す形
状を備えた樹脂成形体からなり、手前側下面に幅
方向に延びる溝が形成され、この溝内にドアトリ
ム側に設けられた切込端縁７ａを装着させて、ド
アトリム材６をアームレスト本体１３が跨ぐよう
に凹部９内へと嵌合され、さらにアームレスト本
体１３の内奥側の上下面が凹部９の底面側下端縁
９ｃと凹部１４を形成する底板１４ａとの間に挾
持される如く挿入嵌合され、さらにアームレスト
１３の底部により突出する突起１３ａが前記底板
１４ａに形成された係合孔１４ｂに挿入されて抜
け止め固定されることになる。

以上の構成によれば、第４図に示す如くアーム
レスト本体１３はドアトリム６に形成された凹部
９内に没入する如く取り付けられ、またアームレ
スト本体１３の上方には凹部９によつて充分な空
間が設けられるため、乗員は容易にアームレスト
本体１３上に腕をのせることができ、またドアト
リム６により突出するアームレスト本体１３の突
出幅は極めて僅かなものとなり、車両の実質室内
幅を有効に利用することができる。

さらに、その製作にあたつても、平板状ドアト
リム材６に切込線７を形成した後、その上方をド
ア内方へと膨出するようにプレス加工するだけで
あるから、プレス加工に際して複雑な形状の型も
不要であつて、その製作も容易であるとともに安
価に製作することが可能である。

(6) 考案の効果 以上の実施例の説明でも明らかなように、この
考案に係る自動車用ドアトリムは、平板状のドア
トリム材の略中央部に、水平な切込線を形成する
とともに、この切込線の上方を内奥側にプレス加
工を施し、この切込線を下辺とする台形状の凹部
をドアトリム材の表面側に設け、この凹部をアー
ムレスト本体収納用の凹部として形成したもので
あるから、例えば、実施例の如く上記凹部にアー
ムレスト本体を挿入すれば、アームレスト本体の
車室内への突出幅を可及的に低減させ、実質室内
幅を有効に利用することができるとともに、その
製作も複雑なプレス型が不要で安価に行なうこと
ができ、殊に廉価車用として極めて好適なもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のアームレストの構造を示す斜視
図、第２図は実質室内幅、アームレスト幅および
有効室内幅との関係を示す図、第３図は従来の成
形ドアトリムの構造を示す図、第４図は本考案に
係わる自動車用ドアトリムの取付状態を示す斜視
図、第５図は同−線断面図、第６図は本考案
に係わるドアトリムを取り出して示す斜視図、第
７図は同−線断面図である。 ５……ドアトリム、６……ドアトリム材、７…
…切込線、９……凹部、１３……アームレスト本
体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 平板状のドアトリム材６の略中央部に、水平な
   切込線７を形成するとともに、この切込線の上方
   を内奥側にプレス加工を施し、切込線を下辺とす
   る台形状の凹部９をドアトリム材の表面側に設
   け、ドアトリム材が取付けられるインナーパネル
   １２は上記凹部の裏面側を包囲する曲面形状に形
   成され、アームレスト本体１３の手前側下面に設
   けられた溝内にドアトリム材の凹部開口の下端縁
   ７ａを装着させるとともに、アームレスト本体の
   内奥側上下面を、凹部底面側下端縁９ｃとインナ
   ーパネルの底板１２ｃとの間に挾持させるように
   凹部内にアームレスト本体を挿入嵌合し、アーム
   レスト本体底部の突起１３ａを上記底板に係合固
   定して、アームレスト本体をドアトリム材に取付
   けたことを特徴とする自動車用ドアトリム。